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あの道の向こう
日時: 2010/04/09 21:09
名前: 天野 満月 (ID: JgiXnGnD)


ねぇ、知ってる?

あの道の向こうには、何があるのか。

普通に行くと

ただの野原が広がってる。

でも、特別な人間が行くと

そこには、その人の求めるものが

在るんだって。

ネェ・・・知ってた?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつしか、こんな噂が一部の地域に広がっていた。
何の変哲も無い、普通の街。
その中心部に当る所に、寂しい野原が広がっている。
それを少し奥に行くと、細い道がある。
噂になっているのは、その道だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

街の中に在る、とある学校。
在る少女が、居た。
長い髪を、ツインテールにしている。
可愛らしい顔立ち、絹のように白い肌。
何処にでも居るような、普通の学生。
ただ、その子は一つだけ普通では無いところがあった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「アンタなんか、死ねばいいのに。」

これは、世間一般に言う『いじめ』
と言う奴でしょうか?
私のクラスに、そのいじめを受けている子が居ます。
性格は大人しく、外見も悪くありません。
一体何が理由で、この子はいじめられているので
しょうか?
『可哀想』
きっと誰もが、そう思っています。
でも、自分がいじめられたら?
皆は結局、自分が一番大切みたいです。
でも、私もその一部。
あの子が、楽しく学校に来る事なんて出来るのでしょうか?
皆が変わらない限り、あの子はずっとこの教室で泣いているでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私が体育のとき、あの子は体操服を探していた。
私は、『隠された』と思って見て見ぬふりをした。

『花野 供花』

私の名前。
そう書かれた体操服を着ると、体育館に行こうと思った。
でも、あの子が可哀想でついつい足が止まってしまう。
仕方なく、私は皆が行った後あの子の体操服を一緒に探した。
体操服は、裏庭に在った。

「はい。これ、貴方のでしょ?」

「ぁ、ありがとう。」

その子の名前は、『伊藤 麻衣子』
私とは、幼稚園の頃から一緒だった。
幼い頃から優しくて、賢い子だった。

(また、仲良く出来たらな。)

不意に、そう思った。
ごもっとも。そうすれば、麻衣子は笑えて学校生活を送れる。誰も、大きくなってから罪悪感なんて持たなくて済む。
誰が、こんな悲しいことを始めたの?
良い子。
麻衣子は、悪い事なんてしてないし・・・
ただ、運が悪かっただけ?

暫く一緒に居ると、胸が苦しくなった。
可哀想。
でも、『貴方がこの子の代わりになれる?』
って聞かれたら、無理だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれから何日か経った。
麻衣子は学校に来てない。
突然来なくなった。

(如何したんだろう?)

そう思ったのは、一時期だけで暫く経つと麻衣子の事は誰も気にしなくなった。

その日、私は日直だったため、先生に届け物があった。
放課後、日誌やプリントを持って、職員室へ。
職員室は、何だか騒がしかった。
担任の先生は、顔を覆って泣いていて・・・
他にも、色んな先生が泣いたり、悔しそうに俯いていた。

(何だろう?)

そう思って、暫く職員室を覗いていた。
弱弱しい声で、誰かが言った。





「麻衣子さんが、死んでしまうなんて。」





え・・・・・・・・・・・?

麻衣子が、死んだ?
何で・・・?

本当は、心当たりがあった。
クラスのボス的存在、『七井 鈴子』
鈴子に言われてた。

アンタナンカ、シネバイイノニ____。

それまででも、何度も酷い事を言われてた。
だからって、麻衣子が・・・死んだ?
先生達の会話からすると、自殺・・・。
私は、驚いて日誌を出さずに急いで帰った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ソッカ・・・麻衣子が死んだ。
悲しいな。
意外に、心が痛い。
あの日、私が体操服を探してあげた時の麻衣子の表情が今もよく覚えてる。
疲れ切って、毎日のように泣いていて・・・
久しぶりに見た。麻衣子の笑顔。
あれが最後の笑顔。

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あの道の向こう ( No.1 )
日時: 2010/04/09 21:19
名前: 天野 満月 (ID: JgiXnGnD)

私の足は、自然に噂の野原へ行っていた。
細い道・・・通り抜けると喫茶店らしきお店?
溜息をつくと、ドアを開けた。
その途端に、強い薔薇の匂いと、紅茶の匂いが混じったような香りが、鼻を付いた。

『いらっしゃいませ。』

「え・・・?ぁ、こんにちわ。」

気が付くと、此処に居た。
みたいな感じ。
はっとして、驚いた。
私の前には、銀色の長い髪をして、神秘的な緑の色をした目の男の人が立っていた。
背が高く、長い足をして・・・
如何にも紳士、的な服装。

『お嬢様は、何をお望みで?』

きっと、どんなに離れていても聞こえるような不思議な声音で問われる。
私は戸惑っていたが、答えた。


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