ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

囚人の有効活用方法
日時: 2010/07/06 22:37
名前: たきた (ID: NN.yKTYg)

初投稿。
舞台が「刑務所」ということでシリアス・ダークのコンテンツにきましたが、ちょっともしかしたら違う…?
間違ってたら教えてください。

Page:1



Re: 囚人の有効活用方法 1 ( No.1 )
日時: 2010/07/06 22:36
名前: たきた (ID: NN.yKTYg)

番号で呼ばれるようになったのは、5年ほど前からだ。
5年という月日が経てば、最初は嫌がっていたのも意外と慣れるもので、不本意ながらもそれを受け入れていたのだ。
俺の本名は瀬羽実。囚人No.0034。
5年前に窃盗罪で逮捕され、この牢獄に収容された。
まさか、たまたま近くにいた老人の鞄の中に福沢諭吉が1000枚入っているとは思わない。
しかもそれが、警視庁総監だとは誰も想像しない。
それが現実に起こってしまうのだから仕方が無いのだが…。

「…はぁ…」

溜息は何度吐いただろう。
衝動的に動いてしまった右腕が憎い。本当に憎い。一回折れろ。…やっぱごめん折れないで。
俺の苦労もあと数ヶ月でピリオドを打つ。
遂に、遂にだ。
5年間服役した。毎週読んでいた漫画の内容はどれほど進んだだろうか。
毎日通っていたコロッケ屋の店長はまだ元気だろうか。
ああ、外に出たい。


「……、」

牢屋の柵越しから影が一つできる。
徘徊員の金木だ。

「…瀬羽実」
「え、…」

久々に、他人から本名で呼ばれた。

「牢から出ろ。話がある」
「…話?」
「総監から直々に、だ」

こりゃ驚いた。
まさか、飯と風呂と便所と仕事以外で牢から出ることができるとは。

「………」
「…おい、返事は」
「ぁっ、ああ、はい」

ガチャリと鍵が開く音がする。
数時間前、夕飯を食べに行くときに聞いたのと同じ音だ。
一歩足を踏み出し、金木の後をついていく。
もしかしたら、もしかする。
俺の牢獄での生活が、出所の数ヶ月前に終わるのかもしれない。



「……っしゃ、」



心の中でガッツポーズ。
声は表に出てしまった。

グッバイ、ひったくり犯の俺!





—…まあ、そんなことがあるわけないのだが。





「…あっ、先輩じゃないッスか!」
「……浜野」
「先輩も総監様に呼ばれたんスか?自分もッス!」

嬉しい知らせッスかねぇ!と、浜野は笑う。
浜野秀仁。19歳の少年である。
2年前に入ったばかりで、なぜか俺のことを『先輩』呼ばわりする変わった奴だ。
容姿は染めた金髪にピアス、拘りなのかは知らないが、左目に赤のカラーコントクトをしている。
本人曰く、「こっちの方が格好良いじゃないッスか!」らしい。

「話って何なんスかねぇ」
「ああ、本当に嬉しい知らせだといいけどな」
「きっと、俺と先輩の無実が証明されたんですよ!」
「…楽観的すぎやしないか?」
「俺が無実なのは本当ですもん」

実は、浜野も窃盗罪で収容されたらしい。
浜野は自分の無実を主張し続けている。身に覚えの無い、自分は何もしていないと。
真実は、分からない。

「……あ、浜野さんに瀬羽さん」

ガチャ、と、後方の扉が開く。

「よーッス、眼鏡崎!今日も綺麗な眼鏡だな!」
「綺麗な眼鏡って何スか!それと、俺は眼鏡崎じゃなくて鏡崎です!」

眼鏡崎…じゃない、鏡崎は俺たちの更に後輩。(後輩というか後から入ってきた奴。学校じゃないんだから…)
鏡崎考介は半年前に此処に収容された。
年齢は確か…俺より1つ上、24くらいだったと思う。
容疑は確か………あれ、確か…

「鏡崎、お前…窃盗罪で捕まったんだよな」
「ああ、はい。気が付いたら、骨董屋の大皿盗んでたみたいで…」
「気が付いたら!?眼鏡崎ったら〜、もしかして君、ドジッ子?」

浜野が茶々を入れる。

「だから鏡崎です…あの、浜野さん。僕は一応貴方より年上なんですよ?」
「でも、ココにいるのは俺の方が長いじゃん?だったら、俺の方がセーンパイっ!これ重要、だから」
「浜野さん、怒りますよ」

ぎゃあぎゃあと口喧嘩を始める浜野と鏡崎。
なんだかもう…俺は慣れてしまった。
半年前に会ったその日から、浜野の鏡崎イジリは止まらない。
年の差関係無く接している、と言えば聞こえはいいが、浜野の場合は、接し方が荒いのである。
鏡崎も鏡崎で、他に頼れる場所が無いらしい。
俺は、よくこのメンバーで行動することが多かった。

「…ふぅ、あっあの、瀬羽さんも総監に呼ばれたんですか?」
「ああ…呼び出しといて、遅いな」
「そッスねー…バックレますか?」
「駄目だろ」
「うー…。あーぁ、早く外に出たいなー」

浜野が駄々をこね始めた。
総監、早くしてくれ。駄々こねる浜野は子供のようで本当に扱いづらいから早く来てくれ。


待ち続けて20分後。

俺達の運命が大きく変わるとは、思ってもいなかった。

Re: 囚人の有効活用方法 ( No.2 )
日時: 2010/07/07 16:05
名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: BwWmaw9W)

おぉ!
これはおもしろい。
どうも初めまして。
ここでSBSを書いている空です。
刑務所っていうのは、めちゃくちゃダーク用語ですよ! ここで合ってるんじゃないですか?

おもしろいですね。ここの読者になります!
題名に惹かれてやってきて、案の定面白い作品ですね。一体、瀬羽実達は、一体これからどうなるんでしょう……。


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。