ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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witch of black blood 〜黒い血の魔女〜
日時: 2010/06/24 09:49
名前: 白魔女 (ID: MnBE3vuR)

クリックありがとうございます、ファンタジー大好き、特に魔女が大ッ好きな白魔女です(。・ω・。)ノ

しばらく来ていなかったので、友達もいなくて寂しい思いをしております…が、今日からまた活動再開しようと思いますΣ(゜∀´*)b

…っていってもあと少しでテストがあるのですが(ノД`)・゜・。


とにかく、読んでもらえたらとても嬉しいです。
できればコメももらえたら小躍りして喜びますw


※微グロ注意警報

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Re: witch of black blood 〜黒い血の魔女〜 ( No.3 )
日時: 2010/06/24 10:20
名前: 白魔女 (ID: MnBE3vuR)



——序章——


 それは、まだ世界が魔法で出来ていた頃のお話。


 まだその頃は、妖精たちが森に住み、青空には真っ赤な火を吹くドラゴンがいた。そして夜は海辺で、人魚がその美しい歌声を波の音にのせて歌っていた。

 ——そう、そんな静かな夜から、この物語は始まる。


 昼間は金色に輝く砂漠は、月明かりに照らされ一面銀世界になっていた。月の光を反射し、砂漠は薄っすら明るく照らし出される。

 そんな美しい世界も、女にはうつろに見えてならなかった。彼女にはついこの間産まれたばかりの赤ん坊以外、何も目に入らなかったのだ。


 安らかに自分の腕で寝る我が子。女はその子を愛おしそうに見つめた。
 いつまでも、この安らかな時間がずっと続けばいいのに、と女は何度願った事だろう。

 しかし、ゆっくりしてなどいられなかった。追っ手がいつ来るかもわからない状態だったのだから。
 ふらふらの体を奮い立たせ、女は足を進めた。

Re: witch of black blood 〜黒い血の魔女〜 ( No.4 )
日時: 2010/06/24 20:30
名前: 白魔女 (ID: MnBE3vuR)



 ——どのくらい歩いただろう。
 足の感覚がほぼなくなり、いつ倒れてもおかしくないくらい、女は疲れ果てた。

 そしてもうしばらく歩き、ようやく先に明かりが見えた。それは大きな城だった。外壁が高く、さぞかし立派な城なのだろうと女は思い、そして決心した。


 ——あそこなら、きっときっと、この子を幸せにしてくれる。


 大きく頑丈な門のそばまで女は来ると、赤ん坊をゆっくりと地面に降ろした。可愛らしい顔は起きることなく、安心しきった顔で寝ている。女はその顔を撫でた。頭には真っ赤な赤毛があり、ふんわりとしている。


「——赤毛は、お父さんそっくりね」


 そう、一言だけ言うと女はすっと立ち上がった。


「さようなら。カレン」


 それは最後の別れの言葉にしてはとても短いものだった。しかし女にはこれが精一杯だった。これ以上ここにいたらきっと私はこの子を抱きかかえて、やはりどこかで一緒に暮らそうと思ってしまいそうだったのだ。


 これでよかったのだ。女は自分に言い聞かせた。これであの子はあの者達とはもう無縁になるのだ。私などと居るより、きっと幸せになるだろう。


 しかし女は最後に、こう願わずにはいられなかった。



 ——いつかまた、どこかで会えますように、と——。



Re: witch of black blood 〜黒い血の魔女〜 ( No.5 )
日時: 2010/06/29 19:02
名前: 白魔女 (ID: wp9GSg6Z)

——第一章——


一話・魔女・カレン



 谷の間にはどこか、とても張り詰めた空気があった。


 馬の上に乗った男達が、自分達の出番が今か今かと、荒い息で待っていた。鎧をしっかり固定し、槍を握り締め、男達はじっとその時を待った。
 向かい合った男達の群集は、一人の男が鳴らす音だけに耳を傾けた。

 一番奥にいた男が、木で出来た笛を高らかに鳴らした。高い音が、谷中に響く。そしてその刹那、男達は待っていましたといわんばかりに雄たけびを上げ、相手のほうへ走った。


 ——その様子を、谷の上からのんびりと眺める少女がいた。

 黒いローブを来た少女は、フードを自分の鼻まで持っていった。そしてブーツの紐をしっかりと結ぶ。


「皆さん、よく頑張ってますねぇ〜……」


 なんでもないように、少女は後ろにいた老人に話しかけた。老人は真っ白な髪とひげをしているのに、どこか威厳があった。

「私の出番もそろそろでしょうか?」

 少女の問いかけに、老人はうなずく。
「自分の仕事をしっかり果たすんだぞ。さぁ、もうそろそろだ。いけ」


 いい終わったか終わってないか、谷からまたあの笛が聞こえた。その音は空気を切り裂くように、少女の耳に届いた。



「——さぁて、仕事だ」


Re: witch of black blood 〜黒い血の魔女〜 ( No.6 )
日時: 2010/07/05 17:23
名前: 白魔女 (ID: bEKYC/sm)



 少女は今いた場所から一気に谷に飛び降りた。空気が頬に冷たく触る。びゅんびゅんと耳のすぐそばで音が鳴った。それにもかまわず、少女は口を開いた。


「我が忠実なる僕よ、今ここに契約を果たさん——」



「あれは一体なんだ?」

 一人の男が戦いをやめ、空を見上げた。黒い人影のようなものがこっちに向かって落ちてき、さらにそのものの周りを取り巻くように、黒い影が現れた。渦巻くように影は動き、そして一つの形を成した——人、というよりそれは魔物だった。


 全身真っ黒の化け物は、真っ赤な鋭い口をこっちに向けたかと思うと大きな黒い翼を広げ、男達に向かって襲っていった。悲鳴は血しぶきに変わる。


 男達の表情に、恐怖の色が見えた。少女はそれを確認すると自分の腕を刃に変え、地面に着地した。そして着地した瞬間、深く被っていたフードが弾みで取れた。中からは、血のように真っ赤な赤毛の髪があった——。

 間髪いれずに少女は腕——という名の刃を振るった。黒いローブに赤い液体がつく。


「遅いぞ、カレン。また上のところで高みの見物でもしていたんだろう」

 馬に乗っていた男が少女——カレンに話しかけた。


「だって、暑苦しいの苦手なんですもん」
「暑苦しいってお前——」
「おい、スワン。無駄口ならあとでにせんか。まったく、戦いの途中だというのに……」

 スワンと呼ばれた金髪の男は顔をしかめ、「何で俺だけが……」とぶつぶつ呟いた。


 その様子を片目で見ていたかレンは、クスっと笑った。

Re: witch of black blood 〜黒い血の魔女〜 ( No.7 )
日時: 2010/07/06 20:17
名前: 白魔女 (ID: ZnpTReUX)



 戦いはカレンたちの圧勝だった。少しの死傷者は出たものの、カレンと魔物のおかげで被害は少なかった。後片付けでカレンの出した召喚獣は、死体を漁るのに夢中だったが、イノシシの肉を見せるとまさに飛んできた。イノシシの肉が大好物らしい。

 城に戻ると、知らせを聞いてすぐに準備したのであろう、大広間でパーティの支度が整っていた。戦士達の帰りに、城中の者が拍手喝采を送った。戦士達の中にカレンは混じっていた。

 戦士達の先頭を歩いていたのは、誰であろうこの城の王だった。王・ラジャールは鎧を取り、王冠を頭につけた。すると城の妃でラジャールの妻・エスペラがラジャールに駆け寄った。

 二人が王座に座ると、すぐにラジャールが口を開けた。


「えー、此度は我が城と西の国の戦いであったが——」


 ここから長い話が始まるのはいつもの事で、カレンがいい加減うんざりしていた。戦いで体はくったくただというのに、またここで立たされなければならない。——あぁ、早くあのふかふかのベッドの中へ飛び込みたい——そう思ったときだ。


「——この勝利は、カレンが討ち取ったも同然、我が城の魔女に、拍手を——」

 皆がわぁっと拍手をカレンに送った。いっきに視線が自分に寄ったので、思わず顔を赤めるカレン。しかしラジャールの隣で一つの声がした。

「王様。カレンはまだまだ未熟な面もあります。今回の戦いでもカレンは——」


 先ほど谷の上でカレンと共にいた、彼女の師匠で城の魔法を担当しているラケルだ。ラケルはさっそくカレンの落ち度を話そうとしたが、ラジャールがそれを遮る。

「良いではないかラケル。彼女は14歳にしてあれほどまでの魔術を使い、兵士達とも混じって城を守ってくれているのだ。私は今まで生きていた中で、これほどすばらしい魔女にあったことなどない。カレンは天才だ」

 褒めちぎられるとは、このことだ。カレンの顔はリンゴのように真っ赤になってしまった。




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