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- †ワンダーランドと錬金術師†
- 日時: 2010/07/16 17:22
- 名前: 乙奈 ◆EPCQ1mNff. (ID: YkDMB6yu)
「ただ、“賢者の石”が欲しいだけさ」
一人の少女と錬金術師と名乗る少年の物語。
【ワンダーランドと錬金術師】
*CAST
名前:伊月 詩織...Iduki Shiori
年齢:十六歳(高校一年生)
名前:ハルト...Haruto
年齢:見た目は約十八歳
*HELLO!!
はじめまして、乙奈です。 (おとな、と読みます。
小説書くのは人生初となります!!笑
誤字・脱字など、あれば教えて下さい……。
ちなみに、更新スピードは亀です。
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- Re: †ワンダーランドと錬金術師† ( No.1 )
- 日時: 2010/07/16 19:59
- 名前: 乙奈 ◆EPCQ1mNff. (ID: 2N4onKWr)
第一章 生きていたこと
わたしは生まれつき、病弱だ。
だから、まともに体育の授業を受けたことがない。
いつ死んでもおかしくないのだ。
学校では何回も倒れたことがあるし、救急車に運ばれたこともある。
もちろん、死にかけたことも、ある。
真っ白なベッドに座り、わたしは外の景色を眺める。
───別に、今ここで心臓発作になってもおかしくない。
パタパタ、と誰かが走ってくる音がした。
「……っ詩織! はぁー、良かったぁ、生きてて!」
わたしの病室に飛び込んで来たのは、親友。
ショートの明るい茶髪に、黒縁眼鏡。
彼女の名前は西村亜紀。 大切な親友。
「うん、生きてるよ」
「あたしが来たときに死んでたら、駄目だからね?」
「大丈夫だって」
わたしはそう言って笑うと、立ち上がった。
亜紀が急いで、わたしに近寄る。
「ちょっ……!」
「亜紀ってば。 わたし、そんなにモロくないよ?」
「でもー」 「これくらい、大丈夫」
亜紀は本当に最高の親友だと思う。
こんなにわたしのことを心配してくれるだなんて。
それからしばらく、亜紀と会話をした。
学校でのことや、どうでもいいことまで。
「じゃ、気をつけてね」
「詩織こそ! また明日ねっ」
ニッコリと笑う亜紀は、太陽みたいだった。
パタパタと足音が遠ざかっていく。
───どくん。
少し喋りすぎたせいか、突然苦しくなってきた。
「っう……。 けほっ、げほげほっ………!」
ゆっくりと呼吸をして、少しでも楽になろうとする。
「……伊月詩織さーん?」
ひょこ、と次に現れたのは看護師さんだった。
若い女の人で、けっこう面白い、良い人。
「げほっ、こほ………っ」
返事をしようとしたが、出来なかった。
わたしの異変に、看護師さんは気づいたようだ。
「詩織ちゃん……ッ! 大丈夫……、じゃないわね」
「すみません……、もう、大丈夫です!」
すう、と呼吸が楽になった。
良かった。 止まらないかと思った。
「あ、駄目じゃない。 ちゃんと寝てなきゃ!
今の詩織ちゃんが風邪をひいたら、大変よ?」
「はい」
少しおかしくて、わたしは笑いながら言った。
わたし、伊月詩織は死ぬのでしょうか?
- Re: †ワンダーランドと錬金術師† ( No.2 )
- 日時: 2010/07/17 17:23
- 名前: 乙奈 ◆EPCQ1mNff. (ID: Nco2fuPq)
亜紀は、明るくて元気な女の子だ。
幼稚園からの付き合いだから、親友である。
でも、亜紀は“男の人”が大嫌いだった。
喋ったり、触れたりすると亜紀は壊れてしまう。
叫んで、泣いて、怒って、破壊する。
原因はきっと、離婚したお父さんが関係していると思う。
「……伊月? 起きてる?」
看護師さんがいなくなって約三十分後。
また誰かがわたしの病室にやって来た。
「起きてるよ」
「西村、帰ったよな?」
「亜紀なら、だいぶ前に帰ったよ……」
訪問者は、中学生のときに知り合った男子だった。
けっこう仲が良い方だと、個人的には思う。
明るい茶髪に、二重の瞳。
亜紀と同じクラスの、北條晴斗だった。
最初、晴斗という漢字を見て、せいと、と読んでしまったことがある。
『ハルト、って読むんだよ!』と怒られたのだが。
「伊月、ちゃんと食べてるかッ?
この前来たときより、痩せてるような気が……」
「ちゃーんと食べてます。 残さずにね!
痩せてるように見えるのは、気のせいじゃない?」
晴斗は納得できない表情をして、首を傾げた。
それがなんだか小さい子供っぽくて、笑ってしまった。
「勝手に笑ってろ」
「あはは、ごめん晴斗」
「そういえば、髪、切らないのか?」
わたしは入院してから、髪を切っていない。
そのせいで、今は腰まで伸びている。
最近は夏で暑いから、ポニーテールにしているのだ。
「何、もしかして、似合わない?」
「いや、別に。 いつ切るのかなって思って」
「───退院したら、ね」
「じゃ、はやく退院できるように食べることだな!」
「食べてる、って言ったじゃん」
「んじゃ。 またね」
“また明日ねっ” “またね”
お見舞いに来る人は、必ず最後、こう言うんだ。
* * * * * *
「……ッ、………ようやく!
ようやく手に入れたぞ……! やっと……!!」
きれいな金髪には、少しだけ血がついている。
アイスブルーの瞳は、少年の願いが映っている。
「もう……、俺のものだ………!」
「───待ちなさいよぉ、錬金術師。
ソレは我が一族に渡すべきじゃなくて?
ソレを作り出すのが、錬金術師でしょう?!」
冷たい、凛とした声と共に一人の少女が立ちはだかる。
腰までの銀髪に、鬼の角がある。
黄金の瞳が不気味な光を放つ。
「ねえ、“ちょうだい?”」
- Re: †ワンダーランドと錬金術師† ( No.3 )
- 日時: 2010/07/18 19:47
- 名前: 乙奈 ◆EPCQ1mNff. (ID: V9.d7PSD)
「じゃーん☆ 見て、詩織!」
翌日。 また同じ時間に、亜紀がやって来た。
楽しそうに笑いながら、何かを持ってきた。
何だろう?
わたしは、亜紀の方へと体を向ける。
「───ほら、これ。 綺麗じゃない……?
ということで、詩織にあげるー」
わたしの両手に置かれた、深紅に輝く丸い宝石。
キラキラと真っ赤に輝いていて、とても綺麗だ。
ちょっと保留〜(・_・;
- Re: †ワンダーランドと錬金術師† ( No.4 )
- 日時: 2010/07/22 20:46
- 名前: 乙奈 ◆EPCQ1mNff. (ID: pC40PoP0)
「じゃーん☆ 見て、詩織!」
翌日。 また同じ時間に、亜紀がやって来た。
楽しそうに笑いながら、何かを持ってきた。
何だろう?
わたしは、亜紀の方へと体を向ける。
「───ほら、これ。 綺麗じゃない……?
ということで、詩織にあげるー」
わたしの両手に置かれた、深紅に輝く丸い宝石。
キラキラと真っ赤に輝いていて、とても綺麗だ。
「わ……、いいの? もらってもいいの?」
「うん、あげる。
───詩織がはやく、退院できますように。
そう、お祈りしておいたから!」
少しだけ恥ずかしそうに頬を紅くして、笑う。
「亜紀、可愛いなぁ。 ありがとうねっ」
「えー、そんなことないよ。
詩織の方が、髪とか綺麗だし、肌白いし!
……っと、もうこんな時間!
ごめんね詩織。 また明日来るわっ」
パタパタと廊下を駆けていく亜紀の足音。
「病院で走らないで!」という看護師さんの声。
面白いなあ。
* * * * * *
詩織に紅い、綺麗な宝石みたいなものをあげて一週間がたった。
今日もあたしは、詩織の病室へと向かう。
───いつもと違う。
病院に入った瞬間、嫌な予感がした。
いつもなら歩いて病室へ行くが、今日は駆け足。
「詩織……!」
病室には、詩織のお母さんだけがいた。
ベッドに詩織は、いない。 どうして? 何で?
「亜紀ちゃん、よね……?」
「ぁ………? あ、はい」
詩織のお母さんは、たしか、伊月詩音という名前だ。
ちなみに詩織のお父さんは、外国にいるらしい。
「───二ヶ月」
詩織のお母さん、詩音さんは呟いた。
「え?」
「余命二ヶ月だって、言われたの……。
そして今……、いえ、今夜がヤマだって……」
詩音さんは、目にいっぱい涙をためて言う。
言っていることが、理解できなくなる。
あのいつも笑っている詩織がどうして余命二ヶ月なのわたしには理解できないわ今夜がヤマってどういうことかなぁ嘘でしょ嘘だよねこれはドッキリ大作戦か何かなんだよきっと嘘なんだよこれは
気がつけば、手術室の前にあたしはいた。
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