ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 天秤にかける華
- 日時: 2010/03/17 17:30
- 名前: 紫水 琴音 (ID: NQa2PI2Y)
こんにちは^A^
私たちは、共同制作をして、グダグダわいわいとやっていきたいと思ってます♪
たくさんの人からコメントを寄せて頂けるように頑張ります。
気が向いたら読んでくださいねー(^−^)
注意(◎ロ◎)!!!
●荒らし、中傷はやめてね。
●コメントはどしどし書いてください。
(それをヒントに進めていくんで・・・。アイディアも可)
●これは一部、流血表現を含むかもしれません。たぶんね。
●めちゃくちゃ素人表現です。字も間違ってるかも・・・笑
これらのことがぜんぜん平気って人だけ見てね。
[人物しょーかいっ('+v')ノ``]
今んとこ紹介できる人たちを紹介しときますぉ♪
ベ・ラーファ&ジェライド・・・ヨーロッパを裏から支配している謎の組織。二つは敵対している。これらの名はあまり知られていない。
ベルデッキオ&ランブルスコ・・・そらぞれベ・ラーファ、ジェライドについているマフィア。
アキュビー・・・特殊な能力を持った少女。ベルデッキオ側に身を置き、仲間からは慕われている。能力の詳細は不明。
ガーデン・・・ベルデッキオのボス。極悪非道といわれているが、アキュビーや上の組織であるベ・ラーファには従順。
棲蘭・・・聖リスベル教会の神父と二人で暮らしていた女の子。アジア人の子供で、捨て子だった。
ラインヴァルト・・・ランブルスコのボス。
ふーっ(+o+)=3
でわ、どぞ。
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- Re: 天秤にかける華 ( No.6 )
- 日時: 2010/03/17 17:38
- 名前: 紫水 琴音 (ID: NQa2PI2Y)
私は、聖リスベル教会で神父と暮らしていた。
もともと、両親を早くになくした赤ん坊のわたしは、神父に拾われたのだ。
私は、日々彼と共に祈りを捧げつつましく暮らしていた。
「自分の道を神に捧げてはならない。神は、選択肢しかお与えにはなられないのだから」
それは、彼がわたしに事あるごとに言っていた言葉だった。
神を誰よりも愛し、彼ほど自分の人生を神に捧げた者はいないだろう。
だがその言葉は神に仕える者のささやかな抵抗である、と誰かが言っていたような気がする。
その意味は、まだわからなかった———。
そんな日々も、ある夜にやって来た男によって変わった。
突然、教会の厚い扉が音をたてて開いた。
マリア像の前で祈りを捧げていた私達に、突然の来訪者が現れた。
「神父様、誰かきたよ?」
「ああ、そのようだね」
祈りの最中だというのに、そっちばかりが気になってしまう。
普段、日曜以外の夜は開けていないので、こんな夜にひとが来るなんて一度もないことだ。
神父様の目を盗んで、後方の扉を恐る恐る見る。
「黒い・・・・。」
来訪者を見た瞬間、すぐに感じたものだった。
教会の中は、月明かりが一様に注がれるよなつくりになっているというのに、そこには光の一筋も寄せ付けないほどだ。
その、身震いするような影から、わたしは目が離せなくなっていた。
- Re: 天秤にかける華 ( No.7 )
- 日時: 2010/03/17 17:40
- 名前: 紫水 琴音 (ID: NQa2PI2Y)
「こら、棲蘭。祈りの最中ですよ。集中なさい」
「あ、ごめんなさい神父さま。でも誰か来たの。なんか怖いわ」
そう神父様とはなしていると、男が問い掛けてきた。
「娘。お前はここの者か?」
すぐに反応したのは神父様の方だった。そっと立ち上がる気配がある。
「何か御用ですかな。教会の鍵は掛けたつもりだったのですが。」
「フン、神父か」
「俺は、娘に質問している。神父になど用は無い。
娘どうなんだ。お前はここの者はのか?」
男は神父様の質問には答えずにもう一度私に質問してきた。
私は、震える声で「そうです」と答えた。
「棲蘭、何も言うんじゃない」
神父様の咎めも、なにかわからないものに聞こえてくる。
「いい子だ」
男の言葉だけが鮮明に耳に入ってきて、そっちばかりに心が動いてしまう。
「娘、スーランというのか」
「はい・・・」
当然のように答えていた。
「俺と一緒に来てもらおう」
「は——」
三回目の返事をしようとした瞬間、神父様が私の前に立ち、男から私を遠ざけた。
「お前っ!何者かっ・・・!」
パーン
そのとたん私の視界から神父様がゆっくりと赤い鮮血をまき散らしながら前のめりに屑折れていった。
何が起こったのかわからなかった。
次の瞬間私の目に映ったのは、銃から立ち上る白い煙と、血を流して倒れたまま動かない神父様の姿だった。
私は、悲鳴を上げながらその動かないものに駆け寄った。
「神父様!神父様!」
動揺している私の耳に冷たくそして鋭い抑揚ない声が耳朶を叩いた。
「無駄だ。そいつはもう死んでいる。」
私は、泣きながら彼に問うた。
「どうして・・・どうして神父様を殺したの?」
「邪魔だったからだ。棲蘭、俺とともに来い」
私は、彼を睨みつけながら言う。
「行くわけないでしょ。人殺しのもとなんかに!」
「悪くはしないさ」
たった今引き金を引いた人間の顔とは思えないほどの軽い笑みで、肩を竦めた。
「これから先、お前が必要になってくる」
早くなる鼓動は、この男に対する警鐘となって緊張を高めていった。
「そして、お前も俺を必要とするだろう」
自分だけ余裕のない態度をとっていては不利だ。
震える奥歯を噛みしめ、ゆっくりと話しかけた。
「どういう・・・こと?」
また男は鼻をならし、首を傾けた。
「おまえは命を狙われることになる。これから先、何千人というマフィアから・・・」
「命・・を?っでも!あなただってマフィアなんでしょう?」
「お前の命を狙ってるマフィアとはまた別の組織
だ。敵対している・・・と言う方が妥当だろう」
そんな、マフィアなんかに命を狙われるようなことは身に覚えがないし、第一そんな大切なこと、神父様が知らないはずないし、知っていたら教えてくれるはず。
「その神父は関係ない。お前が狙われていることなんか知る由もない」
自分の心を見透かされているようで、不快だ。
「もうお前を守るのは誰ひとりいない」
男は死んだ神父に顔を向けて、小さく首を振った。
心臓がドクン、と反応する。
「来るんだ。棲蘭——。」
私は苦悩している。目の前にいるこの男を信じていいものだろうか。
- Re: 天秤にかける華 ( No.8 )
- 日時: 2010/03/17 17:41
- 名前: 紫水 琴音 (ID: NQa2PI2Y)
この男と対峙して、どのくらい時間がたったのだろう。
月の影は全く動いていないのに、もう随分と経ったような気がする。
「来い、スーラン。来るんだ」
何を思ったのか、手を差し伸べてきた。
その紳士ぶった行為に吐き気がした。
この男の話が真実なら私は、この先多くのマフィアに命を狙われるだろう。
それならば神父様がいない以上この男についていったほうがいい。
「あなたの言うことは分かったわ。でも、分かってると思うけど、完全には信用できない」
「決心がついたか?」
「いいわ。このままじゃ、埒が明かないし、どうせ無理やり連れていくつもりだったのでしょう?
行くわ。あなたに・・・・ついていく」
「そうか」
「でも条件があるの」
男は眉をひそめ、小首をかしげた。
「よし、聞いてやろう」
「まず一つは、あなたの名前を教えること」
「・・・・」
「もう一つは、週に一回、日曜ミサがある日には、必ずこの教会に連れてくること」
「最後に。神父様の遺体を埋めるのを手伝ってくれる ?」
男は一つ溜息をついた。
「注文が多い」
「当たり前よ」
この男に対して、自分でも驚くほど冷静で、普段では考えられないような態度をとっている。
今、ここで自分が泣きを見せたらこの男に言うがまま行動しなければなくなるだろう。
「で、どうするの?条件をのむの?それともやっぱり諦める?」
男は小さく苦笑した。
「みくびるな。それくらいのことでお前を連れて行けるのならやすいものだ。それに・・・」
それ以上のことは聞かなかったし、相手もそこで言うのを止めた。
神父様・・・
月の光降る、この聖なる夜に召されてしまうなんて。
マリア様、見ているのでしょう?
私は神父様の首から十字架を外し、合わせた両手に絡めた。
「どうか安らかにお眠り下さい」
私は、顔を上げ視線を男に合わせて言った。
「私はあなたについていく。でも、この憎しみと悲し
みは、絶対に忘れない」
- Re: 天秤にかける華 ( No.9 )
- 日時: 2010/03/17 17:43
- 名前: 紫水 琴音 (ID: NQa2PI2Y)
「じゃあまず、あなたの名前を教えてもらいましょうか」
「・・・・」
男は暫く口澱んだあと、言いにくそうにつぶやいた。
「・・・ラインヴァルト」
「ライン・・ヴァルト?」
なぜか気分を害した様子で、ぱっと背を向け、墓場の土を足で弄りだした。
「名前は・・名乗らない主義だ」
ラインヴァルトは、土いじりをしばらく続けていた。
教会の中では、
ラインヴァルトは光の一筋さえも寄せ付けなかったのに、
こうして闇夜に溶け込むと、そこだけ妖しく、自ら黒光りしていた。
見てはいけないものなのに、
それだけに不思議な魅力があったのだ。
- Re: 天秤にかける華 ( No.10 )
- 日時: 2010/03/17 17:44
- 名前: 紫水 琴音 (ID: NQa2PI2Y)
半年後———
ベーリング海の温かい潮風が、二人の間を吹き抜けた。
雲は重く立ち込めているが、不快ではない。
まどろみの中に、いつものように黒いコートの影が揺らいでいる。
「おい、起きろ」
そんな不愛想な声で私は、心地よい眠りから目覚めた。
「んっ、何もう起きる時間?」
「ああ、今日は昨日の遅れを取り戻すためにも頑張らないといけないからな」
ラインヴァルトは不愛想にそれだけを言った。
「頑張るって・・・。なによ、昨日だってそう言って、一番苦労したのあたしじゃない」
昨日は諜報活動に明け暮れた。
仲間がスムーズに動けるように、わたしは半ば見世物状態になったのだ。
「あんなに派手な会社員なんていないわよ」
「そうか。似合っていたが」
「あんなのが似合ってってたまるもんですかっ!」
私はそう言うと軽くラインヴァルトを睨みつけたが向こうはまったく動じないので、しかたなく話を切り替えた。
「そういえば確認するけど、私達は今どこに向かってるんだっけ?」
周りは、岩肌が目立つ小さな無人島ばかり。
港や漁船の様子も伺えない。
「ベルデッキオが管轄している貿易港だ」
「貿易港?」
「昨日、新聞社に向かっただろ。あそこで、近々ベルデッキオと香港マフィアとの取引が行われるという情報をつかんだ」
「そんなとこ行ってなにするの?」
「もちろん邪魔をする」
ラインヴァルトはさも当たり前のように言ってのけた。
「それって、もしかしなくても危ないんじゃ・・・」
「危険だろうな。もちろん。」
ラインヴァルトは腕を組んだまま言った。
「べつに、ベルデッキオのやつらがアジアのガキンチョと仲良くしようと、構わねえ。問題は交換されるブツだ」
なにが取引されるというのだろうか。
麻薬?武器?人?
この人と行動を共にしていると、自分でも恐ろしいと思うくらい、卑劣な想像が頭をよぎる。
「死体だ」
私は、言葉を理解するのに数秒かかった。
「はっ、死体なんて交換するの!」
いったい何に使うのだろうか。
そう考えていると、表情に出ていたのだろうラインヴァルトが教えてくれた。
「あいつらは死体を、実験に使うのさ」
「実験?」
「一か月ほど前、タイで感染症が流行って、何万という人がやられた」
心臓が緊張で、ドクンと脈打った。
「普通、感染した死体はその後焼却されるんだが、あいつらは牛肉の輸送ルートで、病原菌まみれの死体を、ヨーロッパに運び込むつもりだ」
死体を。
「ゲリラ感染をもくろんでいる」
たくさんの、死体を・・・。
そんなことをすればヨーロッパは・・・。
そんな最悪の想像をしていると、とてつもなく気分が悪くなってきた。
「どうした気分が悪いのか?まぁ無理はねぇ。」
「大丈夫よ」
「ほう?」
「大丈夫だってば」
香港側は、火薬とイギリス製のバルカン砲だそうだ。
どっちも、最強最悪の兵器だが、無論、残虐さと醜悪さでいえば、人肉詰めのコンテナの方が勝っている。
そんな悪趣味な取引では、邪魔をするのも気が引けてしまう。
だが、一番厄介であり、警察であれマフィアであれ、だれかが止めなければいけないのは事実だ。
でなければたくさんの善良な人々が地獄をみることになってしまう。
そう決意をしたとき、今までただじっと立っていたラインヴァルトが動き出した。
「ほら、目的の島が見えてきたぞ」
「これが・・・。」
その島は、通称”R”と呼ばれる貿易港を持つ。
島には決まった名前はないそうだが、島をふくむこの海域は、”R海域”と呼ばれているそうだ。
「R海域に乗り込むのは明日だ。今日は、近くの無人島に仲間がいるから、そこで駐留する」
そう言うとラインヴァルトは自分の荷物を持ってとっとと甲板に出っていった。
私も、慌てて部屋を後にする。
ふとその時、その島が目に入った。その島はまだ昼だというのに暗く、
その島の周辺だけがより殺伐としていて、いつかのラインヴァルトを思い出させた。
この仕事のために持ってきたものは、護身用のナイフに、ライター、軽い缶詰肉にパン。
トランクから、ナップサックに入れ替え、降りる準備をする。
ラインヴァルトは、最後の一本を吸い終わると、足元に落とし、踏み消している。
煙草の灰が、黒い海原に溶けていった。
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