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宿命の姫君— 黒い王女と白い皇女
日時: 2010/02/06 20:00
名前: Kリン (ID: ovGM7bao)


こんにちは!

何ヶ月かぶりのKリンです。
今回は,二人のお姫様をめぐる物語を
つくってみます。他の小説サイトにもかいたことが
ありますが,ここで改めて書きたいと思います。

まだまだ未熟ですが,アドバイス等
ありましたら,どうぞお願いします。


なお,登場人物は↓にかいていきます。



それでは......



Page:1 2



Re: 宿命の姫君— 黒い王女と白い皇女 ( No.1 )
日時: 2010/02/06 20:08
名前: Kリン (ID: ovGM7bao)


ある貴婦人が物語る...



『わたしがね,ほんとに幼い頃乳母によく聞かされた
 お話があってね。
 二人のお姫様のお話なんだけれど,
 とても印象的な物語だったわ.......』





大昔,ある二つの国が栄えました。



一つの国の名はカーライフ。

そしてもう一つはエリオット。



二つの国々ははるか昔から争っていて,いつも戦争が絶えませんでした。


何度か,婚姻関係を結ぼうと,色々な人が
試しましたが,結局その計画は打ち切れ,
戦争が起きてしまいました。


けれども,その戦争は一進一退で
なかなか決着がつかず,

何百年もの間,二つの国は溝が深くなったままで,
おたがいとても憎みあっておりました。


ある時,二つの国で同じ日,同じ時間に二人の
お姫様が生まれました。

カーライフ王国では赤みかかったブロンドの,

とても可愛らしいエレナント王女が生まれ,


エリオット帝国では銀髪の,
可愛らしく,そしてまた美しいアナスタシス皇女
が生まれました。



二人のお姫様は成長するにつれて,性格が対照的になっていきました。


そして,エレナント王女はアナスタシス皇女
を憎むよう育てられ,

一方,アナスタシス皇女はエレナント王女と
仲良くするように育てられました。


代々自分勝手で好戦的な王様や女王が治めた
野蛮なカーライフ国に生まれたエレナントと,

代々血を嫌い,カーライフとの戦争を
やめようとした,皇帝や女帝が治めた平和な国
エリオットで生まれたアナスタシス。


二人は未来で運命の出会いを果たしますが,

二人はどのように考え,振る舞い,

           

   
          そして,何を思うのか—。


Re: 宿命の姫君— 黒い王女と白い皇女 ( No.2 )
日時: 2010/02/06 20:10
名前: Kリン (ID: ovGM7bao)

エレナント・メッサリーヌ・カーライフ
・ド・ローズリー。



黒の国カーライフのたった一人の王女様の名前。

通称エレーナと呼ばれ,とても可愛らしく
飾りがいのある子でした。
その王女は大切に育てられ,教育は
両親が監督しました。


王様の名はルートエン。
女王様はユリアナといいました。


二人ともとても厳格で,誰もが恐れていて,
それでもって政治は全くせず,贅沢三昧でくらしておりました。

そう。

二人が行う政治はむしろ国民から
多量な税を取り上げることでした。


おかげで国民は生活に苦しみ,
貴族重視の王様達をひどく憎悪しました。

けれども王様は逆らう者たちを容赦なく
拷問にかけ,そして最終的に処刑しました。

女王様はそれを観客席にすわって
笑いながら見るのでした。


気が済むと,すぐ宮廷に戻って,
朝から晩まで遊びほうけ,

かと思うと王様は馬にのって狩猟にでかけ,
あまりに大量の獲物を殺したため,
ある森にはとうとう
動物はいなくなってしまったほどでした。


家臣どうしの暗殺は日中でもごく普通に起き,
国中では盗人が横行し,殺人も絶えませんでした。




誰もが恐れる,血なまぐさい陰謀と闇の国。




それがカーライフだったのです。

Re: 宿命の姫君— 黒い王女と白い皇女 ( No.3 )
日時: 2010/02/06 20:12
名前: Kリン (ID: ovGM7bao)

アナスタシス・ハトルテナ・アルフォンス・
エリオット。


そしてこちらは長年カーライフと衝突していた
白の国エリオットのたった一人の皇女様の名前。

通称アーシャと呼ばれ,可愛らしく
また美しい皇女を,誰もが褒め称えました。

そしてエレナントと同じくとても
大切に育てられました。



皇帝の名はハトルスア。
皇后はナターリアといいました。

二人はとても温厚な人柄をしており,娘もそれを引き継いだようです。
第一に国のことを考え,国民の血が流れることを何より嫌いました。


なので,国民と触れ合う機会も多く,誰からも愛される皇帝一家でした。


決して欲を言わず,皇族にしては
質素な生活を送っていました。


罪人はめったにあらわれないため,拷問や処刑らは廃止されました。


皇帝達にとっては何よりそれが幸福でした。


また,安定した社会のため,
国自体はとても裕福でした。

その冨を唯一つつくのは,カーライフとの
戦費でした。

皇帝や皇后は毎日のように議会を開き,
どうしたらカーライフと
和平を結べるのか,いつまでも話し合うのです。


家臣どうしの血にまみれた権力争いはなく,
誰もが幸せに包まれていましたが,
それをおびやかすのは,やっぱり戦争でした。


血を嫌い,何もかもが平穏でおだやかな国。




それがエリオットだったのです。

Re: 宿命の姫君— 黒い王女と白い皇女 ( No.4 )
日時: 2010/02/06 20:20
名前: Kリン (ID: ovGM7bao)

「いったいわねぇ!何するのよ!このろくでなし!!」


バンッ!


「申し訳ございません!お許しください!!」



少女の怒鳴り声とたたくような音は
しばらく部屋中に響いた。

その中には召使のすすりなくような
声もまじっていた。


「許すものですか!ピンのつけ方も
 教わっていないの?
 この前私のドレスにシミをつけたのもあんたね!」


召使は少女の前でひざまずいて泣いている。


「それは違います!あれはハンナがやったのです!」


少女はもう一発召使を蹴り飛ばすと,
ベルを鳴らした。


すぐさま従者がでてきた。


「どうされましたか?殿下」


少女はそっけない口調で一言いった。


「ハンナを連れてきなさい」


しばらくすると部屋に蒼い顔をした
女官のハンナと従者がはいってきた。
ツカツカと少女はハンナに詰め寄ると,
その赤い頬を思い切りひっぱたく。


パァン!!!


またも大きな音が響き,次の瞬間には
ハンナは倒れ掛かっていた。

少女とはいえ彼女の力は強かった。


少女は目を真っ赤にしたハンナを
冷淡に見下ろしながら,



「私のドレスに染みをつけたのはお前ね」


ハンナはすすり泣いたまましゃべらない。
少女は煮え切って怒鳴った。


「答えなさい!もう証拠は上がってるのよ!!!」


ハンナは土下座をして,蚊のなくような声でやっとしゃべりだした。


「も....申し訳ございません。仲間とおしゃべりをし ていたら,つい....」



バシィン!!!!


少女は従者に,ハンナを極寒の中ボロ布
で仕事させるよう仕向け,
ピンで痛い思いをさせた召使をさっさと追っ払った。
「ったく...どいつもこいつも使い物にならないわ」



カーライフ国第一王女エレナントはそうつぶやく。


そう。この少女こそがいずれ一国を担う女王として君臨するのだ。

冷えた宮廷の中を彼女があるけば,皆が会釈をし,
恭しくその可憐な容姿を褒め称えた。


でも両親や性格以外にお世辞はいらなかった。
王女は心が冷えていても,とても可愛らしい
少女だったのだ。

いずれはその幼っぽさも消えて,堂々たる威厳がある女王となるだろうと皆が思っていた。


そして彼女の両親が行っている政治
を正してくれるだろうと信じるほかなかった。


けれど国中が王族に愛想をつかし,
苦しんでいることを,王女は気にも掛けなかった。


それどころか,せっかく国をまとめて
やっているのに,反抗的な国民を,嫌悪していた。



「王族こそ神なのだから,王族中心の政治は絶対なの です」


それだけを叩き込まれてきたエレナント。

だから国民を嫌悪しても仕方なかった。


教育も何もかも両親が管理していたのだ。


「わが娘エレナントには,私達のようになってもらい たいのです」


それが王と女王の口癖だった。



明日は王女の14歳の誕生日。


国中が祭り一色になる年に一度の大イベント。

そしてこれが年に一度しかない大量の浪費になることはまちがいなし。


国民代表デスカルテは王侯貴族代表の
ヴォースポール伯爵と
対談の時,両手を床につけて悲願した。


「伯爵殿,民衆は重い税に苦しんでいます。
 お優しいヴォースポール伯爵殿なら,今回のエレナ ント殿下のお誕生日の費用を,ほんの少しだけ削る ことはできないのでしょうか?」


ヴォースポールはすまなさそうにいった。


「すまんな。そのことについて陛下に
 書類を渡したのだが,
 返事がこないのだ。だから,
 しばし待ってくれんか」


デスカルテは手を左右に振った。


「めっそうもない。陛下に伝えてあるということで
 とても嬉しい限りでございます!!!」


「そのうち返事がとどくであろう。
 そうしたら私じきじき
 お前の家に出向くから,今日はもう帰りなさい」



デスカルテは満面の笑顔になって,
ふかぶかと頭をさげて去っていった。


伯爵は立ち上がると,財務大臣にそっと耳打ちした。


「陛下にこのことは伝えるでないぞ。
 税は気付かないくらいに
 あげておけ。無論,エレナント様の誕生会は盛大に 祝う」


「御意....」




ドン!ドドーン!



翌日,エレナントの誕生日。


恒例の朝の花火が打ち上げられ,可憐な王女の
成長と健康を,誰もが祝福した。


「殿下に神の祝福と,ご加護を!!」

「王女バンザイ!!!!」

「ローズリー王家に永遠の繁栄を!」



王ならびに女王夫妻はそんな言葉を聞くと,
満足そうにうなずき,微笑んだ。

そして自分の娘の自慢話を長々と語って,
夜の舞踏会を待ちに待っていた。


王女はというと,朝からずっと髪の毛を結ったり,
豪華なドレスと着たり,髪粉をふったり..........

自分の美しさを決定的にするために,
エレナントは細心の注意をはらって,
衣装付けをしていた。


「エレーナ!準備はいいかしら」


ユリアナは快活に部屋の扉を開けた。
エレナントは振り返って,会釈をした。


「最愛なるお母様。もう少しお時間を
 頂けないかしら」


ユリアナは目の前にいる可憐な乙女を
軽く抱きしめると,


「いいわよ。貴女の美しさと可憐さを
 世界に見せ付ける機会だわ。
 お母様,お父様に恥じないようにしなさい」



「心からお二人を愛していますわ」


ユリアナはその言葉を聞くと,満足そうに,
部屋を去っていった。

エレナントは不当な笑みを浮かべた。



「いつか,貴女を越して見せるわ....
   美しさも,名声も...」




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