ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- かなりあ ⅰup now...
- 日時: 2010/08/08 15:12
- 名前: しゅがぁ.こむ ◆xP0V8Tcjck (ID: fW1SagZy)
初めまして。私、しゅがぁ.こむ と言いますです。
小説書き続けて早二年ほど経つでしょうか……、気持ち悪いほど上達してないですね。でっていう。
そんなわけで、みょーんと執筆していきますんで、温もりのある視線でどうかお付き合い願えたら幸いです。
ⅰ >>2 [確定]
>>4 [未確定/修正点多数有]
>>5 [未確定/修正点多数有]
登場人物
藍川 恭介 Aikawa Kyosuke
藍川 結 Aikawa Yui
藍川 渚 Aikawa Nagisa
河口 明日香 Kawaguti Asuka
熊田 翔平 Kumada Syohei
江角 菜々 Esumi Nana
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- Re: かなりあ ( No.1 )
- 日時: 2010/07/18 19:33
- 名前: あいうえる (ID: jk5mSNBu)
なんか面白そうっていうかなんか、、、わかりませんが楽しみです!がんばってください!
- Re: かなりあ ( No.2 )
- 日時: 2010/07/20 18:52
- 名前: しゅがぁ.こむ ◆xP0V8Tcjck (ID: laYt1Tl.)
ⅰ
二人暮らしには広いリビングで一人の少女が立ち上がる。
いかにもスポーツマンと言わんばかりのショートヘアーに、可愛らしいフリルがついたワンピース。……十月だというのに、肌寒くはないのかと疑問に思う。そして、実年齢十六歳には見えない小ぶりな体系。そのファッションと小さな体は小学生を連想させるが、当人に言うと赤い顔で怒るのだ。
それとは反対に俺はいたって地味なファッションに、メガネという装備。オプションにインドア派というものをぶら下げている。兄妹なんてそんなもんさ……違いは出るだろ?
「あー。あー。ご……ごほんっ! 二十三番、結……歌いますっ! ——」
いつものように、本当に毎日のように聞き続けている歌声。
ここ、藍川家の長女……そして俺の一歳違いの妹である結は、歌うことが大好きだった。なんでだと俺が聞くと、結は毎晩のように俺が歌っていた子守唄が好きで、そんな子守唄が歌ってみたいと言い出し練習を始めたという。……まぁもっぱら練習相手は俺だ。今度オーディションだったかがあるらしく練習にも力が入っている……と俺は思う。
「……ふぅ。き、恭にいッ! ……ど、どうだった……かな?」
本名、藍川恭介。それが俺の名前なんだが……いつからだったか、お兄ちゃんから恭にいと呼び方が変わったのは。
歌い終わった妹が感想を求めてきた。そんなこんなでまだ緊張が解けないんだよな、結は。
「うーん……、まず肩の力抜くこと、かな。俺の前でも緊張してるようじゃ一次もやばいんじゃないか?」
甘やかして失敗するより、多少厳しく注意してやった方が本番で悔いが残らんだろう。
「う……そ、そりゃそうだけどさぁ……」
はぁーと大きなため息を吐き出し、床に仰向けになる我が妹。オーディションまであと一週間だもんな……そらため息もつきたくなるか。
「さて、今日はもう寝なさい。てか宿題終わってないんだろうがっ」
こつんと頭に握りこぶしをぶつける。
「あだっ! ……はいはい! やりますよーっと。んじゃ、おやすみ恭にいー」
「おう、おやすみ」
妹は俺に顔を見せず、片手をひらひらさせて自室を出て行く。……どこぞの刑事だ、お前は。
さて、これが毎日の光景だ。それにしても頭固くなったかあいつ……、以後叩くのはやめておくことにする。
……そんなことよりも、だ。なぜ俺が妹に子守唄なんかを歌っていたのか、どうしてこんなにも妹に世話をやいていたのか……、それには深いわけがある。俺はソファーの背もたれに体重を預け天井を仰いだ。
「お袋……俺にあいつの親代わりが務まるのか?」
親父は娘の顔を見ることなく他界……病死だった。お袋は結が生まれ、小学校に上がると同時に事故に遭い病院で寝たきりの状態となっている。なんでも首から下が麻痺してしまったらしく、今は首から上がやっとこ動くくらいだ。声は出せるし、喋れるのが唯一の救いってとこか……。
だが、家事全般や、身の回りのことすべて俺がしなければいけないという問題が残った。そのため俺はなんとか自分も力になりたいと思い高校を中退した。そして毎日のようにアルバイトに励んでいる。
「ま、住む家があるのも感謝だよな……。そこんとこは親父に感謝、か」
運が良いのか悪いのか……親父は、一軒家を俺らに残してくれた。ローンも返済しているらしく、金銭の負担が軽減した。あ……仏壇の花変えないといけんな。
「悩んでても仕方ないってか……っと」
俺は立ち上がり、ぐーっと伸びた。
さて……、今日の仕事はすべて終了。妹は後三十分もすれば寝るだろう。なんでもボイトレだかなんだかをやってるらしい。俺も寝ないといかんな……、もう二十二時を回っている。さすがに新聞配達はさぼるわけにはいかない。
戸締りを確認し、リビングの電気を消し、俺も自室へと向かう。そして、ちらっと携帯をチェックし、布団へと潜り込む。あとは明日の朝を待つばかりだ。
俺は目をゆっくりと目を閉じ、心地いい暗闇へと身を任せた。もう子守唄を歌わなくても一人で寝れるようになった妹と、まだ子守唄を歌ってあげていた頃の妹を照らし合わせながら——
- Re: かなりあ ( No.3 )
- 日時: 2010/07/20 21:14
- 名前: しゅがぁ.こむ ◆xP0V8Tcjck (ID: laYt1Tl.)
>>あいうえる様
up前コメ感謝です(`・ω・´)ゞ
シリアス……というか感動的な小説を目指し今回は書きます。
なので、長くはなると思いますが、よろしければ最後までお付き合いくださいませ^^;
- Re: かなりあ ( No.4 )
- 日時: 2010/07/24 20:51
- 名前: しゅがぁ.こむ ◆xP0V8Tcjck (ID: iYyccJ4w)
午前三時。俺は、けたたましく鳴る目覚ましを黙らせ起床した。睡眠時間は約五時間程度。もう半年も続けているわけで、この生活には慣れてしまった。そう……半年も経ったのだ。
顔を洗い、服を着替え、黒いコートを羽織り家を出る。結を起こさないようにそーっと玄関の扉を開け、俺は小さな声で——
「行ってきます」
そういって家を出るのだ。
まだ辺りは薄暗く、電灯には小さな虫達が群がっている。車の音や人の喋り声は全く聞こえない。
「と……、ぼーっとしてるわけにゃいかないな」
俺は自転車にまたがり、バイト先の新聞専売所へと向かう。
周りは住宅街なわけで、田んぼが広がっていたりとかの田舎ではない。俺としては、綺麗な大自然を悠々と走りたいものである。……もちろん自転車で。
俺の家から専売所までは、数分あれば行ける程度だ。まぁそれが理由でバイトしてるってのもあるが、お袋の親友が専売所の所長だというのも理由のひとつなのだ。正直言ってしまうと、その所長から勧誘されてバイトしてる。お袋が入院してからというもの、随分とお世話になりっぱなしだな……そういえば。
「恭介くーん!」
そんな所長、明日香さんのことで思いふけっていると、急に俺の名前が呼ばれた。まぁこの時間帯に、この場所で呼ばれるってことは、声の主……それは——
「明日香さん、何もそんな近くで叫ばなくても聞こえますよ……俺、まだ十七ですよ……?」
河口明日香。ここ、河口新聞専売所の所長である。専売所の二階から顔だけ覗かせている状態だ。
「むぅ……! あたしが老けてるみたいな言い方ね、それ」
眉間にしわを寄せ、子供のようにほっぺたを膨らませている。これはまずいな……。
「違いますって! あっ、これが今日の分ですよね……っしょ。……それじゃ、いってきます!」
俺は、専売所玄関前にあった新聞の山を自転車のカゴに詰め込み、急いで自転車を走らせた。……明日香さんの前で歳の話はだめなんだった。
「あ、ちょっと!?」
すみません。三十分も愚痴聞いてる暇ないです、明日香さん。
しかし、今日も明日香さんは綺麗だったな……。いくら見上げる形とはいえ、長い黒髪に整った顔立ち。そこにアクセントとして眼鏡である。大人な女性ってあんな感じなんだと俺は思う。隠れファンも多いんだとかなんだとか……。
「さて……今日も頑張りますか……っ!」
なんにせよ、仕事から帰ったら愚痴は回避できないだろう……。今の新聞配達だけでも、張り切っていかないといけない。
俺は自転車のペダルを一層強く踏み込み、ゆっくりと順調に仕事をこなしていくことにした。
遠くでは少しずつ空に明るさが出てきている。
- Re: かなりあ ⅰup now... ( No.5 )
- 日時: 2010/08/08 15:11
- 名前: しゅがぁ.こむ ◆xP0V8Tcjck (ID: fW1SagZy)
「よっこらせ……」
「あ、そこのテーブルに置いておいてね」
「了解」
時刻はいつのまにか正午を過ぎていた。そんな中何故か俺は明日香さんの部屋の片づけを手伝っている。何故かという表現は間違っているか。……正式には、罰を与えられたのだ。
*
かしゃん、という最後の金属音と共に新聞紙が郵便受けへと吸い込まれていく。
「ふぅ……これで終わりだな」
これで今日の分の郵便配達は終わりである。最初のうちはどういった順番で行くのかなど手間取った部分もあるが、今では何も見ずにいけるようになった。……慣れって怖いよな。
それが幸いしてなのか今日は異常に配達が早く終わった気がする。携帯電話の時計で時刻を確認すると、まだ五時だ。いつもなら、六時頃に終わるはずなんだけどな。
「はぁ……理由は明確。そして、帰ったら確実に明日香さんに捕まる。……俺一生の不覚」
携帯をポケットにしまい、また来た道を戻る。いらん溜息もついてきたけれど。
専売所に近づくにつれ、次第にペダルも重く感じてきたときだった。
「ぬぁ、っと……携帯か」
ポケットで携帯が鳴った。一瞬びっくりはしたものの、心当たりは一人しかいない。俺は何度目かわからない溜息を盛大にし、携帯にでた。
「も、もしもし」
「あなたには選択肢が二つあります」
普通電話に出た瞬間選択肢を迫る人はいない。
携帯の画面に表示されているのは……明日香さんの名前。そして、この声明日香さんに間違いは無い。……俺の予想は見事、ビンゴだ。仕方なく選択肢を聞いてみることにした。
「ひとーつ、給料を激減!」
さて、二つ目の選択肢に期待だ。俺は自転車をこぎつつ電話に応答していたが、さすがに金の話題となれば話が別だ。歩道へと自転車を寄せ、二つ目の選択肢を待つ。
「ふたーつ、タダ働きで午後まで働く」
「あんまりじゃないですか!?」
タダ働きはさすがにキツいです。そう思った俺は講義を始めようと電話越しでありながら臨戦態勢。だが、まさかの三つ目の選択肢が登場したとき、俺は即答してしまっていた。
「……みーっつ、クビ」
「是非に二つ目で」
明日香さん、クビの発音が本気ですよ……。
*
「いやー、ありがとね恭介くん」
一人椅子に腰掛け、ふんぞり返る明日香さん。いえ、礼には及びませんよ。
「仕事ですから」
「タダ、だけどね」
綺麗な花には棘がある。まさに、ではないだろうか。タダ、を強調した明日香さんに俺は苛立ちを覚えた。
「それはさておき、お母さんの具合どう? まだ……良くはならないみたいね……」
だが、明日香さんの話題転換にその苛立ちがいつの間にか別のものへと変わった気がした。
「そう……ですね。あれ以来変わりないですよ、喋れるだけでも良かったです……」
俺は仕事……もとい掃除を続行しつつ、話に応対する。額の汗が一瞬冷たくなったのはお袋の最悪の状態が浮かんでしまったからだ。……このまま死んでしまうのか。そうしたら結と二人で生きていかなきゃならない……。それを考えるだけで体中が一気に冷える。
「ごめんなさい……」
「なんで明日香さんが謝るんですか。……別に大丈夫ですよ。現にこうしてやってきてるじゃないですか、俺」
何か良く分からない感情が俺の中で回っている。だけど、その正体がなんなのかは分からない。ひとつ言えるのは、あまり気持ちの良いものではないということだけだ。
「……」
しばしの無言。俺は黙々と作業終わらせた。明日香さんはといえば、何かかける言葉は無いかと探しているようだった。
作業も一段落し、もうこのまま帰ろうかという考えが最後のダンボールを片付けているときに頭をよぎった。
「恭介くん」
嫌な雰囲気の中、明日香さんが口を開いた。明日香さんの俺を呼ぶ声は、優しさと哀しさが交じり合っていたように感じた。
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