ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 満月の晩に
- 日時: 2010/11/09 21:44
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
初めまして、あるいはどうも。浅葱です。
シリアス・ダークではもう一作Blue crossと言う吸血鬼シリアス小説を書いている者です。
今回はグロ有り(......?)のホラー系に挑戦してみようかな〜と思い書いてみました。
後、和風っぽい感じにも挑戦してみたかったので(笑)
Blue crossや浅葱自身の色々があったりするので更新頻度はバラバラですが見て下さると嬉しいです。
アドバイスなどは辛口でも甘口でも何でもとにかく大歓迎です♪
最初あたりにも書きましたが流血表現があるかと思われますので苦手な方は要注意です。
∮ 目次
>>03 序章
>>05 登場人物紹介
>>07 第一夜 鬼と鎌鼬
∮ お客様
鏖様、栞様
- Re: 満月の晩に ( No.5 )
- 日時: 2010/11/09 21:26
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
登場人物紹介
「今宵は月が綺麗ですね……」
名前:紅咲 鵺(Nue benisaku) 年齢:不詳(外見年齢17歳) 性別:男
“鬼”の一族の末裔の青年。幼少の頃“鬼の鵺”と言われ迫害されていたらしい。
容姿は髪色は黒色。長さは首の辺りまで。目は血を髣髴させる生々しい紅色。肌は白いと言うより青白い。
身長は175cm、体重約50kg。あまり笑わない。
性格は皮肉屋で冷静。そこそこ仲の良い人には毒舌だがそこそこ面白いらしい。しかし大抵は冷静。
かなりドライで少し結果を優先させる傾向がある。頭がかなり良い。また、以外にマイペースでもある。
趣味は人間観察と四季を嗜む事。鎌鼬のとは昔からの付き合いらしい。
「愚かしいもんだねぇ……」
名前:雪鎌 黒夜(Kokuya yukigama) 年齢:不詳(外見年齢16歳) 性別:女
鎌鼬三兄妹の逸れ鎌鼬。ちなみに二人目の鎌で人を切り裂く鎌鼬。鵺と同じく迫害されていたらしい。
容姿は髪は焦げ茶色で肩下まである若干ロングっぽい髪を一つ結びにしている。目は綺麗な紫色。
性格は一見真面目そうにも見えるが何を隠そう面倒くさがり屋の変わり者である。少し鵺に似ている。
意外と素直じゃない所もあるがツンデレかと言えばそうでも無い。分かり易い様で意外と分かりにくい奴。
趣味は読書。鵺とは古くからの友人らしい。
「貴方達は人、なの……?」
名前:蒼上 紗奈(Sana aokami) 年齢:16歳 性別:女
高校一年生。一応人には見える鵺や黒夜以外に普通は見えない妖怪や幽霊が見えて話せる少女。
そのせいか不気味がられる事が多く、周囲から孤立しやすい。そして彼女自身人と話そうとしない。
外見は髪色は赤みのかかった黒髪。長さは腰まであるロングヘア。目は炎の様な紅色で不気味と言われる。
性格は無愛想で無口。自分の信念は曲げないと言う頑固な所もあり、なかなか周りと合わせない。
一見気が強そうにも思えるが、実は意外と精神的に脆いところがあったりする。
- Re: 満月の晩に ( No.6 )
- 日時: 2010/11/09 21:26
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
栞様
いつもコメありがとうございます♪
頑張らせていただきます(笑)
- Re: 満月の晩に ( No.7 )
- 日時: 2010/11/09 21:43
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
第一夜 鬼と鎌鼬
「愚かしいもんだねぇ……」
私—紅咲鵺を見ながら感嘆した風に溜息を着く少女がやって来た。彼女は私の友人—雪鎌黒夜だ。
私がちろりと黒夜を見ると黒夜は慌てる訳でも無く「人間は」と付け加えている。
……先ほどまで人間だったこの男。元々私の住んでいた村の長だった人間の言っていた通り私は“鬼”だ。
何しろ耳には通常では有り得ない鋭い角がある。その上爪もただ伸ばしているだけではない爪。
……簡単に言ってしまえば、化け物なのだろう。とにかく私はあの村で“鬼”として迫害されていた。
その時私と共に迫害され居た少女、鎌鼬の黒夜。それがこの少女、雪鎌黒夜である。
それはさておき、私はもう磨り潰されてきている自分の作った惨状を見つつようやく足を離した。
知らないうちにここまで惨状が酷くなっていたらしい。
「敵討ちと言う所でしょうか……」
「凄い事になってるよ。てか敵討ちはコレだけじゃないでしょ?」
敵討ち。それは私と黒夜が何とかしてあの村を出て行った時から二人での約束である。
それがどう言う約束なのかは敢えて今は多くを語らないでおく。とにかく敵討ち中と言う話だ。
もっとも恨みがあったのはこの男だけではない。拡大して言ってしまえば“人”に恨みがあるくらいなのだから。
「…………行こうか?」
黒夜と私の間のみで決まっている問いかけ。私は迷うわけでもなくすぐに頷いた。
何処へ行くか? それは簡単な事。
「行きましょうか……」
“敵討ち”の為に、もっと人の居る場所……とりあえずは村ではなく大きな人の集まり。
現代で言えば“県”や“市”なる所へと行く予定だ。私の居る日本国—日本は人が多い。
その分、“敵討ち”をする人の数も多いと言う話。さっさと日本国を回って“敵討ち”をしたい。
「……そうだね、さっさと“敵討ち”をして人間共に復讐しないとねぇ?」
やや自嘲気味に黒夜はにやりと笑う。私は沈黙で肯定の意を示すと黒夜は外へと出た。
私も続いて外に出てお互い外へ出た事を確認すると「走り」出す。最も速さは人並みでは無い。
何しろ鬼と鎌鼬とどちらも妖怪だ。逆にコレで人間並みだったらそれこそおかしいものだろう。
月の光が段々と日の光に変わりつつある中を、私と黒夜は奔り続けていた。
心に秘めている事は“敵討ち”だったであろうか。
- Re: 満月の晩に ( No.8 )
- 日時: 2010/11/10 07:02
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
第二夜 その目に映るモノ
「はぁ……」
私—蒼上紗奈は一人、溜息を着いた。空は淡い光の綺麗な月が見えているのに心は曇ったままだった。
何故曇っているのかと言えば、いつもの自分の過ちに心を悩ませていると言う感じ。
(何で、またあんな事を言っちゃったのかしら……)
あんな事。それは私が幼少の頃から孤立し続けていた理由でもある出来事だった。
実は私の目は炎の様な不気味な赤色。それだけでもおかしって言うのにその目には……“幽霊”が見える。
どうしてなのかと言われるとそれは逆に私自身が問いたい。とにかく生まれつき見えていたらしい。
流石に突然異形の“幽霊”が現れるといつだって恐ろしい。そしてそのせいで私は——————
「…………はぁ」
周りから孤立してしまったのだ。元々人と話す事が嫌いと言う性格もあって、ますます孤立した。
心配そうにしてくれる人も居たが、愚かな事にそれをついつい同情と勘違いしてしまう。
……結局、私自身に孤立の原因はあるのだけれど。
(こんな目さえ無ければ良いのに……)
自分の目にそっと手を置く。この目が大嫌いだった。この目のせいで両親からも人からも恐れられた。虐められもした。そしてこの目のせいで見たくも無い“幽霊”が見える。
こんな目、なくなってしまえば良いのに……そう、何度思っただろう。しかし目はなくならない。
私が孤立するのも、変わらない。
心が曇るだけの要素はあった。
「私が、悪いのかしら……」
ふと空を見上げて呟く。返事など当然来ない。見えるのは特に害の無い、浮遊している霊のみだった。
……私、何言ってるのかしら。ふと自分に問いたくなる。幽霊にさえ問いたくなる。
返事はやっぱり帰って来ない。心がますます勝手な考えで曇ってゆくだけだった。
「あれ……?」
また前を向き、歩き出すと二つの人影らしき者が見えた。……いや、人じゃない……?
月明かりに照らされてようやく見えた人影に私は思わず驚愕した。悲鳴さえ出そうになる。
何故かと言うとその人影の容姿に驚いたからだ。
(鬼……?)
一人目の人影は、黒髪の青年で頭の上の方に角らしき物が生えていた。そして爪も鋭い。
服装も紅色の羽衣を着ていて、現代の服とは大違いだった。
二人目の人影は、これまた黒髪で今度は少女。目は合わなかったけれど綺麗な紫色の目が見えた。
しかもどうやって持つのか分からない様な大きな鎌を持っている。けれど周りの人は気付いていない。
私にしか、見えないの……?
私は疑問を抱えながら気付けばその二人を追っていた。
- Re: 満月の晩に ( No.9 )
- 日時: 2010/11/11 06:27
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
第三夜 魍魎
「……?」
「どうしたの、鵺?」
私達はすぐに、人間の一番多いと言われる“東京”と言う所に着いた。
そして暫く歩いていると突然止まった私に黒夜は不思議そうな目線を私に向ける。
「何でも……無い、です」
辺りを少し見回してから途切れ途切れに言う。何故止まったのかと言うと何かを感じたからなのだ。
何か……人の気配とでも言うのだろうか、私達を追って来る様な気配がした。
恐らく、気のせいだろう。私はそう思い角に触れない様頭に手を置く。
そして、また歩き出した。
「此処もまた人が多いね」
黒夜がそう呟き、元々持っていた鎌を見て分かるほど強く握り締めた。手の甲に筋が浮かんでいる。
私はそうですね、と適当に返しながら計り知れない黒夜の殺気に若干怯えも呆れもした。
黒夜の突然出て来る殺気は“鋭利”とでも言うべきでしょうか……そう思い一人溜息を着く。
まぁ、そんな私も多少の殺気は出ているのかもしれませんが。
《ガサッ》
「……!?」
「誰だ……!!?」
突然辺りに生えていた草から何かが動く音がして私と黒夜はすぐにそちらへと振り向いた。
一応気配を感じさせない様に歩いていたはず……だとしたら何故見つかったんだ?
そう言う理論を建て、私達が振り向いた瞬間に“何か”の動きは止まった。
こう言う時に止まるのは動物ではない。人間の類だ。すると草がもう一度ガサッと動き“何か”が立ち上がる。
「久しぶりだね、鵺に黒夜」
流れる様に綺麗な長い黒髪、私とは違う硝子球の様な紅い瞳、濃い赤色の羽衣を着ていて普通の人間には有り得ない兎の様な耳が頭の方に着いていた。
そして常人が見れば驚くであろう、“何か”の姿は血で汚れていた。簡単に言うと何かを喰っていた。
長い黒髪ながら男のそいつの名は喰代時雨。人間ではなく正真正銘の妖怪“魍魎”だ。
何故魍魎の時雨が血で汚れているのかと言うと、魍魎の性質にある。
「また……人を食っていたんですか、飽きませんね」
魍魎の性質、それは“人を喰らう”事だ。精神とかそう言う面倒臭い代物では無く、人をそのまま喰う。
最もな話、ただ趣味として喰う訳では無く人が襲ってくるから逆に喰っていると言う訳なのだが。
「逆に言えば、また人が襲ってきたんだ」
「今時の日本国の人間共も、襲ってくる訳?」
苦笑した風に吐き捨てる時雨に雪鎌は呆れた風に手を振りながら溜息を着く。
そう、今の日本国の人間も“妖怪”の私達が見えれば恐れおののくか襲ってくるかのどっちかだ。
今、この時ですら襲われるか分からない。しかし恐れている訳でも無い。
理由? それは前に述べた通り私たちの目標は
“敵討ち”なのだから。