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———DEVIL BLOOD———
日時: 2010/09/09 20:30
名前: 時 波紋 (ID: K.HEaMnc)

——【はじめに】——

初めまして、時 波紋(とき はもん)です。
今まで他の小説サイトで活動していましたが、こちらでも活動しようと思い、スレッドを生成いたしました。
未熟者ですが、何卒よろしくお願いします。

「———DEVIL BLOOD———」の主なジャンルは、現代系ダーク小説となっております。
(一部に恋愛、ギャグ要素あり)

——【ストーリー】——

一話「突然の告白」>>1


——【資料集】——

 まだありません

Page:1



Re: ———DEVIL BLOOD——— ( No.1 )
日時: 2010/09/09 20:29
名前: 時 波紋 (ID: K.HEaMnc)

一話「突然の告白」

「好きです、つきあってください」

 その一言が、青見 優(あおみ ゆたか)にとって、何よりも幸せだった。
 誰だって、ずっと好きだった人から突然「好きです」と言われたら嬉しさでいっぱいだろう。
 優も例外ではなく、突然の、しかもずっと好きだった人からの告白で、心は嬉しさと動揺で膨らんでいた。
 だが、すぐに呼吸を整え、優は目の前にいる未来の彼女に向かって、こう言った。
「俺も……君の事、好きだ」

 途端に、近藤 遊海(こんどう ゆうみ)の顔がぱっと明るくなる。遊海の頬は赤かった。
 優はぎこちない動きで遊海の小さな体を抱きしめる。そんな優の頬も、遊海の頬の色と同じく、赤く染まっていた。

* * *

 ××県○○市姶ノ寺村。
 ここは本当に小さな村で、人口も500人を超えるか超えないか程度である。
 そんな小さな村に、俺たちの学校がある。
 市立姶ノ寺第一高等学校。俺、青見優はここの生徒であり、今年めでたく卒業する三年生だ。
 受験やら就職やらで忙しいとき、俺にとって最大の幸福が舞い降りてきた。

 ——彼女ができた。
 それは、18年間生きてきて一度もなかったことだし、これからも絶対にあることではないだろうと思っていたことだ。
 そんなことが今日という日にあっさりと起きてしまうのだから、未来というのはわからないことばかりだ。
 つやがあるセミロングの黒髪を左の方で一つに束ねている、顔の整ったその子の名前は近藤遊海。一つ年下の高校二年生だ。
 人口が少ないこの村だから、高校なんか一つしかないし、クラスも三学年で一つ。だからこそ俺と遊海は出会ったのかもしれない。
 そう、いうならば運命の出会い。俺と遊海は、出会うべくして出会ったような気がするのだ。

「おい青見、何ニヤニヤしてるんだ。気持ち悪い」

 横の机から俺の頬をつついてくるのは、同級生の大峰 光(おおみね こう)だ。どうやら俺は、突然の告白に浮かれすぎて、少々ボーッとしていたらしい。
 いつの間にか、今日最後の授業は残すところ挨拶だけだったらしく、教卓では先生が教科書をそろえ、出席簿の上においていた。

「では、今日はここまでです。明日も授業はありますので、しっかり復習しておいてくださいね。学級委員、号令をお願いします」
「起立!」

 学級委員の号令とともに、クラス全員が立ち上がり、礼の一言で全員お辞儀をする。こうなれば残りは帰りのミーティングだけである。
 すぐに帰る用意をしている俺に話しかけるのは、今日できた彼女だった。

「優先輩……、今日、一緒に帰りませんか?」

 彼氏と彼女という関係なのに、遊海の言葉使いは堅苦しい。父が礼儀に厳しい人だったらしく、性別や年齢にかかわらず、敬語を使えと教わったらしい。
 だが、せっかく彼氏と彼女の関係になれたんだからということで、せめて呼び名だけは下の名前を使おうということになったのだ。
 そんな彼女のお誘い、断る理由もなかったので、俺は軽くOKの返事を出した。

「おっ! お二人さん、ラブラブですねえ?」

 そんな俺たちのやり取りをクラス一うるさい光が、黙って見ているはずかなかった。
 即座に反応し、俺たちをおちょくってくる。

「うるせえ、くやしかったらお前も彼女の一人や二人、つくってこいよ。はい、しっしっ」
「へいへい、邪魔者は消えますよーだ!」

 苦い顔をして光は乗り出していた身を引っ込め、席に座る。そんな光を遊海は心配そうな顔をして見ていた。
 顔も頭も完璧な遊海の悪いクセ、それがこれだ。

「大峰先輩、怒っちゃいましたね……」
「大丈夫だ、どうせ明日になったらけろっと忘れるだろ」
「で、でも……」

 悪ふざけや冗談が効かないのである。
 馴れ合い、ふざけあい、冗談の悪口、その大半を遊海は真に受けてしまうので、彼女の前での軽口は厳禁なのである。

「とにかく! あいつのことはほっとけ! さっきも言ったが、明日になりゃ絶対に忘れてる!」
「それならいいんですけど……」
「あー忘れる忘れる! とりあえずミーティング始まるみたいだし、席つけ」

 前では、学級委員がミーティングの準備をしていた。遊海は即座に自分の席につく。
 タイミングを計ったように学級委員がミーティングの開始を告げた。

「これから帰りのミーティングを始めます。まずは今日の反省を行います」

 学級委員がそう言うと、さっそく教科係が授業の様子の報告を始めた。ちなみに俺も遊海も光も今日あった授業の教科係じゃないし、光にいたっては係の所属にもついていない。
 俺はこういうのにはあまり興味がないため、机に置いてあるかばんに顎を乗せ、話が終わるのを待っていた。
 ちらりと横を見る。さっきから微かだが寝息が聞こえるのだ。横、つまり光の席を見ると、がばんに顔を埋めて寝ている光がいた。
 口まで埋めてるのに寝息が聞こえるとは、大したやつだ。

「……大峰くん、起きてください」

 ふいに聞こえた、学級委員の冷たい声で、光は跳ねるように起き上がった。その際、「は、はひっ!」という何ともまぬけな声が聞こえたが。
 まあ、今日の担当はクラス一冷徹な女、本田 魅矢(ほんだ みや)だったので、当然である。
 その後、ミーティングは続いたが、その間光の体は硬直したままだった。

                       ——NEXT


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