ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 群青色の帝国
- 日時: 2010/09/11 04:16
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
まず、初めに……謝罪を。
前作のスパイ物が完結してもいないのに新しく執筆してしまいました。
ですが安心して頂きたい。こちらはあくまでも息抜きであって、メインはスパイ物の方です。
無論、更新速度も……いつもの通り亀で行かせてもr(殴打
実はこの小説、プロットもまともに組み立てておりません。
完全なる作者の妄想と趣味。ええ、くそったれです。
ただ、書きたいから書く。
まさに子供の論理で執筆させていt(pan!pan
まぁ、ガッデムな前置きは捨て置きましょう。
この小説は地球のもう一つの側面を舞台にした戦記物です。
パラレルワールドとでも言いましょうか。
ですから実在の国や団体なども出てくると思います。
しかし、これはあくまでパラレルワールドのお話であることを良くご理解ください。
この世界の科学レベルですが、西暦に換算しておよそ1940〜1945年。
第二次世界大戦です、ハイ。作者の大好b(ry
実在の兵器やらバンバン出て来ます。
すいません、作者の趣味です。
もう一度言います。この小説は作者の妄想と願望、そして趣味が
微妙なバランスで配合されております。
了承できる寛大なお心の持ち主は、どうぞ輸送機からの降下準備を。
そんなものは了承できん!という頑固な元帥閣下の方々は今すぐ退避をお願いします。
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- Re: 群青色の帝国 ( No.1 )
- 日時: 2010/09/11 18:24
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
蒼く、ただ果てしなく蒼い大海原。そこには多くのロマンが溢れている、
と言いたい所ではあるが、残念ながらそのような時代はすでに過ぎ去っている。
鉄の獅子たちがその牙をチラつかせ、海の勝者を気取るかと思えば、
深海に潜る静かなる襲撃者は獲物を求め、ただ放浪する。
大海原はすでに純粋なる少年たちの夢の在り所などではなく、
人によって造られし鉄の化け物たちの試合場となっていた。
“それ”は大きかった。創世記に登場する、かの荒ぶる巨人にも勝るとも劣らない。
“それ”は力強く優美であった。直線的なその“身体”は男性的でありながらも、
途中途中に曲線が施されており、力を誇示しながらも美しさを主張していた。
“それ”は重々しく重厚感に満ちていた。
悠然と佇むその黒い“身体”は見るものに、畏敬の念と静かなる威圧感を感じさせる。
“それ”は船であった。ただの船ではない。戦う為の船。
名を「戦艦」と呼ぶ。
それは、堂々たるその風格から“海の城”とも言われる事もあった。
その“戦艦”は現在、このブリテン島南西部に位置する港街、チャールストンに停泊していた。
正式名称は「レナウン級巡洋戦艦リパルス」つまりは、レナウン級という戦艦の姉妹艦であるという事が分かる。
“彼女”は軍が保有するドックから出され、まるで日光浴をするがごとく、
鷹揚とその船体を見せ付けていたのであった。
そのチャールストンの街に住む一人の青年がいた。
彼の名前はイーサン・ニミッツ。
父親は消防署の署長で母親は銀行員。
かなり裕福な一家であることは間違いなく、事実、
イーサンが望む物はほとんど手に入った。
しかし、イーサンはこうした両親よりも、退役海軍軍人であった父方の祖父に懐いた。
彼の両親、クルト・ニミッツとアリアナ・ニミッツは良くも悪くも放任主義であり、
息子を愛してはいたが、ほとんどイーサンの自由にさせたのである。
このような経緯から、あまり家に帰ってこない両親よりも、
温和だが厳しく、悪いことは悪いと叱る祖父に彼は惹かれていった。
この日も彼は仲が良い友人達と街に繰り出し、可愛い女の子と見ればデートに誘い、
また、街に巣食う不良どもと対決したりと大忙し。
そんな彼が湾口地区を目指しているのには理由がある。
いつもはドックに隠されて見ることができない、
あの“戦艦”が最終点検の為、外に出されるのだ。
無論、警備は厳しいが、普通に“鑑賞”する分には何も問題はないだろう。
彼は馴染みの裏道を走って通り抜け、いつもの大通りを右に曲がる。
そして坂道を真っ直ぐ下れば————
眼前に見えるのは、彼が夢にも見たあの“戦艦”であった。
- Re: 群青色の帝国 ( No.2 )
- 日時: 2010/09/12 15:53
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
その巨体に魅せられた者はイーサンだけでは無かった様だ。街の人々が蟻の様に群がり、壁と呼べるものを形成していた。
イーサンはそれをうっとおしそうに見渡すと、何処か突破口は無いかと辺りを探る。
最初に彼の目に止まったのは近くの2階立ての建物、酒場であった。
あそこの2階からなら、お目当ての“彼女”を良く見ることができるのではないか?
そう企てたイーサンだったが、彼の目が2階を捉えた途端、その考えは破棄される。
そこにはすでにイーサンと同じ様に考えた人々が殺到していた。いくらなんでも、あそこに押し入ることは不可能だろう。
彼は心の中で舌打ちすると、更に眼球を酷使させる。
何処も彼処も“戦艦”見たさの野次馬で溢れていた。
チャールストンは別に田舎街という訳でもないし、軍のドックが3つもある事からも分かる様に、そこまで軍艦という存在は珍しくない。
ならば、何故にここまで人々が集ったのか?
それは目下停泊中の“彼女”に原因がある。
彼女、「レナウン級巡洋戦艦リパルス」は、少々特別な系譜を持つ船なのだ。
元々レナウン級は、ブリテン帝国が20年の歳月と様々なゴタゴタを経て、
やっとこさその重い腰をあげた末に完成した戦艦である。
設計はキャメル・レアード社が担当し、開発はジョン・ブラウン社が行った。
殆どの点で先進的だったこの戦艦は、落日の一歩を辿っていたブリテン帝国海軍を救う存在として多くの人々に期待される。
かのブリテン帝国海軍大臣サー・ウィンストン・チャーチルも“レナウンと比べれば今まで見てきた帝国艦船は全て鉄屑同然だ”と豪語するほどであった。
しかし、大多数の帝国市民の期待を背負った“レナウン”は、その処女航海において不幸に見舞われた。
敵国である、プロイセンの潜水艦による魚雷攻撃を受けたのだ。
だが、レナウンの守りは正に鉄壁。
命中弾にも関わらず、彼女の船体はウンともスンとも、ビクともしなかった。
艦長であるバーナビー・ウォルシュ大佐は後にこう語っている。
「魚雷の航跡を見た時、それはすでにレナウンの直ぐ側まで迫っていた。私は緊急回避を命じたが、もう間に合わない事は自明の理であった。もうお終いだ!そう思った瞬間奇跡が起きた。魚雷は爆発したはずであるのに、あの大きな衝撃と独特の船体の傾きがやってこない。私は神と設計者に心よりの感謝を送った」
事件はブリテン帝国からモスクワ同盟まで、果てはかの大和共和国まで伝えられる。
帝国市民たちは歓喜し、海軍上層部はこぞってレナウンの性能をアピールすると共に“もはやブリテン海軍は落日の艦隊ではない”というスローガンを打ち出した。
政府は莫大な予算と殆どの工場生産ラインを海軍に融通し、海軍再建をチャーチルに命じる。
こうして後に“レナウンの奇跡”と呼ばれる事になる小さな事件は、ブリテン帝国の戦略を根本から変えてしまったのであった。
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