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Queen the rose
日時: 2010/06/08 20:27
名前: なっち (ID: 6Yf0UZnU)


   〜エピローグ〜

 扉の隙間から、苛立った男の声が聞こえてくる。

 『あぁ! だから、あいつのそういうところが嫌なんだ! 俺の気持ちは、少しもわかりゃしない』

 男は机を一回叩き、暴言を電話越しに投げつける。
 
 『ほんと、殺してやりたいくらいだ!
  いっその事、本当に殺してやろうかっ』

 コツ コツ コツ コツ コツ コツ・・・・・・
 靴の鳴る音が、廊下から響いてくる。

 『ん・・? 誰か、来たようだ。 切るぞ』

 ピッ
 
 それから、しばらく経たないうちに、扉をノックする音。

 「誰だね? 入ってきなさい」
 「失礼します」

 それは、一人のまだ若いメイドだった。
 銀色のワゴンを、部屋の中へ引いてくる。

 「お茶の時間です。 先ほどから、—誰か存じませんが、— ずいぶんと熱心にお話をしてらっしゃったのですね」

 淡々とした口調で呟くように言った。
 
 男は、睨みつけるようにメイドを見て
 
 「何の話だか、聞いていたかね? メアリア」
 「いいえ、ちっとも。 ・・・聞かれては困るような御話を、なさっていたのですか?」
 
 メアリア、と呼ばれたメイドは、また淡々と答えてゆく。
 金色の花模様の縁取りがついたカップに、紅茶を注ぐメイドの姿を見て、男は唸った。

 「ふぅむ!! まぁ、それなら良い」

 メイドは、コトン、と紅茶のカップとミルクとはちみつを置き、早々に立ち去ろうとしていた。
 
 「メアリア、君のことを疑っているわけではないのだが…、もし、もしも君が今の話を聞いてしまったとしたら、それは他言無用だ。 もし喋ったら・・・・・・」

 男は、首を掻き切るジェスチャーをして見せた。

 「さようで」

 一言だけ応えて、メイドは、その部屋を後にした。
 男は後ろからメイドを睨みつけている。
 暗闇が包む廊下を、メイドは静かに、恐れもないように、—感情の見えない顔を向けて— 歩いていった。
 

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Re: Queen the rose ( No.1 )
日時: 2010/06/08 20:56
名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: 3r6DhwLS)

初めまして、煌謎です。

ぷろろ(?)が興味深かったです^^*
メアリアっていうメイドの事も勿論ですが、男が話していた電話の内容も気になります!!

更新頑張って下さいbb


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