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贄の水
日時: 2010/10/26 19:01
名前: 見楚 (ID: 84ALaHox)

ホラーもどきのみすてりです。
ちょっといやな表現があります。

なるべく読みづらい文字には振り仮名をふっていこうと思います。

それだけ、なんだなぁ。

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Re: 贄の水 ( No.1 )
日時: 2010/10/26 19:02
名前: 見楚 (ID: 84ALaHox)

 瑞美島(みずみじま)は本州から船で五時間ほどの孤島だった。三日に一度運行しているだけの定期船が本州へと続く道で、その交通の不便さからなかなか観光客がおとずれない島だった。
 しかし自然の風景は見事なもので、特に海の美しさは日本とは思えないほどだった。

 博也と蓮もその海めあてで、夏休みを利用してこの島へバカンスにきていた。バカンスといっても大学生の自由に使えるお金など限られたもので、ただ島を散策するだけの計画だった。

Re: 贄の水 ( No.2 )
日時: 2010/10/26 19:09
名前: 見楚 (ID: 84ALaHox)

 しばらく砂浜で博也と蓮が海をながめていると、魚釣りのあとらしい中学生くらいの少年が二人に声をかけた。少年は裕太と名乗った。裕太は焼けた肌をさすりながら、二人の隣に腰掛けた。

「あんたら、よそもんか?」

 博也と蓮が素直にうなずく。裕太はものめずらしそうに二人をみたあと、バケツの中に入ったたくさんの魚をみやった。二人も見る。いきのよい魚達が飛び跳ねている。

「裕太くん、俺たち、宿を探しているんだけど。できればこれからの昼飯も食べれるとうれしい。あと、安いともっとうれしい」

 博也がおどけた調子で言う。すると裕太は目を輝かせながら博也の手を握った。乱暴にバケツを置いたせいで、何匹かが砂浜におちていった。

「ちょうどいいよ! 俺んち、民宿なんだ。この島には二軒あるんだけどさ、山にあるほうは高いし、遠い!」

 遠くにある山をさしながら裕太が言う。
 たしかにその山へ行くだけでだいぶ体力を使いそうだ。「海岸もみえるよ」という裕太の強いおしによって、二人はその民宿、海森(うみもり)へ泊まることとし、空腹をこらえながら道路を歩き始めた。


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