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- 罪人の庭園
- 日時: 2010/08/05 18:50
- 名前: ゆずき ◆wi/K80DU2E (ID: Y92UWh7z)
こんにちは!!! ゆずきです( *・ω・)ノ
このお話は、けっこうグロイシーンが出てきます!!
あと、更新速度が亀です。 すみません(・_・;
では、どうぞ↓
*主な登場人物
伊月 かなた/Iduki Kanata
十五歳の少女。 伊月家の最後の一人。 あだ名は「かなちゃん」「孤独の死神」。
久遠/Kuon
十六歳の少年。 本名は「久坂 詩遠」。 莉遠は妹。
久坂 莉遠/Kusaka Rion
十四歳の少女。 久遠(詩遠)は兄。 かなたの親友。
エドガー/Edgar
十五歳の少年。 あだ名は「エド」。 イギリスと日本のハーフ。
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- Re: 罪人の庭園 ( No.1 )
- 日時: 2010/08/05 19:19
- 名前: ゆずき ◆wi/K80DU2E (ID: Y92UWh7z)
第一章 はじまりの赤
家が、燃えていた。
「……お父さん? お母さん?」
わたしは小さな声で呟く。 聞こえるはずがない。
ただ一人、わたしは家の前に立つ。 何も出来ずに。
「お嬢さんの両親は、今頃、骨になっているよ」
見知らぬ男の声がする。 笑っている。
そうか、こいつが放火したのか。
わたしは振り向いた。
「お母さんそっくりだね、君は」
「誰ですか、あなた……。 両親を知っているの?」
自分の声が震えていることに気がついた。
男はまた、笑う。 気持ち悪いやつだ。
「知っているよ。 むかしから、知っている!
この日をずっと待ち続けてきたんだ。 ずっと。
殺すために、知り合ったようなものさ……」
気がついたら、わたしは男に向かって走り出していた。
そして、思い切りわき腹に蹴りを入れた。
ドス、と男は倒れる。 呆気ない。 つまらない。
もっと何か、してあげなくちゃね……。
「後悔して下さい。 両親を、殺したことを」
宙に、紅い血が舞った。
□ □ □ □ □
「おっはよーぅ、かなちゃん!」
いつもの朝、わたしの親友が元気にやって来た。
肩までの綺麗な黒髪に、二重の瞳。 小顔!
一言でいえば、美人。 名前は、久坂莉遠。
「おはよう、莉遠!」
そう返すわたしは、伊月かなた、と申します。
わたしと莉遠は中学三年生。
来年は高校生です。
ちなみに、わたしたちが通うのは女子中学校。
名前の通り、女子だけの中学校。
「そういえば、今日、転校生が来るらしいよね」
情報屋である莉遠が、得意気な顔で言う。
「今の時期に? ふーん、ちょっと珍しいかもね」
「うん! あたしたちのクラスだと良いねぇ」
そんな会話をして、わたしたちは教室まで向かった。
莉遠の情報通り、ちゃんと転校生はやって来た。
しかも、わたしたちのクラスに。 三年A組に。
「───では、自己紹介をして下さい」
担任である一ノ宮先生が促した。
「篠宮リオンです、よろしくお願いします」
わたしはその瞬間、顔を上げた。
───莉遠にそっくりだった。
篠宮リオン。
長い綺麗な黒髪に、二重の瞳。 小顔。
莉遠と名前が同じなうえ、顔がそっくりすぎる。
「ねぇ、莉遠ちゃんにソックリじゃない?」
近くの席にいる女子たちが、騒ぐ。
わたしは隣にいる莉遠を見た。
「ね、莉遠………!」
「───なんで来てんのよ」
莉遠は篠宮リオンを睨みつけながら、言った。
- Re: 罪人の庭園 ( No.2 )
- 日時: 2010/08/06 16:05
- 名前: ゆずき ◆wi/K80DU2E (ID: OAdxRzGu)
「え、ちょ……? 莉遠?」
わたしは莉遠に声をかけたが、莉遠は返事なし。
ずっと、リオンを睨み続けている。 ギラリ、と。
リオンは、睨まれていることに気がついたようだ。
莉遠を見て、小さな笑みを浮かべた。
バキョッ、と莉遠の握るシャーペンが折れる。
「久坂さん? あとで、校内を案内してあげてね」
先生が明るい声で言う。 莉遠の顔は、まるで鬼。
一ノ宮先生、なんてことを言ってくれるんだ!
□ □ □ □ □
昼休み。
「───何で、アンタが来てるのよ?
しかも、わざわざ、あたしの名前を使って!」
転校生のリオンは、壁を背に立っている。
莉遠は、リオンの目の前に立っている。
わたしはそれを、少し離れた場所で見ている。
「何をしに来たの……?」
ガツッ。
リオンの首、ぎりぎりのところにナイフが刺さる。
勿論、莉遠専用ナイフだ。 白銀の、ナイフ。
「───これしか名前が思いつかなかったんだよ」
リオンが答えた。
え、ちょっと待って。
今の声、男の声だった……。 気のせい?
「この学校に来た理由は?
“女装”までして、何をするつもりなの?」
女装。 今、莉遠、女装って言った?
「じゃあ、このナイフを取るんだな。
実の兄に向かって、ちょっと酷いぜ?」
“実の兄” “女装”
「ちょっと待って、莉遠!
さっきから、どういうことなの?」
「あれ、かなちゃんは気づかなかったの? 珍しいね。
コイツ、あたしの兄貴だけど?」
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