ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 不透明道路
- 日時: 2010/11/13 17:33
- 名前: 無蒼空 (ID: 8hgpVngW)
頑張ります。
更新が遅くなるかもしれませんが、お付き合い下さい。
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- 登場人物紹介、みたいな。 ( No.1 )
- 日時: 2010/11/15 19:03
- 名前: 無蒼空 (ID: 8hgpVngW)
不破[フワ]/僕
曖昧で、自分を上手くコントロール出来ない高校三年生。只今留年中。
都坂 狢[ミヤサカ ムジナ]
不破が思う「透明」な子。不破以外の他人を信じない。普通に高校三年生やってます。
松若 隆[マツワカ タカシ]
教師で、担当教科は国語。熱血で、白髪がある20代。あだ名は「若白髪[ワガシラガ]」。
黒雨 茉奈[クロサメ マナ]
不破が思う「透明」な子2。不破の元カノ(自然消滅)。現在精神科で入院中。
原田 恋沙[ハラダ コイサ]
精神科、もといマナ担当の看護士(?)。不破が好き(人間的にか恋愛感情かは敢えて教えない)。
- プロローグ、的な。 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/14 10:44
- 名前: 無蒼空 (ID: 8hgpVngW)
透明って何だろうと、ちょいと疑問に当たってみる。暇だし。
あ、勿論透明人間の類を期待している訳じゃありません、断じて違う。
透明な人間って、容姿的に凄く爽やかで優しい人を言うのだろうか。
透明な人間って、性格的に自分の意思とか愛とかを貫き通す人を言うのだろうか。
あ、やべ、考えるのすらダルくなってきた。いかん、いかん。
本当に、疑問に当たっちゃったよ…、暇つぶしのつもりだったのに…。
でも、そう考えると僕は何にも当て嵌まらないな、と。
実際不透明なんじゃない?僕の心は黒く染まる事だってあるからね。…冗談。
「しかし、本当に透明な人間っているのかね」
博士風に言ってみたけど天才になれた気分すらしなかった、失敗。
ああ、彼女は透明だなと、思った。
今は情緒不安定で病院に入院中だけどね。その場合は今の彼女は不透明に入るのかな?ありゃりゃ…
そうだ、僕こと不透明な人間がいきなり透明な人間になれるか実験しよう、そうしよう。
- 第一話 透明っ子、見つけたっぽい。 ( No.3 )
- 日時: 2010/11/15 18:56
- 名前: 無蒼空 (ID: 8hgpVngW)
春眠暁を覚えず、とはこの事かな。
夜が明けたのも知らずにスヤスヤ熟睡して、結果8:30。…学校はもう間に合わないな。
遅れるのは目に見えてるのでゆっくりのんびり行こうじゃないか。
「…それとも精神科に行こうかなー」
冗談半分、本気半分ってトコかな。勿論僕が壊れた訳じゃない。
行くのは面倒臭いけど、マナが居るし。いい暇つぶしにはなるだろうと思ったけど、やっぱり行くのは面倒臭い訳で。
取り合えず行くのは帰りにしよう。行くのは行くんだよ。
鞄を持って、制服を着て。今日から四年目の高校生活に胸をはずませて学校に行く。そうです、僕は留年したんです。
なんて言ってる間に只今の時刻は8:57。大遅刻ですね。
うーん、でも学校行ってもする事無いんだよ、どーしてくれんの。
「…あ、透明になろうって決意したのに早速不透明だよー…」
溜息をついて、上を見上げる。
ふわり、と小さな花弁が舞い落ちてきた。僕はそれを手にとって生徒手帳の間に挟みこむ。
…後でマナにあげよーっと。
いつのまにか学校まで後100mほどの距離まで近づいてきていた。だてに足が長くないよ。
そして、校門に差し掛かる。
「おいっ、遅いぞ、遅刻だっ!生徒手帳を出せっ!」
でーたー。国語担当、松若隆[マツワカ タカシ]。熱血君で白髪がちょい混じった20代の若い先生である。ついたあだ名が若白髪[ワカシラガ]で、……そのままか。
不味いよ、今生徒手帳出したらきっと花弁が落ちる。良いタイミングでチャイムが鳴る。
「ちっ、鳴っちまった。後で職員室来いよっ!」
「あ、僕の教室何処ですか」
「…3-Dだろ。お前が不破ならな」
はい、ご存知一年留年した不破で御座います。
若白髪は職員室へと消えていった。
僕は校舎を見上げる。すると、僕の教室と思しき教室から一人の女生徒が顔を出して此方を見ている。
今、思った事。留年ってするもんだね。そう思うのは僕だけでありたいと願う。今此処に居ないマナに向けて一言発する。
「マナ、良かったね。…狢ちゃんが帰ってきてるっぽいよ」
窓から顔を出す女生徒、もとい狢は僕に向けて手をブンブン振り回している。
不透明人間、不破こと僕は、透明に変化しようとしつつも、透明っ子の狢ちゃんを繋ぎとめておく事に専念しようではないか。
- 第一話 02 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/15 19:46
- 名前: 無蒼空 (ID: 8hgpVngW)
教室に入ると何か茶色い髪の人に突撃された。これがまた鳩尾だったもんで相当のダメージを負わされました。僕のライフ、残り16000。まだ結構残っていたな。
それはいいとして、取り合えず狢を僕の身体から離す。…事が出来たら誰も苦労はしないだろう、と深く溜息をついて沢山の空気を吸う。これが世に言う深呼吸と言うものである。常識だ。だがあまりにも大量に吸いすぎたもんで噎せてしまった。ごほごほ。
「お、おおおお前っ、ふ…ふわっふわっ!」
いやいや、僕はふわっふわじゃないし、もっふもふでもないよ。多分、「不破」って言いたかったんだと思う。訂正します、絶対。
「はいはい、何ですかな?」
「ふっ不破!不破、しゅきっ!」
登校早々、周囲の目を一切気にせずしての告白。うぅん、大胆になったな、この子。
前はこーんなに小さくて、あーんなに純粋だったのに。…今でも純粋で透明か。
そして僕はというと透明な心を心掛けようとしていたのに、何か狢の所為で僕が不純だー!みたいな目線を掛けられているじゃないか。心外だな、ったく。
「うん、取り合えず離れようか」
「ぎゅむー」
頬が僕に押されて息がしにくそう、あらら。でも離したら今よりずっとぎゅーってされるんだろうなーと色々想像してみたり。
「お願い、狢の願い事3つ何でも聞くから」
「うん、分かった!」
思ったよりあっさりと離れた。何か凄く「約束しなきゃ良かったな感」に苛まれる。なんだそれは。
「えっとねー、うんとねー、一つ!狢が「ふっくん」と呼ぶのを許す事!」
「はい」
うん、これならいいや。呼び名なんて正直どうでもいい。下の名前を呼ばれるのだけは死んでも嫌だけど。
「二つ!狢と毎日一緒にお昼ご飯をらぶらぶしながら食べる事!」
「…はい」
まあ、いいだろう。唯一つ、らぶらぶ食べるってトコの「らぶらぶ」の度合いがイマイチ分からないのが難点だ。
「三つ!狢を下の名前で呼び捨てで呼ぶ事」
「うん。…………それで、いいんだ」
もう既に呼んでると思うんだけど、僕の記憶が間違ってるのかな?
意外にも普通のお願い事が飛び出してきたのでびっくりした。否、物足りない訳ではないんだけど、てっきり僕は「願い事の回数を10倍に増やす事!」とか言い出すかと思ってちょっと期待してたのにでなかったなーって思っただけだよ。
「んじゃーそれで。僕はこれでさいならするよ」
教室を出る。後ろで「ふっくんま〜ってぇ〜」と妙に色っぽい声で言っていたけど無視して帰宅。あ、違う。桜の花びらと狢の情報をお土産に、精神科へれっつごー。
***
「…遅かったわね、わねわね」
「否、学校行ってたから」
ちょっと険悪ムードになってきたところでマナとの会話に花を咲かせるアイテム、「桜の花びら」がとーじょー。
「はい、これあげる」
「む?あら……綺麗な花びらねぇ、ねぇねぇ」
「後ね、狢ちゃんに会ったよ——」
「狢?あの子、生きてたんですね、会いたいですわ、すわすわ」
ちょっと変な、ってゆーか思いっきり変な喋り方で僕の言葉に対応する。
それから思い出したように言葉を付け加える。
「そういえば、変な看護士さんが呼んでたわよ、わよわよ」
この子の——マナの言う変な看護士さんとは恋沙先生の事だろう。
あの女性[ヒト]の言葉を無視すると後が厄介になるので早速行く事にした。
「また後で来るから」
「期待しないで待っておくわ、くわくわ」
…そんなに信用ないかな、僕。
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