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- Jという名のR
- 日時: 2010/08/15 17:36
- 名前: say sen (ID: vHV..Gxc)
ジャック
名を忘れた14歳の少年。レオントンのリヴィナス海岸に打ち上げられていた所を保護された。
職業:いわゆる何でも屋。
コールストン
レオントン警視庁の若き警部。
ジャックをリヴィナス海岸で、発見、保護した人物。
職業:警部
ランデルセン
コールストンの姪っ子。
剣術の腕はレオントンでも随一。
職業:学生(私立コースティア学院二学年二組)
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- Re: Jという名のR ( No.1 )
- 日時: 2010/08/15 23:03
- 名前: say sen (ID: vHV..Gxc)
———・・・
日が沈み、幼き子は眠りに落ちているこの時間に、遊楽街は妖しくネオンを輝やせる。
そんな光を放つ遊楽街にも、闇はある。
妖しいネオンを発する事は無い路地裏で、一人の男と、一人の・・・否、人なのかどうかは実に怪しい『何か』の影が一つ。
男のほうは、一目見て高級品だと分かるスーツに、一流ブランドの腕時計といった、みるからに金を持っていると分かる風貌である。
それは、当たり前といえば当たり前で、この男はある大企業の重鎮でその強引とも呼ばれる、汚いやり方で、様々な人々の運命を狂わしてきた。
『何か』のほうはというと、真夏だというのに袖の長い服、丈の長い服といった服装で、片手には、長さ50cm程のナイフが一振り握られていた。
顔には、目元から頭、首の後ろまで覆う奇妙な形のマスクをしており、口元から喉元においてはガラ空きである。
「た、頼む・・・!い、い、命だけは、助けてくれ・・・!!」
「・・・。それは・・・命乞いか・・・?」
見た目とは裏腹に、幼い声が男を困惑させる。
「え・・・?」
「・・・。お前は、クバレ・マエタオで間違いないな・・・?」
「あ、ああ・・・」
「お前はこれまで、俺が調べ上げただけで、34人の社員を不当に解雇し、13人の部下の功績を自分の物として上司に提出、その上司の根も葉もない噂を広め、自殺にまで追い込んだ」
「いっ、いや・・・違う、それは、会社のこれからの為にした、正等な行為だ・・・!わっ、私には、何の罪も無いっ・・・!」
「・・・クバレ・マエタオ!!」
自分の名を呼ばれた男は、体を強張らせる。
「なっ・・・何だっ・・・!?」
「我がジャック・ザ・リッパーの名の下に、貴様の命を剥奪する。7の業火、13の針山、での刑を行う事を、ここに宣言する!!」
己をジャック・ザ・リッパーと言った『何か』の足元に、赤と金に施された奇妙な文字と模様の描かれた『ソレ』は、『何か』の半径4m程に転回した。
「なっ・・・!?何だそれはっ・・・!?」
「・・・・・・」
『何か』は無言でナイフを逆手に構える。
その瞬間、男は、『何か』の背後に黒く、2m程の背丈のある、影のようなモノが男を見つめた。
「冥府の門番よ、今、地獄への扉を開錠せよ!!
地獄の案内人よ、この者の魂を冥府の鎖に繋ぎとめよ!!」
影は、『何か』のナイフに取り付くように吸い込まれ、ナイフは黒く変色し、形を僅かに変えた。
「何だそれは・・・!おっ、お前は一体・・・」
「・・・強いて言うならば」
『何か』は、男の元に駆け、逆手刃にしたナイフを喉元から切り裂いた。
「ガッ・・・ハァッ・・・!?」
「やっぱ・・・悪魔だな・・・」
ビチャビチャと、男の喉元から吹き出した血が、壁と地面に付着する。
「・・・来世では、もっと真っ当に生きろよ、おっさん」
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