ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Return Days
日時: 2010/11/18 20:06
名前: 遮犬 (ID: pD1ETejM)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=NkWjsT_SJNI

クリックありがとうございます、遮犬と申します。
この作品だけはどうしても出したかったのです。いくつも作品を重ねてしまい、申し訳ないです><;


この物語は、居場所を失った少年少女の話です。感動系シリアス学園物語です。
戦闘とか一切ありません。普通に感動作にしたいと思っております。
注意事項は、読んで鬱っぽい感じになりそうなことですかね…?自分にはそれほどの文才はないですが。

読んで、皆様に感動を与えれるような小説にしたいと思ってます。どうか宜しくお願いいたします。


イメージソング…「戦場のメリークリスマス」(参照にて)

〜目次〜
プロローグ…>>1
第1話:居場所を探す少年少女
 ♯1>>6 ♯2>>7 ♯3>>9 ♯4>>11

第2話:


幻想夢想
♯1…>>8 ♯2…>>10 ♯3…>>12

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Re: Return Days ( No.3 )
日時: 2010/10/31 12:59
名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)

>>月兎さん

むあw初コメありがとうございますw
一回こういう小説を書いてみたかったのでw普通の学園生活となんら変わりはないようにしてますがw
心情やら過去やらで色々問題抱えちゃってる感じのキャラがほぼ全員ですwてか全員ですw(ぇ

どうなるのかは分かりませんが…とにかく感動と面白さを届けられるように頑張りまするー!

Re: Return Days ( No.4 )
日時: 2010/10/31 13:35
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: lwSl4BGO)

初客を逃したorz
新連載始まったと聞いて飛んできました。
更新頑張ってください応援しています。

Re: Return Days ( No.5 )
日時: 2010/10/31 14:15
名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)

>>るりぃさん

コメありがとうございますw
新連載しすぎですけどねwイメージソングと共に読んでくれたりするといいですかね…?

イメージソングに沿って作ったようなものですwそしてクラナドみたいですw申し訳ないw

更新頑張りますw実はというと書きたくて手が震える始末w
これもまた雑誌感覚にしたいと思いますのでw暇な時に見るぐらいでいいですおw

Re: Return Days ( No.6 )
日時: 2010/11/13 18:17
名前: 遮犬 (ID: pD1ETejM)

山奥にある学校といっても元は普通の高等学校だった。
ちょっと外れれば都市へと繋がるが、ここはその都市から離れた場所にある。
冬になると雪がよく積もり、この山でスキーをするためにくる人も少なくはない。
過疎化し、廃校となっていたこの学校を社会から見捨てられた少年少女のための学校へと生まれ変わった。

何故、俺がこの学校に入ることになったのか。
妹のこともあるが、それ以上に俺は親との対立が激しかった。
母親が事故で亡くなってからというもの、あの穏やかな性格の父親は変わった。
酔っ払うと暴力が当たり前になる父親。それも、暴力を振るうのは力の弱い、妹。
俺が止めようとすると、呆気なく静まる。怒鳴ることもなくなる。

だが、妹はずっと耐えていた。父親は、こんな人ではない。きっと分かってくれる。
だから俺に父親を恨まないで、と何度も言うのだ。
そんな父親を俺は心から憎んだ。だが、妹の言葉もあり、俺はずっと我慢した。

高校へと俺は進学し、妹は中学3年生になった頃だった。
父親の暴力は、エスカレートしたのだ。
そのことに俺は、耐え切れなかった。ついに妹の約束を破いてしまった。
父親を殴り、いつまでも殴り続けた。大切な妹を、守りたかったのかもしれない。
でも、それがいけなかった。それを見た妹はショックのあまり、声を失い、笑顔を失った。
それから父親は俺の前だと怯え、何度も謝り、俺を避けた。
耐え切れなかったんだろう。俺はそんな生活に。
学校で不良に絡まれるとこっちから殴ってやった。そんな、最悪な日々。

母親が死ぬ前までは、とても楽しかった。毎日が、すごく幸せで、妹も笑っていた。父親も、母親も。俺も

そんな日々は一瞬で壊れた。

妹の病状を良くしようとして、外に出かけたのが間違いだった。あの日、俺のせいで。

交差点に差し掛かったとき、まだ赤で待っていると、小さな女の子が赤というのに交差点を渡ろうとした。
その時に車が走ってきた。見過ごせず、俺はその女の子を助けようと無我夢中で交差点を渡った。
だが、その時、俺の方の車道にも車がきていた。

「ッ!!」

もう少しで、ぶつかると思った時

「あぶないっ!!」

妹の声が聞こえ、後ろから何かが自分の背中を思い切り押した。
その勢いで自分は交差点のど真ん中に転がり落ちる。

「きゃあああああ!!」

後ろから女性の叫び声。ざわめく人たち。そして、自分を轢こうとしていた車の前はへこんでおり、

その目の前には、血だらけの妹、由梨の姿があった。

俺が助けようとした女の子は、無事助かっていた。ギリギリブレーキを踏み、なんとか助かっていた。
だが、その代わりに自分の妹が犠牲になった。それ以降、だ。由梨が意識不明の植物状態になったのは。
医師からも、回復する見込みはほとんどないといわれたのだ。

——それから、俺は心に深い傷を負い、あの父親から離れ、この学校で寮生活を送ることになった。


今、自分は高校2年生になる。由梨は、1年生だ。一番楽しい時だろう。なのに——
その未来を自分が奪ってしまった。






「——どうしたんですか?」

「ッ!?」

目の前には先ほど校門で出会った少女が顔を覗き込んでいた。近づいてみるとなかなか可愛かった。
綺麗なショートの黒髪を靡かせ、横髪を耳にかける動作がなんとも可愛らしい。
そしてどこか、由梨に似ているような気がした。

「…そういえば、自己紹介まだしてなかったな?」

なんとか話を逸らす。白い校舎に囲まれたようにある中庭の中、少年少女二人のみがいる。
人気がない。それもそのはずだった。今は朝の5:00頃。
寮に荷物を置いて自分の住むところを確認するためにこれだけ早く来たのだった。
少女が同じ時間帯に来るとは思わなかったのだ。多分同じ環境なのだろうが。

「あ、はい! えっと…私は上谷 櫻(かみや さくら)と申します! 宜しくお願いします!」

何故だかは分からないが、櫻は顔を赤らめながら目線をあわそうとせず、頭をペコペコと下げまくる。

「俺は東雲 晴樹(しののめ はるき)だ」

よろしく、とはいえなかった。生憎だがそういう気分でもなかった。いや、そんな気分でいてはならない。
そんな感じがした。ずっと、自分の背中に何か重いものを乗せられているような。
晴樹の言葉に櫻は何も思わず、「東雲 晴樹…」と、何度も繰り返し呟いていた。

不思議な子だとは思ったが、ここは何かと問題のある者の集まる場所。
こういう子もいてもおかしくはないとは思った。

「あの…」

櫻はいきなり晴樹に話しかけた。晴樹は少々戸惑いながらも「何?」と返した。
あまりこういう"馴れ合い"はしたくないのだが、と心の中で思いつつも、
この次の櫻の言葉には動揺を隠し切れなかった。


「あの…最初のお友達になってくれませんか?」


「最初の…友達?」

櫻の言った言葉を頭で理解しようとしながらもう一度繰り返す。
まさかこんな言葉が出るなんて思わなかった。

「ダメなら…いいんです…えと…」

悲しそうな顔をして俯き、ボソボソと呟いている。

「…なんで俺なんか? それに今さっき会ったばかりなのに」

もっともな意見だとは思った。つい数分前に会ったばかりなのである。赤の他人同然のようなものだった。
そんな人に友達になってくださいという根拠がただ単純に知りたかった。

「理由は…ありません」

「へ?」

予想外の答えにまたもや驚く。この子は天然なのだろうか?

「いえ…だって、一番最初話した時に言った言葉…。やり直せるのか? って」

どうやら校門前で自分が返した言葉のことを言っているらしかった。

「…それがどうかしたのか?」

分からないといった表情をしているのだろう、自分は。だが彼女は、上谷はそんなこと何も気にせず

「貴方も私と一緒で、居場所を望んでいると思ったからです」

と、笑顔で言った。その言葉の意味はわからなかった。その時は。

「それって…」

晴樹が聞こうとした時

「あ! そういえば色々用意があるんでした…。また会いましょうね? 東雲君」

上谷は笑顔でそう告げると、晴樹に有無も言わせずにその場をぎこちない足取りで走り去った。

「…俺も寮に行くか…」

重たい荷物を抱えて、ゆっくりと寮に向かって歩き出した。

Re: Return Days ( No.7 )
日時: 2010/11/03 00:54
名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)

(なんだったんだ、一体)

晴樹は先ほどの少女のことを思い返していた。
今まで生きてきた中であれだけ人懐っこいのは初めてのタイプだった。

(…そういえばあいつ、何だか由梨に——)

思い悩んでいた矢先、目的の寮へと辿り着く。重い荷物を左から右へと持ち替え、寮を見上げた。

「結構大きいな…」

その寮は下手をすれば校舎並みはあるだろうというほどの大きさ。
どちらにしろ体育館より大きいと思う。ここの体育館は決して小さくはないのだが。
体育館をも中に収められるようなほどの大きさだった。

晴樹はゆっくりと重たい荷物を再び左に戻しながら寮の中へと入っていった。

「暗いな…」

まだ生徒は皆寝ているのだろう。無理はない、何せ今時刻は5:30。
あの少女と出会ってからもう30分も経っていることにも驚いた。
あの少女との出会いは何故か早く過ぎ去ったような気がした。
妙な感覚を覚えながらも自分の指定の部屋へと向かっていった。
古い階段を上がり、しばし歩くこと数分。

「えっと……605号室……ここか」

指定された部屋がすぐに見つかった。あれだけの広さのため、結構廊下も長いのだろうと思っていたが
予想は見事に外れた。どうやら区切りが多いようで一つの階ごとに向かい合わせをあわせて10部屋だった。

(よかった。あまり人と絡むことも無さそうだな)

そう思いつつも鍵を取り出し、ドアノブについている鍵穴へと差し込んだ。

「あれ? 新入生?」

「ッ!?」

思わず大きく声をあげてしまうところだった。声のする方へと振り返るとそこにはお玉を持った、女性。
髪はポニーテールで纏めてあり、自分より何歳も年上だろう。それに外見はとても美人だった。

「ここ、二年生の寮よ? 一年生は確か〜…」

どうやらこの女性は晴樹のことを一年生だと思っているらしい。

「…俺は二年生です」

随分と無愛想な返しをしてしまった。初対面だというのに不機嫌そうな態度。
だけど、これでいい。自分は人の仲良くなんてなってはならない。
そう思って、怒鳴られるのを覚悟で鍵を回そうとした。

「へぇ、貴方結構童顔ね? ごめんごめん、気付かなかったわ」

栗色の髪を掻き分け、その女性は晴樹の元へと歩み寄ってくる。
自分の無愛想な態度に何も怒ることはなく、自然に返した。
多分慣れているのだろう。自分みたいな無愛想な生徒ぐらい一人や二人はいるみたいだ。

だけど、俺の罪は消えない。慣れ合いは困る。

そう思い、何も返事をせずにカギを開け、ドアを開いた。

「あら? もういっちゃうの? なら、名前だけ聞いておこうかな。私は藤瀬 菜摘(ふじせ なつみ)」

いいながら自分に近づいてきて、ほんのすぐ隣まで来た時、呟くように言った。

「貴方は?」

早くその場を離れたかった晴樹はもう話しかけられないようにより無愛想な感じで

「…東雲 晴樹」

と、言って部屋に入り、ドアを閉めた。

その動作を少々驚き顔で見つめた後、小さく微笑み、菜摘はお玉を持ちながら腕を組み

「…また居場所を無くした子が来たわけね…。東雲 晴樹、か…。面白くなってきそうね」

呟いて、振り返り、歩き出す。
よく見ると彼女の腕には腕章がついており、その腕章に書いてある文字は
"高校二年生寮、寮長"と、書かれていた。




「はぁ…なんだっていうんだ」

晴樹はドアにカギを閉め、荷物を置き、とりあえず今日からお世話になる部屋を眺めた。
それなりに部屋は広く、また汚らしくもなかった。どうやら掃除やらなんやら丁寧にしているようだった。

「もっと汚そうなところだとは思っていたけど…案外広いし、綺麗なんだな」

どうせなら刑務所のような場所でもよかったのに、と心の中で思いながら置いてあるベットに腰をかけた。

それといって家具はなく、勉強机と思わしき机にテーブル、人一人で寝るには十分なベットのみ。
個室で押入れなんかもあり、立ち上がって開くと数枚の布団があった。
中には季節はずれの毛布なんかもある。
トイレはついてあるが風呂はついていない。どうやら大浴場みたいなものがあるようだ。
新入生のためなのか壁に色々と説明事項が書かれている中に風呂のことも書いてあった。

「……ふぅ」

溜め込んだ息を吐き、ベットへ寝転がる。
そして最初にあったあの少女のことが浮かび上がる。

「あいつもここで生活するんだろうか…?」

そういえばあの少女の名前は聞いても学年は聞いていなかった。
同級生か、はたまた下級生か。上級生といった感じは全くなかったので前者の二択どちらかだろう。

ふと時計を見ると時刻はもうすぐ6:00を指そうとしていた。

「まだこんな時間か…」

と、思いつつ起き上がり、おもむろにバックの中を漁った。
中から取り出したのは、楽しく全員が笑っている家族の写真。

もう二度と撮れない、家族の写真だった。二度と、戻れないあの楽しい日々のほんの一欠けら。

(由梨…)

何より妹の由梨のことが気になる。親父はもうどうなってもいいと思った。
母という存在がいなくなって豹変したクソ親父のことなど思い出したくも無かった。

(これ以上考えるのはよそう)

取り出した写真をバッグにもう一度仕舞い込む。

「……ちょっと疲れてるのかもな……」

ゆっくりと頭に手をやる。
段々と視界がボヤけていき、いつしか眠りに誘われてしまっていた。




——誰も、いない。

少女は寂しさを嫌というほど感じ取る。
ここには、誰もいない。それはこの時間帯だからというわけではない。

——私を知っている人も、みんな、みんな。

強く手を握り締める。でも自分は決めたのだ。
普通の学校に行こうと思えば行けた。自分は対して何もなかったのだから。
しかし、違った。自分は既に"卒業していなければならない"。

ぎこちない足取りで歩き出す。目の前が段差ということも気付かず。

「きゃっ!」

段差に見事に躓き、転んでしまった。
立ち上がろうとし、右足に力を込める。なかなか立ち上がれない。
だったら左足にも力を入れればいい。だが彼女にはそれが"したくても出来なかった"。

完全に、左足は麻痺しているのだった。

すぐ傍に手すりがあることに気付き、なんとかそれで立ち上がる。


彼女は、普通の人間ではない。
障害者という名のレッテルが貼られていた少女だったのだ。


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