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鈴と廃墟と脱出ゲーム。
日時: 2010/04/03 02:15
名前: ちびくろ ◆oKJqjubmQU (ID: w1PAg8ZW)

おはこんばんは、ちびくろといいます^^
小説を書くのは初心者になりますw
つたない文章ですが精一杯頑張りますのでよろしくお願いします
あータイトル決めるのに一苦労した。何回修正したの私w

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Re: 私と廃墟と脱出ゲーム。 ( No.1 )
日時: 2010/04/03 02:22
名前: ちびくろ ◆oKJqjubmQU (ID: w1PAg8ZW)

***




気がつくと、岩崎初音は見知らぬ部屋の中に居た。
室内は薄暗く、窓から差し込むわずかな光でかろうじて家具のシルエットが確認できるくらいだ。
目が覚めたばかりで視界がぼやける中でまず初めに感じたことは、つんと鼻につくカビの臭い。
そして、自分以外の人間のざわめきだった。
高い声から低い声、様々な声がちらほらと聞こえてくる。どうやら他にも数人、この室内に居るようだ。

「・・・う・・・あたま、ぼーっとする・・・」

目をこすりながらゆっくりと体を起こすと、初音を酷いめまいと吐き気が襲った。
胸から喉にかけて圧迫されたような感覚に思わずうめき、口元を両手で押さえる。
そのときだった。

「大丈夫・・・?」

「ッ!?」

初音の背中に控えめに添えられた手と、鈴が転がるような澄んで綺麗な声色。
10代前半くらいの少女を思わず連想する様な、まだ幼さを残した少女の声だった。
初音は驚き目を見開いたが、すぐにまた強烈な圧迫感に襲われごほごほと咳き込んだ。

「・・・お水とかあればいいんだけど・・・」

そう言って少女は初音の背中をしばらくさすっていた。
初音の背中を何度何度も少女の手が優しく上下し、いくらか気分がよくなった頃。
初音はだいぶ意識がはっきりとしてきた頭の中で、自分は何故ここに居るのかここは何処なのかと混乱していた。
無理もなかった。バイトから帰宅していた途中から記憶がないのだから。

「・・・あの、ここは・・・?」

先ほどから背中をさすってくれていた少女にありがとうと手でジェスチャーし、
初音はまだ軽く残っている吐き気をこらえながら少女と向き合った。
黒いシルエットしか見えないが、それでも分かるくらいの小柄な体系。少女は小首をかしげながら「んー・・・」としばらく考え込んでいた。

「まだ分からない。ただ、ここはどこか山の中の建物ってだけ。さっきそこの窓から見たの」

「そう・・・なんだ」

「うん。・・・あ、名前、聞いてもいい?私は灯里。椎名灯里」

「しいな、あかり・・・さん?・・・ん、よろしく」

初音はまだ表情に険しさを残しながらも薄く微笑み、
そばの壁まで床を這いながら移動すると、そのままどさりともたれかかった。
灯里も初音についていき、その隣にちょこんと体育座りをする。

「ね、名前教えて?」

「え?・・・あ、あぁ、私は岩崎初音、です」

「別に敬語じゃなくていいよ。・・・そっか、はつねって呼んでいい?私のことも灯里って呼んで?」

今自分が置かれている現状が把握できない、あまりにも精神的に不安定なこの環境で、
初音にとって灯里の言葉はとても温かく心強いものだった。
もしも自分一人だったら不安と心細さで泣いていたかもしれない。
初音は、自分に対して好意を持って接してくれている灯里に感謝し、二人が打ち解けていくのに早々時間はかからなかった。

Re: 鈴と廃墟と脱出ゲーム。 ( No.2 )
日時: 2010/04/03 03:42
名前: ちびくろ ◆oKJqjubmQU (ID: w1PAg8ZW)

***




「・・・じゃあ、灯里も気がついたらここに?」

「ん。私は変な薬かがされたとこまで覚えてるよ。
たぶん初音の気分が悪かったのもその薬のせいじゃないかな」

「・・・これからどうなっちゃうんだろう」

「分からない。でも、もうすぐ夜が明けるよ。ほら、窓の方見て」

「・・・あ」

室内の壁に三メートル程置きに設置された三つの小さな丸窓。
その一つ一つから、先ほどよりもわずかに強い明かりが漏れていることに気がついた。
だが、それ以外で窓がないこの室内は相変わらず薄暗かったのだが。

「今気づいたけど・・・あの窓、鉄格子がはまってるんだ」

壁にもたれながら初音が力なくつぶやく。
直径三十センチ程度の丸窓にはやや錆びた鉄格子がはまっていた。
まるで、外部から侵入する光を少しでも遮ろうとするかのように。

「・・・はは、まるで収容所。・・・私達、どうなっちゃうんだろ」

「初音、ネガティブは駄目だよ。
とにかく明るくなるのを待とう。向こうが必ず動くはずだから」

向こう、というのはもちろん初音達を誘拐し、ここへ監禁した犯人である。
犯人の正体は全く分からないが、この室内に初音達以外にも数名いることからおそらく複数いるのだろう。
いったい自分達はこれからどうなるのか。まず何事もなくこのまま帰ることはできないだろう。
底知れない恐怖に身を震わせ、初音は少しだけ涙で視界がうるんだ。

「・・・初音。大丈夫、私がいるよ」

雰囲気を感じ取ったのか、灯里が初音の手をきゅっと握った。
背中をさすられているときは気がつかなかったが、その手はとても小さく細い。
おそらく自分よりも年下であろう灯里の方がよっぽどしっかりしていることに初音は恥ずかしくなり、目に溜まった涙を服の袖でぐいとぬぐった。

「・・・あ、そういえば初音はとしいくつ?ふだん何をしてたの?・・・ね、楽しい話し、しようよ」

そう問いかけられ、初音は「そうだね」と、ぎこちなさが残っているがなんとか笑顔を見せた。
その後の灯里との会話でもっとよくお互いのことを知ることとなる。

初音は都内の高校に通う三年生で、家の近所にあるコンビニでバイトをしていたこと。
今はもうやっていないが、中学時代は陸上部に所属していて短距離の選手だったこと。
対する灯里は、初音と同じく都内に住む中学一年生で、初音の予想どうり自分よりずっと年下だったこと。
お互いそんなことを話しているうちにだんだんと朝日が昇り、薄暗かった部屋に一気に光が差し込めた。

「灯里、窓の方行こう。あっちの方が明るい」

「さんせー」

明るくなった室内で改めて見た灯里の顔は、暗闇の中で聞いた綺麗な声やシルエットだけだったが小柄な体系にぴったりと当てはまる美少女だった。
そして誘拐されたのが学校帰りだったため、セーラー服に身を包んでいる。

「やっとお互いの顔見れたね。へぇ、初音って以外と背ぇ高いんだ」

「灯里がちっちゃいだけでしょ。何センチあるの?」

そう言いながら初音はちらりと室内を見回した。
室内は広く、大きな大テーブルが真ん中に一つと、いくつかのイスが少しずつ距離を空けて置かれていた。
テーブルに所々汚れが目立つ白のシーツが敷かれていたことと、イスのデザインが妙に洒落ていたことから、テレビや漫画で見るような大きな屋敷を連想する。

「・・・私達の他にも結構人いるんだ」

部屋のあちこちに、ざっと数えて八人の男女がそろっていた。
眠っている者、うずくまっている者、立ち上がってそわそわと落ち着きがない者と様々だ。

「私達を入れると十人だよ。・・・キリのいい数字って、こういうときだと嫌な感じがするよね」

灯里が背伸びをしながら窓を覗き込みつつ答えた。
確かにね、と初音も同意する。

十人。

なんだが嫌な感じがする。
これから何かとてつもなく恐ろしいことが始まる、そんな予感がするのだ。

そして間もなくそれは現実に起きようとしていた。

Re: 鈴と廃墟と脱出ゲーム。 ( No.3 )
日時: 2010/04/03 22:24
名前: ちびくろ ◆oKJqjubmQU (ID: w1PAg8ZW)

あげますー
眠気と戦いながら書きますね

Re: 鈴と廃墟と脱出ゲーム。 ( No.4 )
日時: 2010/04/03 22:54
名前: ちびくろ ◆oKJqjubmQU (ID: w1PAg8ZW)

***




「・・・!初音、聞こえる?足音がする」

「えっ?」

丸窓の外に広がる森を見ていた灯里がすばやく反対側に向きなおった。
どうやら気づいたのは灯里だけではないらしく、他の監禁されている内の何人かも足音を感じ取り、その身を固まらせていた。
初めはかすかな音しか拾えなかった初音だが、徐々に徐々にその足音は大きくなり、そして足音は確実に増えていた。

「・・・っもうそこまで来てる・・・!」

初音はバクバクと破裂しそうなほどに鳴っている胸を片手でぎゅっと掴み、室内のまだ明かりが当たっていない箇所にある扉をただ見つめていた。
この扉は大きく、そして豪華な雰囲気をまとわせている。初音が起きる前に灯里や何人かの人間が調べたそうだが、当然ながらびくりとも動かなかったという。

こつこつ、こつこつ、こつこつ。

いったい何人の人間がこの室内に向かっているのだろうか。
たくさんの足跡が幾重にも重なり、そして、

「来るよ」

灯里がそうつぶやいた瞬間、一気に足音が止み———


ガチャリ。


施錠が外れる音がした。
室内の人間全員の視線が扉にだけ集中し、ギイイ、と嫌な音をたてて重い扉が開かれた。


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