ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 鬼凛
- 日時: 2010/11/08 18:46
- 名前: もっちー (ID: 8hgpVngW)
初めまして(^^ゞ)
この小説(駄作)は妖[アヤカシ]の小説です。
それを踏まえた上でご観覧下さい。
そして、読まれた方。コメをくれると飛び上がります、天まで!
Page:1
- Re: 鬼凛 ( No.1 )
- 日時: 2010/11/08 19:14
- 名前: もっちー (ID: 8hgpVngW)
序章
出会いは月と、闇の中。
夜。月明かりが見守る中、森の中で、銀色の髪が靡いていた。
少女の身長、見た目からして十代だろう。息が荒く、右腕も、髪の毛先も紅く染まっている。
裸足で、華やかな着物も膝から下は破り捨ててあって何処にも見当たらない。
少女は木の根に足を掛け、躓く。
「あっ!」
ギュッと唇を噛締め、土を握る。
地面を見ていると、影が少女の方に押し寄せてきている。
上を見上げると、少女と同じ銀髪で着物を着た男が少女を見下ろしていた。
「……鬼?」
男は誰にも聞こえないくらいに小さく呟く。
だが、少女にははっきりと聞こえていた。
少女は自分を見られた時の男の反応で分かったのだろう。
——…この男、妖怪か、半妖や
男は少女の目の前に手を差し出した。
「よしっ、お前鬼だな」
勝手に決めるな。そう思いつつも少女は頷く。
そして、無言で、しかも男の手を無視して一人で立ち上がる。
少女は、紅色と金色のオッドアイで静かに男を見つめる。
「うぇるかむ。俺は鬼波羅」
「…鬼依…」
少女——鬼依が名乗った後、木々や風の声が聞こえた。
『うわっほぃ、女の子だっ!ほらほら、鬼波羅邪魔っ!見えないよぅ!』
『酒じゃ、酒持って来い、若造が』
鬼波羅は溜息をついて声を張り上げる。
「女じゃねぇだろが、こいつは子供だろ。後お前風だろ!?酒飲めねぇじゃねぇか!」
——いや、女やし
さらっと失礼な事を言われて少し腹が立ったのか、鬼波羅を睨みつける。
「なあ、私にどうしろっていうん?」
「んー?んまー一騒動あったみたいだしウチ、寄ってけ。そんで、住んで家賃払え」
にっこりと微笑んで手で金の形を作る。ようするに、金目的か、このやろう。
まあ、取り合えず今更家に帰る訳にもいかないから、此処【和歌葉[ワカバ]荘】に滞在する事となった。
家賃?勿論、出世払いと称したタダ住みですよ。
- Re: 鬼凛 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/08 20:07
- 名前: もっちー (ID: 8hgpVngW)
第一章
花の様に舞う、蝶の羽
あの時から五年後の春。和歌葉荘の入居者も四人に増えました。
今は新しい入居者二人にお買い物してもらっていてとてつもなく暇なので鬼波羅[キハラ]の部屋で今ブームの遊びをしている。
「ちょっとちょっと鬼依[キイ]サン?心の声駄々漏れなんですけどー?遊ばんといてっ」
「折角私が親切に白髪(という名の銀髪)を抜いてあげとるのに鬼波羅ったら」「その悲壮な感じやめいっ」
鬼波羅の(男の癖に)サラッサラな銀髪をブチブチと抜いていく。そう、私はただ鬼波羅の髪を無くそうと時間を惜しんで頑張っていたのだ。
鬼波羅はそれを阻止する為か、頭をブンブン横に振ったり、頭をわしゃわしゃ掻き回したりしている。
「ボッサボサやん…」
「ハゲよりマシだろっ」
「鬼波羅って案外子供よねぇ、怒り方とか。」
「鬼依チャン?ケンカ売ってんの?」
私は「まっさかぁ」と特に思っていなかった返事を返す。鬼波羅はよほど髪が抜けた髪が恋しいのかジーッと見つめている。
原因は百パー私だろうけど。
「プンプン、鬼波羅さん怒ったかんなっ」
そう言って部屋を出ようとする。
「…何処行くん?」
「どこでもいーだろぃ」
が、ドアの外に妖気を感じ、私の元へと引き返してくる。
…自分の身くらい守れらぃ。
ドアの外からは「あっ、妖気出しちゃっタv」と身の毛のよだつようなオカマの声が聞こえる。それと同時に妖気も消えた。
「やっだァ〜っ!アタシ間違って妖気出しちゃったワ〜っv」
「どけオカマ」
「や〜ン、狐チャンったらイケズゥ〜v」
テンションの高いオカマ…もとい鴉海門[カラスノミカド]とクールっていうか嫌な奴にはとことん冷たい8歳の美少女、御狐神[ミケツカミ]。因みに年齢はもっといってるけど一応人間でいうと、の歳を言ってます、はい。
「鬼依ちゃん、おつり」
「んー、さんきゅ」
御狐神はレシートとおつり240円を私の手のひらに落とす。さっき全然忘れてたけど鬼波羅は寝てます、隣で。
「ちょっと鬼波羅、起きぃ」
ピクリとも動かない。
寝るの早くないか?海門がニヤニヤしながら鬼波羅へと近づき、耳元で何かを囁く。鬼波羅はバッと起き上がり私の方をチラッと見てから海門の方に向き直り、睨みつける。
「テメェ…」
「うふフ。キーチャンの言葉を無視したのが運の尽きネ。アタシは関係ないワv」
頭の中を疑問符が支配する。
ああ、因みにキーチャンは海門が勝手につけた私のあだ名。
「そうそう、またあの小僧が出歩いてるらしいわヨ」
「はあ?アイツが?あれ〜おっかしいな〜。紫原神社の神主が一昨日殺したとか何とか聞いたけど?」
「…それが…、神社の後ろの森でその神主の死体が発見されたのよネェ。しかも死後三日経ってるっテv」
- Re: 鬼凛 ( No.3 )
- 日時: 2010/11/09 18:05
- 名前: もっちー (ID: 8hgpVngW)
「…それが…、神社の後ろの森でその神主の死体が発見されたのよネェ。しかも死後三日経ってるっテv」
…あぁ、紫原奏夜[シハラ ソウヤ]か…。ってか死ぬの早くない?跡継ぎさんに困っちゃうね。
「…思ったより事件は深刻って事か」
「はい」私はビシッと良く延ばして元気良く挙手する。
「…なぁニ?はい、キーチャンどうゾv」
「アイツって誰なん?」
私の質問を聞くなり海門と鬼波羅は顔を見合わせる。
そしてボソボソと内緒話タイムです、声小さすぎ。
「それは…ホラ、あれだよ」
「そうそウ、アレよ、ア・レv」
「誰やねんっ」
「えーっとネ、純血の妖怪で種族は【大蛇】ヨv名前は蛇足[ダソク]v 如何にも不要そうな名前よネーv」
「言っちゃんなや」
…コントはいいから早く進めテv …あっいけねっ移っちゃったっ
「そんでなぁ…壁炉木[カベロギ]っつー妖怪もいるんだ。あ、これも純血な」
「壁炉木?」
「そウv塗壁よ、塗壁v」
「うっさいだまれオカマ死ね」
「や〜ン、女の子がそんなお言葉使わないノ〜v」「だまれ」
御狐神の冷徹な言葉の矢が刺さる。
その時、鬼波羅が何かに反応した。
「…出て来い」
すると、ドアの外から薄紫色の袴を着た女性が姿を現す。
そして、堂々と部屋に踏み込み、私の目の前に座る。
「何か言いなさいよっ」
「…そんなん言われてもなぁ…。思い浮かばんし、第一何を言えゆうん?」
「とりあえず何か言えっ」
「んな無茶な」
私と女性の会話を聞いていた三人の頭の上に疑問符がボンボン出てくる。うわーぉ、部屋が疑問符だらけ。
「? おぉう、私に名乗れってか。私の名は庚[カノエ]!新しい神主&鬼依の母親の姉で〜す」
「…ああ、つまりはおば」「あぁん?」「スンマセン」
庚から禁句発言警報が発令された為に素直に謝る鬼波羅。
皆様、早急に非難下さい。
「なんでおんの?」
「ふっふっふー、鬼依に渡したい物があってねー」
そう言って手渡される箱。
「…何?この箱」
箱を開けると黄色い帯、薄紅色の着物が見えた。御狐神も瞳を輝かせて近づく。
「…綺麗。鬼依ちゃんに良く似合う」
「でっしょー!?片づけしてたら見つけたからすっ飛んで来たんだかんねー!ほれ、着ろ、着ろ」
「…強制なんか」
…まあ、此処で着替える訳にもいかない。自室へと移動する。
箱を開けて着物を出す。
「きれーやなぁ…」
布地を見つめ、ちょっとうっとり。さあ、乙女ワールドへれっつらごー!…なんて事にはなりません。
帯を広げ裏返しにする。何故かって?分かんなーい。
「…………」
何だ?コレはぁー
帯の裏には文字が書いてある。誰だよ、書いたのは!なんてちょっと憤慨。…したつもり。
ありゃー?
千早[チハヤ]って、だーれ?
- Re: 鬼凛 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/13 12:02
- 名前: もっちー (ID: 8hgpVngW)
「ほぇ?うぎゃっ、ぎゅぎぎぐげ?」
あああ、ああ、あああああ。
記憶が、キヲクが、溢れ出す。だーばだばー。
代わりに記憶が入ってくる。
んにゃ?どーゆーこった。なんてこった。
「千早、千早これ?んで、誰じゃ、こりは」
「——鬼依ちゃん?」
遅いと判断したのか、向こうが御狐神をよこしてきた。
「…鬼依ちゃん?何で…っ、どしてっ!」
「んにゅー?何かついてるかー?」
むー、ニポンゴびみょーに分かんない。
わしはニポンジンなのになー。
「血……っ き…っ、鬼波羅、呼ばなきゃ…っ、あ、ええと…」
「落ち着けー、私は血なんか垂れてないぞっ」
「ち…、目…が、目、ない…」
目が、ない。
そう言っているけれど、私が触ってもなんともない。
どーゆーこっちゃっ
「あぅっ」
「あ、」
行っちゃった。
呼ばれる、んだろーな。キハラ。
いいや、逃げちゃえ。
「ホホイのホイっとな」
窓から飛び降りる。うげっ、此処二階…
「ぅわふっ」
何とか着地にせーこー。…出来てない。足が折れた音したよ?
でも、やっぱりなんともないのだよっ
「もー、イミわかんねっ」
はぎゃっ
〈千早とこーたいしよっ?〉
***
あー、喰った喰った。美味しかったな。美味、美味。
やっぱ人間はサイコーに美味しい食料だね。
「やーっぱ、妖怪は不思議ですなぁ」
私の種族は【鬼凛[キリン]】。キリンて、どーぶつじゃないよ。
ちーと子供っぽい、鬼とはまた違った種族。
主食は人間。人間を定期的に喰わないと、死んじゃう。
よって、人間との共生なんて無理無理。
それにしても、この身体は便利っちゃねー。
あ、忘れてた。
鬼依は私です。私の身体の中にいます。
今の私はこの子無しにして生きてはいられない状況なのですっ。
この子の瞳の妖気を力にしてるからねっ。
妖怪は、嫌い。
人間は、好き。
でも、妖怪が好き。
これは、私と鬼依の共通点。
妖怪は好きで嫌いっつー何とも不思議な共通点。
「鬼波羅」
「…千早」
鬼波羅だっ
後ろに鬼波羅が立っている。
「千早、鬼依…は?」
「…、説明、ひつよー?」
「んにゃ、いい」
鬼波羅は千早の髪を引っ張る。
「鬼波羅、痛い」
「千早、代われ」
「んー、やーだー♪」
「代われ」
鬼波羅が鬼の形相で此方を睨む。
鬼依はもう居ない。
鬼依は侵食されてる。…鬼に。
あのコは、れっきとした私達鬼凛の仲間。
鬼凛の性格、容姿を復活させるべく私が居る。
彼女は、鬼凛だった。
「彼女に、鬼としての記憶を植え付けさせないでね?」
「……」
「あと、びょーいん?連れてかないでね」
「…」
「ね?返事しな?」
「いいから、代われ」
せっかち、と一言言って。
「鬼波羅、」
「……おう」
「目、痛い。足、痛い」
「見りゃわかる」
「びょーいん」
「行かん」
「鬼波羅、私に近寄るな」
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