ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Mystery of Killer (悪魔の謳歌)
- 日時: 2010/09/23 22:45
- 名前: 沙羅 ◆NTT8lBE.Kc (ID: ct0d6aAp)
初めまして、さらと申します。
小説カキコ様の掲示板に投稿するのは、今作が初めてとなり、若干緊張気味です。
志半ばな作品ですが、応援していただければ幸いでございます。
それでは、どうぞ。
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- Re: Mystery of Killer (悪魔の謳歌) ( No.1 )
- 日時: 2010/09/23 23:59
- 名前: 沙羅 ◆NTT8lBE.Kc (ID: ct0d6aAp)
…呼吸が出来ない位の異臭が風呂場に充満していた。
目の前には、うつろな眼をした女性が生きていた頃の表情のまま、ぐったりとうなだれている。
私の両手は気持ち悪いくらい滑り気をもった血液がベットリとついていた。
服も返り血に染まって、私の来ている単調な服を彩っている。
数週間前までは、こんな事をするなんて、これっぽっちも思うことはなかった。
それが今、私の手で…。
吐き気に思わず口を押えた、友達…、いや死体という言葉が妥当だろう。
現実味のない現実に、私は夢でも見ているのかという心の声が現実から逃避しようとする。
そこで初めて気づいた。
このことが発覚したら私の社会的地位、及び未来はどうなってしまうのか。
愚問だった、言うまでもなく暗いどん底が待っている。
私は、改めて死体を眺めた。
目を見開きながら、苦痛に満ちた顔を浮かべて、腹部を手で押さえている。
私は指紋をつけないよう、服の上から腕に触れた。
腕をどかすと、異臭が強くなるのがしっかりと感じられた。
吐き気にまた襲われながらも、腹部の切り目から出ている臓物を元に戻す。
…こんなに死体が大きいと、処分するのも一苦労…かな。
私は居間に何か使えるものがないか探した、私が殺人に使ったナイフは小さすぎた。
「…これだ」
それは鈍く光る大型の鋸だった。
父は日曜大工をよくやっており、これはその時に使う道具の一つだった。
(お父さん、この鋸、借りていくよ)
心の中でそう呟くと、死体へ向かう。
事は一刻を争う、早くしなければ…。
行動が遅ければ遅いほど、リスクが大きくなる。
死体のところまで行くと、私は躊躇なく、鋸を振り下ろす。
真紅色の血がゆっくりと新聞紙の上を流れてゆく。
切断が終わると、ごみ袋にそれを手早く詰めて、額に浮き出た汗を腕で拭った。
…これでひと段落。
私は壁にもたれかかった。
異様な状況と、環境が疲労を強烈にした。
壁に寄り掛かるように座ると、私は何故このようなことになっていたのか、振り返っていた…。
- Re: Mystery of Killer (悪魔の謳歌) ( No.2 )
- 日時: 2010/09/23 23:19
- 名前: 沙羅 ◆NTT8lBE.Kc (ID: ct0d6aAp)
プロローグ終了です。
このような雑文、ゲテ物、文章力0のもの誰が見るんでしょう。
キャラクター紹介へ参りたいと思います。
柳瀬 望都 (やなせのぞみ)
今作の主人公、何ら不自由のない生活を送っているが…。
蓬生 沙弥 (よもぎさや)
今作のヒロインの一人。
主人公である柳瀬とは、幼馴染、スタイル抜群。
今後、キャラが出るたびに更新する予定です。
- Re: Mystery of Killer (悪魔の謳歌) ( No.3 )
- 日時: 2010/09/24 00:46
- 名前: 沙羅 ◆NTT8lBE.Kc (ID: ct0d6aAp)
あれはまだ暑さが残っていた9月の上旬…。
夏休みが終わって、授業も本格的に始まったころの話だった。
「ねぇ、望都」
幼馴染で、親友の蓬生が私の机に寄り掛かって話しかけてきた。
その顔は深刻そうで、いつもにこやかで明るい彼女とは少し違った雰囲気だった。
今日は空から槍でも降ってくるのか、蓬生が元気ではないところを見るのは幼馴染の私でも結構前だった。
ろくに風邪、病気にも罹らない蓬生のことだ、風邪ではない、何か深刻な悩みなのだろうか。
「うん、何?」
「ここで話すのもあれだから、人気のないところへ行かないかな?」
「…え?うん」
誰にも知られたくない内緒話なのだろう。
誰にだってそういうのはあるし否定はしないが、蓬生は一体何を私に打ち明けようというのか。
頼られているな、と少しいい気になって、蓬生の後をついていく。
…しかし、待っていたのは死の宣告とも言えるものだった。
「…私、死んじゃうの」
「…は?!」
これは私も驚きを隠せない…というか、何故、どうして蓬生が死ななければならない…?!
「話が急展開すぎるよ…!一体何の…」
私の言葉はそこで止まってしまった、蓬生の顔が涙でぐしゃぐしゃだった。
私はいままでこんな顔をした蓬生を見たことがあるかと言われれば、見たことがない。
彼女は気丈で、どんなことがあっても泣かない。
…笑い泣きならするが。
というようなジョークをかましている出来事ではない…。
「何で、沙弥が死ぬの?」
「私…世界で初めて罹ったことのない病気に罹ったの」
「…罹ったことのない、病気?」
「うん…」
世界が奇妙な音を立てて曲がっていくのを感じ、風はごうごうと音を立ててふきつける。
世界で一番初めに奇病に罹ったのが、蓬生…?
訳が分からない、現実が現実ではないような、薄っぺらな紙のような錯覚が過る。
「…その病気はね、周りの人を、徐々に忘れていって…最後には、血を吐きながら、死ぬんだって」
それは、学生の私にとって、フィクションのような症状だった。
そして、学生である彼女にも、重すぎる病。
「…私、やだ、望都を忘れたく…ないよぉ」
蓬生はその場に崩れ落ち、泣いた。
…何が起こっている…?
私は瞬きすることすら忘れて、その場に立ち尽くしていた。
額から汗が顔を滴る。
「…望都ィ…?」
「…あ、あり得ないよ…沙弥…あり得ない…って」
泣いている感じはしないのに、涙がボロボロとこぼれていく。
「私…だって、そんなこと…ぜった…ぃにない…って…ぇ」
神は無情だった、私から、蓬生から、未来を奪い去ろうというつもりなのか…?
……。
私たちはその場で抱き合って、泣いた。
チャイムの音など、耳には入らない。
心が不安と恐怖で塗りつぶされていく、蓬生は…死ぬのか…?
蓬生が死ぬ。
この事実、あるいはフィクションなのか…、まったくもって現実味を持たない出来事は突然起こった。
頬をつねりたかった、腕が動かない。
金縛りにでもあったかのように、全身が動かなかった。
まるで、強力な睡眠薬でも使用したかのような眠気と、それを押しつぶす絶望感。
「…わたし、死にたくない…、死にたくないんだよぉ」
「その、聞き辛いんだけど…」
「…何?」
「その病気、いつまで持つの?」
蓬生が、泣きじゃくって答えた。
「半年…」
…半年?
たったの半年…?
半年で私達は、人生は引き裂かれてしまうのか?
半年で蓬生は私のことを忘れ、死んでしまう…?
さらなる絶望が追い打ちをかけるように心を圧迫した。
学生である私たちの身には、とても重すぎる絶望と、恐怖だった。
ではなぜ、ここから殺人に発展した…?
私はそのことを思い出せずにいた。
「嫌だ、やめて!近寄らないで!!私の目の前から消えろ!消えろ、消えろッ、消えろッ!!!」
蓬生を殺す前の声が聞こえた。
それはいつものようにお見舞いに行き、私の家に連れてきた時だった。
そうしたら、突然発狂した、たぶん私のことを突然忘れてしまったのだ。
そのことを思い出して私は声を殺して、泣いた…。
彼女、蓬生は死ぬ直前、すでに別人となっていた。
私のことなどすっかり忘れて、発狂していた。
私は、泣くことがやめられなかった……。
私に向かって刃物を振るから悪いんだ…、なんで私を忘れてしまったのだろう…。
…蓬生が刃物を振るってきたことには驚いた。
その時私の両親は不在だったから、止める人がいなかった。
私がなんとかしなきゃと、懸命に説得した。
「なんで私に近づくッ!?来るな!私、死にたくないんだよぉッ!!アハハハハッ!」
…猛烈に眠たい、多分死体を片づけたり、人生で初めての殺し合いなんかをして疲れたんだろう。
…私は、そのまま目を閉じてしまった。
もし、これまでのことが夢だったら。
こうやって目を閉じて…、思い出に浸れるなら。
いつまでも、永遠に眠っていたかった。
- Re: Mystery of Killer (悪魔の謳歌) ( No.4 )
- 日時: 2010/09/24 16:26
- 名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: Da9K.gCv)
どうもコンニチハ紅蓮の流星です。僭越ながら勝手にお邪魔させていただきました。
何というか・・・レベルが高いですね。描写も、物語も。久々にこういうのを見た気がします。
これからも更新頑張ってください、応援しています。
- Re: Mystery of Killer (悪魔の謳歌) ( No.5 )
- 日時: 2010/09/24 16:48
- 名前: 沙羅 ◆NTT8lBE.Kc (ID: ct0d6aAp)
>>流星様
コメントありがとうございます。
レベルが高いなんて、自分には勿体無いお言葉です。
自分本当に描写とか苦手で、メモ帳、国語辞典が欠かせないです。
応援ありがとうございます。
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