ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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DISSOLVE STORY
日時: 2010/01/05 13:16
名前: はせピン (ID: LxaimtSa)

三度目の小説が消えました。
バックアップ用のは残っているのですが今回はアドを載せます。

episode1〜31>>http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12976

小説の名前の提案は架凛様です。
(↓は架凛様のスレです。)
>> http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=3274


キャラクター紹介

名前「キース・アンバート」(名前提案:架凛様)
性別「男」
年齢「15」
武器「双剣→剣(サーベル系)」
容姿「赤髪に琥珀色の瞳、服装は黒シャツに灰色のズボン。」
性格「冷静・冷酷(ファーナ対面後、冷酷さがなくなっている。)」

キースイラスト>> http://image-bbs.webclap.com/practice/up_img/1260536781-73999.jpg
(イラスト制作者:菜月様)

名前「ファーナ・クレアス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
武器「(後に発表)」
容姿「セミロングの緑髪に青色の瞳、服装は青い服に白いズボン。」
性格「明るく優しい」

ファーナイラスト>>http://files.uploadr.net/554d816e21/002.JPG
(イラスト制作者:雪梨様)

名前「ミルド・シェトリス」(名前提案:架凛様)
性別「女性」
年齢「12」
武器「メイス」
容姿「腰まである銀髪に蒼色の瞳、服装は黒と紫のローブ」
性格「仲間になる以前は非常に攻撃的であったがキース達と一緒に行動するようになってから穏やかになっている。」


名前「リア・ライトネス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
容姿「桜色のお下げ髪にエメラルドの瞳、服装は黒のチュニックワンピース。」
性格「陽気で明るい。少々強気。」

リアイラスト>> http://d39.decoo.jp/data/4/46924/4b37fcd451c47.jpeg
(イラスト製作者:卍樹愛様)


名前「ゼファー・アラウンド」
性別「男性」
年齢「21」
武器「長剣(グラディウス等)」
容姿「ソリッドアッシュに青色の瞳、服装は白いコートに黒のシャツ、茶色っぽい長ズボン。」
性格「冷静で時には冷酷。」

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episode32「火山」 ( No.1 )
日時: 2010/01/07 14:02
名前: はせピン (ID: XdEokog0)

火山の噴火を止められず、穴に逃げ込んだキース達。
噴火によって封印が解かれた火の神殿。
そして火口で会った男性は魔導士であり、火の神殿にある古代魔術書『禍の書』を手に入れる為に魔導士は火口の溶岩を一時的に固め、大噴火を起こしたのだ。
キース達は穴の中にいた。
溶岩はもう流れていなかったが四人が入った直後に噴火して出来た火山岩(カザンガン)が入口を塞いでしまい途方に迷っていた。

「くっ、鎚でも壊れないとは……!」

ゲルハが片手に持っていた鎚で入口を塞いでいる火山岩を破壊しようと何度も叩きつけるが割れない。
鎚より火山岩が丈夫なのか、それとも鎚か脆(もろ)いのか。
ゲルハが火山岩を壊そうとしている中、キース達三人は他の出口がないか探していた。

「駄目ね、他の出口が全然見つからないわ。」
「どうしよう……」

ファーナとミルドは諦め気味になっていた。
しかし、キースは二人より放れた奥の壁に耳を当ててていた。
集中していると空気が流れる音がした。
空洞なのか、キースは剣を抜いて柄で壁に叩き付けた。
すると柄で叩いた場所に穴が開き、一斉に岩の壁が崩れた。

「どうやら、ここは火山の中に繋がる穴だったかもな。」

そう言ってキースは自分が崩した穴を進んで行った。
言葉を聞いた三人もキースの後を付いて行く。
四人が進んでいる途中に感じるもの、それは熱さだった。
奥に進んでいる内に熱さは増していく。
火蜥蜴(サラマンダー)であるゲルハは平気だが人、又は機械人である三人は熱さに負けそうになっていた。
それでも奥に進んでいく。
そして四人は遂に辿り着く、火山の中に……
谷の様な岩の足場に崖の下には溶岩。
落ちれば間違いなく死ぬだろう。
ファーナとミルドは崖の下にある溶岩を見て息を飲んだ。
ゲルハとキースは辺りを見回している。
辺りに見たのは今にも崩れそうな吊り橋、その先には火の神殿の入り口と言えるものがあった。
二人はそれを入口だと目に覚えた。

「あそこが火の神殿の入り口だな。」
「あぁ、あの中に魔導士と古代魔術書がある。」

二人はそれぞれある事を口にした。

「よし、二人ともあの吊り橋を渡るぞ。」

未だに崖の下を見ている女子二人に声を掛ける。
女子二人は頷いて男子二人(?)に駆け寄る。
しかし、吊り橋を見た途端女子二人は固まった。
吊り橋はボロボロで崩れそうになっていて、下は溶岩。
まさにこの状況はどう見ても危険であり、初めて体験する(キースとゲルハも初めて)女子二人にとっては十分恐ろしいに違いはないだろう。

「こ、これを渡るの?」

壊れたロボットの様に首をぎこちなく男子二人の方に向いて言うミルド。

「これ以外に渡る方法はないのだろう。」
「そ、そうだけど……」
「もしかして怖いのか?」

キースの問いを聞いた途端ミルドは固まる。
しかし、数秒後に素早くキースに振り向くと同時にファイアーボールを放った。

「おわっ!?」

突然の攻撃が来ていながらも体をくねらせ避ける。
図星だっただろう。

「怖くないわよ!単にあの吊り橋が渡るのは無理なんじゃないかって言いたかったのよ!!」

顔を紅潮しながら怒鳴るミルド。
どう見ても今の彼女がした事は怖い事を逸らす事にしか過ぎなかった。
ミルドの後ろではゲルハは笑いを押し殺していた。
ファーナは二人の様子を見ても何が何なのか分からなかった。
そして場が治まり、吊り橋を渡る事になった。
一番目はキース、そして順にミルド、ファーナ、ゲルハ。
最初であるキースは吊り橋を渡ろうと一歩。
吊り橋に足が着いた途端少々揺れた。
それでも普通に歩いて渡り、出口前に辿り着いた。

「次は私ね……」

そう呟いて息を飲んで橋を渡る。
一歩足が橋に着くと揺れる。
その時、ミルドは固まった。

(やっぱり、怖いんだな……)
「ちょっと!今、私が怖がってると思ったでしょ!?」

キースが思っていた事を言うミルド。
心を読めたのだろうか。
ミルドは慎重に足を一歩進める。
中間まで進むと安堵の息を吐いた。
しかし、もう一歩進んだ途端、ギシギシと橋を支える綱が引き裂き、落ちようとしていた。

「ヤアァァァァ!!」
「ミルドちゃん!?」

溶岩に落ちて行くミルド、足が溶岩に着こうとしたその時ミルドが浮かび上がった。

(えっ!?)

驚いて目を開ける。
下を見上げるとやファーナ達、先程渡っていた二つに割れた橋。
そして自分は今どうなっているのか気付いた。
自分の腕に縄が巻き付いている事を……

「全く、俺と同じ様に渡れば安心だと言うのに……」

入り口前にいたキースが縄で溶岩に落ちそうになっていたミルドを助けたのだ。
キースは縄を引いてミルドを上げる。
そしてミルドが入口に立ち上がるとキースはゲルハとファーナに顔を向けた。

「ゲルハ、悪いが別の場所を探してくれ。」
「分かった。」

入口に入れなかったゲルハとファーナに別の入り口の探索を頼むキース。
ゲルハ頷き、ファーナと共に別の入り口を探し始めた。

「ミルド、行くぞ。」
「うん。」

一方のキースとミルドは火の神殿の入口へと入って行った……

episode33「火の精霊ウラム」 ( No.2 )
日時: 2010/01/07 23:24
名前: はせピン (ID: H0XozSVW)

吊り橋がなくなって、キースとミルド、ゲルハとファーナで行動することになってしまった四人。
キースとミルドは火の神殿の入り口にゲルハとファーナは別の入り口を探す事になった。
キースとミルドは入口に入り通路を通っていた。
熱さは進んでいく事に涼しくなってきている。
そして通路を抜けるとそこは五本のトーテムポールの様な顔面のある柱、そして二人の先には紫色のマントを着た人物。
火口で会った魔導士がいた。
魔導士は二人の気配に気づいたのか振り向く。

「やはり、来ましたか……」
「当然だ。古代魔術書を奴等に渡すわけにはいかないからな……」

キースは身構えながら、魔導士が片手に持っている古い巻物を見てそう言った。

「そこまで古代魔術書をあの方に渡したくなければ、私を倒せばいい事でしょう……しかし……」

魔導士は笑い声を出しながら手をトーテムポールらしき柱に触れる。
手は黒く光ってトーテムポールを黒く染める。
手を離すとトーテムポールから手と足が生える。
トーテムポールは二人の前に立ちはだかる。

「このトーテムは嘗(かつ)て古代人が造った人形でして魔術で動く仕組みになっているんですよ!さぁ、行け!!」

魔導士がそう叫ぶとトーテムは二人に襲いかかった。

「ファイアーボール!」

一体のトーテムに火の玉をぶつけるミルド。
動きは止まったが無傷である。
数秒後に動き出し、ミルドに拳を繰り出す。

「はっ!」

地面を蹴ってトーテムの拳を避けて宙に舞い上がるミルド。
そしてトーテムに大きな隙が出来た途端にキースの刃がトーテムを横に一刀両断。
トーテムは真っ二つに切られてその場に倒れた。

「くくく、トーテムはあと四本ありますからね……ここは一気に復活させますか……」

魔導士は両手を四本のトーテムの前に出すと黒い光が両手の前に出てトーテムを黒く染める。
そして四本のトーテムに手足が生えて、キースとミルドを囲んだ。

「くっ!」

流石の二人も四体のトーテムでは分が悪かった。
魔導士は二人の様子を見て嘲笑する。


(キースとミルドが通路を歩いていた頃、ゲルハとファーナは……)

「他に出口はなさそうですね。」

探索できる場所を全て探したのか、ファーナがそう言った。

「やはり、一つしかないんだろうな……」

ゲルハは手を顎にやりながらそう言った。
ファーナは辺りを見回す。
そうしていると自分達がこの火山に入った時と違う穴を見つけた。
ファーナはその穴に誘われるかの様に走って行った。

「あ、こら!」

ゲルハはファーナを追いかけて穴に入る。
穴を抜けた先には祭壇の様な物があった。

「ここは一体……?」

ファーナは首を傾げながらそう言っているとゲルハは祭壇を調べる。

「火の精霊ウラム ここに眠る……?」

祭壇に書かれている文字を見てそう言った。

「どうやら、ここは精霊が眠っているらしい。」
「そうなんだ……」

和やかに頷くファーナ。
祭壇に近づいて手を差し伸べようとした途端、手が光った。

「えっ……!?」
「なっ!?」

突然の事態に戸惑う二人。
ファーナが差し伸べた手は赤色の輝きを放っている。
輝きは消えず、手を見ていると祭壇が赤い光を放ちだした。

「な、何だこれは!?」

祭壇が光り出した事にも驚き声を出すゲルハ。
光を放っている祭壇から、紋章が現れ。
具現した紋章から紅い竜が現れた。
紅い竜は天高く舞いながら二人の前に浮遊する。

「我、レジヴァールの『火』を支えるウラム。」
「りゅ、竜が喋った!?」

紅い竜ウラムが喋った事に驚くゲルハ。

「汝、我を目覚めさせた事を感謝する。」
「い、いえ……」

ウラムはファーナに顔を向けて頭を下げる。
ファーナは恐る恐る手を横に振った。

「汝の名は?」
「ふぁ、ファーナ・クレアスです。」

名を尋ねられて答えるファーナ。

「ファーナよ、汝に我の力を貸そう。」
「えっ?」

ウラムは巨体の体から紅い粒子へと化してファーナの体の中へと入っていく。
ファーナは最初は驚いていたが紅い粒子が体内に入ると何かを感じるのか目を瞑っていた。
やがて粒子は全てファーナの中へと入って行くとファーナは目を開いた。

「ウラム!私達を火の神殿へ!!」

手を天へと上げるとファーナとゲルハの周りに赤い光が包み、その場を消え去った。
一方、キースとミルドは……



「ははは!流石に二人では四体のトーテムを相手に出来ませんよね!!」

窮地に堕ちているキースとミルドを嘲笑しながらそう言う。
キースとミルドは四体のトーテムと戦っているが思い通りに攻撃できなかった。

「さぁ、トーテム達!二人に止めを刺しなさい!!」

魔導士の命令を聞いてトーテム達は口を開く。
トーテム達の口からは青白い光が漏れ、一閃の光が放たれた。
二人はもう駄目かと目を瞑った。
トーテム達の光線が二人を直撃しようとした途端、二人の頭上に紅い光が現れた。

「なっ!?」

紅い光から二人を守るかの様に光の壁が現れてトーテムが放った光線を反射し、トーテム達を撃沈させた。
謎の事態に魔導士は一歩後ろに下がる。
紅い光は徐々に下に下りて行く……
二人の前に下りると紅い光はなくなり、ゲルハとファーナの姿が露わになった。

「ファーナ!ゲルハ!」
「お姉ちゃん!?」

二人が紅い光から現れた事に驚く二人。
キースはファーナに駆け寄って声を掛けようとするがファーナの印象が変わっていた事で声を掛けるのを止めた。
ファーナの印象は今までとは違い、真っすぐとした瞳になっていた。

「魔導士!長老の仇を討たせてもらうぞ!」

鎚を魔導士に向けて叫ぶゲルハ。

「小癪な……貴様等全員あの世に送ってくれる!!」

魔導士はそう叫んで両手を天に上げた。
両手は黒い光を放つ、四人の周りに倒れているトーテム達が魔導士を囲む。
次第には足が出来てその次は体、そして手と頭が出来上がる。
出来上がった魔導士の姿を見て誰もが目を見開いた。

「ハハハ!コレガ アノカタニモラッタ チカラダ!!!」

岩石で出来あがった魔導士は笑う。
もはや、人間ではなく、その姿は土偶と言えていた。
魔導士は四人に襲いかかった。

episode34「精霊の力」 ( No.3 )
日時: 2010/01/08 14:20
名前: はせピン (ID: .MCs8sIl)

土偶(ゴーレム)に姿を変えた魔導士。
四人に襲いかかり、岩石の腕を振り下ろす。

「クラエェェェ!!!」

叫び声を上げて拳を突きつける。
四人は一斉に避けるが拳の力が強く突いた地面が砕けて岩の破片が飛び散り四人に襲いかかる。

「鋼の意志よ、全てを防げ……!」

掌に黄色い紋章を具現させる。
そして……

「センチネル・ガード!!」

ファーナの叫びと同時に四人を守るかの様に前に光の盾が具現し岩の破片が全てを弾く。
ファーナが回復以外を使える事にキースとミルドは唖然としていた。
しかし、防御だけではなかった。
再び、ファーナは黄色い紋章を具現させる。
今度は弓矢の様な紋章……
紋章だけではない、魔導士の頭上に光がある。

「レイン・アロー!!」

魔導士の頭上の光から無数の光の矢が降り注ぐ。
光の矢は魔導士の岩石の体を貫く。

「ウオォォォォ!?」

貫かれた体の痛みに耐えきれず怯む魔導士。
しかし、割れた岩石は浮遊して体に戻る。
元通りになった体を確かめて魔導士は笑う。

「フハハ!マジュツノカラダハ スベテヲコワサヌカギリ タオスコトハフカノウダ!!」
「全てを壊す……それなら……」

ファーナは魔導士の言葉を聞いて早くも両手を前に出す。
しかし、右手の紋章は紅色、左手は黄色。
魔導士はファーナの紋章を見て驚いく。

「ソ、ソレハ 精霊召喚術!?」
「ウラム!お願い!!」

叫びと同時に両手の紋章を合わせる。
二つに融合した紋章は輝いて巨大化する。
そして融合した紋章から真紅の竜ウラムが現れた。
魔導士はウラムを見て絶句して足を一歩後ろに下がる。
しかし、ウラムは容赦なく口から炎を吐いた。

「紅焔(こうえん)!!」

口から吐いた炎は渦へと変化し、魔導士を包み込む。
岩石の体を関係せず、溶かし燃やしていく……

「ウオォォォォ!ソンナバカナァー!!!!」

魔導士の悲鳴と同時に炎の渦は消える。
包まれた魔導士の姿はなかった。
炎の渦に飲み込まれて燃やし尽くされたのだろう。
しかし、肝心の古代魔術書は床に落ちていた。
キース達は魔術書を拾おうと歩み寄ろうとする。
しかし……

『古代魔術書は私がもらう……』

その場に響く男性の声と同時に古代魔術書の隣に現れた人物にファーナは目を見開いた。

「ハイドさん……?」

現れた男性の名を言う。
ハイドは古代魔術書を手に取って軽く笑った。

「真紅の竜ウラムを扱えるようになったとは流石はプロトタイプだ……さて……」

不敵な笑みを浮かべながら指を鳴らしたハイド。

「うあぁぁぁぁぁ!!」
「ファーナ!?」
「お姉ちゃん!?」

途端にファーナは頭を押さえてしゃがみ込む。
ファーナの事態に驚いて駆け寄る二人。
叫び声がしなくなると立ち上がる。

「お姉ちゃん!大丈……夫……!?」

グッタリと項垂れているファーナに声を掛けるミルド。
しかし、ファーナの瞳に唖然とする。
虚無の瞳に蒼色の瞳が赤黒く変わっていた。

「ハイド、ファーナに何をした!」
「プロトタイプは私の命令で動く仕組みになっている。だがファーナはスイッチで表と裏を変えれるのだ。」
「お姉ちゃんがプロトタイプって言うなら、私も貴方に操られるのかしら?」

ミルドは冷静にハイドに問う。
ハイドは言葉を聞いて嘲笑った。

「残念だが君の様な、無名のプロトタイプは流石に必要ない。壊されるだけの存在だからな。」
「言ってくれるわね……」

馬鹿にされてハイドを睨むミルド。

「まぁいい……君達は機械人狩りの連中にやられるのが定め……火の精霊ウラムの力を持っているファーナを要塞に連れ出してデータに記録する。」
「そうはさせるか!」

その場を去ろうとするハイドに飛び掛かるキース。
しかし、ハイドの前にファーナが現れる。
ファーナの片手に粒子が集まり、剣が具現される。
光で造られた剣、それは光の剣と言える所だった。
光の剣でキースの一太刀を受け止める。

「ファーナの裏は戦闘能力が君より上回っている。そして……」

不敵な笑みを浮かべながら指を鳴らすとキースは弾き返される。
地面に着地して構え直すがファーナは左手に紋章を具現させる。

「それではさらばだ……弱き者よ……」

嘲笑い浮かべながら指を鳴らすとファーナは紋章から光を放った。
その光にキース達は包まれた。

「くそっ……ファーナ……!」

意識のないファーナに手を伸ばそうとしたが途端にキースの意識はなくなった……

episode35「神々の国ブリガンティア」 ( No.4 )
日時: 2010/01/09 00:12
名前: はせピン (ID: .gKiIgoe)

「うっ……」

体中に走る痛みに目を覚ますキース。
目を開けるとそこは木造りの天井、火の神殿にいた筈の自分が家の中に居る事は可笑しかった。
体を起こして辺りを見回すと隣のベッドでミルドが寝息を立てて眠っていた。
しかし、ゲルハの姿はない。
操られたファーナの力にやられたのか、或(ある)いは自分より早く起きたのか……
ここが何処なのか調べる為にベッドから出てすぐ近くのドアを開けた。

「おや、お目覚めの様ですね。」

沢山の書類が机に積み重なっている前で椅子に座ってその書類を見ている青年がキースに顔を向けた。
眼鏡を掛けていて黒いスーツの様な物を着ている。

「アンタが俺達をここに運んでくれたのか?」
「はい、火蜥蜴(サラマンダー)の人は残念ですが下界に降ろしました。」
「下界?」

聞いた事のない言葉に疑問を持つキース。
話していると今度はミルドが姿を現した。

「ここは何処……?火の神殿にいた筈なのに?」

寝惚け気味で目をゴシゴシと手でやりながら言うミルド。

「ここは神々の国ブリガンティア。私達古代人と神種や住む国です。」
「神々の国ですって……!?」

青年の言葉にミルドは一気に目を覚ました。

「貴方方がブリガンティアを知らないのは当然です。この国は貴方方が住んでいる下界より上……天空なのですから……」
「天空?つまりアンタ達は俺達の上にある国と言う訳か……」

キースの言葉に青年は首を縦に振った。

「馬鹿馬鹿しい……」

ミルドが否定の言葉を出す。

「神々の国?自分達が神だって言うなんて人間と変わらないのね。」
「疑うのなら付いて来て下さい……ここが神々の国だと言う事を証明しましょう。」
「待て。」

出て行こうとする青年に一声掛けるキース。
掛けられた青年は足を止めた。

「アンタの名前は?」

名を尋ねるキース。
青年はキースに顔を向けると笑顔を出した。

「私はシェン・Z・パブロです。Zはザロモンと言います。」
「ザロモン?あの聖術の力を持つ神?怪しすぎるわね。」

青年シェンの言葉を聞いてミルドは否定の言葉を放つ。
余程、神が信じられないのだろうか?

「ははは、まぁ付いて来て下さい。」

シェンの後に付いていく二人。
ドアの前に立つとドアは勝手に開き三人は外に出た。
外は二人のいる世界と全く違っていた。
透き通っている水色のプレートの様な足場、下を見ると自分達が住んでいる世界が見える。
まるで自分達が世界の上にいる様だった。

「ブリガンティアは創造神がレジヴァールを生み出す前に創造された世界です。」

歩きながらシェンが今二人がいる世界ブリガンティアと二人が住んでいる世界レジヴァールの事を説明し始めた。

「創造神は世界を作る為に光と闇の神を作って二つの神を放ちました。そして出来たのがレジヴァールです。」
「成程、でも光の神ラピスが神王教団が信仰させて逆に闇の神デュリエルは邪教団として悪者扱いとされているけれど?」
「デュリエルが悪者扱いされるのは分かりませんがまぁ、私の後を付いて行けば分かる事でしょう。」

シェンはミルドの問いを軽く受け流す。
二人は黙って付いて行き辿り着いた場所は要塞で見た転移(ワープ)装置と同じ物だった。
二人は気にせずに乗る。
一瞬でその場を消え、辿り着いた場所は椅子しかなかった。
シェンは椅子にすわると目の前に何かが現れる。
それはパソコンのキーボードに似た物……
シェンは次々に動かしていくと前の壁が明るくなる。
そして壁はテレビの様に画面が映る。
映ったのは人口衛星の様な物……

「何だ、あれは?」
「あれは創造神のプロト《ヴァルナ》です。」
「あれが神のプロトですって……」

目の前に映っている創造神のプロトを見て否定しようとするミルド。

「プロトとはいえ、レジヴァールに危険性があるとすれば“神の審判”が下します。」
「“神の審判”?」

“神の審判”と言う言葉にキースは首を傾げた。

「レジヴァールは貴方方“機械人(ヒューマノイド)”が作られてから世界は大変な事になっています。人の変貌(へんぼう)、魔物(モンスター)の凶暴化等と言ったマイナスの事態が起こっています。」

魔導士の言っていた通りの言葉を聞いて二人は世界の状況に気付く。
自分達“機械人(ヒューマノイド)”が作られてから人が変貌したり、魔物が凶暴化するのは自分達の性だと言う事を……

「《ヴァルナ》様の判断では機械人がいなくならない限り世界はますます汚染されて行くでしょう。それでも事態が治まらない場合は《ヴァルナ》様の“神の審判”でレジヴァールは消失します。」
「消失ですって!?」

世界が《ヴァルナ》によって消失される事にミルドは叫んだ。

「消失される理由はそれだけではありません。このブリガンティアを抜け出して世界の旋律(リズム)を狂わしている者がいるからです。」
「この世界を抜け出した奴がいるのか?」
「はい、本社の情報によるとハイド・トワイラス。彼は神のプロトタイプを作り、世界の悪影響を及ぼしています。」

世界を抜け出した者の名を聞いて二人は唖然とした。
ハイド・トワイラス……
三博士に“機械人(ヒューマノイド)”を作り、そして火の神殿ではファーナを操った男性……

「ハイドは確かにレジヴァールにいるわ。そしてお姉ちゃんを操ってる。」
「姉とはファーナ・クレアスの事ですか?」
「あぁ、そうだ。」

キースが首を縦に振るとシェンは装置を操作し始める。
画面は消え、シェンは立ち上がって二人に近づく。

「彼女の力は創造神に値します。恐らくハイドはそれを狙って彼女を操っているのでしょう。」
「どうにかならないのか?」

キースの問いにシェンは顔を下げて目を瞑る。
考えているのだろうか……
数秒すると目を開けてキースに顔を向ける。

「ザロモン神に授かった聖術で彼女に掛けられた操術(そうじゅつ)を解きましょう。」
「そんな事が出来るの?」
「分かりませんがやってみるしかないでしょう。」

シェンの言葉にミルドは呆れ気味だった。
そしてシェンは片手を地面に付けると六角の星型が三人の足場に出る。
そして三人はその場を消え去った。

操られた少女を助ける為に……

episode36「vsファーナ・クレアス」 ( No.5 )
日時: 2010/01/09 14:09
名前: はせピン (ID: iiB9RmQy)

アルカトラル帝国のジェイトリス運河にあった要塞は空に浮かんでいた。
人々に恐怖を与えるかの様に……
要塞内の最上階の部屋ではハイドとリヴァル、そして赤黒く虚ろの瞳になっているファーナがいた。

「ハイド様、ブリガンティアの古代人がレジヴァールに降りた反応がありました。」
「私達の行動が遂にバレたか……仕方がないが世界を少し早めに予言(プロフェス)に近づけるか……」

リヴァルの報告を聞いてハイドはファーナに顔を向けると指を鳴らした。
途端、ファーナの赤黒い虚ろの瞳に灯が宿る。

「ファーナ、この世界に来た古代人を始末して来い。」

ハイドの言葉にファーナは頷いてその場を消えた。
一方、キース達はアルカトラル帝国のジェイトリス運河近くに転移(ワープ)した。
しかし、ジェイトリス運河にあった筈の要塞が無い事にミルドは手を頭に回した。

「あの要塞がないじゃない……」
「不味いですね。ハイドは地球で科学力を学びましたから兵器開発が得意なのですよ。」
「待て、地球って何だ?」

地球と言う言葉に耳を傾けてシェンに尋ねるキース。

「レジヴァールと違う世界です。創造神によって世界は幾つも創られています。ブリガンティアの上層部は世界に一人、古代人と神種を派遣します。」
「そこでレジヴァールに派遣されたのがハイドと言う訳ね……」

ミルドの言葉に頷くシェン。

「上層部は彼を止めようとしていますがファーナ・クレアスが創造神と力を値する事で手出し出来ませんでした。それにハイドは操術(そうじゅつ)の使い手です。私の聖術(せいじゅつ)が喰らうかどうかは分かりませんが……」
「話している暇はなさそうだ……本人が来た……」

キースの言葉によって話をしていた二人はキースが向いている方に顔を向けた。
先にいるのは赤黒く虚ろの瞳をしたファーナがいた。

「お二人は下がっていてください、聖術(せいじゅつ)でハイドの術を解きますから……まぁ、出来るかは分かりませんけど……」

そう呟いて二人の前に立って構えるシェン。
素手が武器なのか、シェンは右手を前に左手は自分を守るかのようにしている。
ファーナは片手に粒子を集めさせ、光の剣を作った。
そして一瞬でシェンの目の前に立ち、剣を振るった。

「フッ!」

後ろに下がって拳を突き付ける。
しかし、攻撃と同時に拳を避けるファーナ。
それでもシェンは左手の拳に紋章を具現させ。
ファーナの腹の前で止めた。

「エナジークラッシャー。」

そう言った途端、紋章が輝いてファーナを吹っ飛ばした。
地面に転がって土埃だらけになりながらもファーナは立ち上がって光の剣を振るう。
シェンはそれを避けてまた同じ技で彼女を吹っ飛ばすがそれでも立ち上がる。

(創造神に値する力を発動しないとは今の内に操術を解けるチャンスがあるんじゃないでしょうか……それとも彼女は私を試しているのでしょうか……)

二度も同じ様に吹き飛ばされながらも立ち上がって光の剣を振るうファーナ。
世界を創った創造神の力に値する彼女ならば、シェンを倒す事は造作もない事ではないだろう。
しかし、創造神に値する力を使わない彼女は余裕なのではないかとシェンは思っていた。

「では、そろそろ行きますよっと……」

そう言って深呼吸するシェン。
体の周りに青いオーラの様な物を纏う。
そして右手を前に突きだした。
途端に突きだされたファーナの体に青いオーラを纏った。

「くっ……!」

苦虫を噛んだ顔をしながらシェンはファーナに突き出した手を握る。
途端にファーナの赤黒い瞳は消えて蒼色の瞳に戻るが咄嗟に地面に伏した。

「ファーナ!?」
「お姉ちゃん!?」

倒れたファーナに駆け寄るキースとファーナ。
シェンは荒く息を吐いたり吸ったりしながら三人に駆け寄った。

「何とか、操術(そうじゅつ)を解きました。もう彼女はハイドの操り人形じゃないでしょう。」
「そうか……すまない。」
「私は一度ブリガンティアに戻ります。上層部に伝えてハイドをどうするかを提案してもらいます。」

シェンはそう言ってその場を消え去った。

「シェンが戻ってまでにファーナを安全な場所に移動するぞ……」
「そうね。」

気を失っているファーナを抱えてキースとミルドはジェイトリス運河へと向かった。


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