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遍歴の騎士
日時: 2010/07/27 21:19
名前: Sachse (ID: zr1kEil0)

試しにと、書いてみたモノです。
少しでも面白いと感じて頂いたなら、これ幸い。

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Re: 遍歴の騎士 ( No.1 )
日時: 2010/07/27 21:39
名前: Sachse (ID: zr1kEil0)

現実というものは、各人の思いこみにすぎないのではあるまいか。
そう考える貴方は寂しいだろうか、ミスタ・コルネリウス?

——ロブコヴィッツ 『回想の対話集』より




人間という生物が道徳性を失ったかに見えた、ある年の秋の事であった。
残虐が行き着く所まで行き着いて、修道士はては女子供まで襲われる様になった時、私はまだ高潔な騎士(世間は騎士という名を借りた豚と呼んでいたが)であった。
国王陛下から下賜された爵位と、若人特有の情熱、そして理想主義が心身に燻っていたのだ。
その頃の私は、磔にされたジプシーや重税に苦しむ市民を見ても彼らに同情の念など持たなかったし、それどころか、それは当然の事だと認識していた節がある。

若い時には様々な勲章をもらう。
それは良い意味でもあるし、悪い意味でもある、肉体的にも精神的にも多くを学ぶ時だ。
しかし、あまりにも多くの困難を目の前にすれば、いかにその身体が精力に溢れていようとも、膝を着いてしまう。
私の場合はその困難相手に崩れ落ちようとはしなかった、それは稀有なことであったかも知れないし、そうではないかも知れない。
いずれにせよ、私は負けず嫌いであったのだ。

Re: 遍歴の騎士 ( No.2 )
日時: 2010/07/27 22:58
名前: Sachse (ID: zr1kEil0)

正義や人間の尊厳の追求は放棄し、それにかわる富の慰安を求めようと思った。
黄金は頼り甲斐のある女であり、有形の友である。

——ラスプーチン 『猟奇的幻想世界』



ここで私の名を記しておこうと思う。 
意味の無い行為ほど、些細な時に興味を引き付けられるものだから、貴方がこの書物から目を離さない保険といった所だ。

グレゴリィ・アグネッツ・ナッサウ

多くの友人は私の事を貴族と勘違いするのだが、それはこの「ナッサウ」という名前の所為だろう。
彼らの誤解を解かない内は親切に接してくれる、が、一度秘密のベールを取れば、途端に素っ気ない態度になる。


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