ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

不思議の国のしぇあ
日時: 2010/03/14 17:57
名前: あすり (ID: NIqFfiPf)

こんにちは。あすりといいます。
こちらで、小説を書かせていただくのは初めてなのでお手柔らかにお願いします(笑)




ある日の図書館。

俺は、何かに導かれるように童話の棚にある大きな本
を取り出した。

「不思議の国のアリス」

ふかふかの椅子に座って本を開ける。

開いたのは、白兎を追いかけるところだ。

「ねぇ、あなた。その本好きなの?」

俺の隣にいた背の低い少女が話しかける。

金色の髪に、青いエプロンドレス。

さながら、アリスのような少女だった。

「う、うん。」

「へぇ、どんな所が好き?」

「うーん、小さくなるための薬を飲むところかな?」

そう言うと、少女はくすくすと笑い出した。

「ふふふ、あなたなかなか可笑しいことを言うのね。
私がどんな思いで泣いていたか、わからないでしょう
に。」

にっこりと、花が咲くような笑顔で少女は言った。

「あなたも、この苦しみを体験したらどうかしら?」

彼女の青い瞳が、俺を捕らえた。

「さぁ、わたしと、ふしぎのくにで、あそびましょう??」

Page:1



Re: 不思議の国のしぇあ ( No.1 )
日時: 2010/03/14 19:36
名前: あすり (ID: NIqFfiPf)

① 不思議の国とチェシャ猫

次に、目が覚めたのは大きな森の中だった。

それと、同時にタタタッと言う足音。

「あぁ!急がなくては!!早くしなくては!彼女に首をちょん切られてしまうわ!あぁぁ!!それか彼女のお友達のトランプ兵に犯されてしまうわ!かぶと一緒にシチュー鍋の中に入れられてずるずる啜られるかもしれない!!もう時間がない!時間がない!もうすぐ時計の針が70分を指してしまうわ!お茶会は90分からなのに!」

シルクハットを被ったツインテールの少女が走っていく。
その後を続くように、ネコがドサッと落ちてきた。

「残念だねェ、白兎さん。あんたは間に合わないさァ。ねェ、おにーさん?」

ニヤリと歯を剥き出して、ネコが笑った。

「おやァ?あんた見慣れない顔だァね。うん?あァ…おれが怖いのかィ?ヒヒヒ…ネコが喋るなんてありえないもんねェ…」

ネコの辺りに小さく煙が舞うと現れたのは背の高い女性だった。

「これで怖くないだろォ?これでまともに喋れるさァ。…………あんた、アリスかァ?」

アリス?何を言っているのだろうか。
アリスって女の名前じゃないか?

「俺は、アリスじゃなくて…しぇあって言うんだ。それに、お前は誰なんだ?」

ネコ女はきょとんとした顔をした。途端、笑い出した。

「ヒヒヒヒヒヒ!!あんたァ…もしかして、おれを知らないのかァ?いいよォ。紹介したげる。おれはチェシャっつーんだ。みなからはシェシャ猫て呼ばれてる。因みに、今走ってたあいつは白ウサギ。」

「で、お前は有名人なのか?」

「そーだ。聞いたことないかァ?ハートの女王サンのクロッケーのマレットをひとつ残らず火にくべてやった事件。それで、癇癪を起こした女王サンは回りにいたトランプ兵を一枚残さず殺したんだァ。それの主犯がおれなんだァ」

「…知らないなぁ。と、言うか俺はきっとこの世界の人間じゃないんだ。」

「あァ。だからかい…あんたから別の国のの匂いがするのは。」

すぅ…っとチェシャ猫が目を細めた。
その瞬間、本物の猫のような瞳…獣のような瞳になった。
じゃきん、と紫色のネイルアートを施した長い爪を出す音がした。
すっと爪が俺の頭まで伸びてくる。殺される!!

「嘘だよ」

「へ?」

にんまりと笑ったチェシャ猫の目が瞳に映った。

「ひひひ!!うそだよ。あんたみたいな珍しいのを殺すわけないだろォ?
あんた、この世界…不思議の国の奴ではないんだ。おりゃァ面白い拾い物をしたねェ!あのアリス以来さ。いや、男ではあんたが始めてだねぇ………」

先ほどのにやにや笑いをまた始め、俺の腕を掴むチェシャ猫

「来なァ。あんた、俺の知り合いに会わせてやる」


Re: 不思議の国のしぇあ ( No.2 )
日時: 2010/03/14 22:06
名前: あすり (ID: x0V3O7oL)

②タバコ中毒の芋虫と自分の力

「おい!ここはどこなんだよ!」

「あン?ここは洞穴さァ。見てわからないかァ?」

チェシャ猫に「知り合いにあわせてやる」と言われ付いたのがこの洞穴だった。

「いや、わかるけども!こんなところにまともな人間なんかすんでないだろ!」

「マトモな人間は住んじゃいねーなァ。この中にいるのは水タバコ中毒のあほ芋虫だけさァ」

ほら、見てみろ。と言われ後ろを振り返ったら青いドレスを着た女性だった。

「だーれーが!あほ芋虫なのよ。このキチガイ猫」

「おうおう、やめてくれよォ。キチガイって言葉ならあの帽子屋に言いなァ…で、用件なんだがこいつの能力を見てやってくれやァ」

「の、能力?」

能力って、あのNARUT○とかに出てくるあの能力?水とか電気とか火とか草の?

「能力について知らないの?このこ、とんだ知恵遅れね」

「あぁ、こいつはほかの国の奴だからなァ。しぇあ、心配すんなよォ。こいつは、能力を読む能力の持ち主だァ。見てもらえ。おれは他のところに行ってくァ」

すぅぅっと消えていくチェシャ猫……不思議だよな。

「ハァ…あたし、知らない人と一緒にいるの嫌なのよね。まぁ、いいわ。しぇあだったかしら?あなた、能力について説明はいる?」

「はぁ…」

「いいわよ。能力っていうのはまぁ、能力がないと不思議の国には来られないの。あなたたちの世界で言う通行手形ね…まぁ、不思議の国に来たあなたも…能力が少なからずあるわけで…」

すこし、ずれた事を言うのも不思議の国なのだろうか。
俺は、能力なんざ使ったこともないし知らない!

「あたしの能力は、能力を見る能力。それで、チェシャの能力は狂乱させる能力…さぁ、あなたの能力を見せなさい」

ボッと大きな蝋燭に灯がともる。

「…………身の回りすべてに異変を起こす能力…あの子以外にこんな能力あるのね。悪いことは言わないわよ。早くもとの世界に帰りなさい」

「はい?」

「そうよ。あの子のようになってしまうわ。……そこにいるんでしょ?チェシャ?」

青い芋虫はピン、と蝋燭を投げた。

「っつう…熱いねェ……あと、芋虫?しぇあを元の世界へ帰すってどういうことだい?」

「そのままの意味よ?このままだと、この子死んじゃうわ…」

ふぅ…と水タバコを吐いた

「………そうかィ。じゃましたねェ…」

「じゃあね。また来なさいよ?」




「なぁ、しぇあァ。お前帰りたいかァ?」

帰り道、そんな事を聞かれた。

「…どうだろう。帰りたいよりも、俺をこの国へワープさせた奴のことが気になる…そいつを探せば帰れるかもだし…」

「…?お前さん、穴に入ってきたんじゃないのかィ?ウサギを追って…とか」

「なんのこと?」

俺は、ここまでの経緯をすべて話した。

「ふうん、でそいつはどんな奴なんだァ?」

「確か、青いエプロンドレスに金色の髪に青い瞳」

チェシャ猫はそれを聞くとがたがたと震えだした。

「そいつ、背が低いだろゥ?………もしそうだとしたら、俺の、いいや、俺たちのアリスかもしれねぇんだァ…!」

「と、いうことは…」

「そうさァ、昔ここに来た奴がまたお前をここに連れてきたんだァ」

ヒヒヒといつものようにチェシャ猫が笑う。

「…アリスを探せば帰れるんだよなァ?」

「たぶんね。」

「じゃあ、探すかァ?おれも久しぶりにアリスに会いたくなってなァ…」



Re: 不思議の国のしぇあ ( No.3 )
日時: 2010/05/16 20:07
名前: あすり (ID: jUXSyEEQ)

③ 楽しいお茶会とキチガイ達



「おいィ、見てみなァ。兎らがお茶会してるぜェ?」

草を掻き分けて、チェシャが言ったところを見る。

そこには、沢山の兎達が交尾をしていた。

「…………お茶会?」

「あァ、お茶会だァ。ほら、見てみなァ。あの人間」

たくさんの兎の中、一人だけいる人間。

頭より遥かに大きい帽子を被った小さい女の子。

「あいつはイカレ帽子屋っつーんだけどなァ、あいつはアリスに会ったことあるんだァ。あいつだったら、何か知ってと思ゥ」

「へぇ、でもあの中に行くのは…」

「あァ?大丈夫だろォ」





わいわいと、騒ぐ雄ウサギたち。
あの子のそこは締りがいいだとか、あの子はとても感じやすいだとか…

「何赤くなってんだァ?…おまえ、もしかしてどうてーかァ?」

「!!!!女の子がそう言うことを……あれ、チェシャ女?」

そういえばどっちなんだろう。でも胸はあるし…

「あァ?聞くもんじゃねぇだろうがァ、まぁいい。帽子屋ァ、てめェアリスがどこにいるのか知ってるのか?」

「えー?知ーらーなーい!!!」

「うわっ!びっくりした」


男の白が飛び散ったテーブルの下からぴょんと飛び出してくる少女

「その前に、みんなでパーティーしてかない?あはは!」

「俺はヤんねェぞォ。」

「違うよーほら」

女の子は、一匹いたメス兎の首をナイフで刈り取った。
それを、ちゃぷちゃぷと紅茶に浸けて飲みはじめた。

「ほら、そこのぼーやもお飲みよ。おいしーよ」

はい、と渡される紅茶。その中には、先ほどの兎であろう足が入っていた。

「ほらァ、飲めよォ」

にやにやと笑うチェシャ…人事だと思って…

こくり、と一口飲んでみる。
口の中にじんわりと広がる血の味。
僕は
それを吐き出した。

「あはははははははは!!!飲んだ!飲んだぁ!!発情メス豚兎の紅茶!!!あはははは!!!」

けらけらと笑う、っていうか兎か豚かどっちなんだよ。


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。