ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- SE-BU(オリキャラ募集!!)
- 日時: 2010/09/12 19:02
- 名前: エミリーア (ID: 7GPkHSud)
死ぬほど辛いことなんて
いくらでもある。
でも死んでしまったら
その後にあるであろう未来には行けない。
この世に正しいことなんてない。
この世に本当の悪などいない。
そんな曖昧な世界の中で
私は息をし
生き延びているのだ。
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- 0 「登場人物」 ( No.1 )
- 日時: 2010/09/12 19:19
- 名前: エミリーア (ID: 7GPkHSud)
シラ・カウントリバー(16)
ある一国のお姫様。
男らしい一面があり、男と混ざって剣術を習うことも。
とある事情により、国を追われることとなる。
ナミ・リアヒング(21)
シラの専属メイド。
義務を全うする頑固さはあるが、それ以外はしない主義。
シラと共に国を出る。
エヴィー・アンティル(18)
どこかの風来坊。
ヘラヘラしていて、どうにかしてシラを笑わそうとしている。
旅の途中でシラ達に会う。
ラン・アール(23)
シラ達を付け狙う謎の人物。
常に仮面を付けている。
無口。
- 1 「神の瞳」 ( No.2 )
- 日時: 2010/09/12 19:41
- 名前: エミリーア (ID: 7GPkHSud)
「シラ様、起床時間です。そして次は朝の儀式でございます。」
無愛想なツインテールのメイドさんはある王室のドアをノックする。
「———ん〜・・・。ナミ〜?」
その王室で悲劇にも寝起きが悪いお姫様がいた。
お姫様の名前はシラ・カウントリバー。
カウントリバー家は代々神に最も近い血を継いでいる神聖な王家である。
そのカウントリバー家の血を継いだ者は黒髪に緑の瞳を持っているのだ。
ちなみにシラの瞳の色はライトグリーンである。
「今行くからそこで待ってて。」
シラはナミにドア越しに呼びかける。
「恐れ入ります。」
ナミは無愛想に答えた。
でもこれが日課である。
シラは寝巻きから服を着がえ始めた。
朝の儀式の服装である。
主に純白のその服装は神の血を継ぐ者に似合っているらしい。
シラは急いで王室から出た。
「シラ様、ご衣裳が乱れています。」
「いいよっ。関係ないって!どうせ朝の儀式は水に入るんだから・・・。わかんないよ。」
「・・・そうですか。」
それ以上ナミは止めようとはしなかった。
これも日課である。
「今日もやっぱり10分入ってなきゃいけないのかな?」
「はい。多分そうだと思われます。」
「嫌だな〜。カウントリバー家は変なシキタリがありすぎるんだっつの。」
「・・・・。」
「あー、ごめんごめん。何も言えないよね、ハハハ。」
シラは水の入った浴場のような場所に来た。
ナミはその場で待機する。
「じゃあ5分!」
「ダメです。(キッパリ)」
シラはその後は黙って水に入った。
「清めの湖」と大理石の看板には彫られていた。
「・・・・・。(黙秘)」
朝の儀式の間は何もしゃべってはいけないのだ。
ナミもその様子を見守っていた。
そして10分経った。
シラはゆっくりと水から身を出した。
そして目を瞑り、口を開く。
「われ、今日の一生に神のご加護があらんことを・・・。」
ナミは静かにシラを見つめていた。
バサバサッ!
カラスが鳴いて飛んでいる。
カウントリバー家はカラスを不純のものとして受け入れないという決まりがあるのだが、今日は来ているようだ。
さて、どうしたものか。
これが何かの前兆だということをシラも、ナミも・・・ある一部の存在以外は誰も知るよしもなかった。
- 2 「黒き暴動」 ( No.3 )
- 日時: 2010/09/13 20:07
- 名前: エミリーア (ID: 7GPkHSud)
「いやぁ〜。今日も10分以上水に入っちゃった!しっかり教えてよ、ナミ。」
「・・・すみません。」
シラは濡れた体をタオルで拭いている。
しかしナミは無表情でシラを見守っていた。
「1時間の朝食の後は勉強の時間です。今日は《経済》、《財政》について授業します。」
「げぇ〜!すごい嫌なんだけど・・・・。」
「あなたは一国を統べることとなるかもしれない姫様。この国のことも、他のことも知っていて当然です。」
「きっつーい・・・。」
いつもの通りだったはずだった。
いつものように嫌な授業をこなし、フカフカのベッドに倒れこむ。
そしてまた朝が来る。
———毎日が繰り返し・・・。———
「さてっ!今日の朝食は何かな〜?」
シラはテーブルの広間への大きなドアを開けた。
「————っっ!!!?」
シラは驚きとショックのあまり、口元を手で覆った。
そこには赤黒い血で彩られた兵士達と両親がいた。
「母上!!父上!!」
シラは母と父の元に駆け寄る。
しかしもうピクリとも動かず、体は冷たかった。
もう時間が経っていた。
シラが朝の儀式に行っている合間に起こったのだろう。
「・・・斬撃があります。それもかなり刃が荒い物です・・・。」
ナミは落ち着いた顔で兵士達の傷を見ていた。
兵士もみんな死んでいた。
「な・・・・・どうして・・・・?」
「ひとまず城を出ましょう。まだ(犯人が)中にいる可能性があります。」
ナミは兵士達の剣を2本取った。
そして1本をシラに授ける。
「あなたは剣の勉強もなされているのですから、護身術はわかっていますね?」
ナミはシラを見定めるように見る。
シラは剣を握った。
「大丈夫っ!私だって戦える!」
シラとナミは出口に向かって進んだ。
すると前方から犯人らしき男達がやって来た。
男達の目は血に飢えており、シラは手が震えるのを感じた。
すると男達は急に襲い掛かってきた。
「下がってくださいっ・・・!!!」
ナミは勇ましくシラの前へ出た。
ナミの刃は正確に男達の急所を斬りつけていく。
シラは後ろから来た男達を追い払った。
シラとナミは背中合わせになる。
「恐縮です・・・。」
「よろしく、ナミ!」
男達の人数は段々減っていく。
・・・・後5人。
「そろそろ疲れてきたかも・・・!」
シラは息を荒くする。
ナミも疲れ始めていた。
「後・・・・3人です。」
ナミは男達を斬りつけ、血が顔に付いても淡々としていた。
シラは最後の1人を斬った。
「終わったっ・・・・?」
シラは疑問符で言い切り、床に崩れた。
「疲れたぁ〜!男が女に勝てるわけないんだっつの!」
「・・・・力的に言えば、男の方が上ですけどね。」
シラは真剣な表情で男達の死体を見る。
「一体何なんだろ・・・・。」
シラは父と母の死体を思い出した。
「・・・・っ!・・・・ちくしょ・・・・。」
シラは泣き始めた。
ナミはそれを冷たい目で見る。
「これからどうします?町の人に助けを求めますか?」
「うん・・・・。そうする・・・・。」
シラは立ち上がった。
顔にはまだ一筋の涙の後が残っている。
「そのような顔で行かれない方がよろしいのでは?一国の姫とあろう者が、国民に合わす顔が泣き顔など、あってはなりません。それがたとえ、大いなる悲しみによってだとしても・・・。」
ナミはシラの涙を優しく拭った。
「うん・・・・・。」
シラは静かに答えた。
- 3 「化けの皮」 ( No.4 )
- 日時: 2010/09/14 23:03
- 名前: エミリーア (ID: 7GPkHSud)
シラ達はすぐ近くの町へ行った。
「・・・・!!」
そして入り口付近。
そこに踏みにじられた紙があった。
そこにはシラと両親のパーティー時の写真が備えてあった。
その内容は
『速報!シラ姫様を探せ!』
だった。
「なんだ、これは・・・・。」
シラはそこにある文章を読んだ。
「王家虐殺事件発生。シラ姫様の死体が行方不明。まだその辺にいるかもしれない・・・だってさ!」
シラは城を振り返る。
「今城から出てきたばかりだよね!もう踏まれてる(ふざけんなよ!)ってことは結構前に配った!?これ!」
ナミは考え込む。
「誰かの陰謀ですかね・・・?このごろ王家は外にも出ていませんし・・・。犯人は頭の良いヤツか、口が上手いヤツとお考え下さったほうがいいのでは?」
「そうね・・・。もう町にはいけないわ。面倒臭いし・・・。」
「(面倒臭いって・・・)ですので、もうこの町も出ましょう。私がマントなどを用意します。」
「うん。お願い。」
するとナミはスッと消えた。
もう町の中に入ったのだろう。
「はぁ〜。これからどうしよ・・・。」
シラは紙を見る。
そしてまた溜息。
「これ化粧してるじゃん・・・。化粧さえ落とせばいけるかも・・・ね・・・・。」
今シラは朝の儀式後だったのでノーメイクだった。
「後は髪ね・・・。瞳の色は変えられないし・・・。ボサボサにすればいいのかな・」
シラは肩まで伸びた黒髪をいじる。
「思い切って切ろうかな?」
シラはナミが置いていったナイフを手に持つ。
そして鏡もないまま切り始めた。
短い髪がまた短くなる。
あっという間に顎までの長さになった。
するとナミが戻ってきた。
「・・・・!シラ様、それは・・・?」
「あのね、切ったの。この先、大変だからさ。後ボサボサにしてみた。昔から髪質が硬いから上手く作れたような気がする・・・・。どう?」
「どう?と言われましても・・・。・・・何といいますか・・・。姫に見えません。女々しい男の子に見えます。」
「うん!それでいいの!」
シラは大きくうなずいた。
ナミはかなり動揺している。
「これから私は・・・僕は男として旅しようと思う。後から変装して買い物しに行こう。」
ナミは目をパチクリさせた。
そして何かを感じたのか、その場にひざを折ってシラを敬うようにした。
「よろしく、ナミ。あなたは僕の仲間として付いてきて欲しい・・・。」
「はい。」
「いつもどおりシラでいいからね。シラは男でも女でも付けていい名前だから・・・。」
「はい。」
「ナミ・・・。」
「はい?」
「・・・・・・・・・ごめんね・・・。」
「・・・いいえ。」
- 4 「砂の味」 ( No.5 )
- 日時: 2010/09/15 23:08
- 名前: エミリーア (ID: 7GPkHSud)
国を出てから二日目。
シラ達は砂漠フィールドに来ていた。
ジリジリと暑さが体力を奪う。
「次の国まで後どのくらい?」
シラは少ない水を飲みながら無表情のナミに言う。
「今日の夕方までには着く距離です。このまま行けばですが・・・。」
「よかったぁ〜!だってもう食料ないもんね!」
「シラ様。」
「ん?」
「あなたが食料を盗み食いしなければ、後2日分残ってました。」
「えぇ!?あれって2日分なの?少ないよ!」
「・・・男の人もびっくりの胃袋ですね。」
「コラ!この前から男だって言ってんだろうが!」
「・・・・失礼いたしました。」
そのときシラの腹が鳴った。
ナミは眉をひそめてシラを見る。
シラは腹を隠すように縮み込んだ。
「だって〜!」
シラが口を開いたとき、強い風が吹いた。
そしてシラの口の中に少量の砂が入る。
シラの口からジャリッと言う音がした。
「うぇ〜。砂が口に入った〜!」
「・・・お悔やみ申し上げます。」
「なんか死んだみたいになってる!!?」
そしてシラはあることに気づいた。
「あ、この砂あまーい!」
「・・・あぁ、もうフヒラ国の領土ですね。」
「フヒラ国?」
シラは噛まないようにゆっくりと聞き返した。
ナミはうなずく。
「はい。次に着く国です。ここの砂は砂糖のように甘く、洗いさえすれば食用にも可能です。だから一般に《糖砂》と呼ばれています。」
「へぇ。」
「でもあなたが食べました砂は洗っておりません不潔なもの・・・。一国の姫が汚れてしまいます。」
「いいの!もう国を出た時点で姫だっていうこと忘れることにしたから!」
「・・・・・・。」
ナミはそれ以上言わなかった。
すると町並みが見えてきた。
「あれがフヒラ国です。もうすぐですよ。」
シラは背伸びをした。
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