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*Secret fountain
日時: 2010/01/09 16:59
名前: 猫菓 ◆GniOoWrG2M (ID: 6.Riuk1k)

古くからある言い伝え——。

この森を抜けると、秘密の泉がある。

その泉に向かって願いを祈ると、その願いは成就する——。


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はじめましての方も、そうでない方も、是非見て行って下さいませ。

コメ・感想お待ちしておりますーっ。

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Re: *Secret fountain ( No.1 )
日時: 2010/01/09 17:02
名前: 猫菓 ◆GniOoWrG2M (ID: 6.Riuk1k)

*Prologue

古くからある言い伝え——。

この森を抜けると、秘密の泉がある。

その泉に向かって願いを祈ると、その願いは成就する——。

……こんな子供騙しの言い伝え。

下らないよ……。

でも、何故か私の足はその泉へと向かっていた——。

Re: *Secret fountain ( No.2 )
日時: 2010/01/09 17:20
名前: 猫菓 ◆GniOoWrG2M (ID: 6.Riuk1k)

*Chapter 1

「律希! ねぇ、海と一緒に遊ぼっ」

この頃はまだ子供だった私。

紅谷海羽、5歳。

「おう、何するか? ままごとか?」

「お店屋さんごっこ! 律希はお客さんの役ね」

私の遊び相手でもあり、唯一の友達だった律希。

町外れの村で、私と律希は暮らしていた。

「いらっしゃいませ、お客様。こちらがメニューですー」

「じゃあ……オムレツで」

「はーい、少々お待ち下さ……っ」

「……海羽?」

「……っ……ゴホッ、ゲホッ! ……ゴホッ、ゴホッ!!」

いきなり、発作が起きた。

律希は必死になって、私の背中をいつもさすってくれた。

暖かな優しい手で。

「……ハァッ……ハァ……」

「お、落ち着いた?」

「うん……」

律希はいつも私に優しくしてくれた。

私の親は、もう既に死んでしまっている。

この村では、両親がいない子供は、まるで妖怪のように村人達に忌み嫌われる。

でも、律希だけは私に普通に接してくれた——。

Re: *Secret fountain ( No.3 )
日時: 2010/01/09 17:45
名前: 猫菓 ◆GniOoWrG2M (ID: 6.Riuk1k)

*Chapter 2

あれから、相当の月日が経った。

私と律希は16歳だ。

「ねぇ……律希……いつか、私の病気が治ったら……彼女にしてくれる、って約束……覚えてる?」

「覚えてるぜ。いつになるか分からないけどな!」

「ひ、酷い……」

いつもこんな風に笑い合って、幸せだったし楽しかった。

私の病気は進行するばかりで、治る気配は一向にない。

でも律希が大丈夫、って言ってくれてるから大丈夫だよね。

「なぁ、海。“秘密の泉”って知ってるか?」

「……?」

律希は急に何を言い出すのだろうと私は思った。

「向こうに森があるだろ? その森を抜けると、すっげー綺麗な泉があってさ。その泉で願いを祈ると、その願いは必ず叶うんだって」

「えー? そーいうの、律希はまだ信じてるのー?」

「なっ!? 悪いかよ!」

この時は笑い飛ばしていた。

だってそんな言い伝え、本当なわけ無いでしょう?

「……そんでさ。その泉に行って、海の病気が治るように祈ろうと思ってんだよ」

「でも、あの森ってさ……。迷うと一生出て来れない、って言われてる程深いんだよ? やめときなって」

笑いながら、言うその姿はいつもの律希そのものだったのに……。

「……そう思ってくれただけでも嬉しいな、私は……」

「いやいや、僕はマジだぜ?」

喋り方は男っぽいくせに、一人称が“僕”だから可愛い。


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