ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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お世話あーちゃん
日時: 2010/09/08 14:27
名前: 純 (ID: A9v/NWj7)

こんにちわ、純です。
よろしくお願いしますね。

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Re: お世話あーちゃん ( No.1 )
日時: 2010/09/08 14:52
名前: 純 (ID: A9v/NWj7)

今日は台風接近するので午後の授業は中止です。

校長の言葉に学校中から歓声が沸きあがった。

そんな訳で私が家に早々と帰ると玄関前に誰か居る。


「・・・こんな処で何をやってるの」

「・・・・ここが、宮沢さんの家ですか?」

「えぇ、それが何か?」

「・・・お世話になる、桜井まこです!」

「・・・ゴメンなさい、話を聞いてないから
 とりあえず家に入って、話を聞かせてくれる?」

「分かりましたあ」


礼儀が正しく素直な可愛らしい7歳ぐらいの女の子。

この子は一体誰なのかしら。というか世話になるって

お母さん。お父さん。私なにも聞いてませんけど、

というか、親御さんは許したの、無許可だとしたら、

ロリコン。・・・ううん、立派な犯罪なんだけど。


私は仕方なしに家に女の子を入れさせた。

本当に礼儀正しく靴を揃えて挨拶をしてから、

先にリビングに入った。私も急いで後に続く。


「・・・まずはケーキあるけど食べる?」

「じゃあ、お願いします!」


私はケーキを出し、女の子は美味しそうに食べる。

落ち着いた処で、私は例の課題を話すと。


「・・・じゃあ、お世話になるとは如何いう事?」

「はい。あたしは交通事故でパパとママが死んで、
 それで、お友達と聞いていたママのお友達が、
 つまり、お姉ちゃんのママが引き取ってくれました
 この事は突然だからまだアンナに言っていないの。
 だから、伝えておいてねと言い、旅行に行きました
 場所はえっと。・・・・ニュージーランドだとか」


またお母さん達の旅行病が発症したか。

私が高校生になってから、いつもこうなのよね。

まあ、生活費はちゃんと郵便で送ってくれるけど、

・・今回は無責任すぎる。立派な保護責任者遺棄罪。

後で皆から反対されたとしても、裁判を起してやる。

そんな事よりも自己紹介はまだだったっけ。


「・・・じゃあ、自己紹介をするね。
 私は宮沢アンナ。桜井まこちゃんだよね?」

「はい。絵美子おばさんと健二郎おじさんが、
 お姉ちゃんのお名前はアンナだよと言ってました」

「そう。・・・旅行は何週間後に帰国するって?」

「えっと・・・多分明日か明後日と言ってました」

「そうなの、じゃあ、部屋に案内するね」

「二階の西側の部屋と言ってました」



私の部屋に案内しなくても良いらしい。

そんな感じで二階に上がり西の部屋に連れて行くと



「ありがとうございます!」

「じゃあ、夕食に呼ぶから、それまでご自由に、」

「はい」



こんなあどけない子が天涯孤独の身になったんだ。

こう考えるとあんな良い加減な親でも良いかも。

まあ、犯罪行為に走らない親を除けばね。

私は自分の部屋に戻っていった。

Re: お世話あーちゃん ( No.2 )
日時: 2010/09/08 20:27
名前: 純 (ID: A9v/NWj7)

夕方になったので私はリビングに向かう、

キッチンで何を作ろうか冷蔵庫を覗いてみる。


「・・んと、オムライスかな?」


私はさっそく準備に取り掛かった。

久しぶりに作るオムライスは中々の上出来だ。

我ながら美味しそうに感じる、良い出来だよね。


「まこちゃーん、オムライスが出来たよ」

「・・・はーい、分かりました」


階段を降りる音はあどけない可愛らしい足音。

私もあんな頃があったなあ、ふと想い出に浸る、

まこちゃんはいつの間にかリビングに待っていた。

お行儀良く、じっと待っていたので焦ってしまった

まあ、何はともあれ私はまこちゃんと一緒に夕食を。


しばらくして食べ終えるとまこちゃんは手伝った、

ちゃんと自分の分と私の分まで待ってきてくれた。

私もこんな可愛らしい妹が欲しかったなあ・・・・

ぜひとも、お母さんだったら、なおさら嬉しいなあ。


「・・・お風呂でも入る?」

「はいっ!」


お風呂を二人で一緒に入る前に異変に気づいた


「・・・・?」

「バスタオルはこれで良いですか?」

「・・・あ、うん。それで良いよ」

「じゃあ、先に失礼しまーす」


まこちゃんの下着のシャツが妙に赤くなってた。

オムライスのケチャップが着いたとは・・・思えない

というか、下着のまま食べてた訳じゃないのにな。

じゃあ、この赤い液体は・・・・例えば血とかかな。


「・・・バカらしいわ」


まこちゃんが何で血を下着に浴びるのよ、

これは絵の具か何かで偶然に着いただけだろう。

私は大して気にせず、遅れながらお風呂に入った。


「・・・気持ち良い?」

「はい!」


シャワーでボディソープを洗い流してる時も、

何故か頭から赤い液体が流れて一瞬パニックになった

だけど。まこちゃんは笑いながら言った。


「・・・施設で絵の具の赤の入った水を被りました」

「だから、・・・こんなに赤くなっちゃったんだ」


風呂に入る前にきっと迎えに来たんだろう。

だから、拭いた後に着替えるだけしかなかったんだ

・・・・それにしては、出来すぎてるような感じね。

まあ、気にしても無駄か。考えるのはやめにしよう。


「じゃあ、上がろう」

「・・・はあい」


お風呂に上がり私はまこちゃんと二階に上がる。

独りで寝るのは怖いだろうと思い部屋に迎えた。

まこちゃんは怖くないのか、普通に眠りに着いてる。


「おやすみ・・・まこちゃん」

「・・・・美味しい、かったなあ」

「オムライス、気に入ってくれたんだ」


私も満足を感じて眠りに着いた。

お母さん達、早く家に帰ってきてよ・・・・

じゃないと、まこちゃんが可哀想じゃないの。

まったく。自己中心も華々しいから、恥かしいよ。

Re: お世話あーちゃん ( No.3 )
日時: 2010/09/08 20:36
名前: 純 (ID: A9v/NWj7)

それから一週間経っても一ヶ月経っても帰国しない。

明らかに可笑しい。普段は必ず一ヶ月以内に帰国して

お土産でも持ってくるのに。調子に乗ったのかな。


「・・・まこちゃん、帰ってこないねぇ」

「・・・そうですね」


また一段と低い声でまこちゃんは冷めた目で答えた。

それは今まで見たこと無いから、私は少し震える。

警察にでも相談しようかな。・・・明らかに異常だし

キッチンでスクランブルエッグを作りながら考える。

それを遮るようにまこちゃんが不機嫌な態度で呼んだ


「・・・・警察に言うつもりですか?
 それだと、私施設に戻ってしまいます
 ・・・そんなの嫌です。きっと戻ってきますよ」

「・・・・まこちゃん、」


何で私の考える事が分かったんだろう。

恐ろしい感じがしてまた少し震えてしまった。

Re: お世話あーちゃん ( No.4 )
日時: 2010/09/08 21:15
名前: 純 (ID: A9v/NWj7)

それから時間が悪戯のままに経っていくだけだ。

不安が募り始め、好い加減に警察に言うべきだ。

私はリビングに出て行こうとすると、まこちゃんが。


「・・・あの、あーちゃんと呼んでも良いですか?」

「え・・・良いよ、私ね警察に行くから、
 好い加減に帰ってこないから・・・ね?」

「・・・すいません、もう帰ってこないと思います」

「はっ——?」

「・・・・うふふ」


怪しく笑うまこちゃんが怖くなり後ずさりする。

だけど、まこちゃんは力強い手で私の腕を掴んだ。


「・・・・だって私が食べたんだもん」

「・・・・食べ・・・た?」

「私ね、実は・・・人間と同じ容貌をした、
 イギリスに住む伝説の悪精霊ヴィーナなの」

「・・・・ヴィーナ?」

「ヴィーナはね、人を殺して食べるの、
 それで本当はイギリス人の容貌なんだけど、
 食べた人の記憶に癖や、容貌等と全て乗っ取れる
 そんな・・・・悪霊なんだあ、ごめんね、てへ。」

「・・・・んな・・・」

「それであーちゃんの両親は食べちゃった、
 偶然にもニュージーランドからイギリスに来て
 多分あーちゃんのお土産を買おうとした真夜中に
 私と運悪く出会って。それで・・・前供通りの事を
 あっ、この容貌はずっと前に食べた子の姿なんだ」



これで全てのバラバラのパーツが揃った。

下着が赤かった理由も警察に行く事を反対したのも。



「でもね、あーちゃんだけは食べないよ?
 ヴィーナは生まれつき黒髪で色白の赤目で、
 イギリスでは昔から忌み嫌われているから・・
 普段のままでも随分人から驚かれていたたの、
 ・・・でも、あーちゃんは化けても表しても、
 何にも驚いてくれない・・・・それが嬉しいよ」



確かにまこちゃんの目は赤くなっていた。

だけど、そんな事は今は如何でも良い事なんだ。

それにしても私を黙ってお母さん達を殺した・・・


—— あんな両親でも十分に愛してくれた


それなのに......

途端に涙が溢れてきた、

まこ・・ヴィーナは言った



「私の本当の名前は・・・リラ」

「・・・何で・・・お母さん・・・達を、」

「私も食べる前から嫌だったよ、
 でもヴィーナは集団性の悪霊なの
 だから、リーダーの命令は絶対的で、
 ・・・・ヴィーナの試験に合格する為。
 もしも失敗すると殺されるのが掟だから」

「・・・・そんなあ」

「真夜中に居ても怒る処か心配してくれた、
 あーちゃんのお母さん、お父さんを食べたくない
 だけど、食べなきゃ殺されちゃうし永遠に転生せず
 魂は永遠にあの世とこの世をさ迷う羽目になるから
 だから、せめて、合格した後にあーちゃんを守ろう
 ・・・・ヴィーナは日本に上陸する気だよっ!!」

「・・・どういう事?」

「ヴィーナは今や世界中に散らばってる。
 だけど、日本は十字架をアクセサリー代わりに
 一杯身につけてるでしょ? あれは弱点なんだよ
 ヴィーナは・・・十字架が唯一の弱点なの・・・
 でも。日本自体に着けば、もしかしら大丈夫だと、
 ヴィーナは考えて。もうそろそろ上陸するつもり、
 ・・・・私は今更イギリスに居ても起きて破りで、
 私は殺される身。ならば、あーちゃんを守ろうと」



イギリスの悪霊ヴィーナのリラは悲しそうに言う。

正直ショックだったけど、今はそんな場合じゃない。

とにかくリラの言う事が本当なら何とかしなきゃ。


でも——


私には重く圧し掛かる、

両親の死が付きまとう———





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