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- **世界は私に牙を向ける**
- 日時: 2010/11/10 18:07
- 名前: 夢寿 (ID: Od8c5jU3)
生きているうちに、もう一度、
笑顔が見たかった。最期に一度だけ・・・。
【私の存在】
—古い病院で 魅華はガンと言うことが分かった。
魅華こと 花椿 魅華。
6年2組の生徒。
黒いロングの髪で すこし青い目をしている。
学校では嫌われている。
無理もない。性格が悪いのだ。
ある時少女が魅華に話しかけた。
その時 魅華がどうしたか。
それが問題だ。
なんと本の角で叩いた。病院にいき、命に別状はないものの、少女は記憶が少し失われた。
それからだ。
魅華が嫌われたのは。
魅華は病室でため息をつき、ベットに座り、呟いた。
『私が死のうが だれも悲しまない。』
いっその事 綺麗な身体のまま 死んだほうが楽。
絶望も悲しみも驚きもしなかった。
もうこの12年間で使い切った。
* * *
魅華の病室は209号室。
窓から 山が見える。
山だけが真っ暗な残りの人生を照らす様に魅華の心を癒してくれた。
友達のいない魅華の心が晴れる。
自殺の考えも消えた。
* * *
—そのころ 学校では。
『魅華、ガンでしばらく学校に来れないんですって』
と 言っていたのは魅華が叩いた少女、森 恵那だ。
みんなフゥッとため息をついた後、
『よかった〜あの子・・・。乱暴でしょ?居なくて
安心するわぁ』
と言う者も居れば、
『本当。このまま居なければ 平和がくるね』
と言う者も居た。
魅華の机に大きく恵那がバカ。と書いた。
皆 笑っている。
そんなことも知らず 魅華は本を読んでいた。
* * *
魅華が入院して3週間が立ったころ、
魅華の母、花椿 恵利が来た。
『お母さん。私、ガンで—』
と 魅華が言いかけたところで 母は言った。
『ハイハイハイ。分かってるわ。あのね、私忙しいの。
そんな風に言うとさらにややこしいわ。』
と、冷たい口調で。
『ねぇ、またさ。大きなブーケ贈ってよ。前もさ、
風邪引いたとき、大阪から送ってくれたでしょう?』
魅華は続けた。
『いやよ。あ、今日 午後から会議があるんだわ。
じゃあ。』
と言い、帰っていった。
あっさりと終わった。
胸が苦しくなった。
お母さんは、私が好きではないの—?
そんな言葉が頭を過ぎった。
* * *
ある日、209号室の患者が増えた。
色の黒い少年だ。
赤黒い目で長い黒い髪が印象に残った。
『こんにちわ。凪 純です。12です。』
同い年。
そんな純に少しだけ 親近感が出てきた。
ああ、あの人なら友達になれるかも。
不思議とそんな気がした。
あの人なら・・・。
つづく
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