ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 道化師の儚い夢
- 日時: 2010/03/08 20:42
- 名前: 嵐猫 (ID: 6d0h2282)
こんにちはっ、もうすぐ中三の嵐猫です。
嵐猫はらんまお、と読みます^^
「道化師の儚い夢」は違うサイトでやっていたんですが・・・。
こっちに引っ越してきました。
ということで、どうぞっ。
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- Re: 道化師の儚い夢 ( No.1 )
- 日時: 2010/03/08 20:53
- 名前: 嵐猫 (ID: 6d0h2282)
プロローグ
───あの有名な貴族の? そうだったの!
いろんな人が、おれに言う。 たくさんの人が、おれに言う。
あぁ、そうだ。 おれは有名な貴族の生き残り、だ。
どうせ、かわいそうに、で終わるんだろう。
───わたしは一人なのでしょうか?
自分で自分に問いかける。 わたしはわたしに問いかける。
もう、そうじゃない。 わたしは孤独、なんだよ。
大丈夫だよ、と闇からの声を待つだけ。
───最年少なんだって? すごいねぇ!
いろんな人が、私に言う。 たくさんの人が、私に言う。
はい、そうです。 私が最年少でコレになったんです。
どうせ、すごいと言われてオシマイでしょう?
この世界に存在する人間は、弱い。
───おれは強いから、大丈夫なんだ。
───わたしは弱いから、こうなった。
───私だって、強いんだから。
神の使者と、弱いヒトの物語が、幕を開ける。
- Re: 道化師の儚い夢 ( No.2 )
- 日時: 2010/03/08 21:21
- 名前: 嵐猫 (ID: 6d0h2282)
第一話 真夜中の訪問者
ひんやりとした空気が、不気味な雰囲気が漂う場所。
普通の人なら、すぐに帰りたくなる場所である。
だって、ここは墓地だから。
真夜中の一時、俺は教会の墓地にいる。
そして、一人の女性と向き合っていた。
「初めまして。 リリィ・アルドさん、でよろしかったですか?」
「・・・・・・・・・」
「あれぇ、もしかして名前、間違っちゃいましたかね?」
「・・・・・・・・・」
俺が何度、問いかけても女性は答えない。
俯いたまま、何も喋らず動かない。 不気味だ。
この女性はリリィ・アルド。 二十九歳。
かわいそうなヒトである。
「答えて下さいよ。 俺、待つの苦手なんですからっ」
「・・・・・・、お前は神の使者か」
「俺の疑問には、答えないってことか。 やるねェ」
「ッ」
リリィ・アルドはガバッ! と勢いよく頭を上げた。
そして、ギョロリと俺を睨むように見つめる。
乱れた長い黒髪に、左右違う色の瞳。
口元に見える、獣の牙。
俺はそっと、首にかけている十字架のネックレスを触った。
そして呟く。
「神の偉大なる、黄金の力よ。 世界に負けたヒトのために───」
解放せよ、と。
言い終わった瞬間、リリィ・アルドは襲い掛かってきた。
大きく飛び上がり、俺を地面に埋めてやる、という顔をして。
───この瞬間を、待っていたぜっ!!
「消えちゃえよォオッ、神の使者ァアアア!!」
「待っていたぜっ、リリィ・アルド!」
一気にリリィ・アルドを引き付ける。
そして、十字架を顔に思い切り近づけ、
「解放されよ。 自由になれ。 ヒトになれ」
「・・・・・・ッ?! ゥギャアアアァァァアッ」
黄金の光が、リリィ・アルドを包み込んだ。
しばらくしてから、黄金の光は消え、リリィ・アルドは倒れてしまった。
任務終了。
- Re: 道化師の儚い夢 ( No.3 )
- 日時: 2010/03/08 21:32
- 名前: 嵐猫 (ID: 6d0h2282)
第二話 エドガーとテオ
「随分早いね。 本当に任務終了したの?」
「終了したから帰ってきたんだよ、テオッ」
大きな屋敷に入った瞬間、そんなことを言われた。
普通、女なら「お疲れ様」とか「大丈夫だった?」とか!
そういう優しい言葉とか、ないのかよっ。
まったく、この女は・・・・・・。
肩につくくらいの金髪に、スカイブルーの大きな瞳。
俺と同じ、十字架のネックレス。
───テオ・アベーユ。 俺と同じ、十六歳だ。
そして俺と同じ、「神の使者」。
†
あ、エドガーが帰ってきた。
綺麗な茶髪に、エメラルドのような瞳。
私と同じ十字架のネックレス。
まったく疲れている様子が見られないので、
「随分早いね。 本当に任務終了したの?」
そう問いかけた。
すると、エドガーは少し呆れた顔で、
「終了したから帰ってきたんだよ、テオッ」
と言う。
それからエドガーは少し、残念そうな顔もした。
エドガー・ウィン。
これが彼の名前。 十六歳の、「神の使者」。
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