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- 欠片
- 日時: 2010/09/26 14:40
- 名前: 井野。 ◆2h/t/UI9m. (ID: KpEq4Y5k)
この2つの目は貴方だけを見つめましょう。
この2つの腕は貴方だけを包み込みましょう。
この2つの脚は貴方だけの元に歩みましょう。
この2つの耳は貴方の声だけを感じましょう。
この1つの口は貴方の名だけを呼びましょう。
この10つの指は貴方だけに触れましょう。
この1つの身体は貴方だけのものにしましょう。
今宵、貴方だけの私となり、運命を定めましょう。
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- Re: 欠片 ( No.1 )
- 日時: 2010/09/26 15:05
- 名前: 井野。 ◆2h/t/UI9m. (ID: KpEq4Y5k)
「ぁ……っ!!だめぇ…ッ」
本来ならこの部屋から聞こえてきてはならない声。
私はその声を無視して部屋のドアを勢い良く開ける。
「…アルシェ。」
自分でも驚くほど冷たく、低い声が出た。嘗てはこの名を呼ぶたびに胸を跳ねあがらせた。
「あ…っルージェ!!これは…そのっ」
白いシーツに包まれていた男は傍らにいる少女を放置して私に言葉を続ける。
「これは…な??違うんだ!!コイツがっ!!この女がっ!!」
男…アルシェは傍らにいる少女を指さしながら喚く。その姿は大変滑稽だった。
「その子も…私と同じ運命を辿らせるつもりだったのか??」
アルシェの言葉を無視して質問をする。その時、傍らにいる少女に異変が起きた。
「…アルシェ……先輩。」
先ほどまでは快感に顔を歪めていたが今は違う。冷たい目に情の感じられない冷たく、低い声を出して数秒間の沈黙の後アルシェの名を呼んだ。
「黙ってろミア!!…ルージェ!頼む、信じてくれ!!こいつが…ッこいつが脅してきたんだっ!!」
アルシェの言葉と少女の態度を見比べれば分かる。アルシェが少女に手を出したに違いない。
「教団の教えを忘れたか??アルシェ。」
そう言いながら私は胸元から拳銃を突きだす。
「ヒィッ!!た…頼むっ!!ルージェ!!俺の…っ!俺の話を聞いてくれっ!!」
必死になっているアルシェに銃口をむけ、引き金を引こうとした瞬間だ。
「う゛っ!!!」
鈍いうめき声をあげてアルシェは数秒で白いスーツを赤く染めていった。
「え……??」
銃口からは何も出ていない。でも…アルシェは確実にかなりのダメージを負っている。
「…ルージェ先輩。アルシェ先輩は…いつもこう何ですか??」
冷静な口調で言ってきた少女に視線を向けた時、背筋がゾッとした。
少女は素手でアルシェの背中に大きな孔をあけていた。その証拠に少女の手の中には大量の血肉がある。
「あぁ。」
頷いて部屋を出て行くだけで精いっぱいだった。
その少女に私は今、初めて会ったんだ…。なのに…アイツの顔と少女の顔が確かに一致した。
『サイア』
「せぇ〜んぱいっ♪」
その時、私の背後から可愛らしい声がした。振り返ると先月私の部下になったばかりのガイアがいた。
「ガイアか…。どうした??」
私が返事をするとガイアは目付きをキッと変えて言った。
「サイア・ルアーからの手紙です。」
その言葉に気を失いそうになった。サイア・ルアー。あいつだけは極力関わりたくないと本能が告げていた人物だ。
「ありがとう。」
礼いいながら手紙を受け取る。平常心を保っていたいがそんなもの無理だった。さっきの謎の少女と言いサイアからの手紙といい……。そろそろ死期が迫っているのだろうか??
冗談にならないような事を考えながら部屋に戻る。
部屋に入るまでは取り乱すわけにはいかないとプライドが告げた。
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