ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 死神の涙
- 日時: 2010/03/17 12:29
- 名前: (*´・ω・) 薫 ◆csrKrKYmRA (ID: fgNCgvNG)
- 参照: http://sukittekotosa.blog.shinobi.jp/
初めまして、日高薫と申します(*´・ω・)
森ガイやブログなどで多く小説を書かせていただいているものです。
ようやく脱ゆとりではありますが、まだまだ至らない点が多くございます。
何卒よろしくお願いいたします(´・ω・`)
大まかなあらすじ
舞台は江戸的な町。
鬼退治と呼ばれる特殊な仕事を本業とする久山咲也が、
町の茶屋の菊谷このはに恋に落ちるような話。
ですが恋愛モノというより、戦闘モノな気がします・・・。
読むにあたっての注意事項です。
是非目をお通し下さい。
・これは町並みは江戸あたりなのに暮らしぶりは殆ど平成な、
よく分からない、一言で言えばカオスな小説です。
・政治分かりませんすみませn\(^O^)/
・残念な自己満足小説です。
歴史っぽいのが書きたかっただけなんです・・・すみません
・とにかくすみません。
・歴史好きな人は気をつけてください。
カオスすぎて気が遠くなる恐れがあります。
・更新頻度は遅く、さらに登場人物は使いまわしという、
いつもと同じパターンとなっています・・・。
それでもおkという方は、更新をしばしお待ち下さい。
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- 第一話 五月雨の 降る日に ( No.1 )
- 日時: 2010/03/17 12:35
- 名前: (*´・ω・) 薫 ◆csrKrKYmRA (ID: fgNCgvNG)
- 参照: http://sukittekotosa.blog.shinobi.jp/
昼間はあんなに晴れていたのに、正午を過ぎたころから、しとしとと雨が降ってきた。
商店街を歩いていた人々は慌てて店の中に駆け込む。
傘屋の若き店主も、外に並べていた傘をたたみ、店の中に入れた。
店主の名を、久山咲也という。華奢な身体はみるからに病弱で、やつれていた。
雨は霧雨程度だったが、最近の雨はすぐに強さを増す。
向かい側に出来た新しい傘屋に駆け込む人々を見て、咲也はため息をついた。
副業でやっているこの仕事ではあるが、流石に売れないと落ち込むし、
唯でさえ苦しい家計も、悪化してしまう。
まだ6つになったばかりの弟が、着物の裾を引っ張った。
「なぁ兄ちゃん、お客さん来ないよ?」
「ハハハ、そうだなァ、困っちゃうな」
不満そうな弟、司の漆黒の頭をなで、咲也は苦笑した。
司は閉められた窓についた曇りを、背伸びをして着物の裾でぬぐい、
顔を貼り付けて客が来ないか見張り始めた。
この店を始めたのは、去年の暮れだ。
本業である「鬼退治」と呼ばれる特殊な仕事をしている咲也が、
副業として始めた仕事だ。
鬼退治の仕事があまり入ってこないので傘屋を始めたが、
この傘屋にも、なかなか人が入ってこない。
苦笑にため息が混じろうとしたとき、司が黒い瞳を輝かせて大声を出した。
「ねぇ兄ちゃん!!お客さん!!」
「え?」
ドキッと緊張がはしり、たたみに腰を下ろしていた咲也は、弾かれたように立ち上がった。
どうしよう、2週間ぶりの客だ。
咲也は緊張と不安を振り払うように、手をこすった。
床に散らばっていた瓦版を拾う間もなく、ガラっと音を立て、古臭い戸が開く。
入ってきたのはそんな音と不似合いな、美しい女性だった。
鮮やかな赤の布に刺繍されている、黄や金の美しい花。
白い肌に肩の上で短く切られた艶やかな髪。
黒い瞳は漆黒に輝いていて、赤い唇が、上品に笑っていた。
年は咲也より少し下だろうか、顔にまだあどけなさを残している。
さっきの緊張とは違うドキりが、咲也の胸を弾ませた。
「あ・・・いらっしゃい」
口からこぼれたのは、間の抜けたような震えた声だった。
女性は笑って、「こんにちは」といった。
その声もまた、予想通りといったところか、鈴の音のような美しい声だ。
「傘・・・お探しですか?」
「そうですね、見せていただけますか?」
「あ、あはい、直ぐに」
自分で間抜けだと思いながらも、鈍ったように口が動かない。
咲也は口を押さえて深呼吸をし、赤面した顔を伏せて傘を選んだ。
実はこの男、女と接したことが、人一倍少ない。
病弱だった母も、咲也が司と同じぐらいのころに、結核で死んだ。
祖母はうまれたときからもういない。
「・・・兄ちゃん、熱?」
司が咲也の顔を覗きこみ、声を潜めて言う。
頭の上でちょこんと結んでいる司の黒髪が、サラリとゆれた。
咲也は頭をぶんぶん振って、「そそ、そんなことない」と否定する。
だがその声は裏返り、顔の赤みは増すばかりだ。
テレを隠すように、咲也は紅い傘をつかんで、女性を振り返った。
「こんなのはどうですか?お客さん、赤色とっても似合ってますよ」
震える声をなんとか抑えながら、咲也は笑顔をとりつくろった。
すると女性も不意を付かれたようにカァっと赤くなり、目をそらす。
「そ・・・そうですか、ね?」
「えぇ、とっても・・・」
咲也は傘を手渡そうと、唾を飲み込んで女性に一歩歩み寄った。
その拍子に、先ほど拾わなかった瓦版を踏みつけ、ズべりと滑る。
咲也は奇妙な声をもらして、頭を強く土間の床に打ち付けた。
狙ったように、綺麗なフォームで崩れ落ちた咲也をみて、
女性は驚きに目を丸くした。
「だ・・・大丈夫ですか?」
「は、はい・・・すみません、散らかしていて・・・」
「いえ、そんな・・・」
打った頭をさすりながら、咲也は女性に目を移した。
目と目が合う。
女性の瞳は黒く、吸い込まれそうなほど魅力的だった。
お互いに目をそらすタイミングを損ない、じっと見つめる。
どこか、懐かしい感じがした。
幼い頃に死んだ、母親の目ににている。
それだけではない。じっと見れば見るほど、心のどこかが落ち着くのだ。
——なんだろう、この不思議な感じは・・・。
キョトンとしたような女性の顔が、急に緩んで、噴出した。
「ふふふ、どうかしましたか?」
そう言われて、ようやく正気に戻る。
咲也はあたふたして、慌てて立ち上がった。
「すす、す、すみません・・・」
謝ったものの、なんだか自分まで笑えてしまって、咲也もとうとう噴出した。
咲也が笑うと、女性はもっと、腹を抱えながら笑った。
初めて会ったばかりなのに、
数分前にあったばかりなのに、
2人の笑いは、なかなか止まらなかった。
話しを切り出したのは、女性のほうだった。
「私、菊谷このはといいます。この近所の茶屋で下働きをしています。あなたは?」
「あ・・・俺は久山咲也です。それでこっちが、弟の司」
「咲也さん・・・ですか。よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
司は2人の邪魔をしてはいけないと思ったのか、
いつも一緒にいる兄が女に顔を赤らめているのに妬いたのか、
また憂鬱そうな顔を、曇った窓にはりつけていた。
「では、この紅い傘を頂いて宜しいですか?」
このはが言う。
明るくて、品が良くて。
何て完璧なヒトなんだろう——
「はい、勿論です、料金は・・・」
咲也が金銭登録機を弄り、このはと料金を確認する。
外で降っている雨が、弱くなり、
雲と雲の隙間から、暖かな太陽が覗いた。
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