ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 謎
- 日時: 2010/01/24 21:52
- 名前: 紫苑 (ID: .O7WJzbr)
- 参照: http://twitter.com/yukinann
謎 ーなぞー それは、解決のできない不思議なものを表す。
*登場人物*
季桜 真帆…好奇心旺盛、才色兼備。モデルとして活躍している中学生。季桜宝石店のオーナーの娘。かなり人間として冷たい所もある。
木下 瑠依哉…天才テニスプレイヤーとして注目される、真帆の友達。普段は大人しいが、実は真帆にしか見せない“裏の顔”がある。
野木目 薫…真帆の親友。才色兼備で凄くクール。父親は県立病院で働く現役医師で、お金持ち。
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- 謎 ( No.1 )
- 日時: 2010/01/26 21:20
- 名前: 紫苑 (ID: .O7WJzbr)
ー1ー
「ここが…」
大きなブリティッシュ風の建物。
そこが私、季桜真帆の通うことになる、中学校だった。
「あれ?季桜じゃん」
後ろから声を掛けられる。
声の主は解ってる。
私の名を知る、唯一の人間。
「そーだけど、何か?」
後ろを見ずに言う。
後ろの“彼”が笑う。
「本当お前って冷たい」
「そ〜お?」
「小学校の時から」
「そ〜…ねえ〜」
冷たいって言われたことは何度もある。
珍しい事じゃ無い。
「お前が嫌われてたの、なんだかんだ言って、冷たいからじゃねえの?」
「はあ!?何それ…でもそーかも」
「な!?」
「でも…」
「でも…?」
「あんたには言われたくなかったな」
今日は、私立「岸川学園」の入学式。地元の私立小学校から推薦を受けて入学してきた私。そして自力で試験を受け、合格した“彼”、木下瑠依哉。母校からの入学者は他にいない。
「…ぷっ」
瑠依哉のさらに後ろから、笑いを漏らした声が聞こえる。
「何?」
私はちょっとむかついて、彼女に冷たく言い放った。
「いいえ…。人の笑いとは、何かにつけて理由のあるものとは限らないのです」
「は?」
「つまりは。…私の笑いに理由は無かったと言いたいのです」
「…」
「これは失礼。私、野木目薫と言います。よろしく頂戴いたします。季桜さん、木下君」
ここにも、私の名を知る人がいた。
彼女は一体何!?
これが私と野木目薫の出会い。
- Re: 謎 ( No.2 )
- 日時: 2010/01/28 14:59
- 名前: 紫苑 (ID: .O7WJzbr)
- 参照: http://twitter.com/yukinann
ー2ー 薫side
“変わってる”
そう言われたことは、何度もあった。
でも否定しなかった。
できなっかた。
するつもりもなかった。
私は変わっているのだ。
それが、事実なのだから。
友達がいた覚えはない。
始めの方は、優しく接してくれる子が何人かいた。
でもみんな、愛想をきらして離れて行った。
「薫ちゃんは、変わってるね」
とそう言って。
そうして私から離れて行った彼女達は、私をいじめるようになった。
靴がなくなったことは、1度や2度じゃない。
教科書がいつもなくて、先生に怒られた。
ノートは落書きでいっぱいだった。
でもなんとも思わなかった。
それらの出来事は全て、下等な人間のすることだったから。
可哀相…。とも思った。
決めていた。
“下等な人間のいない場所に行く”
と。
もとから頭は悪くなかった。
必死で勉強した。
そして受かった。
“岸川学園”
そこで私は彼女に出会った。
入学式の日、本館の前のベンチで本を読んでいた時。
『あれ?季桜じゃん』
『そーだけど、何か?』
1人の女と1人の男が話しをしていた。
2人の会話はとてもおもしろく、めったに笑わない私を笑わせた。
「…ぷっ」
すると2人が振り返り、女の方が、冷たい目で、
「何?」
と言った。冷ややかな声だった。
さっきの会話での声と全然違う。
「いいえ…。人の笑いとは、何かにつけて理由のあるものとは限らないのです」
とっさに考えてだした答えは、そんなへんてこなものだった。
「は?」
やはり相手は理解できない様子。
「つまりは。…私の笑いに理由は無かったと言いたいのです」
「…」
「これは失礼。私、野木目薫と言います。よろしく頂戴いたします」
そして私は2人の名を当てる。
やはり私は変わっているのか。
- Re: 謎 ( No.3 )
- 日時: 2010/01/29 20:17
- 名前: 紫苑 (ID: .O7WJzbr)
- 参照: http://twitter.com/yukinann
ー3ー 瑠依哉side
岸川学園は名門校だった。
私立の小学校に通っていた俺だって簡単に届くようなレベルじゃない。
ーそこに1人、推薦合格したクラスメイトがいた。
それが、季桜真帆。
俺の初恋の相手。
俺は、勉強の嫌いな彼女だから、きっと受験しないと思っていた。そうすれば、俺等は同じ中学に推薦で入学できると。
…それは計算間違いだった。
勉強が嫌いなのと、頭が良いかは別なんだ。
彼女はずば抜けて頭が良かった。
よって名門校の推薦を受けた。
俺とは違う学校の。
それはショッキングな出来事。
でも当然じゃないか。
俺と彼女のレベルは元から違ったんだ。
お互い、正しい道に進んだだけ。
なのになにを拒もう?
だけど…。
だけど俺は…。
『先生、俺、進路変更します!』
『なんだって!?お前が受験なんてできると思てんのか!?』
『俺、頑張ります!』
『どこを受ける気だ』
『岸川学園です』
俺は彼女を追いかけることに決めた。
そして…
追いついた。
「瑠依哉、受かったの?」
「うん!」
「凄いじゃん!やったね!」
俺の初恋は、まだ終わらない。
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