ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

女神と軍人の運命選択学。
日時: 2010/08/08 17:23
名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)

イナミ王国はサブナ王国との戦争に負け、領土となった。


イナミ王国側の王族は全員死刑となったが、国王たっての頼みによって王女が一人だけ生き残れる事になった。


——捕虜として、だが。



+女神と軍人の運命選択学。+



一台のごく普通の荷馬車が道を走っていた。だが、御者は何故かサブナ王国の軍人だった。

「なあ、王女殿下さんよお」

その軍人が、突然話し始めた。荷馬車に人が乗っている訳がないので、当然反応はない。それでも、その軍人は誰かに話しかける。

「おい、アイリーン・ラインスター王女殿下さん! 起きてんだろ、答えろよ!」

明らかに声に苛立ちが混ざる。その頃になって、ようやく返事が来た。

「へえ、私を呼んでいたんですか。もう『王女殿下』じゃないから気付きませんでした」

返事は、荷馬車の中から聞こえてきた。声の主はもちろん、イナミの王族の生き残りであるアイリーン・ラインスターだ。

「はっ、そうでしたか」

軍人は吐き捨てるように言うと、何も言わなくなった。

「私に何か用があるんじゃないですか?」

「ある訳ねえよ。逃げてないかどうかの確認だ」

「……そうですか……」

また沈黙が流れた。軍人は大して気にしていないようだったが、真っ暗闇の中にいるアイリーンにとってはその沈黙が辛かった。

アイリーンは何度目かも分からない溜息を吐いた。溜息に混じるは、諦めと疲労。

丁度、その時だった。


『おい、アイリーン・ラインスター。この運命から逃れたいか?』


目の前から、声がした。


続く

昔のスレが消えちゃったのでまた作ってみましたー。
色々変更点がありますが、よろしくお願いしまーす!

Page:1




この掲示板は過去ログ化されています。