ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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結び眼
日時: 2010/02/28 19:51
名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)
参照: http://noberu.dee.cc/novel/bbs/black/read.cgi?no=478

六道輪廻 奥深く
 修羅に留まり 幾星霜
  邪魂に染まりしその 形状スガタ
   夜行を逝くは——

     “羅刹の”——……

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〆草子 目録
零の巻>>1 壱の巻
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〆御挨拶
 こんにちは。二次創作の方でも書かせていただいてるキョウと申します。以後お見知り置きを。
さて、今回はいつもと少し違い、オリジナルで逝こうと思います。ネタが詰まったといいますか…妄想が爆発したと申しますかwww
(相も変わらず和風好きなのですがねww)
ではでは、こんな腐女子の妄想劇場に付き合ってくださる心優しきお方は、どうぞこの下へ——
その前にちょっとした初注意を^^

〆初注意
・ネット上のマナーは勿論のこと、カキコの使用上注意も守って下さい。
・作者の無能無知の連想で構成されているため、実際の設定や歴史を大きく覆す場合があります。
・殆どシリアス+妄想未知数。
・宣伝はOKですが、スレ主は見に行けない場合があります。ご了承くださいませ。
・誤字&脱字が多いと思います。見つけ次第訂正中です。
・更新不定期です。作者が飽きなければ更新し続けますが…
・雑談が羅列した場合、予告無しに一時期ロックをかける時があります。ご理解の方宜しくお願いします。
・感想&アドバイス大歓迎♪
*主に和風で書いております。
*上記のUPLは本家でございます。こちらよりも更新が早いと思うので、最新記事が見たい方はそちらからどうぞ

以降の注意事項をクリアした方はどうぞお進みを〜♪
(お進みしてくださった方は神様ですッ!)

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零の巻 夜行唄 ( No.1 )
日時: 2010/02/28 19:55
名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)

 都の人々は語る。
 連日連夜のように、都を徘徊する異形のことを。そして、夜行の晩は必ず紅い月が登り、異形を目撃した者は魂を浚われてしまうという。
 人々は見たこともない異形を連想し、か弱い子供達に語って聴かせた。
 漠然とした異形の姿。親に聴かされた唄を受け、子供達は黄昏時になる夕暮れを背に、輪を作って歌い出す。


六道輪廻 奥深く
 修羅に留まり 幾星霜
  邪魂に染まりしその 形状スガタ
   夜行を逝くは——

     “羅刹の”——……


 人々は畏怖の念を込めて、異形の名を、

『羅刹』

と呼んだ……

壱の巻 一 ( No.2 )
日時: 2010/03/09 19:46
名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)

【紅き月満ち古都を行く】

*一

 長月の下旬となった今夕も、子供達の童歌ワラベウタが響く。
 秋分の黄昏は早く、京の都は今まさに夕暮れを迎え、赤い陽光に照らされていた。
 足元から伸びる影と共に、輪を描きながら子供達は歌い遊ぶ。
 そんな哀愁漂う風景を、物悲しげに眺める人物がひとり。裾と裾に両の腕を入れ、傍観する姿は従人には無い雰囲気をカモし出している。

「ちょいと、そこのお侍さん」

 彼を訝しんでか、中年の町人が声をかけた。
 一見その服装は侍のそれに見えないが、上位身分の者に間違いない。
 突然声をかけられ、青年は肩越しに町人を見やった。
 少し年長、二十歳ぐらいだろうか。緩やかな曲線を描く頬から顎の線はくっきりしており、侍烏帽子エボシから覗く髪は癖が無く、肩に掛かる程度。すっとした鼻梁は高く、夕暮れを受けて煌めく瞳は髪と同じ鮮やかな臙脂エンジ色。
 人間には無い髪色と瞳だが、町人は夕日の見せている錯覚だと解釈し、言葉を紡いだ。

「こんな所で何をしてらっしゃるか知りませんが、早いとこ屋敷に戻られた方が良いと思いますよ。最近の都は物騒ですからねぇ」

 町人の言葉に、青年は向き直りながら柳眉を顰める。

「何が遭ったというのです?」

「ありゃ、存じませんかい? 何でも、近頃『羅刹』ならぬ鬼が都を徘徊して、次々に人を襲ってるって話しでさぁ。全く、こちとら夜な夜な恐ろしくって眠れやしない」

 町人が苦笑しながら頭をぼりぼりと掻いているのに対し、青年は腕を組んだまま尚も剣呑に目を細める。

「『羅刹』……」

 ぼそりと呟き、青年はやおら天を仰ぎ見た。朱が藍に移り変わろうと混ざり合い、星が点々と瞬き始めている。そして、ぽっかりと浮かび上がる、紅い満月。

「なら、今宵は早々に退いた方が良さそうですね。なにやら不穏な空気が漂っております」

「はぁ……」

 独特の神秘的な物言いに、町人は小首を傾げる。青年はふっと微笑んだ。

「貴方も。そろそろ帰らないと、奥方がうるさいのではないですか?」

 町人は思い当たったように「そうだった!」と飛び上がり、麻袋を担ぎ直して、慌てて帰り路を急ごうとした。しかしその時、青年に肩を掴まれ引き留められた。
 青年の温かな吐息が耳元にかかる。

「いいですか? どんな物音がしても、決して外に出てはいけません。願わくば、戸口に柊鰯ヒイラギイワシを飾っておいてください」

 低くも、滑らかな声音は、上位階級独特の癖がある。

「そして、このことを皆の者に知らせてくださりませんか? 犠牲者が、出ぬ内に……」

「お、お侍様はどうするんで?」

 訊いてはいけないような気がしたが、考えるより先に行動に移してしまった。しかし、青年は気を害することなく、くすりと微笑する。

「私は……そうですね……」

 振り返った町人の視線に応えず青年は再び天を仰ぐ。臙脂色の瞳が、淡く輝いた。

「神様の鬼退治とでも、参りましょうか——」

 やがて夜も更け、鬼の刻が始まる……。


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