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キオクの彼方
日時: 2009/12/20 17:56
名前: そう (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=14616

 はじめまして、そう と申します。正月まであと数日となりました。この時期になると『今年は何してたっけ?』ってなりますよね。今回の小説の作風はそれに近いものがあります。
 人間が生きていく上で最も必要な能力の一つに『記憶』があります。もし、それがなかったら——
 ぜひ考えてみてください。

— 登場人物 —

・長門 鶯(ナガト ウグイス)
 主人公。高校では遅刻・居眠りの常習犯だが、根は真面目で陽気な性格。実家が名の知れた高級料亭で、本人の料理の腕も本物。

・天野 雫(アマノ シズク)
 小柄な体系だが、主人公と同じく高校二年生。鶯には奥手ながらも恋愛感情を抱き、彼を慕っている。大人しい性格からか、周囲の言動に流されやすい。

・防人 葉月(サキモリ ハヅキ)
 スレンダーなモデル体系だが、腕っ節が強く正確も豪快。兄の影響から実は重度のオタクであり、鶯らも当初はこれを懸念していた。

・金沢 漢(カナサワ アヤ)
 自身は不良を気取っているが、セクハラまがいな行動が多く、その都度葉月にぶっ飛ばされるなど、周囲から『ヘタレ』のレッテルを貼られている。

 それでは、ことの始まりから物語ることにしましょう……——

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Re: キオクの彼方 ( No.1 )
日時: 2009/12/20 18:20
名前: そう (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=14616

 第0話 “ プロローグ ”


こんなにも悲しくなったことはない——
こんなにも涙を流したことはない——
なぜ俺は今こんなに震えているんだ——
俺は路上に横たわった一人の女の子の手をギュッと握り締めている。時間が経つにつれて、その小さな手は体温を失ってゆく。
俺は必死に願った。
時を一時間だけ戻してくれ——と。

「雫ちゃんッ!!! 長門君ッ!!! 」
 遠くから大声を上げて防人が走けてくるのが分かった。
「……防人」
 俺は力なくその呼びに答える。
「何、これ。一体どうしたのよッ! 」
 激昂する防人。だが、それは無理のないことだ。
「事故だよ……見りゃ分かるだろ。轢き逃げだ」
 涙でくしゃくしゃになりながらも俺は防人に伝えた。
「轢き……逃げ? 」
 真実を知った防人の眼は次第に潤む。きっと、俺と同じ感情を防人は今抱いたはずだ。
「雫、俺は……」
 言葉が途切れる。いくら強く叫んでも雫の眼は答えてくれないんだ。もう、二度と……——


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