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剣の舞。。。−雷光編-
日時: 2010/06/28 17:02
名前: 伊織 (ID: idHahGWU)



「あのときのお前は独りだった。
 オレの人格を壊せ。
 雷光はもう 独りじゃねぇから」




 声が聞こえた。


 高貴の声が。


 ボクに勇気を与える
          家族の声が——。


 
 「…ありがとう。
         高貴」




『ならお前は、まだ死にたくないって迷いがある』



 あの雪音ちゃんの声は
       どこまでも澄んでいて——


 嘘なんて
    つきたくなかったんだ。


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Re: 君へと紡ぐ物語... ( No.1 )
日時: 2010/06/26 21:44
名前: 伊織 (ID: idHahGWU)

第一話


「雷光、そろそろ起きろ。
 欠片を完成させるぞ」

「うん。ごめんね、雪音ちゃん」


欠片——。
記憶の欠片。

記憶の欠片さえ見つかれば、
ボクは記憶を取り戻すことができる。

いつも頭に響いてる——
『兄の高貴』と名乗る男の声。

赤の他人の声が響いてるみたいで
嫌なんだ。


「今日は何を回収するの?」
「今日は『天使の預言書』だ」
「そっか」


記憶の欠片は、
天使と悪魔の宝物を集め
その影響で完成するもの。

一部からは【神】とも称される
伝説の欠片。


でもわかる、高貴はすごく大切な存在なのだろう。

高貴の声が響くたび、
胸が痛むんだ——。


「準備はできたか?」
「うん、できたよ。
 待たせてごめんね」


 雪音ちゃんはいつものように、
溜息を吐く。


「いちいち謝るな。
 調子が極限に狂う」

「……うん」


 ボクはいつまで、
こんな日々を繰り返すのだろう。


ボクがそんな事をのんのんと考えていた時。


 コンコン、とノックがかかる。

 なんとなく、不意をつかれた気がした。


「はい——」
「おはようございます。
 雷光様」

 ………颯さん?

「どうしたんですか?
朝早くから」
「いえ、特に理由はないのですが、
ただ雪音様がいらっしゃるのではと」


ああ。
雪音ちゃんか。


「ええ、いますよ。

 雪音ちゃん、颯さんだよ。
 朝食を摂ろうかお互い」


「そ、颯くんに私をあわせるな!!
 雷光!お前雷だろう!
 雷の光の恐ろしさ見せたれいっ!!」


 雪音ちゃんは颯さんを恐れている。
まぁ、そうだろう。
颯さんは雪音ちゃんを想いすぎてる。

でも、一言言わせてもらうなら。


「雪音ちゃん。
 雷は君の方だよ。
 ボクは雪派だ」

「逆さかっ!!」

「いいんじゃないかな。
人に想われててうらやましいよ」



だってそれは
  独りじゃないって証拠だから。



「お前、颯くんが好きなのか?」

「………え?」

「BLか?BLなのかっ!?」
「え、いやなんの話」

「お前はわたしより颯君をとるのか!?」
「え??いや…」

「一辺死ねぇぇええぇぇええええ!!!!!」
「え?え??」


 
片手でドアの向こうへ投げられた。
なんという怪力だ。

ムチャクチャ…。

でも。
雪音ちゃんは明るくて素直だから。
一緒にいて楽しい。

でもそれは、
ボクが独りだって実感する時間でもあるんだ。


近いけど
遠い。



Re: 君へと紡ぐ物語... ( No.2 )
日時: 2010/06/27 12:02
名前: 伊織 (ID: idHahGWU)

雪音ちゃんが光なら
ボクは闇だ。


氷のように冷たく
夜の様に暗い
暗闇——。


雪音ちゃんは
太陽のように輝く
あたたかい光——。



兄貴——ボクは独りかな?


いつもそう高貴に問うて、
必ず同じ答えが返ってくる。


——いっしょうな——


それはとても寂しい答えだと思う。
ボクは独りでも生きていかなきゃ。

それがボクをある事件から
守ってくれたらしい家族の為なんだから。


でも、高貴はいつも言う。


——わかったってお前は独りだ。
  逆にかばった理由がわかれば今以上に——


…高貴はいつも高く笑う。

高貴にはボクぐらいの重い闇でも
背負っているのだろうか。

Re: 君へと紡ぐ物語... ( No.3 )
日時: 2010/06/28 17:00
名前:  七瀬 (ID: idHahGWU)

「雷光、
 記憶の欠片は、『雪海』の
 再生でもあるぞ」

「雪海ちゃん?
 ああ、雪音ちゃんの断片だね。
 反響音」

「もっとも」


雪音ちゃんは嬉しそうに笑う。
記憶の欠片には
全ての記憶がつまっている。


雪音ちゃんの脳から生まれた
雪海ちゃんは記憶の欠片で復活するのだ。



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