ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Four Leaf
日時: 2010/11/10 18:42
名前: まいける ナミ (ID: tcDaiqqk)


まったくオリジナルの物語

いつの時代かもわからない
ヨーロッパ風潮の地で起こる
不可解な事件

主人公の名は ルイル・クロワ(16)
彼を中心として動く仲間達や
彼の所属する"CP"
彼等に関わる"仁の血"

そしてこの物語でもっとも重要な
"シハ"と呼ばれる四つ葉のクローバー

彼らの前に現れる"血の無い人間"

この物語の真相とは?

彼らの過去とは?


さぁ

開幕です


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Re: Four Leaf ( No.1 )
日時: 2010/11/10 19:02
名前: まいける ナミ (ID: tcDaiqqk)


プロローグ *その名ルイル・クロワ*


人々か集う賑やかな町
聞こえてくる笑い声
止むことのない足音

その中に一人、
風変わりなユニフォームを着た
金色の髪の少年が一人

人々に交じり、歩みを続けていた

『聞こえる?ルイル、ずいぶん賑やかね』

「聞こえます。すみません、人が多くて」

彼はピアスの形をした無線機で
何者かと連絡を取り合っている

『どう?今日には戻れそう?』

「えぇ。今日中に終わらせます」

『頼もしいわね。そうそう、スリには気をつけてね』

「あはは…。はい。では。」


この世界、ある伝説が今でも
語り継がれている
それはとても美しくとても素晴らしい
そして彼はその伝説を"阻止"するために
存在する


「やだ!!離してよ!!」

突如彼の視界に入っていたのは
少女の腕をつかむ
"極悪な男"

「てめぇ…!ナメたことぬかしてんじゃねぇぞ!!」

男は少女の頬へと
手のひらを振り上げた



その手は何故か
自分よりも小さな少年が
ぱしりと受け止めている

「あ?」

「あ、あのすみません…暴力はいけないかと…」

少年はその平手打ちを受け止めたのにも
関わらず、
おどおどと話しかける

「なんだ?か弱そうなガリガリに用はねぇな」

そう男が言うと同時に
何かの切れる音がした

{ドカガガッ!!!}

その瞬間
砂煙が舞い、少年が男を踏みつける

「…ちょっと失礼じゃないですか……??」

この少年、自分の容姿を気にしてるらしい

その音を聞きつけ
人がどんどんと集まり始めた

「…わ。まずいですね……」

少年があたりをぐるっと見渡し、様子をうかがうと
助けた少女に腕を引かれる

「こ、こっち。ついてきて」

このまま騒ぎになれば
"仕事に支障が出る"。

少年は少女に引かれるがまま
その場を後にした。


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Re: Four Leaf ( No.2 )
日時: 2010/11/10 19:40
名前: まいける ナミ (ID: tcDaiqqk)


……続


彼らがたどり着いたのは
小さなパブ。
人通りも少なく、避難するには持って来いだ

「すみません、助かりました。」


少年は少女に礼を言う


「いいの気にしないで、私こそ、その……」

「あ、不良さんに絡まれてたみたいで」

「……」


少女は申し訳なさそうにうつむいた


「どうされました?」

「あれ……。ち、父…なの。」


その瞬間少年の持っていたスプーンが
カシャンと音を立て
床に転がった

少年は机にバンと手を打ち付ける
その瞬間紅茶のカップが振動し
甲高い音を立てる

「あ、あえ、えぇ!? お、お父さん!? もっ申し訳ありませんでした!!!!」

「お客様!!お静かに!!」


少年はあたふたと席に座りなおす


「大丈夫よ、実は助かったもの。私はニーナ・アンブレムよ。よかったらニーナって呼んでね。」

「すみません。僕はルイル・クロワといいます」


少年の名はルイル・クロワ
16だ

「もしかして、この町は初めて?」

「えぇ、まぁ…」

「ふぅん。でもどうして一人で?」

「えーと少し気になってて、おしゃれなとこですし」


"嘘"をついた
彼にはこの町を訪れた
理由があるのだ


「あ、ねぇ、頬に傷ができてるわ」

「…あぁ。さっきの衝撃で小石が飛んだんでしょう。放っておけば治りますよ」

「でも深いわ。ちょっと来て」

「えっど、どこに…」

「家に薬草があるし、治療を」

「あのでも…」

「父なら大丈夫よ。血眼になってそこらじゅう走り回ってるわ。家に私がいるなんて思わないわよ」


彼は彼女に引っ張られ
パブを出る

家に行きたがらないのには
もうひとつ
言い難い理由があった



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Re: Four Leaf ( No.3 )
日時: 2010/11/11 19:48
名前: まいける ナミ (ID: tcDaiqqk)


……続

まるでオーブンで焼かれたような
こんがり茶色のかわいらしい家、
庭には小さな花が咲きほこり
さっきまでの都会を忘れさせる

「ここで待ってて。」

ニーナは足早に上の階へと向かう
ルイルはさっきまで応答のあった無線をつなぎ直した


『ルイル、今どこ?』

「えーと民家……です」

『え?』

「すみません、問題ないと思います。」

『そう…"CP"のこと、知られてないわよね』

「えぇ、任せてください」


そんな通信をした直後
ひょっこりと階段から顔を出したニーナに
あわててルイルは回線を切る

「どうかした?」

「い、いえなにも……っと…」

焦って棚をつかんだルイルが
ある写真立てに指を引っかけた

「わ。すみません」

「気にしないで」

そこに写っていたのは
幼いニーナと思われる少女と
少女の肩をだく母と父とおぼしき存在だった

「……この写真……」


ルイルは彼女の父と思われる存在の人物を不審に思った
先ほどもみ合った男とは似ても似つかない
眼鏡の似合う小柄な男性だったからだ

「私の両親ね、町で火事に巻き込まれたの。今のお父さんはこの人のお兄さん」

ニーナは微笑してそう言った
まるで悲しい思い出を
青春を語るように


「大事な人を…失ったんですか…すみません」

「ううん、ちっとも悲しくないもの。平気よ」




ニーナは写真を抱き、
ルイルにささやいた













「だってねもうすぐ"会える"んだもの」



風に窓が鳴る
それはまるで予兆のように

ルイルは息を止め彼女を見た



「ねぇクロワ君、四葉(シハ)の伝説、聞いたことある?」


彼はうなずきもせず
首を振りもせず

彼女の話を聞くのだった


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Re: Four Leaf ( No.4 )
日時: 2010/11/11 20:27
名前: まいける ナミ (ID: tcDaiqqk)


……続


人の欲とはとてもむなしく
それは時に悲劇を招く


「4枚の葉で成り立っていて、どんな願いもかなえてくれる、不思議な植物なんですって。見つけるのは困難なんだけど、私この町にあるって聞いて…嬉しくて!!」

「さっきお父さんともめていたのは…」

「あぁ、私が四葉を探すって言ったら、くだらないって言われて…そんなもん出まかせだなんて言うから。馬鹿よね、願いをかなえてくれるのに」


ルイルは足を一歩出口へと出した


「ニーナさん、四葉探しなんてやめたほうがいい」

「……え?」


軽くドアを押し、ルイルは外へと動き出す


「お父さんの言ったとおりです。四葉はあなたの思っているようなものじゃない」

「ど、どうしたのクロワ君、なんでそんなこと…」

「失礼します。」


さっきまでの優しい少年が嘘のように
彼は冷たい笑顔をはなち
その場を去った


———————————


足が重い
そういえば僕は
いつから寝てないっけ

『…ルイル、そこの町のファイルがあったわ』

「………」

『ちょっとルイル?』

「え、あっ……はい」

『あなた大丈夫?無理してない?』

「大丈夫です。で、そのファ『ルイッルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』


突然の大きな声に
ルイルはびくっと肩を弾ませ
よろけ壁にもたれかかった

「な、な…んなんですか…っ…」

『お?だいじょぶかぁ?お前年きちゃってんじゃねぇの?』

「切りますよ馬鹿アスカ」

『だぁーっ!!おこんなって!!』

「で、何の用ですか?」


ルイルはアスカと呼んだ声の主に問いかける


『あぁそうそう。その町にさ、カルゴって男いねぇか?』

「いや、知りませんけど。誰ですか?」


さっきの衝撃で不機嫌なのか
つんとした声でルイルは尋ねた


『やー俺も詳しいことわっかんねーけどさぁ』

「てか、司令官に変わってくださいよ。任務早く終わらせたいんですよ。」

『へーへーさっさと終わらせて戻ってこいよ。ひょっとこ』

「ん``な!?」


ルイルが言い返そうと声を張り上げたとたん
回線が切り替わる

『どうしたのルイル』

「あぁいえ…アスカが…」

『待ち遠しいのよ。三日もあなたが帰らないんだもの。仲間だから心配するのは当然よ。』

「…はい」

『ふふ。二人ともあなたの帰りを待ってるわよ。もちろん私もだけどね』

「ありがとうございます。あの…」

『そうそう。その街にね、昔、四葉の研究をした古いラボがあるはずなの。』

「ラボ?こんな栄えた町に古びたラボなんて…」

『四葉の気配は確かにあるのよね』

「えぇ。だんだん近くなっています」

『そのままたどって。西のほうに立ち入り禁止区域がある。話によるとフェンスは錆びれてもろいみたいだから問題ないわ』

「わかりました。」

『ルイル。』

「はい?」

『その…スリには…』

「…分かってます!!」

『ご、ごめんなさい。あとで連絡して。』


時刻はとっくに日が落ちたころ

真夜中に染まる町

それはまるで

人々の笑い声を忘れさせるような

静けさに殺された町だった


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Re: Four Leaf ( No.5 )
日時: 2010/11/11 23:35
名前: まいける ナミ (ID: tcDaiqqk)


……続


虫さえも鳴かない
星もいつのまにか眠ってしまった
月は遠くから照らすだけで
この町はまるで魔女によって
廃墟へと変えられてしまったようだ

「よっ………と!!」

{ガシャンッ}


ルイルは立ち入り禁止の看板の付いた
フェンスを蹴り破り
奥にそびえる薄汚れたラボに足を運んだ。
ドアはきしみ、長く人が立ち入ってないことを
感じさせられる。
中も滅茶苦茶だ。割れたフラスコ。散らばった用紙
姿をとどめているものもすくない

「…ふぅ。」

ルイルを部屋をぐるっと見回した後
静けさを切り裂くように
言いつけた

「僕は四葉探しはしないほうがいいと言ったはずですが。」

茂みに隠れていた少女が
ドキッとして弾んだ胸を抑え
姿を現す。ニーナだ。

「ど、どうして…。私は願いをかなえたいだけなのっ」

「自分の欲の為だけに誰かが傷つく…あなたはそれでも平気なんですね。」

「私そんなこと思ってなんて…っ!」

「僕は言ったはずです。四葉を求めるなと。あなたはそれなのにここにきた」

ルイルは一呼吸置き、
まっすぐ、まるで睨むようにニーナを見た

「僕はあなたみたいな人が大嫌いです。」


まっすぐ
理もなく彼女に言った


「………によ……。なんにも…知らないくせに…」

ニーナの頬に涙が伝う
そしてルイルをにらんだあと
無理やりラボの中へと走りこんだ

「ちょ、ちょっと!!」

「離してよ!!!」

ニーナはルイルを力強く突き飛ばした
さすがの彼も"三日三晩"寝なければ
彼女の力にも簡単に突き飛ばされ
古びたドアの扉ごと一緒に倒れこんだ

「い…ッて…てて」


彼が見上げると
さっきまでの険相がまるで嘘だったかのように
ニーナがポカンとルイルの後ろを見つめていた

{ゾクゾクッ}

その瞬間
激しい憎悪と寒気がルイルの体を襲った
この感覚は———

「まさかッ!!」

ニーナは歩きだし
ルイルとは少し離れたところへと向かっていた
そのもう少し離れには
植木鉢に植えられた緑色のちいさな"はっぱ"が
ちんまりと台の上に置かれていた

「………!!!!」








四葉




ルイルの探し求めていたもの






「望みを言っちゃ駄目だ!!!!!!!!!」


彼は叫んだ
もう少しはやくガレキに挟まった足を
抜くことができていたら
ことをおさめられたかもしれない。




「お母さんとお父さんに合わせて…っ」


彼女にルイルの声は届かなかった
なにも彼女には伝わらなかった

その瞬間
声とも言い難い
なにかの鳴き声のような
"それ"が言った


≪………ギョイ≫







時は0時を告げた
光りなどない
この暗闇に




ふたたび闇をつげる




プロローグ 完






next 第1章


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