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【短編集】衝動飼い
日時: 2010/03/24 15:37
名前: よしの ◆HkEwims/QQ (ID: w1PAg8ZW)





    「お姉ちゃん、私、私ね—————」





***

こんにちは、よしのです^^
ここの板では初めましての方が大半だと思います。
約半年前にもちょこちょこと出没していました(その時は読む専門でしたが;)
春休みということで、なるだけ更新していきたいと思います。よろしくお願いします^^

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Re: 衝動飼い ( No.1 )
日時: 2010/03/24 15:35
名前: よしの ◆HkEwims/QQ (ID: w1PAg8ZW)

【いつもの風景】




「ねー、隣のクラスの元木君て子から告白されちゃったの。なんて返事すればいいと思う?お姉ちゃん」

妹がソファに寝っ転がりながらつぶやいた。
右手では先ほどから携帯をいじっており、1分置きに必ずメールの着信音が響いていた。相手はその元木という男子だろうか。

「・・・さぁ。好きなら付き合えばいいし、嫌なら断ればいい」

私は台所で野菜を切る手を止めずに、なるだけそっけないふりを装いつつ答える。内心では、姉妹の色恋沙汰に興味が沸いて仕方なかったのだが。

「そっか」

私の妹———朝倉亜美は短くそう言い、またソファの方からピピピ、とメールを打つ音が聞こえてくる。
その音を聞きつつ、私は内心で小さく舌打ちした。くそ、何なんだと。

私、朝倉紫乃は17年間生きてきた中で一度も彼氏という存在ができたことはなかった。対する妹の亜美は、15という自分の年齢よりも遥かに多くの男と付き合っていた。ここまで差がある私達だが、決して義理の姉妹というわけではない。同じ父親の精子から誕生し、同じ母親の腹から出てきた、れっきとした血の繋がった姉妹である。

それなのに、それなのに。

いったいこの差は何だというのだ。
亜美の整った顔や二重でぱっちりとした目や小さく通った形のよい鼻やぽってりとしたアヒル口や小柄な体系、私にはどれも持ち合わせていないパーツばかり。
対する私は重たそうな目でおまけに一重、豚鼻で唇は薄く、全体的にのっぺりとした典型的な日本人顔。おまけに父親譲りの長身と26センチもある足ときている。高校の入学直後にバレー部とバスケ部と女子ラグビー部から一気にオファーが来たときは本当にびっくりした。
運動神経が皆無な私は逃げるようにして断ったが。


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