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死神さんのお仕事
日時: 2010/08/30 11:56
名前: ナッツ (ID: 66wanHrV)

こんちは(今は昼)、ナッツです。

呼びタメ、OKです。ナッツは敬語がタメなんで、ご了承ください(?)

えーと……この小説を読んで、皆様が「面白い」って言ってくれたら、私は幸せです。

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Re: 死神さんのお仕事 ( No.5 )
日時: 2010/08/30 12:16
名前: ネズミ (ID: 66wanHrV)

「私は、死神です。死なせたい人、いませんか?」

 私は手にトマトを持ったまま、口をあんぐりとあけた。

「今、なんと?」

「だぁかぁら、死なせたい人はいないかって言ってんの!」

 私より背が低い(っていっても、五センチぐらいしか変わらないけど)おかっぱ髪の女の子は、精一杯胸を張る。

「なんのご冗談を」

「へえ、あんた、珍しい。憎んでる人、一人しかいない。しかも、死者」

 頭が混乱して、思わず手に持ったトマトを握りつぶしそうになった。

 女の子は置いてあったリンゴをとると、勝手にかじる。

「ちょっと、お金払ってから食べてよ!」

「……これ、売り物?」

「これは二個セットで百円なの! 百円払って」

 手を出して要求する。でも、自称『死神』さんには無視された。

「あんたが払っといてよ。この八百屋の主の娘なんだし」

「関係ないでしょ」

 とか言いつつも、『八百屋 ミソノオ』と書かれた真っ赤なエプロンから百円玉を取り出す。

「とにかく、死なせたいなって人ができたら、これに電話して」

『死神』は名刺みたいなのを出すと、リンゴを持ったままどこかに去った。


 私は『死神』が食べたリンゴ代を、払わなけらばならなかった。

Re: 死神さんのお仕事 ( No.6 )
日時: 2010/08/30 12:18
名前: ネズミ (ID: 66wanHrV)

ナッツさん、もう改名しました!
今まで通り、ナッツでいいですよ!
私が悪かったんですから、ナッツさんはナッツさんでいいですよぉ……(泣)

Re: 死神さんのお仕事 ( No.7 )
日時: 2010/08/30 13:53
名前: ネズミ (ID: 66wanHrV)

 死神は、いつ調べたのか、夜に電話をかけてきた。


 その時、私はゲームをしてたんだ。もう少しでクリアだったのに、お母さんに「友達からお電話よ。ササさんから」という声に驚いてゲーム機を落としてしまったら、画面に「GEME OVER」の文字が出てきた。

「もしもし、ササさん」

 電話をお母さんから受け取ると、『死神』の声。

「あー、死なせたい人できた?」

「……あんた、ササって名前だったの?」

「うん、まあ。っていうか、名刺渡したでしょ。見なかったの?」

 私は子機に持ち帰ると、部屋に戻った。

「エプロンに入れたまま」

 部屋の壁にかけてあるエプロンのポケットを探ると、ゴミとともに名刺が現れた。


死神 ササ
*** *** ****


「この*** *** ***ってなに?」

「私の電話番号! 死なせたい人ができたら呼んでって、言ったでしょ」

「言ってたね。けど、死なせたい人とかいないし」

「お願い、死なせたい人、ほんとに見つけといて!」

 ササはヒステリックに叫ぶと、私に事情を一気にまくしたてた。

「死神学校の実践で、実際に人を死なせてみましょうって授業があったの」

 死神学校、なんてあるんだ。人を死なせる授業、とか止めてほしいけど。

「でも、ただ単に誰でも殺していいってわけじゃないの。誰かの役に立ちながら、殺すの」

「はあ……」

「で、くじ引きで、私はあんた……夏美だっけ? のご所望どおりに誰かを殺すってことになって」

「うん、夏美であってる」

「今はあんたの名前なんてどうでもいいから、ともかく、ね? 死なせたい人、見つけといて」

「それは無理」

 ベッドに寝転ぶ。

「どうしてさ」

「私、憎い奴、一人しかいない」

「しかも、死者。そうでしょ? 私、当てたじゃない」

「そう。だから、ちょっと無理」

「ねえ、なんで? お隣のおばさんは、いつも口うるさい。向かいの田中尚ちゃんは、みんなから嫌われてる。そのほかにも、たっくさん憎まれてる人、いるじゃない! なんで夏美は誰も憎めないの?」

「さあ? そういう体質」

 私に文句を言う前に、くじ引きで誰のところに行くか決めた先公に言え! って思ったけど、口には出さなかった。

「私、退学になっちゃうよぉ……」

「退学?」

「ううう……私の学力でも入れるとこ、やっと見つけて入れたのに……はあ、もうあきらめる」

 涙声に訴えられちゃ、引き受けるしかない。

「わかった、わかった! 死なせたい人を見つけておくから」

「よっしゃ! じゃ、よろしく」

 ササの元気な声を聞いて、あの涙声は演技だったんだなと初めて気が付いた。

「あんたんち、電話機二つあるでしょ? もう一つの電番、教えてくれない?」

「なんでわかるの、二つって」

「八百屋でしょ? 注文用と自家用と、わけてんじゃないかと思って」

 確かに、今持ってるのは注文用の子機だ。

「どうやってこの電話機の電番、調べたの?」

「NTT。『八百屋 ミソノオ』って聞いたら、すぐ出た」

「あー、はいはい」

「眠いから、明日電話して」

 自己完結して、電話を切られた。


 通話時間、約三十分。

 電話代と通話料は向こうもちだろう。よかった、よかった。

Re: 死神さんのお仕事 ( No.8 )
日時: 2010/08/30 20:49
名前: ネズミ (ID: 66wanHrV)

「ねえ、夏美! またお電話。ササさん」

 気持ちよく寝ていた私は、起こされて不機嫌だ。

「何!?」

「……何怒ってるの?」

 ササは、なかなか勘のいい奴だ。

「怒ってるように聞こえる?」

「……うん」

 一応死神でも、気遣ってはくれる。

「で、お願いね。誰かしら死なせなきゃ、退学だし」

「ほんとに退学なの?」

 ベッドから起き上がると、背中の関節がボキボキとなる。

「退学ってのは大げさ。私、なんとか成績Aクラスなんだけど」

「ササの学力でやっと入れるところって言ってなかった?」

「あはははは……」

 あれも嘘だと気付くまでに、数秒もかからなかった。

「ま、一番下のクラスに落ちちゃうかも。死神ランキング最下位〜」

「いいじゃん、最下位で」

「よくない。てか、奨学金下りなくなるかも」

「奨学生だったんだ?」

「へっ、ま——ね」

 褒めたわけではない。むしろ、「だましたなあ!」と蹴ってやりたい。

「とにかく、よろしく。絶対、見つけろ」

「へい」

「見つけられなかったら、死ぬのはだれかわかってるよね?」

 心なしか、ササの声が怖い。

「わかってる。わかってるから」

「絶対ね」

 やっと電話が切れた。ホッとする。

 今日は、最悪の一日になりそうな気がする。

 私は下の階で焦げるトーストのにおいをかぎながら思った。

Re: 死神さんのお仕事 ( No.9 )
日時: 2010/08/31 04:05
名前: hana (ID: 73kQpkiy)

全部読みました!
なんか面白い死神ですねw
2人のやりとりが良かったですw
でも最後の「見つけられなかったら死ぬのは誰かわかってるよね?」が恐かったww
これからも頑張ってください!!


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