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神様の失敗 −終幕−
日時: 2010/08/27 17:24
名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)

白兎−hakuto−です。

頑張ります。


  .+:。☆・゜:*:゜ Cast゜:*:゜・☆。:+.

(初期データ)

メリクエル=nn:メル ♀ 
      天使。足が無い。ミリアと友達。

ミリア 
      小型の動物の形。メルの友達。

ルティア ♀
      悪魔。翼以外は真っ白。

アードィール=nn:アディル ♂
      天使。割とメルと仲がいい。

ネビロス ♂
      悪魔。他の悪魔の監視をする役目。
      割とルティアと仲がいい。


主要メンバーは以上です。

※実際に伝えられている天使や悪魔の名前も出てきますが
 フィクションなので実際の姿や性格とは違います。


では、どうぞ。

 
   † contents †

  第1話 >>03 「悪魔と天使の日常」
  第2話 >>05 「ウワサ」
  第3話 >>07 「出会い」
  第4話 >>10 「紫丁香花」
  第5話 >>13 「足のない天使」
  第6話 >>14 「真っ白な悪魔」
  第7話 >>20 「失いつつ生まれた希望」
  第8話 >>24 「友の為、いざ地獄へ」
  第9話 >>25 「友の為、いざ地獄へⅡ」
  第10話 >>29 「哀れな山羊達」
  第11話 >>32 「辻褄合わせ」
  第12話 >>35 「迷信は真実で」
  第13話 >>38 「悪魔ファイル」
  第14話 >>40 「真実」
  第15話 >>44 「180度≒360度≠0度」
  第16話 >>49 「ふたり」
  第17話 >>50 「堕天の記憶」
  第18話 >>54 「メルの過去」
  第19話 >>58 「償い」
  第20話 >>61 「天使と悪魔のその後」

    −本編終了−

  外伝① >>70 「足を消された山羊は」 
    ② >>75 

  第21話 >>79 「それから」


    −終幕−

 

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Re: 神様の失敗 ( No.58 )
日時: 2010/08/12 16:57
名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)


   第19話

  :償い:


 「……わたし……あの子を……」

思わず呟いていた。
さっき全部の過去を思い出したから。

思い出した——だから


——笑いが止まらなくなりそう。

 
 「ハハハッ」



 「どうした」

 「私、悪いことなんてしてない」

そう。そうだよ。
私、悪い事なんてしてないんだから。

 「はぁ?」

何でかネビロスさんは呆れ驚いた。

 「だって、あんなの言い掛かり。嘘。私は天使なんだから」

私は天使だったのに。
偽善者なんかじゃなくて。
なのにお前は悪魔だって、誰かが言うから。
私は悪魔なんかじゃない。天使なんだから。


 「天使が天使になって何が悪いの。
  悪いのは私を堕とそうとした奴らでしょ。
  違う?違わないでしょ。ねぇ」


 「メル、それは違う」


子供みたいな
大人みたいな 
不思議な声——誰?


 「もしそれが本当に言い掛かりで。メルが天使だったとしても。
  ルティアさんを騙した事で、あなたはその時、本当に悪魔になった」


その声は——ミリア?


 「ミリア? 何で喋って……」


今までずっと黙っていたアスタロトさんが声を出した。
  
 「ファミリアーは喋れるんだよ」

 「そういう事だよ」

ミリアは喋れたの?
じゃあどうして今まで……。


 「ねぇミリアちゃん。メルの記憶を消したのは……キミだよね」


ミリアは少し笑って
 ゆっくりと頷いた。


 「流石はアスタロト様ですね。
  まぁ正確に言えば……メルとルティアさんの、ですが」


何で記憶を消したの? ミリア……。

 「メル」

何……?

 「もうメルの記憶を消す事はしない。
  だから……メルはずっと過去を背負って過ごしていなよ」

 「どういう事……?」


 「自分の過去を恥じて、ずっと苦しみ続けな。
  それがあなたに出来るルティアさんへの償い」

苦しむ事が償い?
如何して? 如何いう事?


 「……そんじゃ、アドちゃんも過去を思い出した事だし。
  かーいさーんっ!!」

アスタロトさんが両手をパンッと叩いた。

 「ほれ、早く」


背中を押されて、アスタロトさんの家から追い出された。


 「ミリア……。私、どうしたらいいの?」

 「メルは……生きてればいいの」




   *


その頃、アスタロト家——


 「良いんですか? アスタロト様」

ネビロスはアスタロトと話していた。


 「ま、良いんじゃないの〜?」

ネビロスは溜息をついた。


 「だって、本来なら何か罰が下るはずでしょう?」

 「……今回のケースだと……「消滅」か」

 「……じゃあ、あれですか。ミリアの言う罰で勘弁しておくって訳ですか」

 「しょうゆうこと〜」←すかさず醤油を取り出す。

ネビロスはまた深い溜息をついた。

Re: 神様の失敗 ( No.59 )
日時: 2010/08/13 06:27
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

醤油あるのかよッ!!笑

にしても…そうですよね。
消滅だと罰まで消えちゃいますから、やっぱ重荷を背負って生きてほしいです。

Re: 神様の失敗 ( No.60 )
日時: 2010/08/16 16:39
名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)

>>アキラs
そういえば其処、魔界でしたねw 忘れてました←

死ぬより生きてるほうが辛いですし。
ある意味一番重い罰です。

Re: 神様の失敗 ( No.61 )
日時: 2010/08/20 18:40
名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)


    第20話

  :天使と悪魔のその後:

(アディル視点)


 「……じゃあ、私はメルって子に騙されて悪魔になったと」

 「そういう事だね」


ルティアは、ふーんと言っただけだった。

さっき、魔界にいたルティアは天使になった。
そして今、ラツィエルさんに過去の話をしてもらったという訳だ。

 「ふーんって……それだけ?」

 「え? うん」

 「メルの事、恨んだりしないの?」

ルティアは口元に指を置き、うーんとうなった。

 「そりゃ、騙したのは酷いなーとは思うけどさ
  騙されたこっちも悪いと思うし」

相当なお人よしだな。
そんなだから騙されるんだろ、と思ったけど口には出さないでおいた。


 「それに、魔界は魔界で楽しかったし♪」

 「なんて楽天的な……」
こればかりはつい口に出してしまった。
でもルティアは聞いていないようだった。

 「ネビロスとかーリリスさんとかー。みんな良い人だったし」

 「でも悪魔なんだろ?」
 「悪魔だからって悪い悪魔とは限らないよ」

いや、悪いから悪魔なんだと思う。

 「ねぇ。ルシファーって悪魔知ってる?」

確か魔界の王とか言う……。
俺は頷いた。

 「その人ね、天使の頃は明けの明星と謳われた天界で最も美しい天使だったの」

でも、とルティアは続けた。

 「天界戦争で負けて、天界から追放されて悪魔になったの」

俺はその話の続きより何でルティアがそんな話を知っているのかって方が気になる。


 「だから、結局の話。勝った方が正義で負けたら悪って訳」

 「でもさぁ、それ、違うと思うぞ」
 「何で」

 「だって、誰かを騙すのは悪いことだろ?」

 「そうだけど……」

ルティアは黙ってしまった。

でも、一理あるのかもしれない。

全てがそうと言う訳でもないけど。

人間界の宗教を巡っての争いはそんな感じだったと思う。


 「で、ルティアはこれからどうすんの?」

 「ルティアじゃなくてティアイエルだけどね。
  そうだなー……何しようか」


ラツィエルさんが優しげな口調で言った。

 「ゆっくり考えればいいと思うよ。
  天使の命が尽きる事は無いから」

 「そうだね〜。そうしよっ」

この二人はのどかだな〜……。



    *



 「良かったの? メル」

 「うん」

だってこれは、ミリアの足だから。

今から少し前——


私達はアザゼルの家に向かっていた。

 「また来たのか」
 「今度こそ、忘れ物を取りに来たの」

アザゼルは何も言わず小さな小屋を開けた。
その中には、もちろん山羊の足。

 「ねぇ、これどうやって付けるの?」

 「ああ。俺が付けてやるよ」

 「じゃあお願い」


そう言って、私はミリアを差し出した。
アザゼルは驚いていた。


 「……何だ?」

 「だから、足をつけて欲しいの。ミリアに」

 「え、な、何で!?」
ミリアはアザゼル以上に驚いていた。

 「まぁ、お前が良いならそれで良いが」

ミリアが何か言おうとしていたみたいだけど
そんな事はお構いなしに、白いもやが私達を襲った。


もやが晴れると、ミリアには見事に足が生えていた。


 「アザゼル、ありがとう」

私はアザゼルにお礼を言って去って行った。


———


 「これは、罰って事にしとく」

 「そっか」

ミリアはまた優しく笑って。

それにつられて、私も笑った。


私は悪魔になった。
足の無い変な悪魔に。
きっと辛いこともあると思う。

でも、頑張れる。

頑張れるから。

だから—— 生きるよ。ミリアと一緒に。

Re: 神様の失敗 ( No.62 )
日時: 2010/08/17 08:04
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

お人よしすぎるよルティア!!
そう思ったけど、彼女は悪魔でも良かったと思ったらしいですね。 本人がいいのなら、それでいいんでしょう。


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