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NOIR イラスト募集しております
日時: 2010/10/22 20:57
名前: 鮎雅 (ID: UcmONG3e)

Noir

プロローグ

「NOIR」(ノワール)
それはこの国で、絶対何色にも染まらない秩序。
それはこの国で、もっとも哀しく、絶対の色。
これは、とある国の、ひとつの歴史書に記された物語——

これはすべての始まりだと言えよう。
どんなに時を巡っても、これだけは変わらない。
それは絶対の定め
いつも立ち上がるのは、毒の石楠花。
…しかし、ここからは変わるのだ。
似たものはあっても、どれ一つとして同じものは無い。
それは神の悪戯か、それともそれが運命とでも言うのだろうか
すべての輪はこの場所に繋がり
巡り廻りそして…
哀しき歴史を繰り返す
一時的な夢は、甘美なものである。
時空の旅人は憂いた。
どうして、こうも人は過ちを繰り返すのか
どうして、こうも人は気付かないのか

『大切な事に気づけないのかい?それは本当に哀しい事だ』

そう言って、彼は顔を歪めて笑った。
・・・それは、何故だったのだろう。
その答えは未だに、闇に溶け消えたままだ。
僕は歴史を繰り返そう。
僕も過ちを繰り返す一人である。
そして、気付かない一人である。
だけれど、繰り返すうちに新しい真実を掴める事を願っている。
時空の旅人の憂いが消える事を祈って
僕はこの歴史を全てを体験し、そして綴ろう
誰かがその答えを解いてくれる事を信じて——

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NOIR イラスト募集しております ( No.1 )
日時: 2010/10/22 21:00
名前: 鮎雅 (ID: UcmONG3e)



その晩の月は、真紅に染まっていた。
まるで、夜空の漆黒をあざ笑うような赤だった。
その真紅は鮮血の紅か、はたまた悲しみの紅か——

赤の女王は謁見の間に最も優秀な部下達を呼び出しました。
『Noir』
それは、今は亡き王の色である“黒”と言う名を与えられた王家特別の部下達
メンバーはとても優秀、かつ非情。
黒の王の為に作られ、黒の王の裏を取り持つ存在として作られた組織。
色とりどりのその花は、世にも珍しくとても美しい。
その姿は多種多様。
大輪を咲かせ、心地良い香りを放ち、その身に毒を隠して、儚げな花もありました。

女王は王の椅子に座り、少し高い位置から部下達を見下ろしていました。
彼女がその椅子に座るのは初めての事でした。
黒の王とは違い、威厳や威儀に満ち溢れてはいない。
けれどもその姿は、砂漠に咲く一輪の薔薇のように気高く美しい。
女王は部下の顔をゆっくりと一人一人見やるりました。
それぞれの顔に浮かぶのは女王に仕えるべく忠実なる部下の表情。
個性溢れそれぞれの良い所を上手く活かし動かせる事が出来れば大変役に立つことでしょう。
攻撃力、知能、知識、戦闘センス・・・どれも素晴らしく各々の役目をしっかり果たしてくれることでしょう。
頬に手を添え心底面白そうにその顔を微笑みに変えました。
そして凛とした少し低い声で言いました。
その声は、しんと静まり返った謁見の間に広がり、各々のココロをを侵食していきます。

「命令よ。
 “白の少女”を捕まえなさい。
 そして私の前に連れて来なさい。」

必ず、必ずよ?黒の国が誇るNoirの名に懸けて絶対に…
——『御意』
暗闇の中から、八の声が聞こえました。
…“白の少女”なんて存在しない。何故なら『居る』という証拠が私の前に無いから。
だけど、“白の少女”は存在する。何故なら『居ない』という証拠も私は持っていないから。
白の少女への悪魔の証明
早く早く、私が壊れる前に証明してみせて
見つから無いで欲しい。そうすれば、あの人を奪われた事にはならないから。
見つかって欲しい。そうすれば、あの人を奪われた悲しみを癒すことが出来るから——

NOIR イラスト募集しております ( No.2 )
日時: 2010/10/22 21:02
名前: 鮎雅 (ID: UcmONG3e)




「ねーねー、知ってましたぁー?ロザが好きなのはぁー、ダリアなんだよー?」
「ふーん。あっそう。すごいねー」
血と肉が砕ける音がした。
「…反応薄すぎですー。もっと驚いてくれてもいいじゃーん」
鋼と鋼が擦れあう感覚が腕に伝わる。
「残念だけどバレバレ。ていうかさロザ、今そんなことを話す余裕があるとはね」
「当然。だってNoirの最強だもーん」
「いやいやいや、最強は俺だから」
カキィンと、相手の銃を跳ね飛ばし隙が出来た腹部に鈍い光を帯びたトンファーをねじ込む。
相手の口から大量の血が流れ出る。宙に舞った肢体に、最後の一発を入れる。
血の海の中に生き絶えたであろう相手が落ちる。
今のが、最後の1人だったようだ。
「へっへーん、最後の1人はこのロザージュ様がしとめましたー!」
「作戦を考えたのは、俺だけどな。この馬鹿青緑」
頭をガシガシとなでられる。ちくしょう、あと20cm、身長が高かったらな。
ふと、きびすを返してダリアが歩き始めた。
「ちょっとー、もう帰るのー?」
「ああ。こいつらの血がべとついて気持ち悪い。早くシャワー浴びたい」
「えーっ!ちょっとぐらい報告サボろうよぉー」
「い・や・だ!」
薄明るくなってきた空に背中の返り血を輝かせ、ダリアは歩き始める。
その背中を、急ぎ足で追った。白い前髪についた返り血がゆれる。
私は、音も無くその無機的なコンクリートを蹴り、走り出した。
追いつくのも時間の問題。
だけど、もっとダリアと一緒にいたいから少しスピードを緩めた。
そのことに気がついたのか、ダリアの口元が軽く弧を描く。暗黒微笑。
黒の組織だってさ、恋心の一つや二つ持ったっていいじゃない。
まあ、帰り道が私とダリアの『遊び』になるのは変わりないけれど・・・ね。


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