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- 人として軸がぶれている 番外編
- 日時: 2010/07/22 18:40
- 名前: 羽留 (ID: kws6/YDl)
※詳しくは≪人として軸がぶれている 完結≫
を見ていただけると話が分かると思います。
では↓へ。
あ、バットエンドが嫌いな方はブラウザの戻るを押してもらえると助かります。
また—今日もか。
「またかよ…はあぁ…」
「東くん…そんなにあのヒトが気になるんですか?」
あのヒト。
それは≪坂本直樹≫のことだった。
同クラで、がんがどうのこうので学校を休みらしい。
でも、おかしいと思わないか?
俺が坂本を見たのは始業式だけだ。
そして知り合いになったのも、始業式だ—
始業式—俺は比呂と一緒にクラス表を見ていた。
…四クラスもあんのか…
「同じクラスになれるといいな」
という比呂の声に俺は
「ん」
と短く答えた。
でも、四クラスもあるし…どうせなれないだろ。
俺は…あ、
「「二組」」
比呂と声がハモった。
「俺ら二組一緒だなっ!友情パワーだなっ」
比呂…ゆうじょうぱわーってお前…。
寒いし…。
まぁとりあえず俺達は二組に向かうことにした。
教室に入ると全員の視線が一気に俺らに向けられ、こちらを見てひそひそと話す声が聞こえる。
皆が…高校生となると凛としていて大人っぽい。
でも、クラスで浮いてる奴が居た。
なーんっか丸眼鏡に黒髪の奴。
一人であわあわしてる。
どこかに入れるグループを探しているのだろうか。
でも俺人に声とか…初対面でかけらんねぇし…。
なんて言うのも、浮いてるアイツを見ちゃ、もうなんかこのままじゃいれない。
「おい—」
俺は「おい」と声を掛けてみた。
掛けてみたはいいものの話すきっかけがない!
ちょっどうすれば?!
コイツ俺のことじっと見てるしっ。
「あの—あのですねぇ…えっと—いっ…良い天気ですね—」
うわぁぁ俺は近所のババアか!
しかも良い天気って…。
ババアでも最近は言わねぇよ?!
言ってて恥ずかしくなってきた。
それに敬語て…。
…外、雨だし、全然良い天気じゃねぇ…。
「…あ、え…と、どこ中から…俺、は、青島…」
どうやら俺のおかしい言葉に戸惑っているらしい。
でも必死で話題…ってそうだ!
どこ中から来たんだよって話し掛けられば良かった…。しかも青島ってめっちゃ頭いいトコじゃん。
次に言いづらいし。
「水嶋中から…」
そう言うだけで精いっぱいだった。
あぁもう辛い!
するとくすくすと笑って、自己紹介を軽くしてくれた。
「俺、坂本直樹ってゆーの。お前は?」
サカモトナオキ?
い、いきなり男らしくなったな。
「お、俺、東京汰」
それが初めて高校で出来た友達で嬉しかった。
「ってわぁあっぁあ?!
洙っ洙羅いつの間に…!」
いつの間にか原作で彼女になった洙羅が隣に座っていた。ちなみに、かなりの美少女だ。
…取るなよ?
「ぇ?ずっと居ましたよ?」
「そん…」
あっぶねっ。
危うく存在感ねぇなって言おうとしちまった。
ぶないぶない…。
「あーそー…」
でもやっぱり変ではないだろうか。
今はもう七月だぞ。
一学期終わるのに。
会ったのは一回だけってどゆことだよ?
放課後…アイツの、家行こうかなー。
「あのヒトの家、行くんだ」
「そうそう…ってえっ…なんでわかんだよ!
透視能力…っ」
と、とうし。
俺今声出してねぇぞ!
ちょっと!
「彼氏の思うことぐらいわっかりーますぅ」
さ、流石。
…これが女の勘ってヤツか?
…だとしたら浮気なんてしたら…あぁ、考えただけで駄目だ。
それこそ次に殺される。
「ほぇぇ〜…サカモトん家って一軒家かぁぁ〜」
放課後俺が坂本の家に行くのに、洙羅もなぜか付いてきた。…彼女だから当たり前なのか?
そんなことを考えてる間にぴんぽんとチャイムを洙羅が2回鳴らした。
インターホンからは…応答なし。
なぜだ?
…病院に行ってるのかもしれない—
今日はひとまず引き上げることにした。
「ねぇ…おかしいよ…」
おかしい。
あれから一週間ずっっっと通い詰めたがなんっも応答なしだった。
おかしい。
おかしい。
おかしい。
大事なことなので四回言いました。
「もっかいピンポン—」
「駄目だって…なんか俺らさぁ近所の人に怪しく思われてるっぽいし。
帰—」
「だれ?」
え。
背後から声がした。
すぐに俺は後ろを見た。
黒い髪、ついんてーる、長くて細い髪。
それなのに肌は白い。
それは、直樹の妹の…ええと…
「坂本、るり。前に話したやんか、さんかげつじゅーなな日前にね」
……んと。
フリーズしてしまった。
色んな意味でね。
…そうだ、…坂本流狸だ。
っと…忘れてたんじゃない。
ちょっと…ド忘れだ。
…そうでしたね。
さんかげつじゅーなな日前に教えてもらいましたね。
やっぱ、女の勘はすごい。
俺がなに考えてるのか分かってるんだから。
それに記憶力もすげぇ…。
確かこの子三年生だよな…。
「で、何の用なん?」
か、関西弁?!
そーえーばさっきも…。
ハマってるのか…。
「えっと、お兄ちゃんのお見舞いってゆーか…そんなトコ」
すると流狸はえ?みたいな顔してた。
まぁ失礼だけどアイツ友達俺しか作れなかったしなー。
そりっゃ驚くな。
でも次に流狸から出て来たのはとんでもない言葉。
「にーちゃん病気じゃあらへんよ?」
はい?
「にーちゃん学校行ってるやーん」
と言って腹抱えて「何言ってるん」と言って笑っている。
学校。
来てないよ。
「学校—来てないですよ?」
そう言ったのは洙羅だった。
するとまたポカンとして、こう言った。
「にー…ちゃ…。
ね、…その学年に林比呂って居る?!」
一瞬唖然とした様だったけど、次の瞬間は興奮していた。
って、それどころじゃなくて—なんで。
ヒロを知ってるんだ?
「なん、で、比呂…」
そんな声を出すのが精いっぱいだった。
それ以上は出せない。
「中学のと、き—
にーちゃんをイジメてたリーダー…」
な?
りーだー?
比呂が?
思考回路が。
おかしくなる—。
今神に一つだけ、質問に答えてもらえるならば。
≪比呂はそんなことしませんよね?≫
と聞きたい。
俺は中学同じじゃないけど。
ただ小学校ん時アド交換しただけだけど。
でも。
比呂はそんなこと—
「そんなこと。も、ありましたよね」
ソンナコトモアリマシタヨネ?
そう言ったのは—洙羅だった。
「一年上の学年で起きていたけど、有名でしたもんね。
比呂君を筆頭のイジメ—」
んなこと、ない…。
比呂は…。
んなこと…。
というか…。
洙羅と比呂と直樹は同じ中学校なのか。
それで
直樹を
イジメタ??
そんなはず。
ない…。
あんなに友情ストーリーに燃えていた比呂が。
あんなに頭の良い青山中で。
イジメが…。
そんなこと、あるわけ…。
「あるわけない」って自信持って言えない。
「キッカケは、九月のある日—それまでは直樹くんと比呂くん、仲良かったんですけどね—。
比呂くん…青山美津保って子が好きで、直樹くんに相談しようと直樹くんの家向かう途中に…
美津保ちゃんと直樹くんが手を繋いでるとこ—
見ちゃって…。それからイジメが始まったんです」
恋愛関係。
でも比呂…。
お前がイジメなんて。
—分かってる
本当は
比呂がイジメをしていたことなんて
でも
認めたくなくて
ただ
俺は
——現実逃亡してるだけだって——
「じゃあ—高校に入って比呂が居たから不登校に?」
すると流狸は小さくこくんと頷いた。
そうか—。
—っ…
「直樹、今どこに居るんだよ?!」
「えっ…分からんよ—家ではないことは—」
俺は気がつくと走っていた。
勿論、直樹を探して。
とばり公園—、文房具の店—、学校—
俺はありとあらゆる場所を探した。
でも、
「見つかんねー…」
そう簡単に見つからないことだって分かってやった行為だ。
あー………
俺は走り過ぎて喉がカラカラだった。
なんかシュワっしたの飲みてー…。
…そーえーば近くにセヴンイレヴンがあったはず…。
「いらっしゃいませー♪」
とりあえずコンビニに来た。
のっみもんのっみもん…。
やっぱここはフォンタのポテトサラダ味しょー。
…あれ?
向かいのお菓子売り場に居るのは
「直樹———?」
そうだ、直樹だ!
直樹が俺の存在に気づくと、手に持っていたジャガココを手放して走って店から出て行った。
って俺もボーっとしてる場合じゃねーって!
フォンタを元の場所に戻して、急いで追いかけた。
てかアイツ足速くね…?
どんなに頑張っても、追いつけねぇ…っ。
そ、ろ、そろ
息が—
どんっ—
「ってぇなゴラァァ!」
向こうでなんか喧嘩か?
ふと前を見ると—
比呂と…直樹—?!
比呂が直樹の胸ぐらを掴んで…る。
比呂のその顔は鬼と言っていいだろう。
声の高さも全然違う。
そう、
まるで
比呂じゃないような———
—今俺は初めて気がついた。
それは≪感情より体が先に動く≫ってこと。
心がどーのこーのよりも俺は体が先に動くらしい。
今、実感した。
「お前—何やってんだよ!」
俺は比呂と直樹の間をグッと離した。
「—きょう、た?」
と比呂が言うと途端にバタっとその場に倒れた。
こういうパプニングはもう慣れた。
完結編で色々とあったしな。
ってゆーのは置いといてとりあえず、
「直樹、家まで運ぶの手伝えよ」
というと無言で直樹は比呂の肩に腕を回した。
「そんなことが…」
とりあえず比呂の家まで運ぶことにした。
そして今まであったこと全部比呂のお母さんに話すと、ちょっと涙ぐみながらも話してくれた。
そして俺達は衝撃を受けた。
「あの子、二重人格なの—」
なんだって?
比呂が
ニジュウジンカク??
「いつもの熱血な性格が裏—
表はあのような恐ろしい性格なの」
熱血が—裏—。
≪京汰っサッカーやろうぜっ≫
≪友情パワーだなっ!≫
≪ずっと親友なっ≫
「比呂—二人ともごめんなさい。
もう比呂とは関わりを持たないで?」
比呂、比呂、比呂。
俺ん時は優しかったじゃん。
あれは全部裏なのか。
「あの子、施設に入れようと思うの」
え—?
施設って—。
あの—。
前にひぐらぴの鳴く頃にで、見たことある。
すごく—恐ろしくて—
吐き気がした(実話)。
そんな、所に—…。
「そんなの—」
「それしか方法がないのよ!」
そう言うと人目を気にせず泣きじゃくる比呂の母。
それから俺達はずっと黙ったままだった。
「——さ、空も竜胆色になって来た頃だし、家に帰らないと」
…比呂はまだ目が覚めない。
なんで?
あれから少なくとも1時間は経ったのに。
—いつもこうなのかもしれない。
…帰ろう。
帰りは直樹と同じ方向だったが話す内容が無い。
そして、最初に重い口を開いたのは直樹の方だった。
「妹から—聞いたんだろ、アレ」
無表情で俺にそう問いかけてくる。
≪アレ≫ってゆーのはなんだか分かるよな。
「…………あぁ」
俺も無表情でそう答えた。
そう言った瞬間歩道橋の上でぴたりと止まった為俺も止まった。
「———俺、比呂に悪いことしたな」
え?
むしろイジメてた比呂に問題があんじゃねぇの?
なんで直樹が比呂に悪いことを?
「俺と美津穂って1つ違いの従妹なんだ」
え、マジで?!
1学年下の、従妹…。
じゃあ比呂は—
「あれは比呂の誤解なんだ」
そ…。
「俺必死に話そうとしたんだけどさ、アイツ聞く耳持たなくって…]
「それ—直樹悪くねーじゃん」
そーだよ。
直樹悪くな—
「俺が…誤解を解いてれば」
誤解て比呂が聞く耳—
「俺がちゃんと言ってれば。
俺が悪いんだ。
俺が悪い。悪い。俺が悪い…」
ちょっとコイツ何言って—
「俺なんか死ねば良かったのになー」
そう言って笑う直樹。
そんなことない、という前に直樹はどんどん話し始める。
「俺なんか親の腹ん中死ねば良かったのに、俺なんか生きてこなければよかったのに、俺なんか」
「死んじゃえば良いんだ」
コイツ—?!
そういうと直樹は歩道橋の柵をひょいをまたぎ、最期にこう言った。
「じゃ、比呂にごめんって伝えといて。それと、」
「話してくれてありがとう」
それが俺と直樹でした最期の会話。
直樹の瞳からは一滴の水が頬を伝る。
そして、俺の視界から直樹は消えた。
俺って無能な人間だな。
俺はただただ野次馬に混じってワーワー言ってるだけだった。
醜いな。
俺、前にハプニングは慣れてるって言ったけどさ、こんな友達の死を平然と見ていられる程冷静じゃない。
だからなんにも出来ない。
無能すぎる。
生きてる価値がない。
死ねればいいのにな。
生きてる意味が分からない。
それでもただただ、俺は長い時間の中で心の弱く醜い≪自分≫と向き合っていかなければならない。
それでも自分を隠して学校では創り笑いを浮かべる。
本当に心からは笑えない。
醜い自分。
あれから比呂は学校に来なくなった。
先生は「骨折で入院中」と言っていたが俺は本当のことを知っている。
比呂は施設に入れられたんだ。
直樹のことに対しても先生は「直樹君もその時比呂君と一緒に居て—二人とも車で—」なんて言っていた。
生きてる意味ってなんだろう。
そんなの全然今まで考えなかった。
でも急に考えた。
答えは死ぬ時にやっと見つかるのかもしれない。
あるいはそんなの神でさえも知らないのかもしれない。
それとも答えなんて元々ないのかもしれない———
そうなら、もし、それが正当な答えなら俺は胸を張って言おう。
「直樹、比呂。お前達に会えて良かった」
と。
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- Re: 人として軸がぶれている 番外編 ( No.2 )
- 日時: 2010/07/22 12:42
- 名前: ソフィア ◆fwGIPea7qU (ID: nWEjYf1F)
本編のほうから、隠れて見させてもらってました^^
やはり面白いですね、更新される度に、次の展開に期待していますw
京汰の大人編ですか、楽しみに待たせていただきますね!
- Re: 人として軸がぶれている 番外編 ( No.3 )
- 日時: 2010/07/22 19:01
- 名前: 羽留 (ID: kws6/YDl)
ソフィア様>
ええぇ?!
な、な、な恐縮すぎます、ちょぃ死んできまs( ry
ノストラダムス書いてるあのソフィア様にコメントを…。
ちょい死んでいいですかね…。
あ、ここで言うのもアレなんですけど、ノストラダムスすごく面白くて!最初は1話を3回繰り返して見て…。
もうなんかソフィア様更新待ってます!
なんかすいませんでした…。
- Re: 人として軸がぶれている 番外編 ( No.4 )
- 日時: 2010/07/25 08:08
- 名前: 羽留 (ID: kws6/YDl)
違う方で本編も書いておりますので良ければそちらも宜しくお願いします<(_ _)>
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