ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 赤い稲妻
- 日時: 2010/11/10 15:43
- 名前: 時雨 (ID: APpkXS4D)
初めての投稿で緊張していますが、
楽しんで頂けたらすごく嬉しいです。
あと、グロ系が駄目な方は見ないほうがいいかもしれません・・・。
極力減らしたいのですがね。。。
更新、遅くなってしまって本当にすみません,,,
これから更新遅かったり早かったりですが、よろしくお願いします!
話はタイトルと関係ないじゃん、と思われてしまうかもしれませんが最後はちゃんとつじつまが合うように
頑張ります。
プロローグ
今から約100年ちょっと前のどこかの国のことでした。この頃はまだ少し不安定な時代で革命が次々と起こっていました。そして魔女狩りというものが最も盛んだった時期でもありました。
誰もが信じがたい話かもしれませんですがこの国にはあちらこちらとたくさんの魔女がちらばっていました。もちろん普通の人間には知りません。疑う者はたくさんいますがやはりどこかで信じがたい気持ちが残っています。また魔女は魔女で、普通の人間には自分の招待を明かしてはならないという暗黙のおきてがありました。でもこの国には“魔女行為禁止法〟というものがあったので魔女だと知られたらすぐに魔女裁判にかけられて殺されてしまうのです。だから誰一人自分の招待を明かすものはいませんでした。
魔女は悪いイメージをされがちでしたが善な魔女もいれば悪き魔女もいます。
悪魔女とよばれる悪魔の血を引いている魔女もいます。
* * *
この国は世界の中でものすごく技術が発達していたが、伝統的な建物などもたくさん残そうという取り組みが盛んだったのでたくさんの観光客が訪れています。ここのwas*bornというパン屋は観光客の間でも評判だった。
「あ。」
さらさらでつやがある漆黒の髪をもつ少女はつぶやく。
絹のように細くやわらかい髪がかすかにゆれていた。彼女はこのパン屋で評判の美少女でもあった。
「どうしたんだい?」
店長であるファアンさんはせっせと忙しそうにパンを焼いている。それでも口調は今、紅茶タイムでくつろいでいるかのように穏やかだ。
「もうすぐ花火大会ですよね。ほら、あの有名な日本人花火師が打ち上げます」
そう言い、壁に貼ってあるポスターを指差した。
「あぁ、そうだったねえ。」
ファアンさんはこちらに振り向き微笑んだ。ファアンさんはもう、少しおばあさんと呼べる歳だがとても若々しい。そしてよく笑う。パン焼くために長生きしなくちゃね!と言うのが口癖でもあった。
キッチン中にパンの焼けた匂いが立ち込める。そろそろパンが焼けたようだ。
「ファアンさんは花火を見たことがあるんですか?」
「うん。それはとてもきれいだったわよ。」
ファアンさんは懐かしそうにそして嬉しそうにつぶやいた。
「大げさかもしれないけれど。本当にあれは涙が出てくるぐらい感動した。あんな素晴らしいものがあるなんて・・・あんな火薬からできているんだよ。爆弾とかつくるならこういうことにつかってほしいわよねぇ。全く世の中は・・・」
ファアンさんは一瞬悲しそうな顔を見せたがすぐ微笑んだ。小さなえくぼが浮かんだ。
「あなたも見てみなさい。花火を」
そう言い、手を差し出す。
「・・・?」
そこにはお金のコインがちょこんとのっていた。日本円で言えば千円ぐらいの価値だ。
「あの・・花火見るのにお金かかるのですか?それに私、見に行く予定なんてありません。」
「いいから、いいから。」
そしてなにやら秘密が隠されているかのように無邪気に微笑んだ。少女はますます混乱したかのように首をかしげた。それを見てファアンさんは人きり楽しそうに笑った。
「かからないわよ。もちろん仕事は休んでいいわ。私ひとりでも大丈夫。あなたも彼氏とか一緒に過ごしたりするでしょう!あっでもおごってもらうかもしれないわね。でも自由に使って。屋台がたくさん出るのよ!そうねえ私の場合はわたがしだとか・・・口の中でふわっととろけて・・・」
「はぁ・・・そうなんですか・・・」
少女はファアンさんのこのままいけば永遠と続きそうな話を無視して生返事をした。
そしてそれじゃ仕事に戻りますと軽く微笑んで彼女はこの場から逃げるようにして去った。
「全く・・・失礼ね。」
そしてようやくファアンさんも仕事に戻った。
仕事がようやく終わると、少女はぐびーと思い切り背伸びをした。そしてようやくこのフリフリドレスから開放されることを心から喜んだ。ついでにこのフリフリ仕事着はファアンさんの趣味である。もちろんキッチンもお店もファアンさんの趣味で埋め尽くされていた。
「ああ、もう帰る時間なのね。じゃあまた明日もよろしくね」
ファアンさんがキッチンからひょいと顔を出す。
「はい。」
「あっそれから。」
少女はぎくりとし、それから帰る方向に向けられた体をゆっくりとファアンさんの方へぎこちなく向けた。
「なによ。その服は。今度可愛い服を用意するからもらっていきなさい。」
ファアンさんは強引なところもある。
「・・・はい。」
そう言いながら少女は軽く微笑んだ。
そしてお店の出入り口であるガラス製のドアを開けた。ドアには金属でできたドアフックに古ぼけた赤いリボンで結ばれた少しさびた鈴が掛けられてあった。少女がドアを押すと、ほんとに極小さな風が生まれる。そして少し錆びてしまった鈴がちりんと少しにごった音をだした。
その瞬間————
風が少女の髪を勢いよく揺らした。それと同時に少女の真っ黒な瞳がばっと見開かれた。
漆黒の髪と真っ黒な瞳がさらに闇を増す。
そして。少女の心にも変化がおとずれる。
少女の心は暗い闇に侵食されていく。
微笑み方を忘れてしまったかのように彼女の瞳や心はどんどん闇にそまっていた。
そして、少女はまた何事もなかったようにぼんやりと歩き始める。一歩一歩、踏みめるように。極淡い変化に誰も気づくものはいない。周囲は何事もなかったかのようにこの伝統的な町を歩いている。世界も何事もなかったかのように。ただゆっくりと時がながれていった。
少女の名はローラン。悪魔の血を引くといわれる悪魔女の一人でした。
* * *
「ねえ、どう?この‘’魔法‘’は?!」
カレッジがはしゃぐように言った。
にぎやかでおしゃれなパンシャと呼ばれる町とは裏腹にここは木々や草が鬱蒼と生い茂り、さらに自転車すら通れないほどの狭く荒れた道をちょうど出たところにある小さな小屋なので訪れるものは極少数だ。しかし近くには本当にため息が出てしまうほど素晴らしくきれいな水が流れている川がありました。そして小さな小屋からはカレッジの少し興奮に満ちた声が聞こえていたのでした。
「いいと思います。ですがもう少し声を沈めてもらいますか?」
カレッジはそれを聞いて嬉しそうな顔を見せた。そしてすぐさま、さっきより興奮した声が返す。
「でしょうっ?!あれ、私の自信作だったのよっ!まったくローランは。感情のコントロールが全くできないから今頃、いらっしゃいませもまともに言えないいつも仏頂面の冷酷人間として一日でパン屋さん、首にさせられたよ。きっと。他に掛けてはすっごく優秀なのにね。せめてそのしゃべり方だけやめ・・あっ・・・」
そこでカレッジは口を閉じた。
ローランはカレッジをゆっくりと真っ黒で冷酷な瞳をカレッジに向けていた。その目には殺気が鋭く走っていて鳥肌が立つぐらい、ものすごく威力があった。
「・・・やめてよ。あんたが睨むとまじで怖いんだから。」
ローランの目にさらに殺気が走る。
「あぁ・・・もういいや・・・そのままで。」
カレッジはぶすっとした表情のまま口を開いた。
カレッジはひょんなことからローランと一緒にこの小屋で住んでいる魔女だ。カレッジはローランとは性格がまるで眞逆で魔女にしては珍しい金髪の髪をもっていた。そしてそれはいつもほどよくカールされている。カレッジは顔立ちがよい上に背が高く見栄えがいい美人であった。
「ねっ、でもその‘’魔法‘’すごいでしょ?あの鈴が鳴るのを聞くだけで性格が180度変わるんだよ?あっ訂正。さすがにそこまでは変わってないな。179度?いや、100度ぐらい?」
カレッジはひとつしかないぼろぼろのソファーをばふばふ叩きながら言った。そしてきんとローランに向き合おうとするとローランはもうこっちの話なんてとっくに聞いていないことがわかった。カレッジは口をへの字に曲げ、仕方なく別の話題に切り替えようとする。そして何かを思い出したかのようにあっと呟いた。
「そういえばもうすぐ花火大会だね。」
そこでやっとローランの視線がカレッジに向けられた。
「あれっ?もしかして興味ある?」
「いえ・・・別に。その日は仕事があります。だから事前に調べているのです。それに・・・」
「それに?」
「その日はいやな予感がします・・・」
「なにそれ。」
「その日は・・・革命が起こるはずです。」
そう言いローランは椅子から立ち上がる。
「ちょっ・・・ちょっと待ってよ。その話、もう少し詳しく聞きたいんだけど。」
「私はこれから次の仕事がありますので。」
そう言い、ハンガーに掛けてある服を着る。それはもうひとつの仕事着であった。そしてそれは黒いワンピースという魔女の服であった。ローランはさらに大きな黒いマントをはおる。マントには大きなフードがついてあり、かぶるとローランの顔がすっぽりと隠れる。
横にはちょうど彼女の背ぐらいの鏡が壁に掛けられてあって彼女の姿がはっきりと映っていた。
「では。」
「えっもう?」
そう言い、ローランはあっという間に小屋を出てしまった。
小さな小屋にはぽつんとカレッジだけが取り残された。
ローランはまた鬱蒼とした森の中を歩いていた。
その森はどこまでも深い緑で覆われていた。覆いかぶさった枝と枝の間からかすかに見える空は見事に淡いオレンジ色で染め上げられていた。
歩いていく中でやはり草や木々が妨げになるがその黒いマントやフードが彼女を守っていた。
やがてやっと森から抜け出た。
そこには彼女の家の近くとつながっているあの川があった。ちょうど、そこも下流だろう。
やはり水は美しく澄んでいた。
そして、彼女の視界の中に一人の女の姿があった。
女は、ぼろぼろの服をまとった20代後半ぐらいで小さな服を川でごしごしと必死にこすり合わせていた。澄んだ水がやがて泡で埋め尽くされていく。そしてゆっくりと流れっていった。彼女は女の方へ歩み出た。女は気配を感じると一瞬、びくっと体を震わせたが、振り返り、彼女の存在を確かめると安堵のため息をついた。
「なんだ。」
そう言い女は笑顔を見せた。
「見てよ。この手。ここの川の水すっごく冷たくて。真っ赤か。」
そんな女を無視し彼女はやがて単刀直入に言う。
「これからあなたには死んでいただきます。」
「!?」
女の顔から笑顔が消える。それでもかまわず彼女は淡々と話を続ける。
「あなたを殺してほしいと一昨日、依頼が来ました。もし、それを断るなら賠償金と代わりの報酬として二千万円、払っていただくことになりますが。」
女はしばらく口をぽかんと開け呆然としていた。やがて状況が飲み込めたかのように体を振るわせた。ガチガチと歯がなる音が聞こえる。そしてやっとのことのように口を開いた。「そっ・・そっ・・そんなお金ありません!」
いつのまにか女は大粒の涙を流していた。そして必死にすがろうとする。
「そうですか・・・」
彼女は一瞬、悲しそうな表情を見せた。
「それでしたら・・・仕方ありません・・・。あなたには死んでいただきます。」
「まっ!待ってっ!私にはまだ子供・・・あっ」
そこで女の口は閉ざされた。
女の頭には斧が突き刺さっていた。斧が頭を突き出ていた。斧と頭の間からは大量の血があふれ出ていた。あっという間に髪や顔は真っ赤な血で染まる。
女は最後の最後を振り絞って、何か必死に言おうとしていた。
「・・・・!」
女は口を精一杯広げ、声にならない叫びを上げた。そして彼女を目に焼きつくように凝視した。そしてどさっと草の上に倒れた。そして、その口が開かれることは二度となかった。
彼女は静かに女の死体を見据えた。倒れた女の頭からはまだ生々しい血が流れ出ていて濃い緑色の草を赤黒く染め上げていった。そしてその血は川の方へと流れた。澄んだ川の水が薄い赤に染まる。
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- Re: 赤い稲妻 ( No.1 )
- 日時: 2010/11/08 22:32
- 名前: 飛びたい熊 ◆cKKHa6WOvw (ID: bfLmeFkK)
どうも>* ))))><
あたしも同じくです
頑張ってください
- Re: 赤い稲妻 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/07 16:02
- 名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)
同じ名前同士がんばりましょう
- Re: 赤い稲妻 ( No.3 )
- 日時: 2010/11/10 15:59
- 名前: 時雨 (ID: APpkXS4D)
返信ありがとうございます!
全然、書いていなかったのにすごく嬉しいです!
お互い頑張りましょう!
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