ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- その異人、純白の和服を身に纏い
- 日時: 2010/08/10 11:14
- 名前: 立夏 (ID: SfeMjSqR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=15036
おお!?
クリックどうもでっす♪
全くのダメ文ですが、どうぞそのひろーい御心で見てやってください><(土下座
ちなみに、タイトルはこれでもかって言うくらい和風な感じですが、舞台は英国(イギリス)だったりします。
ややこしくてすみません(-_-;)
※注意※
荒らしはやめてください
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- Re: その異人、純白の和服を身に纏い ( No.1 )
- 日時: 2010/08/15 05:58
- 名前: 立夏 (ID: SfeMjSqR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=15036
それでは、どうぞ〜
英国、首都ロンドンには活気溢れる市街地が広がり、経済・産業に於いて世界に名を馳せる名門家や貴族たちの屋敷が多く立ち並んでいる。表通りには数々の専門店が競うように店舗を構え、行きかう人々の関心を誘う。
その様子を覗うかのように天に高く聳える時計台。一刻一刻と確実に時を刻んでゆく秒針に導かれ、その長身はもうすぐ正午を指そうとしている。
「おや、これは大変ですね。もうじき正午を廻ってしまう・・・・」
普段から行き着けているペット用品店で、懐から取り出した懐中時計を訝しげに見つめ、青年は僅かに眉間へ皺を寄せた。
古いながらも毎秒音を途切れることなく響かせるその時計は、よく手入れされたものだと一目で察しがつき、銀に光を反射させる光沢が美しい年代物である。
「どうしたんだい、兄ちゃん?そんな神妙そうな顔して」
長く艶のある黒髪を後ろで束ね、少々長めに伸ばされている前髪のかかる額に手をあて瞳を伏せている横顔へ、店の主人と思われる中年をすこし過ぎた頃の陽気な印象を持つ男が心配げに声をかける。
「いいえ、何でもありませんのでお気になさらず」
こちらに心配そうな視線を向ける店の主人に、青年は軽い笑みを浮かべて見せ、
懐中時計の蓋をパチンッと閉じて何事もなかったように胸元にある内ポケットへしまった。
その人好きのする愛想の良い微笑みに、落ち着き払った態度から感じられる雰囲気は、青年の歳から考えて、余り似つかわしくないものであった。
「兄ちゃん、若いんだからそんな畏まらなくても、もっと若者らしい顔をしたらどうだい?」
客に向かって失礼な物言いだが、この主人はその陽気さが逆に人を惹くのだろう。それに、青年の見た目は二十歳頃と年若く、普通であればまだほんのり幼さを残しているであろうはずの年頃だからだ。
しかし、彼の雰囲気に態度、なにより人並み外れた容姿が、そんな若者独特の印象を打ち消しているのだろう。そのため年の割に大人びて見えてしまうのだ。
「若者らしく、ですか・・・・・」
青年は特に難しいとも思えない問いかけに困ったように眉を寄せ、何やら考えるように顎に手を添え視線を泳がせる。
まるで巧妙に計算し尽くされ描かれた絵のように整った青年の容姿に、似合いすぎるといっていいほど自然に見える。同じようなことを他人がやってもこうも似合いはしないだろう。
しばし視線を泳がせていた青年だが、長く考えはしたものの、良い答えは浮かばなかったのだろう。
何度避けてもその艶やかさ故に垂れてきてしまう長めの前髪を軽く後ろに梳き、その顔に苦笑の表情を滲ませる。それにつられて、鮮やかで深い群青の瞳も都合が悪そうに細められた。
続きます
- Re: その異人、純白の和服を身に纏い ( No.2 )
- 日時: 2010/08/15 06:00
- 名前: 立夏 (ID: SfeMjSqR)
- 参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
「どうも私には分りかねます」
「そうかい?変わってるねぇ。いや、別に悪い意味じゃない方でだがね。まぁ深く考えなさんな」
「ええ。・・・・・・・ああ、いけない。もうこんな時間でしたか。早く戻らなければ・・・・・」
再度何か思い出すように、懐から懐中時計を取り出し時刻の確認をする青年。正午はもうとっくに廻っており、既に十分を指している。
青年は一瞬その表情を険しいものにした。しかし、すぐ諦めてしまったようで軽く一息つくと瞼を下した。まるで刻々と時を刻むその時計から意識を遮断するように、時計の蓋も器用に片手で閉じてしまう。
そんな一つ一つの動作が優雅に見えてしまうのもあり、店の主人はキョトン顔で青年を見ている。しかし、注目すべきはそこではなく、青年の手に持たれた時計だったらしい。その年代物と見受けられる時計を、店の主人は目を細めて凝視している。
「どうかなさいましたか?」
それに気付いた青年が声をかけると、店の主人はハッとした様子でばつが悪そうに視線を逸らした。何やら言いたげな顔はそのまま青年に向けられる。
「・・・・その・・・・懐中時計の蓋に彫られている紋様に、見覚えがあるような気がしてね・・・・確か何処かの貴族様のものだった気が・・・・・・」
恐る恐る蓋の紋様を指さしながら、店の主人は自分の記憶を辿っていく。
かなり昔に見たものらしく、思い出すまでには多少の時間があった。
青年は意味ありげに唇の端に笑みを刻み、楽しそうに微笑みながらその様を見ている。
「たしか・・・・・」
「はい」
先を促すように相槌をいれる青年。
「えっと・・・・家の名前が・・・・ノーブル・・・・ッ!?」
突然言葉を切り、店の主人は青年を凝視する。その瞳は大きく見開かれ、店の主人がどれほどの衝撃を受けているのか容易に読み取ることができた。
「なッ・・・・兄ちゃん、いったい・・・・・まさか、あの家のッ・・・・うッ・・・・・」
勢いに任せて言い放とうとした彼の言葉は、今度は彼の意志とは関係なく断たれた。きっと今彼が『あの家』と称して言おうとしたのは、その名が現在公の場で口にされることがないからだろう。
店の主人は急にその場に倒れ込んだまま、ピクリともせず動かない。
「・・・まさか、殺したわけではないでしょうね、霧幻?」
目の前で起きたことには一切微動だにしないまま、青年はその背後で呑気に扇子を扇いでいる、自分とたいして変わらぬ年の青年へ、苦情を投げかけた。
名は霧幻(ムゲン)。英国では皆無と言っていいほど珍しく、聞かない名前だ。そして、黒髪の青年とは対照的に目立つ、眩しいばかりの金髪に、まるで血で染まっているような深紅の瞳をしている。そんな人間離れした外見だけでなく、霧幻の格好もまた英国では異端であった。なにせ霧幻が身につけているのは、髪と瞳を強調するかのように純白である、和服なのだから。
続きます
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