ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 不規則サヴァン
- 日時: 2010/04/16 23:21
- 名前: 亜潮 (ID: 2rVxal1v)
*まず。*
初めまして、亜潮といいます。
小説がかけるようにになりたいなあとは思いながらも難しそうなので頑張っていきたいです...
読んでくださる方、ありがとうございます!
少し長いので気をつけてくださいね。
あと「こうしたらいいんじゃないか」などのコメントもしてくださるなら嬉しいです!
若干グロ表現あり。
Page:1 2
- Re: 不規則サヴァン ( No.1 )
- 日時: 2010/04/16 23:15
- 名前: 亜潮 (ID: 2rVxal1v)
ただ、其処に在った。
利用という言葉を教えられたときから、それは至極当然だと思った。
それでも僕はボクに会った。
ボクは優しかった。
僕は悲しい。
ぼくは疑っている。
僕は何も知らなかった。
後悔があった。
何故、こんな目にあわないといけないのでしょうか。
あんなにも、僕は———————
面倒。
とても面倒くさいですわ。
いつかはそうなることが決まっているならば、抗う必然が何処にあって?
・・・え?・・・・はぁ、この・・・・・・ふぅん。
・・・・でもまぁ少々、面白そうですから。えぇ、心配は無用です。バレエは少し嗜みましたの。
そういう問題じゃない?
頭がダイヤモンドね、良いの、理解できないならそれで。
—————しばらくは踊ってあげますわ。すわすわ。
不規則サヴァン
Trompe-l'oeil 01.
まぶしい。
正方形の形をしたこの部屋は、壁と壁との境目が分からなくなるほどに、白い。
一度は開いた目を閉じる。目が慣れるまでに時間がかかりそうだと顔を少ししかめながら思った。
「・・・さむ、いなぁ・・・・・・」
薄く唇を開いて少女はつぶやいた。
床はコンクリートで出来ているらしく、無機質な冷たさが腰を伝わって体を冷やしていた。
それでも寒さを追いやる為の動作はしない。寝起きで力が出ないからだ。
ただおっくうそうに瞳を閉じたまま、人形のように動くことをしようとしなかった。
ずっと前からの経験で動かなければそれはそれで慣れてきて平気になることを知っていたから。
少女はずっと其処に居た。
ずうっと、もしかしたら生まれてからかもしれない。
どちらにせよ、たくさんの冬が過ぎていった。高い位置の窓には、雪が張り付いている。
キ、キィギギギギィィィ。
部屋の隅から、金属のこすれあう不快な音が聞こえる。
進入の音。とたんに少女がぴくりと反応する。続いて、
「起きたかい?お嬢さん」
少女が薄く目を開けると、目の前にはにっこり笑う礼服を着た一人の男がいた。
食事の用意や掃除は全て眠りの間に行われていた。
時々、話し相手になりに部屋を訪れる≪彼ら≫も居たが、人との接触はとても少なく、目の前の男も見たことが無い人間だった。
だから、内心とても驚愕していた。
「・・・・・・誰、だろ?」
ポツリともらした独り言にも聞こえるそれに男はますます笑いを深め、少女の頭に手を置いた。
「僕は————そうだね、強いて言えば君の友達、かな」
「ともだち・・・?」
「そう、友達。君を迎えに来たんだ」
「迎えって?」
「ここから、出るって事。そして家へ帰るんだよ」
男は少女の頭を優しく撫でながら言う。
それをおとなしく受け止めながら、少女はどうも腑に落ちないように眉をひそめた。
「家・・・・・・あるの?」
「あるよ。君の、君だけの家」
彼の瞳はとても優しかった。
彼女は、物心ついたときには既にこの部屋にいたのだが、別にこの殺風景な部屋に特別な思い入れがあるというわけでもなかったので、興味をもった。
口を開き、肯定を告げようとすると、急に、窓の外の吹雪が強くなった。
「っ!…あ、ねぇ、」
「何だい?」
「前からの友達も、連れてって、良い・・・?」
彼はその言葉を少し訝しがった。
だが、少女がついていくという意志を見せたのでその≪友達≫のことを聞き返さなかった。
意味はわからないがただ、
「ああ、いいよ」
笑って承諾した。
暖かい、大きい手とかじかんだ、小さな手はお互いを握り締めました。
———こうしてとても穏やかに繰り返されるだけの残酷な赤い夢は、とうとう止められない時を持って巡り始めました。
逃げることが出来るように見える真っ赤な花、悪夢を回避し、運命を変えたのだと思えても。
それは全て、最初から決まっていたことなのです。誰も逃れることは出来なかったのです。これからも出来ないのです。
そんな広いようで狭い檻の中の、おはなし。
- Re: 不規則サヴァン ( No.2 )
- 日時: 2010/05/01 21:16
- 名前: 亜潮 (ID: 2rVxal1v)
やぁ、シオン。
元気だったかい?————そう、良かった。
今日も君と話をしよう、≪春≫が訪れるまで。
不規則サヴァン
Trompe-l'oeil 02.
「……うっとおしい」
ベッドからむくりと起き上がった人影が少女の声色でつぶやいた。
それから、暗い部屋の中でそれよりもっと暗い影はしばらく身動きせずに目の前を見つめ続けていた。
すると、ベッドの横に備え付けられているナイトスタンドがぱちっと音を立てて明かりを送る。
まぶしさに顔を顰めた少女は、
「僕の事かい?」
暢気な声に一層眉を寄せた。
「…違う。違うけど、…今はその明かりが最高に……うっとおしいなぁ」
「そう、ごめんね」
再び音を立てて明かりが消えた。
「昔から君は低血圧だったね」
「…ふー、……?」
重たげな声の向けられる方に、影はない。ただ声が其処から聞こえるだけ。
「夢だろう?どんな夢だった?」
「初めて動物園で虎と馬を見た時の夢」
「……?」
「じゃあねお休みオルヴォワ」
「え、あ、……ひどいなぁ…」
「———眠いんだよ。イヴェールと…違って」
「嘘だ、毎日少ししか眠ってないくせに」
「正解」
はーぁああぁあぁ。
今日も元気に眠れません。
ふれんちふらーいの前部分な言語で冬な人みたいになりたいなぁ。切実。
あ、うんもちろん忘れてないよ!忘れてないからその怖い目線を直ちにやめてください…と今は居ない幻想の≪彼ら≫に土下座る。
あぁ、私はただの昔なつかしな防弾ガラスの十代ですが。
「ねぇ、ヒヴァー」
「ローマ字読み止め」
「眠れないですぞ…」
「頑張れ」
「眠らないよ」
「だめ」
「いや」
「だめ」
「い」放送一時休止。しばらくおまちください。
暗闇の中でずっと浅い眠りを繰り返す。
時折、良くこの体がもつ、と彼は思う。
人間は一度死なないと生まれることはできないと言うのに。
それでも彼女は眠らない。だから眠らないと知りながら寝かせようとする事を楽しむだけ。
「…眠らなきゃ朝ごはんは僕が作るよ」
ぱりーん。
景気よく一枚やられた。
あれー、真ん中に挟んであったフィルムどこだっけ?やっぱり防弾じゃなかったみたいだよ。不良品ですな。
にやっとイヴェが笑ったから何事かと思えば・・・まて、頭を切り替えろ。はい、まともモード突入。———そんなのあるか?まあいいや。
「良いじゃない。イヴェールが作ったら絶対に、ぜっっったい食べないから」
「…もう、良いか……」
「じゃあ何か、話しを聞かせて」
「うーん、あ、えっとね…」
前おきは此処まで。
———彼女たちはこんな風に退廃した生活を送っています。
実は、この夜。
夢が本当だった時間から、もう3年経った年の夜。
最初のオルゴールが鳴り出す準備を始めていました。
————あ、準備終わったみたいですね。
さぁ。
物語の、はじまり、はじまり。
Page:1 2
この掲示板は過去ログ化されています。