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赤の皇女は闇の箱庭で独り嗤う
日時: 2010/05/03 17:02
名前: α ◆rtfhjFJm4I (ID: ujgQ5QpY)

初めまして
今回ここで初めて小説を書かせていただきますα【Alpha】と申します

物語の題材は『Chess』をモチーフにした世界
何処にでも進むことのできる女王が権力を握る世界です

こちらは赤の陣地sideの話となります


物語の詳しい内容は秘密とさせていただきますね
まだ結末も決まっていないような行き当たりばったりなαですが宜しくお願いします

コメントは随時募集中です

それでは狂気に満ちた赤の世界をお楽しみください

†お客様†


†目次†
>>1【序章】
>>2【FirstStory】

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Re: 赤の皇女は闇の箱庭で独り嗤う ( No.1 )
日時: 2010/05/02 21:56
名前: α ◆rtfhjFJm4I (ID: DBM1eX7d)

【序章】


        ココハ赤ノ皇女ノ治メシ深紅ノ世界

                    逆ラウ者ハ皇女ノ玩具トナリ朽チ果テル

      皇女ハ幼イ頃ニ己ノ時ヲ止メタ

                 永遠ニ無邪気ナ残酷サヲ失ワヌヨウニ

  タダ一人ノ下僕ダケヲ供ニ連レ

                       狂気ヲ隠ソウトモシナイママ日々ヲ過ゴス

広大ナ赤ノ国ヲ掌ニ納メ

        イツデモ握リ潰セルヨウニ弄ブ

             皇女ニトッテハコノ世ハ全テ玩具箱

                      ソノ終ワリナイ遊戯ノ時間ヲ止メルノハ誰?

Re: 赤の皇女は闇の箱庭で独り嗤う ( No.2 )
日時: 2010/05/03 17:01
名前: α ◆rtfhjFJm4I (ID: ujgQ5QpY)

【FirstStory】


「ほら、下僕……ボクはお腹がすいたよ」


深紅の玉座に座った皇女が宙に向かって手を伸ばす

囁かれた小さな呟きに反応するのは背後にひっそりと控える黒衣の男

無言で皇女の前に立ちその細い手を取って

次の瞬間には何の合図もなしに小さな体を抱き上げていた

いつも通りのことだというように特に何の反応も示さぬまま 男にお姫様だっこをされて運ばれていく皇女

男の方も皇女が身に纏っている刺繍やレース、フリルがこれでもかとあしらわれている深紅のドレスを

全く気にしていないかのように皺一つ作ることなくただスタスタと足早に歩みを進める

どれだけ歩みを早くしても皇女の体が揺れることはない

これは快適な車椅子

深紅のドレスに深紅の豊かな髪、陶磁器のような白い肌 それと対照的なまでの鮮やかな蒼色の大きな瞳で男を見上げる

感情など失ったかのように無表情で己を運んでいく男を興味深そうに見上げていた


「おい、下僕……まだ食堂には着かないのか?」


心底不満そうな口調でありながらも 表情は相手の反応を楽しみにするような笑みが浮かぶ

その表情を見下ろさぬまま 前を見たままで男は言葉を返す


「もう暫くお待ちください」


機械と会話をしているような面白みのなさ

すぐに皇女は不貞腐れたような顔になる


だが いくら皇女のお腹がすいているとはいえ今は食事の時間ではない

朝食が始まるには遅過ぎて 昼食が始まるには早過ぎる

皇女が朝食をいらないと言ったから それを出せばいいのではないか?

それはありえない

皇女の好みは時一刻で移り行く

早朝と現在の食べ物の好みが同じなはずがない

皇女の期待に添えぬ食事を出せば宮廷料理人の人生は崩壊する

玩具にされて ぐちゃぐちゃにされて 朽ち果てる


赤の国の中においてのみ 皇女の言葉は全ての地域に轟く

庶民の民家だろうと 伯爵の寝室であろうと 宮廷の調理室であろうとも

皇女が声を 命令を届けたいと思えば何処へでも届く

誰の耳にも強制的に入る

聞こえている命に対応できぬこと 逆らうことは許されない

この国では 聞いていなかった という言い訳は通じない

だから料理人たちは たった今聞こえた皇女の言葉に焦り 驚き

高速に 正確に 必死に皇女のための料理を作っていることだろう

だが黒衣の男はそんな料理人たちの気など知らないというように

スタスタと無情な早足で食堂を目指す

男にとって皇女の命は絶対

皇女が早く食事をしたいなら 早く食堂へ連れていかなければならない

その準備に追われる料理人など気にするつもりはなかった



「あぁもう…本当にお前は歩みが遅いよ、下僕」



卑劣な皇女の言葉にも眉一つ動かさず

男は食堂へ足を踏み入れた

食堂の真ん中にある大きな食卓には

一人で食べきれぬほどの量の素晴らしい食事が並べられている


床に下ろされた皇女は

残忍な微笑みを浮かべていた








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