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人柱アリス
日時: 2010/03/26 18:14
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

■はじめに■

初めまして、αкαηёと言いますσ(o´Å`o)
この度は、クリックしていただき有難うございます。
今回、コチラで小説を書くのは初めてです★ミ
まだまだ未熟な私ですが、頑張って書いていきます。
どうぞ、よろしくお願いいたします(人-ω-)


■注意■

本編には『不思議の国のアリス』の内容が少し含まれます。
ボカロの『人柱アリス』とは異なります。
タイトルが一緒というだけですのでΣ(゜Д゜ノ)ノ


■目次■

 ◇第1幕 始まり◇

  *序章   >>01
  *第1章  >>02
  *第2章  >>03
  *第3章  >>04
  *第4章  >>05

Page:1



Re: 少年アリス ( No.1 )
日時: 2010/03/26 17:47
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★ 序章 ★


 真夜中、城内で私は誰かに追いかけられていた。

 いつもなら、何か私に起こればすぐに兵隊が駆けつけてくるはず。

 だけど、その日は違った。

 全く誰も私を助けに来ない。

 そのまま、私は廊下を走って逃げる。

 しばらく逃げると、私は壁にぶつかった。

 それと同時に私は追いつめられる。

 そのときだった。

 一瞬だが、相手の顔が見えた。

 月の光が彼の顔を照らし出す。

 「あ、あなたは————!」

 どうして、どうして彼が?

 これは、王の命令なの?

 だけど、そんなことはどうでもいい。

 私は、生き残る道を考えなければ。

 彼のことだ。

 助けてと願えば助けてくれるだろう。

 「殺さないで! 何でもするわ、だから——」

 しかし、彼の血相は変わらなかった。

 右手に握っていた銀色の槍。

 彼は私に槍を突き出した。

 私は殺された————

 「すまない、すまない……っ」

 謝らないで。

 貴方は悪くない。

 王の命令を聞かなければ、貴方が殺される。

 貴方が死ねば、国は滅んでしまう。

 そうすれば、多くの犠牲が出る。

 だから———— 

Re: 少年アリス ( No.2 )
日時: 2010/03/26 17:49
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★ 第1章 王の変動 ★


 「すまない、すまない……っ」

 俺は何度も倒れる姫君にに頭を下げた。

 何の罪もない彼女。

 そんな人を俺は殺した。

 この手で。

 だが、命令には絶対服従。

 「仕方がない」と彼女は思ってくれるのだろうか。

 いや、仕方がない訳がない。

 俺は、命令だとしても間違ったことをした。

 罪を犯した。

 許されないんだ。

 俺は涙を拭うと、何事もなかったかのように立ち上がった。

 リオレット国専属の飛行隊隊長がこんな姿を晒してはいけない。

 俺は、姫君にそっと花を添える。

 「この罪は、俺が背負う」

 俺はそれだけを言い残すと、槍を抜き、その場を去った。

 近くに我が隊の飛行艇を着かせてある。

 俺は飛行艇に戻っていった。

 「お帰りなさい、ヴィル隊長。あの……任務は?」

 戦闘服に身を包んだ部下——レイオットが俺に尋ねる。

 「完了した。問題ない」

 「完了ってことは……姫君は——」

 レイオットは悲しげな顔をする。

 羨ましいものだ。

 感情を顔に出せるのは。

 「姫君は死んだ。命令通りに動いたぞ、俺は」

 俺は自分の部屋へ戻ろうとした。

 すると、そんな俺の前をレイオットが塞ぐ。

 「隊長、本当にしたんですか? あの任務。酷いですよ」

 「何を寝ぼけたことを言っている。命令には絶対服従だ」

 「しかし、おかしいと思わないんですか? 王様、変ですよ」

 確かに最近の王はおかしかった。

 いつも冷静で、自分の国に得があることしかしない王。

 それなのに……姫君の暗殺を命令。

 それが、何の得になる? 

 しかし——俺は王に逆らえない。

 俺は王を疑ってはならない。

 俺は王を憎んではならない。

 俺と王の間に〝約束〟がある限り。

 「王を疑うな。兵士は命令にだけ従えば良い」

 「しかし——命令だからといって……残酷すぎますよ、隊長」

 「五月蠅い。俺を侮辱することは王への反逆だと思え!」

 俺は槍を強く握りしめた。

 しかし、レイオットの意志は変わらなかった。

 「変ですよ! 隊長だって、そう思うでしょう!?」

 此奴はまだ——王を侮辱するか。

 「これ以上言うな!」

 俺は槍をレイオットに突き出し、寸止めした。

 これ以上言うな。

 俺の本音だった。

 これ以上、俺と同じ思いを聞いてしまうと——

 〝約束〟を守れなくなる。

 すると、レイオットがハッと気がついた。

 俺の手が小刻みに震えているのを。

 俺の心が酷く傷ついているのを。

 「隊長——もしかして隊長も……?」

 くそ。

 また泣きそうだ。

 俺は後ろを向くと、レイオットに言った。

 「さぁ、帰るぞ。王の元へ」

Re: 少年アリス ( No.3 )
日時: 2010/03/26 17:55
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★第2章 約束 ★


 飛行船が城へと到着する。

 俺は部下達と共に城へと入っていった。


 長い廊下を歩くと、そこは王室。

 金色の置物が幾つも置かれていた。

 「ただ今帰りました」

 俺と部下は頭を深く下げる。

 すると、王がニヤりと怪しげな微笑みを浮かべた。

 「よく帰った、ヴィル。任務は?」

 俺は王の顔色を伺った。

 なにやら王は俺を少しながら疑っているようだ。

 「……任務は完了しました」

 「おお、そうか! 私はてっきり、お前が奴を殺さないのではないかと思ってな」

 「何を言うんです、俺が王を裏切るわけがないでしょう?」

 俺はいつも通り笑って見せた。

 しかし、王はそれを見破った。

 「……裏切るわけがない? いいや、違うな。お前は裏切れないだけだ」

 「——王?」

 王は立ち上がると、俺の方へと歩み寄った。

 そして、俺の部下達に外へ出るように命じた。

 すると、部下達は急いで部屋を出て行った。

 もちろんレイザットも共に。

 「ヴィル。私とお前の〝約束〟を言ってみろ」

 〝約束〟。

 言いたくなんてなかった。

 二度と口にしたくなかった。

 「——俺は貴方から命を買っていることを忘れるな…… 一生尽くせ——です」

 俺は元々、捨て子であった。

 古ぼけた町の路地裏で雨の中捨てられていたのだ。

 そこを偶然通りかかった王。

 王は俺を助けてくれて、城へと連れて行ってくれた。

 俺が少し成長して、飛行隊に入るために修行を積み重ねていた頃だった。

 俺は王に呼び出された。

 「いいか、お前の命は私が助けてやったのだ。私が助けなければ、お前は死んでいたのだ」

 「…感謝しています、王」

 「つまりだな、お前は私から命を買ったことになる。俺のために尽くせ、ヴィル」

 そのときから、俺は——約束という名の茨で縛り付けられた。

 そう、今も。

 「王、1つだけ質問よろしいでしょうか」

 「なんだ」

 「姫君を暗殺させた意味は——?」

 その時だった。

 王の目つきが変わり、その目は俺を睨み付けた。

 「お前は俺に従っていればいいのだ、意味など考えるな!」

 「し、しかし————!」

 「ええい、五月蠅い奴だ。おい、大臣!」

 王は大臣を呼ぶ。

 大臣は急いで王の元へと走ってきた。

 「何でございましょう、王」

 「おぉ、大臣。ヴィルを牢屋にぶち込んでおけ」

 は…?

 どうして俺が牢屋に入れられなければならない?

 もう、我慢の限界だ。

 約束なんて破ってしまえば良い。

 茨なんて燃やしきってしまえば良いんだ————

Re: 少年アリス ( No.4 )
日時: 2010/03/26 17:59
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★ 第3章 任務 ★

 「此所に入っておけ!」

 俺は大臣に勢いよく牢屋へとぶち込まれた。

 俺は抵抗もせず、大人しく鍵が閉まるのを目に焼き付ける。

 太陽の光も月の光もない、この場所。

 初めてやって来たが、灯りは蝋燭1本だけか。

 今が夜なのか朝なのかも分からない。

 時間なんて分からない。

 この無の場所で何をすればいいんだよ?

 すると、牢屋の扉がコンコンとノックされた。

 「誰だよ……すまないが、命令は聞かない」

 俺は素っ気なく返事した。

 すると、明るい女の声が聞こえた。

 「命令なんてしないわ、ヴィル」

 聞き覚えのある声。

 彼女は————幼いながらの天才巫女、メリッサ。

 俺の幼なじみだ。

 「そーそ。帰ってきたら牢屋だって言うからさ」

 こちらも聞き覚えのある、明るく元気な男の声。

 彼は、騎士団団長のグレッド。

 俺の親友だ。

 すると、牢屋の鍵がガチャリと開いた。

 「……何のつもりだ、こんな事をして王にばれたら……」

 「あら、王様の命令だもん。ヴィルと任務に行けってね」

 扉の向こうに立っている白いローブに身を包んだ女——メリッサが言った。

 俺は立ち上がり、メリッサに尋ねた。

 「任務は何だ? 今度は誰の暗殺だ?」

 すると、赤黒いスーツに身を包んだ男——グレッドが俺に槍を手渡した。

 「残念だが、王の勅命ではない」

 「じゃあ、誰の——?」

 「ファリグ大臣だ。なにやら大臣も王の変動に気付いているらしい」

 毎日のように王の接近にいる大臣もが不思議に思っている。

 王の変動は確かなものになってきた。

 「大臣の命令はこうだ。『王に何が起こったのかを調べて欲しい』」

 「なるほど、王の変動の理由を探るわけか」

 「しかし、王には気付かれないようにだ。気付かれると終わりだ。何もかも……な」

 確かに、今の王の状況だ。

 あの王ならば、自分を疑った者だけでなく、全ての人々を殺すであろう。

 「しかし、どうやって暴くんだよ。しかも王にバレずにって……」

 「そんなの、王の親友に聞けばいいだろう? 最近、王は親友のところに遊びに行ったし」

 「そんな大雑把な……」

 「いいだろ? 何もやらないよりましだ」

 こうして、俺たち3人は王の親友である、森の奥に住む神父を訪ねることにした。

 「まぁ、とりあえず牢屋から出ろよ。そんなに此所が好きか?」

 グレッドが俺を見て笑った。

 「そんなわけないだろ? ただ……牢屋から出ることで王にバレないかなって」

 それが問題だった。

 王室には牢屋の情報が常に送られている。

 抜け出したのが分かると、兵士達が俺を追うだろう。

 「……ってことは、監視兵に見つからなければいいんでしょう?」

 「当たり前だ。そんなこと分かってる。でも、どうすれば……」

 すると、メリッサはニヤりと微笑んだ。

 「ヴァン。私を誰だと思ってるの? そんなこと、私に掛かればお手の物よ」

 そう言うと、メリッサは不思議な呪文を唱え始めた。

 そうか、メリッサは巫女。

 魔法が使えるのだ————  

Re: 【少年アリス】 俺は負けない 未来をこの手で掴むまで ( No.5 )
日時: 2010/03/26 18:06
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★第5章 魔の森★

 メリッサが呪文を唱え終える。

 そのときだった。

 先ほどまで俺たちを監視していた監視兵が息なり倒れたのだ。

 「何をしたんだ?」

 「簡単な催眠術よ。2日は目は覚めないわ」

 「なるほど、これなら大丈夫だな」

 監視兵は、1週間交代で入れ替わることになっていた。

 しかも、持ち場に着くのは1人のみ。

 催眠術で眠らせてしまえば、簡単なものだ。

 「よし、行くぞ」

 俺は強く槍を握りしめた。

 そして、俺たち3人は牢屋を飛び出し、外へと駆けていった。

 「とりあえず、レアーノ森を目指すぞ。神父に早く会わないとな」

 俺たちはレアーノ森を目指して歩いていく。

 レアーノ森。

 一度、任務で行ったことがある。

 しかし、その森は『魔の森』と呼ばれていて、とても恐ろしい森であった。

 罠が仕掛けられているなど、お手の物。

 凶暴な動物たちが襲いかかり、何人もの人々が死に至った。

 そんな森に住む、王の親友の神父。

 こんな森に住むことが出来る神父も、恐ろしい。

 「ほら、着いたぞ」

 森の入り口には大きな看板が立てられていた。

 「この先、入るべからず——ってか。どうする?」

 レイザットがニヤける。

 「どうするも何も、入るしかないでしょう?」

 俺たちは森に足を踏み入れた。

 そのときだ。

 ————何者だ。

 何処からか声がした。

 「王族所属の飛行隊隊長と、巫女、そして騎士団隊長の3人だ」

 ————何をしに来た、ヴィル……

 何故、俺の名前を?

 「神父に会いに伺った」

 ————神父に会って、殺す気か。

 「神父を殺す訳ないだろう!」

 ————我は何でも知っておる。
     隣国の姫君を殺害したことも……な。
     罪のない少女。
     殺したのはお前だ。
     神父を殺さないと断言できぬ。

 「しかし————!」

 ————お前の心には少なからずの闇がある。神父は闇のある者とは接触しない。

 それだけ言い残すと、謎の声は消えていった。

 「……俺の心に——闇」

 すると、メリッサが俺を励ますように言った。

 「誰なのかも分からない声に凹まないでよ。進みましょう、先へ」

 そうだ。

 凹んでなんかいられない。

 「行くぞ、神父の元へ」


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