ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 壊れた彼女の取扱説明書
- 日時: 2010/07/20 20:56
- 名前: 礼夜 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
(壊れた彼女はね、人間の体を繋ぎ合わせていくの。)
(自分好みの人間になるまで、ずっと、ずうっと。)
@
どうも初めまして、前は烈人という名前でしたどうもこんにちは。
名前変えました。礼夜(reiya)になりました。もう一つの小説は……更新停止とかry
夏休みにはいったので、夏休みの話を書こうとか思いました。夏休みが終わるまでに完結させたいと思ってます^w^
駄文注意、グロ注意、亀更新注意。結構グロい……かもしれません。微甘恋愛有りです。
ゆるゆるだるだるで頑張っていきます。よろしくお願いします<(_ _)>
*/壊れた彼女の取扱説明書/*
#一章 壊れた彼女の理想#
登場人物>>3
序章@壊れた思考>>1-2
一話@消えた右腕>>
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- 序章 壊れた思考 1/2 ( No.1 )
- 日時: 2010/07/20 16:11
- 名前: 礼夜 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
第一章 壊れた彼女の理想
序章【壊れた思考】
周りの人達は、私のことを変な人間だという。どうして変なのか、私には全く理解できない。
むしろ変なのは、私のことを変といった人達だ。どうするとあんな思考になるのか、全く不明。
お母さんに怒られた。むかついたからお母さんを殴ってみた。するとお母さんは、今まで嘘だったように大人しくなった。
先生に怒られた。むかついたから言い返してやった。もっと怒られた。イラつきが抑えきれなくなったから椅子を放り投げてみた。
先生の目に当たって、先生は失明。当時十歳で四年生だった私は、お父さんに酷く怒られた。
何度もその先生に謝らされてまたむかついて、今度はお父さんを殴ってみた。
『なんでこんな子に育ったんだ……ッ!』
その時のお父さんの血を吐くような叫びは、今でもありありと思い出せる。
それからお父さんにぶたれた私は、半狂乱になってそこ——先生が入院している病室から飛び出した。
そして、車に撥ねられました。
* * *
「美玖ちゃん、一緒に遊ぼ」
小学校一年生の夏休み。私は、引越した。それなりに友達もいて、クラスのリーダー的な存在だった私。
私は二学期に転入して、友達が全くなく独りだった私に声を掛けてくれたのは花園真希だった。
その子は可愛くて、小学生一年生のわりにはおしゃれで大人びていた。そんな彼女が、私は嫌いだった。
理事長の孫だということは聞いていた。『仲良くしてね』とお母さんにも言われた。
だけど私はあまり好きにはなれなかったから、遊ぼうと言われて断った。
ただ、それだけだった。
「……あ、凛ちゃん」
「近寄らないでよ」
次の日から始まったのは、まだ小学一年生だというのに“いじめ”だった。
といってもその時の私はいじめだなんて思っていなく、自分とは合わないんだと思っていただけ。
三年生になってから、その時までもずっと続いていたソレをやっといじめだと私は認識した。
うっとおしかった。だから、家から包丁を持ってきた。
その包丁で、私は一年生のころからずっと一緒のクラスだった花園真希を刺しました。
- 序章 壊れた思考 2/2 ( No.2 )
- 日時: 2010/07/20 20:15
- 名前: 礼夜 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
* * *
「りゅーくん、こんにちは」
「……どうも」
相変わらずのふんわりとした気が抜ける綺麗な笑顔で、田邊夏樹は軽く会釈して挨拶した。
りゅーくんもとい伊沢流夜は、夏樹にこちらも相変わらずの愛想の無い無表情を向けてぶっきらぼうに小さく返す。
二十歳前後であろう夏樹と小学生五年生辺りに見える流夜が並ぶと、まるで親子のように見える。
顔立ちが似ていたり髪の色が全く一緒、ということが余計にそう見えさせた。
乾いた落ち着く木の匂いがする夏樹が経営している喫茶店内を、流夜はきょろきょろと見回す。
「あら、……まだあの子は来てないわよ。えっと……美玖ちゃん、だっけ?」
「あ、そうなんだ……。黒咲美玖、だよ」
夏樹の言葉を聞いて、一瞬流夜が不安そうに瞳を揺らがせたが、すぐに夏樹の問いに返した。
黒く冷たい不安がぐるぐるととぐろを巻き始めたのを自覚して、流夜はため息をついた。
——なにかが起こる、てことはわかってるのに何もできないなんて。
そんな事実に歯痒さを感じ、少々いらだって流夜は傍にあった——カウンターの前の——椅子を蹴り飛ばした。
がん、という派手な音を立てて椅子が綺麗に磨かれたフローリングの上へ倒れる。
カップルや家族連れや女性一人など数人の客がいたが、日常茶飯事なのか誰もそちらへは目を向けなかった。
カウンター席に座っている客もいなかったので、特に夏樹には注意されることもなく、静かに窘められただけだ。
「……もー、心配なのはわかるけどね、りゅーくん」
「うるさいよ夏樹さん。仕方ないじゃん。……“死者”なんだろ」
“死者”。その言葉が流夜の口から放たれたと同時に、一瞬夏樹と流夜の間に重くねっとりとした沈黙が生まれる。
しかし二人とも表情には特に変化がなく、夏樹がほがらかな笑顔のままで沈黙を破った。
「——そうね。じゃあ、イヴに頼もうか」
「ああ。なんだか、ちょっと危ない気がする」
ただの勘。それは本当になんの確証も無いただの勘だったが、勘だとしても無視してはいけなかった。
少しでも発見が遅れれば、大惨事になりかねないことが起こるのだから。
* * *
花園真希を、殺すことはできませんでした。強制的に、転校させられました。
そしてそこでも問題を起こしてしまい、また転校するかもしれなくなりました。
でも、もうそんなことどうでもよくなりました。だって私は、死んでしまったのだから。
けれど。
それから二年経った今、私はひっそりと生き返ったのです。
ねえ、真希。
——今から、殺しに行くからね。
- 序章 壊れた思考
- 一章 登場人物 ( No.3 )
- 日時: 2010/07/21 13:04
- 名前: 礼夜 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
#一章 登場人物
黒咲 美玖 -Miku Kurosaki-
花園 真希 -Maki Hanazono-
伊沢 流夜 -Ryuuya Isawa-
田邊 夏樹 -Natuki Tanabe-
綾羽 美月 -Mibuki Ayaha-
早瀬 凪 -Nagi Hayase-
※随時更新
- 一話 消えた右腕 1/未定 ( No.4 )
- 日時: 2010/07/21 13:03
- 名前: 礼夜 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
一話 消えた右腕
『今日から夏休みです。絶対に事故には遭わないでくださいね』
今年から新しく入ってきた校長——早瀬凪の長ったらしい夏休みの間の注意を軽く聞き流しながら、綾羽美月はこれから起こるであろうことに神経を集中させていく。
具体的にいつ起こるか、それはわからない。だが、近いうちに何かが起こりだすということは確かだった。
昨日、田邊夏樹が経営している喫茶店で保護している“死者”——黒咲美玖が、失踪したのだから。
失踪という表現が的確なのかはわからないが、とにかくいつも午前になると外にふらりと出て行き、夕方には絶対に喫茶店に戻ってきていたのだが、昨日は戻ってこなかったのだ。
夜になっても、朝になっても。美月は部活に入っていないため、この終業式が終わればすぐに帰宅する。
恐らく、十一時半頃だろう。その時に帰ってきていなければ——既に何かが起こってしまった可能性がある。
「(……早く終わりなさいよ)」
心の中で毒づきながら、美月は校長をくすんだ青色の瞳で反抗心をむき出しにしながら睨みつけた。
といっても三百人近くいる中で校長がそれを見つけれることもなく、結局はただの早く終業式終われーとこれからの長い夏休みに想いを馳せているそこらへんの同級生と変わらないのだ。
たとえ彼女に課せられた使命が、下手すれば何人もの人間を巻き込み犠牲者にしてしまう惨劇を食い止めることだったとしても。
『この夏休みには、誰もが被害者になり加害者になります。しっかりと気をつけてください』
一昨日ぐらいからいっせいに鳴きだした蝉達の声が反響する体育館で、美月は奥歯を噛み締めた。
歯痒さから。悔しさから。憤りから。哀しさから。自らの無力さから。
噛み締められた奥歯が、ギリ、と音を立てた。
* * *
「イヴって今日が終業式だったよな」
「そうよ。だからもうすぐ帰ってきてくれるわ。多分、後一時間もあれば」
一時間もかよ、と流夜は顔を顰めた。いつものように、夏樹の経営する喫茶店のカウンター席に座りながら。
伊沢流夜は小学五年生だ。昨日が流夜の通う小学校の終業式で、今日は朝からここにやってきていた。
店内には、誰も居ない。先程までテーブル席に若いカップルがいたが、ついさっき出て行ったばかりだ。
そのカップルが使っていた食器を洗っている夏樹は、不安げに眉を寄せてぽつりと呟いた。
「……ねえ、今回はどんなのなんでしょうね」
食器を洗うために出しっぱなしにしている水の音が、やけに大きく店内に響き渡った。
かつ、と時折食器が触れ合う甲高い音が水の音を遮るが、やがてそれも全て水音に埋もれていく。
流夜の相変わらず無愛想だった表情が、僅かに引き攣る。瞳がゆらゆらと揺れ、俯きもう氷の融けきってしまったアイスコーヒーに目を落とす。
水音と食器が触れ合う音だけが、むなしく店内に響く。しばらくの、沈黙。
やがて、少々思いつめた表情で流夜が俯いていた顔を上げ——
「きっと、人が死ぬ」
ぽつ、と言葉を宙に彷徨わせた。
* * *
- 一話 消えた右腕 2/未定 ( No.5 )
- 日時: 2010/07/22 13:18
- 名前: 礼夜 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
走る。ひたすら走る。昨日、学校から帰り夏樹と流夜に『美玖の居場所がわからないから探って』と頼まれた時から、胸の内からずっと湧き出てくる不安を跳ね除けようとするように。
無理矢理に撫で付けていたくすんだ深緑の腰上まである長髪が、ばたばたと背中で跳ね回る。
顔や首や体に髪が巻きつき、けれどもそれをうっとおしいと思いつつも美月は払うことはしかなかった。
時間の、ロスになる。今は一刻も早く、夏樹の経営する喫茶店『オレンジ』へと向かわなければならない。
夏樹の鮮やかなオレンジ色の髪からついた名前の喫茶店までの近道を頭の中に思い浮かべながら、美月は全力疾走する。
近道といっても、住宅街の裏路地に入って汚れた塀を飛び越えたり、手入れのされていない林を抜けたりするためあまり清潔好きな美月にとっては好ましくない。
だが、今はそんなことを言っている状況では無いことは美月が一番良くわかっていた。
走る。ただひたすら走る。息が切れても、転びそうになっても、脇腹がいくら痛くなっても、脚がふらついても。
頭の片隅にこびり付いている、“屍”となってしまった弟のことを思い出しながら。
* * *
「だいっきらい」
乱暴に言葉を宙に吐き出しながら、黒咲美玖は楽しそうにくるくるとその場で回った。
色とりどりの花が散りばめられた黄色の可愛いスカートが、ひらひらと愉快そうに揺れる。
胸下程度まである茶髪がばたばたとうるさく跳ねるが、美玖は全く気にしていないようだった。
子供のように無邪気な笑顔を浮かべて、嬉しそうに楽しそうにしている美玖は、誰も居ない薄汚れたマンションの廃墟の屋上で、先程からずっとくるくると回り続けていた。
その無邪気な笑顔の中に、うっすらとした狂気を滲ませながら。
「真希ちゃん、ねえ真希ちゃん、真希ちゃんはどこにいるの? どこにいるのかなあ、真希ちゃん」
壊れたカセットテープのように、可愛らしいソプラノの声で花園真希の名前を呼び続ける美玖。
それはまるで歌うような口調で、自らの言葉に合わせて心底楽しそうに回る。
真希ちゃん。
その言葉は、自らのうちから言いようも無い劣等感と嫉妬と憎悪と羞恥を呼び覚まさせているとも知らず——まるで真希の名前を呼ぶことだけが自分の存在意義のように、何度も何度も何度も何度も繰り返す。
にっこりと可愛らしい子犬のような笑顔を浮かべて、言葉の端々に笑い声を交えながら。
「あーあ、どこにいるんだろ。退屈だなあ、真希ちゃん」
笑顔のままで、しかし残念そうに眉を寄せて美玖が再度言葉を吐き出す。
しばらく何度かその言葉を狂ったように復唱し続けた後——
「……お友達が、欲しい」
今まで顔に刻み込まれていた笑顔がすっかりと消し、黒ずんだピンク色の瞳の端に涙を滲ませた。
先程までとは打って変わって悲壮感に満ち溢れており、今にも泣き出してしまうんじゃないかと思うほど、顔がぐちゃぐちゃに歪んでいく。
歯を食いしばり、涙が溢れ始めたせいではっきりとしなくなってきた視界を澄み切った青空に向ける。
そして、囁いた。小さな小さな、彼女以外には聞き取れないであろう声で。しかしそれでいて、はっきりと。
「……みんながお友達になってくれないなら、お友達を作ればいいんだ」
言葉を、紡いだ。その時彼女の表情に一瞬、黒く歪んだ狂気の笑みが浮かんだのを知る者は、誰もいない。
* * *
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