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携帯彼氏
日時: 2010/10/20 20:11
名前: ゆうか ◆GJolKKvjNA (ID: KztNadal)

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Re: 携帯彼氏 ( No.3 )
日時: 2010/10/20 20:13
名前: ゆうか ◆GJolKKvjNA (ID: KztNadal)

第1章 不審な死
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長内真由美が死んだ。

早朝、ヒステリックに鳴り響いた携帯電話の着信は、その凶報を知らせるものだった。

上野里美は寝癖がついたセミロングの髪を1つに束ね、顔も洗わないまま取るものも取り敢えずに家を飛び出した。

暦の上ではもう春だというのに、外はまだ薄暗く寒い。

冷たい空気が容赦なく気管に入り込み、さらに里美の鼓動を急き立てた。

真由美の家までは自転車で5分程度の距離だ。

里美は乱暴に自転車のカギをこじ開け、勢いよくペダルを踏みこんだ。



Re: 携帯彼氏 ( No.4 )
日時: 2010/10/20 20:13
名前: ゆうか ◆GJolKKvjNA (ID: KztNadal)

第1章 不審な死
長内真由美が死んだ。

早朝、ヒステリックに鳴り響いた携帯電話の着信は、その凶報を知らせるものだった。

上野里美は寝癖がついたセミロングの髪を1つに束ね、顔も洗わないまま取るものも取り敢えずに家を飛び出した。

暦の上ではもう春だというのに、外はまだ薄暗く寒い。

冷たい空気が容赦なく気管に入り込み、さらに里美の鼓動を急き立てた。

真由美の家までは自転車で5分程度の距離だ。

里美は乱暴に自転車のカギをこじ開け、勢いよくペダルを踏みこんだ。



Re: 携帯彼氏 ( No.5 )
日時: 2010/10/20 20:14
名前: ゆうか ◆GJolKKvjNA (ID: KztNadal)

急げば急ぐほど足がもつれ、何度もぺダルから足が外れた。

本当にいつもの道順なのか疑わしいほど、真由美の家は一向に見えてこない。

頭の中で、真由美の妹からの電話が幾度となくリフレインする。



「お姉ちゃんが死んじゃった」



「ネコ踏んじゃった」を思い出させるようなくだけた言い方と、涙声があまりにも不釣合いだった。

それがかえって切迫した状況であることを物語っているようで、里美は冷や水を浴びせられたような気分だった。

ドラマで目にする似たようなシーンの場合
「お姉ちゃんが……」
とだけ言い放ち、その後むせび泣くのが定番だろう。

でも現実世界は違っていた。


Re: 携帯彼氏 ( No.6 )
日時: 2010/10/20 20:14
名前: ゆうか ◆GJolKKvjNA (ID: KztNadal)

里美は電話を受けたとき、真由美の妹が何を言っているのか、すぐにはわからなかった。

言葉が言葉として聞こえず、何か悪い呪文でも唱えられたかのように体が痺れた。

妹は震える声で姉の死を告げると、力尽きたように無言になりそのまま電話は切られた。

それからのことは、あまり覚えていない。

夢中でタンスをあさり、ジーンズにパーカーを羽織った。

いつもならコンビニに行くときでさえばっちりメイクを決め、髪の毛を立て巻きにカールしてでかける里美だったが、今はスッピンにメガネ姿だ。

早朝のため、人通りはほとんどない。

里美は、赤信号を無視してがむしゃらにペダルを漕ぎ続けた。

Re: 携帯彼氏 ( No.7 )
日時: 2010/10/20 20:15
名前: ゆうか ◆GJolKKvjNA (ID: KztNadal)

いたずらであってほしいと心から願った。

真由美と妹で作り上げた、たちの悪い虚言であってほしいと思った。

真由美は、里美が慌ててやってくるのを妹と2人で笑いながら待っているに違いない。

そう思おうとしても、すぐに不安と恐怖が込み上げて身体全体を支配した。

そう簡単に人間が死んでしまうなんて、わずか20年しか人生経験のない里美にはとうてい考えられないことだった。

真由美の住むマンションが見えた。

携帯電話で時刻を確認する。



午前5時43分。



10階建てのマンションの前は、物々しい雰囲気に包


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