ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- DestroyerSymphony -破壊者交響曲・第二曲-
- 日時: 2010/05/08 01:18
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: NvOMCXyZ)
>読者様
どうも、はじめましてからこんばんはまで小説を更新している受験生、SHAKUSYAです。
此処で二作完結作品を出した後、暫くサイトの様子が不安定だったためにこの小説版には出入りしていませんでした。が、一応掲示板の様子が安定し始めたようなので復活します。
そんなわけで性懲りも無く小説の説明を。
……題名で「ん?」なんて思った人、たぶん正解。
今回の小説は知る人ぞ知る『破壊者交響曲』の続編——の改訂版です。
何故改訂版かと言うと(……長くなるので簡潔に言うと)、以前此処に投稿していたデータを引っ張り出して今更書き直したからです。
これ以上此処で明かすと長くなるので、聞きたい人は質問お願いします。
一応この小説、元の小説を知らない人も理解できるように創るよう努めますので、どうか知らない人も知っている人もご愛読お願いします。
それでは、簡潔に注意をば。
・荒し、中傷、喧嘩、雑談他、迷惑行為厳禁。無駄なレスが列挙された場合はロックさせていただきます。
・難読漢字、難解表現有。言ってくだされば振り仮名を付ける、難解表現の説明をする等といった処置を取ります。
・グロ、下的表現有。控えるようには気をつけますが、閲覧の際は十分な心の余裕をもってお楽しみください。
・コメント、アドバイス大歓迎! ただし、ケータイ小説風の大量に改行や空行を使う書き方(改行ごとに一行開けるなど)、一話一話の長さに関する(話が長すぎる、短いほうが良いなど)不満には少々反論の余地をいただきます。
・ギャル文字、小文字乱用(はぃ、ぃぃぇなど)禁止。真に失礼ですが、スレ主は近代言語が分からない人間です。
以上の注意をよく読み、ネットマナーとモラルを守れる方はどうぞ、小説を閲覧してくださいませ。
それでは、この小説が貴方の目の保養となりますよう。
Wrote by SHAKUSYA (最終更新:五月八日)
〜お知らせ〜
Page:1
- Re: DestroyerSymphony -破壊者交響曲・第二曲- ( No.1 )
- 日時: 2010/05/08 18:12
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: NvOMCXyZ)
第一主題「龍と、人と、魔と」
第一楽章「長き闘いは、ここから創まる」
——死んだと言われ続けてきた賢者達は、今、此処に居る。
第五次神魔降臨暦、神闘代十四年、九月十四日。クロロフィリア連合国に於いて『賢者が世界を変えた日』と呼ばれるこの日こそが、総ての終わりであり、創まりの日である。
『碧眼の大賢者』と呼ばれ、『神殺し』と畏れられ、『屠龍(とりゅう)の力を持つ男』と崇められ、讃えられ、謳われたあの賢者、『拷問屋フィレイオン』と言う知る人のみぞ知る不名誉な異名すら持つ彼の男——イリーア・リヴェナ・フィレイオンが、四人の仲間と共に姿を消した日がこの日だ。
彼はこの日に突如として現れ、『神』と名乗る十二人の者をこの世から消し去って世界を致命的に変容させた末、余りに膨大な力を使ってしまったが為に死したとされる存在であった。しかし後日譚では「同じ姿を見た」と言う人間が後を絶たず、しかし事実の確認を出来るはずもなく、『世界変貌の日』に起こった彼の死とその復活は、真偽がはっきりせぬままに藪の中へと放り込まれている。
だが。
真偽ははっきりしないにも拘らず、クロロフィリア連合国内のに埋もれるように佇む墓地の一角には、彼が使っていた偽称であり愛称である『キリア』と言う墓碑銘と共に小さな墓が建てられている。何故か彼の死はクロロフィリア連合国全体で深く信じられており、如何なる後日譚を耳にしようとも、それを曲げることは決してない。
それは、多分彼がこのクロロフィリア連合国にて神と決戦し、そして“一旦は”死したからだろう。確かに父は一度死した、そんな事実は数多の人間が見ている。そうでなければ、これほどまでに彼の死が堅固に信じられる理由も無い。また、如何な真実味の強い後日譚を耳にしても首を縦に振らず、「彼は死んだ」と言い続ける理由も存在しないのだ。
しかし……そんなクロロフィリア連合国の人々が信じ続けてきた事実は、覆されようとしていた。
それはレンガの屋根に厚く雪の積もる真冬日。あの日から十五年余の月日が過ぎた、第五次神魔降臨暦、洸魔代二十九年、二月五日。彼の死した場所と同じ、クロロフィリア連合国での出来事であった。
数ある国の中でも、山脈付近であるために殊更冬の寒さが厳しいクロロフィリア連合国。その雪が降り積もる道中を静々と音も立てずに、しかし大股で勢い良く歩く人影が一つ、道の真ん中で強烈な存在感を占拠していた。その人影は此処にいる人間とは雰囲気が異なり、高山に面していて旅人が少ないクロロフィリア連合国では珍しい、旅人の姿である。
無造作に靡(なび)かせる、背中の中ほどまではある長い澄んだ銀髪。真冬日の碧空より更に碧き、瑠璃の様な碧眼。十二、三歳程と見える顔立ちには少々の幼さが残っている。また道往く人間と比べると随分華奢だが、歳格好の割りに別段胸があるというわけではなく——貧乳であると言う特例は考えないことにして——女という印象はない。一応特例を入れて考えてみたところで、顔を見ても明らかに男である。
そんな少年と思しき人物は格好を見ても男らしく、白い光沢の無い布地で作られた筒型衣の腰を黒いベルトで締め、其処に結界増幅用の魔法陣が刻まれた宝玉や堅牢な黒曜石で造ったらしき石の小刀、更には用途の分からない装飾品だが何だかを二、三本の鎖に通して幾つか提げている。更にその上から白い厚手の布で作ったマントを纏い、裾を装飾の多い金具で止めて右肩の方へ押し遣っている。そして首には、彼の瞳と同じ色をした宝玉を銀色の鎖でぶら提げていた。
放浪魔術師そのままの格好を体現し、人々の視線をそこはかとなく集めながら歩くその影こそ、『碧眼の大賢者』のイリーア・リヴェナ・フィレイオン——の息子である、ジェライ・リヴェナ・フィレイオン。十三歳の少年である。
無論直系の子孫である彼は、父の『龍をも屠る力』とも形容される程の強大な力をほぼ丸ごと継いでいる為、非常に強大な力を有している。しかし、如何せんその桁はジェライ自身でも計り知れないほど大きく、力を継いで高々十三年しか経たない彼では、本気を出せば御する事は不可能に近い。
彼の父親だからこそ……否、彼の父親でさえ御そうとして一旦死に、そして二十歳を大きく過ぎてから漸く御し得た途方も無い力だ。突然子に継がせ、それを御せと言われても高々十三年の年季では土台無理な話である。
そんな、真価を見出す事の出来ない桁外れの力を持つ銀髪の少年は、二つの目的を持って歩いていた。
先ずはクロロフィリア連合国と別の国の国境に位置する巨大な黒岩の山、この国や他の数多の国が乗っている大陸の共通語に於いて『竜族の故郷(ヴェリーズ・リーク)』と呼ばれ、人外種族の一種……この世界で言う“竜族(ヴェリーズ)”の用いる言語においては『龍の峠(ルベル・ド・クライデッド)』と呼ばれるその巨大山脈に住む竜族の下を訪ねることが一つ。
そして、やはり人外種族の一種である“魔族(グライア)”の内、“低級番と異名を持つ高位魔族”に復讐を果たすこと、それが一つである。
普通であれば驚くべき怨念だが、そんな遺恨の旅を続けるのにもきちんとした理由がある。——彼は十年間共に旅をしてきた父とその仲間をその“番を持つ魔族”に卑怯な方法で惨殺された。とてもではないが筆舌に尽くしがたい程父も仲間も惨たらしい殺され方をされ、彼さえ危うく殺されそうになった。それ故なのだ。
父を殺されてから三年以上、彼はその魔族の消息を追って長い旅を続けてきている。父を殺され、その上仲間まで殺されるという凄惨な仕打ちを幼い頃に受けたのだから、容認されても別段可笑しくはない。
しかし、この三年全くと言っていいほどその魔族の尻尾を掴む事は出来ず、ただ時間ばかりが流れ続けている。
中断
真逆の投稿第一弾「台詞なし」……。
なんか描写がすげークドクドしい。
- Re: DestroyerSymphony -破壊者交響曲・第二曲- ( No.2 )
- 日時: 2010/05/10 00:02
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: NvOMCXyZ)
- 参照: 第一楽章 続き
だが、今回の行き先は噂と言う噂、網と言う網を丹念に辿って辿って漸く来た場所であり、彼が一番望みを掛ける地である。この先に聳(そび)える筈、否、既に目前で壁のように突き立っている巨大な山脈……『竜族の故郷(ヴェリーズ・リーク)』には幾十年、中には幾百年幾千年をも生き続ける竜がいると専らの噂だ、もしかすればその魔族の情報が得られるやも知れない——ジェライはそう考え、ここまでの紆余曲折を乗り越えてきた。
しかし、勿論の事ながら疑念も湧いている。人の口は災いの元、虚言や嘘を吐こうと思えばそれこそ山のように言葉は出てくる。真実を伝えるより嘘を伝えるほうがその場凌ぎと言うのはやり易いものだと、ジェライは予ての経験から良く弁えていた。此処へ来るまでに何十回も虚言に弄されたのである、言葉を疑いたくなるのも余り無理なことではないだろう。
様々な感情が綯い交ぜになった複雑な表情を造り、何事か無いかと辺りに油断無く視線を飛ばしながら歩くジェライへ向かって、誰かの低く渋い、しかしどこか訛りの抜けない口調の声が、道の脇から静かに声をかけた。
「待たれよ、そこの旅人。行く先は龍の峠か?」
「何で僕の行き先を知ってるのかな。僕は君に何か言った覚えはないよ」
視線すら向けず、棘の混じった声で言い返すジェライ。渋い声の主は「何」と短く言って一旦言葉を切ると、木造の店が軒を連ねる内の一つ、どうやらこの国で言う酒場のような場所のベンチのような座り台から立ち上がり、マントを口元に引き寄せて警戒の視線を向ける異貌の少年へ向かって二歩ほど歩み寄った。
声の主の、異様な形相が仄明るく見える。
日が薄暗くてもそうと分かる浅黒い肌。低く纏め下げた黒い長髪。長めに掛かった前髪の奥の、柔和だが鋭い光を湛える特徴的な黒瞳。銀髪碧眼、特有の白い肌を持つジェライとは正反対な、しかし端整で少々掘りの深い顔立ちをした二十歳そこら程の男である。
ジェライは警戒から唖然へと向ける視線の色を変え、「何処の人?」と彼に聞こえないような小さな声で感想を漏らした。
無理は無い。凡そ遠い海の向こうにある東洋文化の国など、世界を一周でもしない限りは誰も知らない。彼の風体は正にその東洋文化の島国——この世界では汪洲壱都国(おうすいっとこく)と呼ばれる国のもので、この真冬で見るには実に寒そうな格好だ。
光沢のある黒い生地の長着と灰色無地の袴。それにやはり漆黒の羽織を無造作に肩から羽織っているだけの至極簡素な格好である。一応長着の下には重ね着をしているようだが、それでもこの雪の降る中では随分寒そうだ。しかも足元は黒い足袋に黒い鼻緒の下駄だけ。
海向こうにある島国の事など一縷も知らぬジェライにしてみれば、その格好は極めて変な格好だとしか思えない。しかし、人の良さそうな彼の腰と背を見て、ジェライは更に唖然とした顔を作った。
左の腰に二振り、背に三振り。合計して五振り。鞘に入って涼やかな鞘鳴の音を立てる武器らしきものが見えた。ジェライはその腰と背の鞘に収まる五振りの何かの正体を知っている。
……刀を持っているのだ。今日びどこぞの無頼浪人でも重くて長くて振り回しにくい大剣など持たぬ時勢、背に三振りも刀を持つ姿は他の人間に比べて遙かに異質な存在である。
父からの薫陶を受けているので、東洋でも武器にだけは詳しいジェライである。先ず腰の二振りは普通の打刀と脇差である事を認識して安堵した。が、ジェライの思考をより掻き乱したのはやはり背の三振りだ。どう穿って考えても腰の二振りで十分そうなのに、どうしてこうも大量の刀を持つ必要があるのだろうか。しかも三振りとも太刀などと言うレベルの長さではない、一番長いものでは刃の長さだけでも男の身長の二分の三ほどはある。
五振りの刀は、少なくとも権威の象徴として持っている、言う訳では無さそうである。腰の二振りを見るだけでも随分年季の入った様子だから、恐らくは実戦用の戦場刀なのだろう。が、矢張り五振りももつべき理由が、ジェライの十三年培ってきた知識では見出すことが出来ない。
思考すればするほど深みにはまっていく彼の迷宮を無視して、珍奇な格好の男は「どうしたのだ?」とやはり訛りを含んだ声で訪ねた。
中断
何だかなあ。
- Re: DestroyerSymphony -破壊者交響曲・第二曲- ( No.3 )
- 日時: 2010/05/13 22:43
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: NvOMCXyZ)
- 参照: 第一楽章 続き
そして言葉を続ける。
「刀をこれほど持つことが不思議かね」
「いやぁ、不思議で堪らないよ。二振りでも十分だろうに、五振りも持っていく必要はどこにもないでしょ。今日び、五振りも刀を持つ人なんか見たこと無いからね。いや、一人だけ居たけど……同じように、背に三振り、腰に二振り携えた、君と同じような格好の人が。僕が物心ついたときはもう五十歳にも近かった小父さんだけどね」
ジェライが訝しい顔をしてそういい切ると同時、男の顔が険しい表情を作った。そして何かを思案するように一瞬小首を捻り、直ぐに聞き返してくる。
「その者の名は、御秡如白都(やごうらはくと)と言わぬか?」
「あれ、何で知ってるの? さっきの行き先のことといい何と言い、君一体何者?」
更に訝しげな顔をするジェライへ彼は「失敬」と頭を少し振ると、不意に真顔で声を上げた。
「某(それがし)、名を御秡如龍杜(やごうらりゅうと)と申す。五刀と碧焔の超人的遣い手であった武士の子よ。この五刀は亡き父より受け継ぎ物、そなたが幾ら訝しく思われようと、父の形見を手放すわけには参らんでな。それより、気安く声をかけた某も某であるが、そなたは名を何と申されるかな?」
訛りは強いが静かで威厳を持ち、抑揚のある雅声。ジェライはその声に少々気圧され、そして微かなとある疑念を抱いたものの、名前を問われて返さないわけにもいかずに渋々と言った感じで名を名乗った。
「僕は……ジェライ。ジェライ・リヴェナ・フィレイオン。君の言うとおり、旅人。『碧眼の大賢者』……最近なら『神殺し』の息子って言えば意味通じる? あんまりこの地でこの名前は出したくないんだけど、君の正体を見極めるためさ。事実確認をしたいだけだから」
やはり警戒心をむき出しにして喋るジェライに、御秡如は静かな笑みを浮かべて返答した。
「ふふふふ。そうそう厭な顔をして案ずるでない、フィレイオンと聞けば後の言葉を言わずとも分かる。恐らくは主の推定どおりだろう。某の父は御祓如白都と名を申す、『碧眼の大賢者』イリーア・リヴェナ・“キリア”・フィレイオンの仲間であった武士よ。某はその通り、その御祓如白都の子だ」
「嗚呼、やっぱり!」
半歩右足を後ろに引き、ジェライは甲高い声を上げた。御秡如は何処か澄ましたような笑みを浮かべて小首を傾げると、「ところで」と中々素っ頓狂な声と言葉をジェライにぶつけた。ジェライも何処となしに素っ頓狂な顔で彼の顔を見、異貌の武士は苦笑しながらジェライが足を向けるはずだった白い道の先を親指を突き立てて示す。
「そなたは龍の峠に行くらしいな」
「確かに、それは認めるよ。でもさ御秡如さん、何で知ってるの?」
その疑問に御秡如はふふん、と得意げに笑った後、微笑み混じりの顔で静かに答えた。
「この太い大通りはな、龍の峠、またその先のファルトネシア公国やベルスルーズ神樹十二都市に直行できる一番の近道だ。こんな所を歩いて辿る人間は龍の峠に何某の用事があるか、さもなければこの界隈に用事がある人間だけである。しかしながら、龍の峠が近くなるこの界隈に於いて店に見向きもせずに歩く異国人とくれば、そなたは龍の峠、若しくはその先の国に用事があるとしか見えぬ故、山を張った。ただそれだけの事よ」
「へえ、流石に父さんの仲間の子息だね、あの人もそういう胸算は得意だった。長い胸算用は敵わないよ。……で、今更聞くけど何で僕に話しかけて来たの? 龍の峠に行くって確実に分かってて、それで居てわざわざ話しかける必要は何処にも無いじゃないか」
ジェライの問いに再び苦笑する御秡如。
暫しの沈黙の後、彼は返した。
「故は知らぬが、街の近くには高位魔族共が跋扈する区域がある。下手に油断して抜けるのは危険である、そう伝えたかったのだ。まあ本音を言えば、何かの縁であるし、共に旅をしたいなどと言う中々奇妙な事を考えてもいるのだが。某は浪々の武士であり世話を焼く人間だと自覚している、旅人が龍の峠に向かうと聞けば、やはりそう言う御節介もしたくなるものなのだ。えーと……嗚呼ジェライ殿か。ジェライ殿、奇妙だが共に往くか? 龍の峠へ」
す、と音も無く目の前に聳える黒々とした山脈を指差しながら、御秡如が声を上げる。ジェライは「人の名前で言い淀むなんて酷いね」と若干苦笑混じりに言い放ってから、すまなさそうに口をへの字に曲げる彼へ向かって返答した。
「僕は三年間、唯の一人だって仲間を作ったことはなかった。皆僕の名前を聞いただけでおののいて、逃げ出した。許し合える仲間なんか存在しなかったんだ。でも御秡如さん、貴方とは許し合えそうな気がするよ。だって父さんの仲間なんだ、コレって変な縁だよね」
朗らかに笑みを浮かべるその姿は、初対面時に見せた警戒心むき出しの姿とは裏腹に、少年そのものの笑顔であった。
それを見た御秡如は「ああ」と短く声を上げて同じように笑みを浮かべ、そして険しい顔になってジェライから山へと視線を移動させる。ジェライも幾分真面目な顔になり、高く険しい山脈を見上げた。
静かな短い会話が、賑やかな町並みを一瞬静かにする。
「往こう、竜の故郷へ」
「そうだね」
西洋と東洋。夫々が全く違う個性を持つ正反対な二人は、肩を並べて白き道を歩み出した。
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