ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Crimson Cleaning ‐朱頭巾の掃除屋サン‐
- 日時: 2010/09/19 23:50
- 名前: 青月 要 (ID: jSbdir3p)
—『どんな汚れでも落としてみせます。貴方の落としたい汚れは、何ですか——?』—
* * * * *
いうなれば、それは『都市伝説』に近いもの。
いうなれば、それは『お化け』に近いもの。
いうなれば、それは『人ではないモノ』に近いもの。
だから人々は皆、その『姿』を信じてはいなかった。
噂話に立ち止り、聞き耳を立てる程大人たちは暇ではない。
自分たちの地位や名誉、はたまた家族の養育費などを養うのに精一杯な彼らが『そんな馬鹿げた噂』など信用するはずもない。
—だが『彼ら』は知っていた。そんな大人たちの社会に揉まれながらも、懸命に生きる人間の姿が存在することを。
そして、その人間こそが—『掃除屋』であることも。
* * * * * *
どうも、青月 要と申します。物語の舞台は現代、時は2010年近くでよろしくお願いします。戦闘の描写が時折入っているために、少しだけグロテスクな表現描写がありますがそこはご了承ください。
(といっても、作者の未熟な文章能力でそこまで表現できるかはわかりませんが…←)
少しでも多くの方に、この作品を読んでいただけたら光栄です。
では、よろしくおねがいします。
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- プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2010/09/20 00:05
- 名前: 青月 要 (ID: jSbdir3p)
—風が泣いている、ような……そんな気がした—
『どうしたの?リコ』
リコ—と呼ばれた少女は微笑んでいた。ニッコリと満面の笑みで、楽しそうにまっさらなシーツを一枚一枚二階建ての一軒家のベランダに干していた。楽しそうに、鼻歌交じりで一枚一枚洗濯物籠からシーツを取り出し、丁寧に干していく。
『何かいい事でもあったの?』
「〜〜〜♪」
そんな愉快に鼻歌を歌う彼女の様子を、側で乾いた洗濯物を取り込んでいた少女—エミカは不思議そうに見つめていた。ゆらゆらと長いエミカの髪は、誰が見てもうっとりする程綺麗だ。
『ねぇ、リコってば』
「〜〜♪」
そんな彼女の呼びかけにも答えず、リコはずっと洗濯物を干していた。次から次へと洗濯物籠からシーツや枕カバーなどを取り出し、干していく。ずっと鼻歌を歌い、エミカの呼びかけにずっと答えないリコ。
『全くもぅ、…本当にリコの考えてることってわかんない!もう知らないんだからねっ』
と痺れを切らしたエミカは乾いた洗濯物を入れた洗濯物籠を持ち、下の階へと降りて行った。それでもリコはずっと鼻歌を歌い、シーツや枕カバーなどたくさんの洗濯物を干していた。
—風が…泣いてる。—
—じゃあ、私は笑ってあげよう。—
—私は…歌ってあげよう。—
「〜〜あー〜〜今日もいい天気だなー〜♪」
透き通るような青い空、そんな空の下で一人の少女が愉快に楽しそうに唄を歌っていた—。
—これは、可笑しくて、怖くてでも悲しい、複雑な、そんなお話—
- つづき ( No.2 )
- 日時: 2010/09/21 21:03
- 名前: 青月 要 (ID: jSbdir3p)
* * * *
—安西 李子はいつも一人だった。学校の中でもそう。一人で本を読み、一人で昼食をとり、一人で講習を受け、一人で課題をしていた。
とにかく彼女は「一人」を楽しんでいた。
でも時折、そんな寂しそうな彼女でも楽しそうに微笑み笑う時がある。いつも冷静に、無表情で周りの人間の様子を落ち着いて観察している彼女でも笑ったり、泣いたり、怒ったり、少し拗ねてみたりする時がある。
そんな彼女が…何とも言えず、とても人間味溢れていた、俺は、そんな気がした—。
* * * * *
—勉学も部活動も平凡なこの学校で、俺は只管パソコンに文章を打ち込んでいた。カタカタと鳴るキーボードは空しく、実習室の中で鳴っており部屋の中に響き渡る音に俺は孤独感さえも感じていた。
『ふんふんふ〜〜♪好き好き大好き人間ラバーズ〜♪』
「……(また電波な音楽歌ってるし…)」
だが、その孤独感を打ち消すように彼女は突然鼻歌交じりの唄を歌いだした。しかも結構な電波系、な唄。わけのわからない単語が彼女の口から生成され、懸命にパソコンに文字を打ち込んでいる俺のやる気も次第に失われていく。
『ラブラブラバーズラブコール〜♪キミのハートに狙い撃ちー、そして僕らはイエスフォーリンラバー〜♪皆も一緒に、イェスフォーリンラブ〜〜♪』
本当に彼女は楽しそうになんでも唄を歌う。そんな姿が、この学校の人からはかなり迷惑がられており若干「浮いた存在」になっていたりもする。
でも、そんな彼女でも寂しい表情を出す時もあって。何故かわからないが、隣同士の付き合いもあってか俺達はすぐに打ち解けあえた。
『ねぇねぇ伊織君、女の子のパンツは白か黒。どっちがいいと思う?』
* * * * *
- つづき ( No.3 )
- 日時: 2010/09/22 01:14
- 名前: 青月 要 (ID: jSbdir3p)
「は……?」
—あの日は、入学式が終わってちょうど一週間後ぐらい。次第に学校にも馴染み、授業もドンドン新しい知識が増えていき、友達もたくさん出来ていく最中。たまたま、ある講習で隣同士の席となった俺と安西は他の生徒と同じように2人で「グループディスカッション」なるモノをやっていた。
お題は「アイデア商品」。つまり、お互いに自分が作りたい商品のアイデアを提案し、その案をもっと掘り下げて考えていく会議のようなもの。
そんなつまらないことでも一生懸命取り組んでいた俺に対して、彼女はそんな馬鹿らしい質問を俺に投げかけてきた。
『やっぱりあれなのかな〜…。もういい年した女の子なんだから、黒みたいなお姉さん系のセクシー系を履いた方が世の男たちは喜ぶのかな〜…。でも私個人としては、清純派の白いパンツを履いている方が男たちが喜びやすいと思うんだ。明らかにエロさを出している女の子と清純さを出してる女の子だったら、やっぱりどの男でも清純派の方へ行くじゃん?』
「……」
『てかあれなんだよね。そもそもパンツ、っていうものは丸見えじゃないから素晴らしい。つまり下着だから素晴らしいと思うんだ、あ、これ私の意見ね。だから別に伊織くんがパンツフェチです、とか、実は俺女の子のスカートの裾からチラチラみえる太ももがたまりませんとか言われても大丈夫なわけ。』
「……」
—約30分に渡る、女の子からの『パンツ抗議』。最早彼女が勝手に、自分のパンツに関する意見を俺に言っているだけにしかきこえない。若干だが人の視線も薄々痛いし、何しか俺が恥ずかしい。
「(俺男なんですけど!!一応これでも男なんですけど俺!!)あ、あの…」
『はい、何ですか伊織くん』
ビシッと俺を指差す安西。うっと少しびくっとしたが、すぐに俺は慌ててディスカッションの話をする。
「今はディスカッションの話しよう。アイデアも何も決まってないんd『アイデアならもう決まってるじゃん』……へ?」
と彼女はカバンの中から一枚の紙を取り出し、それを俺に渡した。そこには事細かに商品の内容、アイデア、資材などが記されている。しかも失敗していいように、たくさんのアイデアがそこには記されていた。
「…うわぁ………」
『授業が遊びじゃないことはわかってるよー。伊織くんに私のお話聞いてもらうために、先にアイデア考えてたの♪』
(こいつ…すげ)
『でねっ、さっきの話に戻るんだけど………』
—そうして、またもや彼女の『パンツの話』が始まった。ただ少しだけ違うのは、なんだかその話を落ち着いて聞けている俺がいたってこと。時に彼女の熱心な独白にクスリと微笑み、多少だが俺も言葉を発してみたり。話すと中々面白い奴だった。
だから、二年生になった今では——。
『さて伊織くん、私の今日の下着の色は何でしょう?』
「ずばり!!少し無邪気なオレンジ色ですね、姐さん」
『さっすが伊織くん☆大正解です、はい拍手ーw』
こんな感じで、俺も彼女とは『ある意味』同じ部類に所属してしまっているのであった——。
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