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短編集。
日時: 2010/03/23 20:39
名前: 時雨 ◆fpcvJMKcxg (ID: LUfIn2Ky)

たんぺんしゅー。 

 
_〆ご挨拶
おはこんばちは。もしかしたらもうこの名前の人いるかもしれない時雨です。
見ての通り短編集。 お題に沿って書いてゆきます。順不同。
とりあえずは完結なんてありません。短編個々の終わりはありますが。
微妙にお話が繋がってるかも知れません。まあ、その時はその時で(オイ)。
では、よろしくお願いします!


—[闇]で5の短文のお題———
:絶望を告げる幕開け >>2
:悪意に駆られた主人公
:ユニコーンと恋心が姿を消した
:しーゆーあげいん、(二度と会わないけど)
※()内のものはなくてもいいです。
:闇黒に包まれた世界で

—[闇]で10の単語———
闇色哀歌やみいろあいか
:闇の吐息
嘘吐闇夜うそつきやみよ >>1
:闇黒ケミストリー
※ケミストリー=化学反応
:闇色の髪
:影と闇
:闇にキス
:虚無感に闇
闇心音あんしんおん ※当て字
:闇善ドリーム(あんぜん) ※当て字

(スペシャルサンクス!
お題提供:名塚@846様)






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Re: 短編集。 ( No.1 )
日時: 2010/03/19 16:46
名前: 時雨 ◆fpcvJMKcxg (ID: xs5T8t9X)

「……うそつき」

その言葉が自分の口から発せられたものだと気付いた時、既に目の前の彼は驚いたようにこちらを見ていた。
ああ、言ってしまった。何があろうと、この一言だけは言わないと決めていたのに。彼が、……否、私がこの世で一番嫌いな「嘘」を含んだ、この一言だけは。
ああ、もうどうなろうと構うものか。言ってしまった以上は戻れない。一度聞いた言葉はそうすぐには忘れない。

「……うそつき、嘘吐き。……お前なんて、大嫌いだ」

だいきらい。……って
彼によって小さな声で復唱されたその言葉を遮って、私はその部屋を勢いのままに飛び出した。……そのままそこにいられる人がいたら、お目にかかりたいものだ。
部屋を出た途端に私を包む闇が頬を伝った雫を掻き消した。
……戻れないな、もう。
零れた涙は、自嘲か悲しみか。


… … …


「……うそつき」
彼女の口から発せられたその言葉は、僕の存在を否定されたにも等しい言葉で。その次に発せられた言葉……「大嫌い」と。それは、彼女に僕への恋愛感情と呼べるものが消え去った事を意味する言葉だった。

「……うそつき、嘘吐き、……お前なんて、大嫌いだ」
「だいきらい、って」
(嫌い?君が?僕を?)
あの時は本当に狂いそうになった。……確かに僕は嘘ばかりだったが、これだけは本当だ。恐らくは、……いや、絶対(だと信じたい)か?彼女への「愛」と呼ばれる感情も。
やっとその考えに至った頃には、君はもうどこかに行ってしまっていた。
(君が僕を、もう愛せないと、そう言うのなら)
(僕は、君を愛している僕のために死のうじゃないか)


もう、戻れないのだ。
何度その言葉を繰り返したか、などもう忘れた。
恐らく彼には、私に対する「愛」などもうなかったから。だから引き止める事もしなかったのだろう。追いかけてくる事さえも。

(……自意識過剰にも程がある)

愛してもいない女性を追いかけてくる男性など、どこにいるというのか。
……戻れないなら、もう、貴方が私を愛せないと言うのなら。

(私は、私が愛したあなたの為に死のうじゃないか)

嘘吐闇夜

(さようなら。愛した人よ)


〜〜
なんだこれすごく暗い。
しかもお題に沿ってない。



絶望を告げる幕開け ( No.2 )
日時: 2010/03/23 20:46
名前: 時雨 ◆fpcvJMKcxg (ID: LUfIn2Ky)

そのヒトはとても綺麗だった。
そのヒトとの思い出は、僕のぼんやりとした記憶の中でも特におぼろげで、顔なんてもう覚えていなかった。覚えていたのは名前と、とても綺麗だった、という曖昧な形容詞だけ。
あの人の名前は———

「シオーネ=フランシェスカ」
「……え?」
不意に、あの人の名前が聞き慣れた声で聴こえた。
「何だ。聞いてなかったの?私たちが倒すべき魔王の名前」
——その時、僕には、見慣れた幼馴染の妙に真剣な顔が、物凄く恐ろしいものに見えた。
……嘘だ。
「嘘だッ!」
誰に言うでもなくそう叫んで、気が付いたら宿を飛び出していた。
「ちょっと、レオ!?」
聴こえない。見えない。分からない。分からない。
——嘘だ。
——あの人が、魔王だなんて
——僕が、殺さなきゃいけないだなんて。

「何をしている?屑どもが」
聴こえたのは、記憶と同じ綺麗な声。
周りにいるのは、旅の途中で集めた仲間たち。
そこにいたのは、おぼろげな記憶の中では見えなかった彼女。
——嗚呼、どうして。
どうして貴女は、そんなに冷たい顔をしているの?
どうして貴女の隣には、哀しい顔をした貴女の半身がいるの?
「——僕が」
そこに、立ちたかったのに。
そう呟いた途端に自覚した。
—そうか、自分は、貴女が好きだったのか。




あの人は、私の記憶の中にいたあの人は、私が触れていいのかと、傍にいることを躊躇うほど純粋で、無垢なものだった。
そのヒトの名前は——

「レオ」

——そう、「レオ」だ。
私の一族の呪いを受け継ぐもの。そして、倒すべき勇者。
それから。
——私が、焦がれていたひと。
なのに、いつの間にか私の隣に立っていたのは自らの半身で。
「——僕が、そこに立ちたかったのに」
それは、ずっと耳を澄ましていなければ聴こえないような小さな声。
それが誰に向けられたものなのかは、考えずとも明らかだった。
「……さよなら」
貴方に焦がれていた自分。
それから、ずっと私が好きだった貴方。

絶望を告げる幕開け
(かみさまなんて、存在しない)

Re: 短編集。 ( No.3 )
日時: 2010/03/23 19:05
名前: nanasi (ID: lerfPl9x)

NO.1 おもしろかったですよ(怖かったですよ)

続き楽しみにしてます

Re: 短編集。 ( No.4 )
日時: 2010/03/23 20:39
名前: 時雨 ◆fpcvJMKcxg (ID: LUfIn2Ky)

>>nanasi様

おもしろかったですか?ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします^^
では、コメントありがとうございましたっ!


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